Mercurial
開発元 | Matt Mackall |
---|---|
初版 | 2005年4月19日 |
最新版 | 6.6.4 - 2024年6月12日[1] [±] |
リポジトリ | |
プログラミング 言語 | Python, Rust, C |
対応OS | クロスプラットフォーム |
種別 | バージョン管理ソフトウェア |
ライセンス | GPL v2+ [2] |
公式サイト |
www |
Mercurial (マーキュリアル) は、ソフトウェア開発者向けの分散型バージョン管理システムである。Microsoft Windows、FreeBSD、MacOS、Linux等の Unix 系システムでサポートされている。GPL v2+ [3] の条件の下でフリーソフトウェアとしてリリースされている。
Mercurial はシンプルな概念の下、次のものを主要な設計目標としている。
Mercurial は主としてコマンドライン駆動のプログラムである。Mercurial のすべての操作は、そのドライバープログラム hg への引数として呼び出される。(hg というプログラム名は、英: mercury が水銀を意味しその元素記号が Hg であることに由来する。)
その一方で、Mercurial には、統合された Web インターフェイスが含まれており、グラフィカルユーザインタフェースの拡張機能が利用できる。 TortoiseHg およびいくつかの IDE では、Mercurial によるバージョン管理のサポートを提供する。また他のバージョン管理システム、特に Apache Subversion のユーザの移行を容易にする手段も講じている。
Mercurial は主に Python で実装されている。バイナリ Diff 実装は C 言語で記述されていた。現在はRustを用いた chg (差分取得。C言語 からの置換え)、hgcli (クライアント用コマンドツール)、hg-core (コアモジュール) の実装が進められている。[4][5]
Matt Mackall は、Mercurial の創始者であり、2016年後半までリード開発者を務めた。
歴史
2005年4月上旬、Linuxカーネルの開発に利用されていたBitKeeperのフリー版の配布停止が発表された(詳細についてはBitKeeper#価格変更参照)。Linuxカーネル開発者の一人でもあったMatt Mackall はBitKeeperに代わる分散型バージョン管理システムの開発に乗り出し、4月19日に0.1をリリースした。[6] 既にLinuxカーネルの原著作者であるLinus Torvaldsも同様の目的でGitの開発を開始していたが、Mackall はLinux kernel Mailing List上でMercurial の優位性(データを差分の形式で保持することにより、リポジトリのサイズを節約している等)を訴え、Torvalds と論争を繰り広げたこともあった。LinuxカーネルプロジェクトはMercurial ではなくGitを使用することを決定したが、現在、Mercurial は他の多くのプロジェクトで使用されている。「Git vs. Mercurial」はハッカー文化の聖戦の1つになった。
Mercurial メーリングリストの回答で、Mackall は「Mercurial」という名前がどのように選ばれたか説明した。
最初のリリースの少し前に、Larry McVoy を(「気まぐれ」の意味で)水銀性であると説明しています。進行中のBitKeeperの失敗に関する記事を読みました。複数の意味、便利な略語、および既存の命名スキーム(私の電子メールアドレスを参照)との適合性を考えると、すぐにクリックしました。したがって、Mercurial はLarry の名誉にちなんで名付けられました。同じことがGitにも当てはまるかどうかはわかりません[7][8]。
設計
設計目標は、
である。またMercurialは完全なWebインターフェースを含んでいる。 原著作者はMatt Mackall で、現在も主要開発者である。
Mercurial はSHA-1ハッシュを使用してリビジョンを識別する。ネットワークを介したリポジトリへのアクセスでは、Mercurial はHypertext Transfer Protocolベースのプロトコルを使用して、往復要求、新しい接続、および転送されるデータを削減しようとします。 Mercurial は、プロトコルがHypertext Transfer Protocolベースのプロトコルに非常に似ているSSHでも機能する。デフォルトでは、外部マージツールを呼び出す前にマージ (バージョン管理システム)を使用する。
主な機能
0.9.5版から、他のバージョン管理システムで管理されたソースコードを、取り込む機能がサポートされている。[9]
採用事例
Mercurial はLinuxカーネルソースの管理に選択されていないが、Facebook[10]、World Wide Web Consortium、Mozillaを含むいくつかの組織に採用されている。FacebookはRustを使用してMononoke[11][12]を作成している。これは、大規模なマルチプロジェクトリポジトリをサポートするために特別に設計されたMercurial サーバである。
2013年、FacebookはMercurial を採用し、大規模な統合コードリポジトリを処理するためのスケーリングに取り組み始めた[13]。
Bitbucketは、Webベースのバージョン管理サービスが2020年6月にMercurial のサポートを終了すると発表し、新しいプロジェクトの1%のみがそれを使用していると説明した[14]。
Mercurial サーバとリポジトリ管理
- RhodeCode Inc. によるRhodeCode
- Kallithea(RhodeCodeのGPLv3フォーク)
- Fog Creek Software によるKiln
- Phacility によるPhabricator
参照: OSSホスティングサービスの比較、分散バージョン管理Git/Mercurial/Bazaar徹底比較
以下のウェブサイトは、Mercurial リポジトリの無料のソースコードホスティングを提供している。
- アトラシアンによるBitbucket(2020年2月から非推奨、2020年6月1日から廃止されるMercurial リポジトリのサポート)
- SourceForge.net
- フリーソフトウェア財団によるSavannah
- Puszcza[15](Savannah姉妹サイト、ウクライナでホスト)
- OSDN[16]
- Perforce[17]
- Mozdev
- TuxFamily[18]
- FusionForge
- その他[19]
Mercurial を使用したオープンソースプロジェクト
Mercurial 分散RCSを使用するいくつかのプロジェクト[20]
関連項目
脚注
- ^ “Mercurial”. mercurial-scm.org. 2024年7月7日閲覧。
- ^ “Relicensing”. 2020年4月15日閲覧。
- ^ “Relicensing”, Mercurial (wiki), Mercurial-scm.org.
- ^ “Mercurial (stable branch): b561f3a68e41 rust/README.rst”. www.mercurial-scm.org. 2020年4月15日閲覧。
- ^ “Mercurial (stable branch): /rust/ ディレクトリ”. www.mercurial-scm.org. 2020年4月15日閲覧。
- ^ Matt Mackall (20 April 2005). "Mercurial v0.1 - a minimal scalable distributed SCM". Linux-Kernel (Mailing list).
- ^ Mackall, Matt (15 February 2012). "Why did Matt choose the name Mercurial?". Mercurial (Mailing list). 2016年6月7日閲覧。
- ^ Torvalds has said: "I'm an egotistical bastard, so I name all my projects after myself. First Linux, now git."
- ^ http://www.selenic.com/mercurial/wiki/index.cgi/ConvertExtension
- ^ “Scaling Mercurial at Facebook” (7 January 2014). 2020年3月7日閲覧。
- ^ “A Mercurial source control server, specifically designed to support large monorepos.: facebookexperimental/mononoke” (31 January 2019). 2020年3月7日閲覧。
- ^ “Google Groups”. groups.google.com. 2020年3月7日閲覧。
- ^ “Scaling Mercurial at Facebook”. Facebook Code. Facebook. 13 October 2015閲覧。
- ^ “Sunsetting Mercurial support in Bitbucket”. Bitbucket (20 August 2019). 29 August 2019閲覧。
- ^ “Welcome [Puszcza]”. ps.gnu.org.ua. 2020年3月7日閲覧。
- ^ “Let's start OSS development with Mercurial (Hg) - OSDN”. osdn.net. 2020年3月7日閲覧。
- ^ “Try Helix TeamHub Free | Perforce”. info.perforce.com. 2020年3月7日閲覧。
- ^ “TuxFamily: Free hosting for free people”. www.tuxfamily.org. 2020年3月7日閲覧。
- ^ “Hosting”, Mercurial (wiki), Mercurial-scm.org.
- ^ “Some projects that use Mercurial”, Mercurial (wiki), Mercurial-scm.org.
- ^ Reed, J Paul (12 April 2007). “Version Control System Shootout Redux Redux”. 2020年3月7日閲覧。
- ^ James Gosling (October 2006). "Open Sourcing Sun's Java Platform Implementations, Part 1" (Interview). Interviewed by Robert Eckstein. Sun. 2009年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。