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チャージング・ブル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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座標: 北緯40度42分20秒 西経74度00分48秒 / 北緯40.705576度 西経74.013421度 / 40.705576; -74.013421

チャージング・ブル: Charging Bull)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタンウォール街近くのボウリング・グリーンにある巨大な雄牛(ブル)の銅像である。ウォール・ストリート・ブル (Wall Street Bull) またはボウリング・グリーン・ブル (Bowling Green Bull) と呼ばれることもある。

概要

後ろから

この銅像はアルトゥーロ・ディ・モディカイタリア語版によって制作されたもので、重さは3,200-キログラム (7,100 lb)、高さは11フィート (3.4 m)で長さは16フィート (4.9 m)である[1][2]。ブルは金融用語でブル・マーケット英語版(アグレッシブで楽観的な繁盛市況・上昇相場)の象徴であり、この荒々しくエネルギッシュなブルの銅像は株式市場のエネルギー・力・不確かさを表している。体をひねり頭を下げ後ろ足に力を溜め今にもチャージ(体当たり・突撃)をするような体勢をとっており、表面のメタリックな質感はその猛々しさを強調している。この突き上げるようなブルの体勢には株価を上昇させるという願望も込められている。また見学者はこの彫刻に自由に近付くことができ、このことはこのブルの動きは何者からも制限を受けないことを意味している[3]。この彫刻はウォール街および金融街のシンボルからひいてはニューヨークの新たな名所となり、観光スポットとして毎日数千人の人が訪れている[4][5]

制作者のディ・モディカはデイリーニューズの1998年のインタビューで、このブルは5つあるバージョンのうちの一つであり、他のバージョンのブルも世界のどこかに設置されることを望んでいると語った[6]。2010年には上海版のチャージング・ブルであるバンド・ブル英語版が設置され、2012年にはオランダアムステルダムブールス・ファン・ベルラーヘネパール語版にも別のバージョンが設置された[7]

製作と設置

上海版チャージング・ブルであるバンド・ブル

ディ・モディカは製作に$360,000をかけており、1987年の株式大暴落いわゆるブラックマンデーを受けて「アメリカのパワーの象徴」を意味して作られた[2]。このアイデアは制作者個人のものであり、ゲリラ・アートとして1989年12月15日にロウワー・マンハッタンニューヨーク証券取引所の向かいのブロード・ストリートの中央にある60フィート (18 m)のクリスマスツリーの下に突然設置された。これはニューヨークの人々へのクリスマスプレゼントと銘打たれ、ディ・モディカはこの日この作品を説明したチラシをツリーの元に集まってくる群衆に配布し、多くの人々の賞賛と注目を受けた[2]

警察はこの銅像を押収しこの銅像は拘置されたが、人々の激しい抗議によりニューヨーク市公園・保養局英語版はこの銅像を証券取引所から2つ南のボウリング・グリーンの広場に正式に設置することを決めた。この場所はブロードウェイに面している[8]

「恐れを知らぬ少女」像

2017年、チャージング・ブルに相対する位置に「恐れを知らぬ少女」像が期限限定で設置された。

この像は、働く女性の地位向上をアピールするものであったが、ディ・モディカの代理人らは、少女像が設置されたことにより雄牛像にこめた当初のメッセージが失われ、負の力や脅威の象徴としてゆがめられたとして批判を行った[9]。また交通安全上の懸念もあったため、2018年11月からの少女像常設化に伴い[10]、少女像はニューヨーク証券取引所ビルの向かいへ移設され、チャージング・ブルの前には少女像の足跡の銘板が設置された。

脚注

  1. ^ Dunlap, David W. "The Bronze Bull Is for Sale, but There Are a Few Conditions", article, The New York Times, December 21, 2004, retrieved June 13, 2009
  2. ^ a b c D. McFadden, Robert (1989年12月16日). “SoHo Gift to Wall St.: A 3½-Ton Bronze Bull”. New York Times. 2007年10月1日閲覧。
  3. ^ "In Outdoor Monuments of Manhattan: A Historical Guide", Dianne Durante
  4. ^ Pinto Nick, "Bull!" Archived 2008年12月1日, at the Wayback Machine., article, September 1, 2007, The Tribeca Trib, retrieved June 13, 2009
  5. ^ Greenfield, Beth and Robert Reid, Ginger Adams Otis, New York City, p 120, publisher: Lonely Planet, 2006, ISBN 1-74059-798-2, ISBN 978-1-74059-798-2 retrieved via Google Books on June 13, 2009
  6. ^ Singleton, Don, "Rock Solid"[リンク切れ], article, May 3, 1998, New York Daily News, retrieved June 13, 2009
  7. ^ "Bronzen stier op Beursplein" (Bronze Bull on stock exchange square), article, July 5, 2012, Nu NL news photo report
  8. ^ Wall St.'s Bronze Bull Moves 2 Blocks South”. New York Times (1989年12月20日). 2007年10月1日閲覧。
  9. ^ 少女像で「負の力や脅威」の象徴に、雄牛像作家が苦言 米NY”. AFP (2017年4月13日). 2018年3月24日閲覧。
  10. ^ フィアレスガールが消えた?常設に向け一時撤去”. mashup NY. 2022年5月26日閲覧。

参考文献

  • Durante, Dianne, Outdoor Monuments of Manhattan: A Historical Guide (New York University Press, 2007): on the Bull's creation and current legal status.

関連項目

外部リンク