ヴォルテックスジェネレータ
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ヴォルテックスジェネレータまたは渦流生成器(かりゅうせいせいき)は、意図的に乱流を生じさせる事で空力特性を改善する装置。
概要
意図的に乱流を生じさせる事で境界層剥離を抑える事によって空気抵抗を減らす効果がある[1]。飛行機の翼に取り付けることで乱流翼となり、翼型性能が向上し、飛行が安定する場合がある。基本的に主翼に取り付けられるが、方向舵や補助翼の効果を高めるために設置されることもあり、YS-11では水平尾翼に導入された。
レーシングカーではダウンフォースを高めるために設置される例もある[2]が、競技によってはレギュレーションで規制されている[3]。市販車では三菱自動車のランサーエボリューションVIII MR[4]でオプショナルパーツとして採用されていたり、トヨタ自動車のアクアに純正採用[5]されていたりするなど、スポーツ走行を目的とした自動車だけでなく、環境性能を求めた車にも採用されることがある。
冷却ファンや、パンタグラフ(集電装置)等の風切り音を低減する目的でも使用される。JR西日本の新幹線500系電車において、登場当初採用された翼型パンタグラフでは、パンタグラフ支持台の側面に幅6ミリ、長さ25ミリ、高さ3ミリの三角形の突起が2列に並んだ、ヴォルテックスジェネレータが付けられていた。
フクロウの風切り羽根も、端部の形状がヴォルテックスジェネレータとなり、羽ばたき音が減少している。
脚注
- ^ 小池, 永吉 & 濱本 2004, pp. 13–14.
- ^ 舘内 1992.
- ^ 田中 2009, p. 9.
- ^ "三菱自動車、高性能4WDスポーツセダン『ランサーエボリューションVIII MR』を発売" (Press release). 三菱自動車工業株式会社. 2017年1月3日閲覧。
- ^ “アクア | 走行性能”. トヨタ自動車株式会社. 2018年5月10日閲覧。
参考文献
- 舘内, 端「空力の不思議 有名無名のデザイナーによりF1マシンに不可欠となったボーテックス・ジェネレーター」『Racing On』第7巻第4号、1992年3月、56-57頁。
- 小池, 勝、永吉, 恒久、濱本, 直樹「ボルテックスジェネレーターによる空気抵抗軽減の研究」(PDF)『テクニカルレビュー』第16巻、三菱自動車工業株式会社、2004年、ISSN 0915-2377、 オリジナルの2013年6月6日時点におけるアーカイブ、2020年8月6日閲覧。
- 田中, 尋真「F1レギュレーションと技術の変遷」(PDF)『Honda R&D Technical Review F1 Special (The third Era Activities)』、株式会社本田技術研究所、2009年、ISSN 0915-3918、2020年8月6日閲覧。(要登録)