納屋橋
納屋橋(なやばし[1][2])は、名古屋市中心部のメインストリートである広小路通(愛知県道60号名古屋長久手線)の堀川に架かる橋である。納屋橋周辺の繁華街を含めた地域の総称として用いられる場合もある。
歴史
1610年(慶長15年)に、清洲越しに先立って行われた堀川掘削とともに架けられた「堀川七橋」の1つである[3]。橋が架けられた当時の納屋橋界隈は名古屋城下の南端にあたり、西の烏森と町を結ぶ柳街道が走っていた。名称の由来は、橋の西側に魚屋(なや)、または納屋が多くあり、そこからつけられた地名の納屋町から採られたという説と、橋の南東に尾張藩の米蔵が多くあったことからつけられたとする説の2つがある[3]。
1886年(明治19年)に広小路通が名古屋駅前まで延伸された事と共に鉄骨製の橋に改修され、1898年(明治31年)からは名古屋市電栄町線が橋上を走るようになった。その後、1913年(大正2年)に橋が改築された際には竣工に合わせて渡り初めが行なわれ、その様子を見ようと6万人あまりが訪れたという[4]。この際に渡り初めを行なった二組の「三世代揃った夫婦」の一方であった和菓子店「伊勢屋」はこの後に屋号を「納屋橋饅頭」と改めて現在に至っている[5]。現在の橋は1981年(昭和56年)に架けかえられたもので、前代のものを引き継いだ、中央部にテラスを持つ青銅鋳鉄の欄干が特徴のアーチ橋となっている。橋の下に取り付けられたアーチは無くても問題はないが、前代の面影を残すために飾りとして残された[3]。アーチとともに外観上の特徴である欄干は前代の橋のものがそのまま使われており、堀川開削を行ったとされる福島正則にちなみ福島家の家紋が施されている[3][6]。また、上流側のアーチには濁点を取った「なやはし」の文字が記されている。
納屋橋は1989年(平成元年)に名古屋市の都市景観重要建築物等に指定されている[7]。
周辺
納屋橋は名古屋市営地下鉄東山線の名古屋駅と伏見駅のほぼ中間地点(地下鉄線路は1本北の錦通を通っている)にあたり、周囲は栄と名駅をつなぐ繁華街となっている。1971年(昭和46年)までは橋上を市電が行き交い人通りも多かったが、市電廃止後は名駅周辺部と栄周辺部の開発に取り残され風俗店の入った古いビルが目立っていた。近年では市が進める納屋橋再開発事業、堀川浄化プロジェクトの一環として錦通までの川沿いに遊歩道が整備されたほか、洒落た飲食店が多く開店するなど新しい街作りが進んでいる。
橋周辺の繁華街は特に風俗街としての色合いが強い。2000年代前半までの納屋橋界隈は俗に言う立ちんぼのメッカであり、中南米を始めとする外国人女性が客引きをする姿が多く見られた[8]。しかしその後の再開発事業に伴う取り締まり強化により立ちんぼの数は激減している。川沿いにはラブホテルも多く、中には名古屋では珍しいゲイ専用のラブホテルも存在する[9]。このほか、橋から北へ進んだ錦橋(錦通)、桜橋(桜通)周辺も納屋橋地区とされることもある[10]。
このほか、付近には河川運搬の名残か材木商や倉庫が残っている。
2017年(平成29年)に再開発ビルで複合商業施設のテラッセ納屋橋が全面オープンした。
その他
1988年(昭和63年)や1999年(平成11年)に中日ドラゴンズがセントラル・リーグ優勝を達成した際には、納屋橋から堀川に飛び込む人が多くいた[11][12]。2004年(平成16年)や2010年(平成22年)には、名古屋市や所轄の中村警察署が納屋橋に「飛び込み禁止」を呼びかける看板を設置している[12][13]。
参考文献
関連項目
- なやばし夜イチ:納屋橋で毎月第四金曜日に開催しているナイトマーケット。
- 御園座:出演する歌舞伎役者の船乗り込みが熱田区の白鳥公園桟橋で行われ、納屋橋より上陸する[14]。
- 旧加藤商会ビル:東詰にあるビルで登録有形文化財。
- ほとりす なごや納屋橋:2009年(平成21年)4月17日 にオープンした商業施設。
脚注
- ^ 愛知県の地名・発行年1981年、P.132
- ^ 名古屋の史跡と文化財・発行年1997年、P.235
- ^ a b c d “納屋橋のおいたち”. 名古屋堀川ライオンズクラブ. 2010年12月23日閲覧。
- ^ “沢井鈴一の「名古屋広小路ものがたり」第4講 大正時代の広小路 第2回「饅頭のごとく円満に、うどんのごとく末長く」”. Network2010 (2009年4月10日). 2014年7月12日閲覧。
- ^ “歴史”. 納屋橋饅頭万松庵 (2013年8月1日). 2014年7月12日閲覧。
- ^ “納屋橋”. 名古屋市. 2010年12月23日閲覧。
- ^ “名古屋市:都市景観重要建築物等指定物件”. 住宅都市局都市計画部都市景観室 (名古屋市). (2012年9月25日) 2012年11月24日閲覧。
- ^ “世界各国から集まる売春婦たち 名古屋発 風俗王国の立ちんぼ潜入ルポ”. Kansai Magazine Broadcast. 2010年12月23日閲覧。
- ^ “納屋橋 名古屋風俗情報”. 名古屋夜遊びガイド. 2010年12月23日閲覧。
- ^ 『東海ナイトハーレムVol.1』、ワークスジャパン、2011年、p.331。
- ^ 北辻利寿「昭和最後の優勝者はドラゴンズ・歓喜の夜に名古屋が沸いた!(20)」『ドラの巻』CBCテレビ、2018年12月28日。オリジナルの2022年4月15日時点におけるアーカイブ。2022年4月15日閲覧。
- ^ a b 相原亮「プロ野球頂上決戦、今夜名古屋に ダイブ防止策着々」『朝日新聞デジタル』朝日新聞名古屋本社、2010年11月6日。オリジナルの2022年4月15日時点におけるアーカイブ。2022年4月15日閲覧。
- ^ 「中日V目前 百貨店や商店街でセール、イベント準備」『中日新聞』中日新聞社、2004年9月24日、夕刊。オリジナルの2004年9月28日時点におけるアーカイブ。
- ^ “上方歌舞伎の坂田藤十郎さんが堀川で船乗り込みを行い、名古屋市内7つのライオンズクラブも企画・運営のお手伝いをさせていただきました。”. 名古屋堀川ライオンズクラブ. 2020年1月9日閲覧。
外部リンク
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