ロシア連邦政府専用機
ロシア連邦大統領専用機(ろしあれんぽうだいとうりょうせんようき)は、ロシア連邦大統領が使用する専用の航空機。
概要
ロシア連邦はその国土面積が約1710万平方キロメートルと広大である為、ロシア連邦大統領は外国訪問のみならず、国内での移動に際しても航空機を利用しなければならないことが多い。その為専用機には長い航続距離が求められる。
歴史
ニキータ・フルシチョフとレオニード・ブレジネフは、Il-18やTu-114に搭乗していた。 ブレジネフ、ユーリ・アンドロポフ、コンスタンチン・チェルネンコ、ミハイル・ゴルバチョフはIl-62に搭乗した。
1992年以来、Il-62、Tu-154、Tu-134、Yak-40などに搭乗していた。
外遊では予備機を含めた2機編成で飛行して、大統領専用機の1機に問題が起きても対応できるようにしていたが、1977年以降は予備の予備を含めた3機編成で飛行している[1]。この理由として、モスクワに来た米国大統領リチャード・ニクソンを大統領専用機のIl-62に招いて飛ぼうとした際に予備機も含めて飛行できなかったためである[1]。
IL96-300PU
ボリス・エリツィン(ロシア連邦初代大統領)が1996年にS・V・イリユーシン記念航空複合体製のIl-96を大統領専用機として使用して以来ウラジーミル・プーチン、ドミートリー・メドヴェージェフと歴代のロシア連邦大統領がIl-96を専用機としている。
専用機には『IL96-300PU』という型番が振られている。なお『PU』とはロシア語で『司令所(пункт управления)』という意味である。そのスペックから“空飛ぶクレムリン”という異名も持つ[2][1]。
運用されている機体として、機体番号RA-96012はボリス・エリツィンによって使用され始め、2003年にプーチン大統領のためにRA-96016が製造された。2010年に2機発注され、RA-96020が2012年12月に、RA-96021は2014年 1月30日に引き渡された[3]。2015年11月23日に、RA-96022が納入された[4]。
専用機はペルミ・エンジン製の4発エンジンを搭載し、9,500キロメートルの航続距離を持つ。無給油で14,000キロメートルを連続飛行出来る性能を持つという[5]。エンジンが4発で燃料が多くかかるが2基故障しても飛行可能な信頼性がある[1]。
2015年にロシアの航空機製造会社である統一航空機製造会社は、ロシア政府より新たに大統領専用機の製造注文を受注した[6]。
脚注
- ^ a b c d エカテリーナ・シネリシチコワ (8月 18, 2021). “「空飛ぶクレムリン」:プーチン大統領の専用機”. Russia Beyond 日本語版. 2023年5月25日閲覧。
- ^ 「空飛ぶクレムリン」飛来=ロ大統領特別機、核ボタンも AFPBB 2016年12月15日
- ^ Новый президентский «Ил» с пермскими ПС-90А передан заказчику Aviadvigatel 07.02.2014〈Internet archives〉
- ^ “機体記号 : RA-96022 (ロシア連邦保安庁) 航空機体ガイド”. FlyTeam(フライチーム) (2016年12月16日). 2023年5月25日閲覧。
- ^ 各国首脳の「専用機」を比較、最強なのはどこか―中国メディア FOCUS ASIA 2015年02月07日
- ^ Авиапарк президента России пополнят два самолета Avitation Exproler 2015年9月28日
関連項目
- 政府専用機
- Специальный лётный отряд «Россия» - 大統領などの政府要人を輸送する任務についてる部隊。ヴヌーコヴォ国際空港の特別ターミナルВнуково-2を拠点としてる。
- VC-25(ボーイング747-200、アメリカ合衆国大統領専用機、747-8に更新予定)
- ボーイング747-400(日本国政府専用機、777-300ERに更新)
- ドゥームズデイ・プレーン - 核戦争などの非常時に大統領などの高官が国家全体の指揮を執る能力を持つ航空機
- Il-80 - ソ連における空中司令所
- ドゥームズデイ・プレーン (ロシア) - Ilyushin Il-96-400をベースに改造され、2016年8月1日に引き渡された空中司令所