ヴェノーヴァ
ヴェノーヴァ(Venova)は、ヤマハによって開発・製造される管楽器である。クラリネットやサクソフォーンの様に一枚のリードで音色を発生させる木管楽器[1]で、名称はラテン語で「風」を意味する「ventus」と「新しい」を意味する「nova」に由来する。
コンセプト
ヴェノーヴァ開発の着想は、サクソフォーンと言った古典的な木管楽器に引けを取らない音質とダイミクスを持つ、覚え易くて小型の管楽器を作り出すことであった[2]。ヴェノーヴァは小型で頑強な旅行用演奏道具に位置付けられる[3]。
特徴
ヴェノーヴァの運指はリコーダーの運指に対応し、マウスピースはソプラノサックスのものと同一である[3]。全長46 cm・重さ180 g[3]のコンパクトなボディと、ABS樹脂製ゆえに湿気に強く水道で洗う事が出来るなどメンテナンスが容易さが外観上の特徴である[3]。本体には、ヤマハの4Cグレードのソプラノサックスマウスピースに相当するものが付属する。
ヴェノーヴァはC~Cの半音階2オクターブ楽器であり、サクソフォーンのようにオクターブキーを備える[4]。1977年に日本音響学会で発表された「円筒を分岐させることで、円錐型をしているサクソフォーンの音色に近づけることが出来る」という論文[5]のノウハウを応用した結果、ヴェノーヴァは開口部との距離を短縮するために湾曲した形状と分岐管を持つと言う独特のスタイルとなっている[6]。この独自構造により、クラリネットと同様の直管でありながらサクソフォーンの深い音質を保つ事が可能となっている。
また、2019年9月12日より、F~F半音階2オクターブのAltoVenovaと呼ばれるアルトサックスに相当するモデルが追加。全長は59cm・重さは293gに増加。
従来のモデルとの音域以外の相違点は、Altoの名の通りアルトサックスのマウスピースを使用することや、従来より拡大した管体を持ち運びやすくするため、管体が2分割できる仕様になっていること。管体もそれにともない、若干の形状変更がなされているほか、付属のマウスピースは、ヤマハ4Cグレードに相当するアルトサックス用のものに変更されている。
出典
- ^ “Listen to this newly-invented instrument” (英語). Quartz 2018年8月24日閲覧。
- ^ “Yamaha Introduces Venova”. Benzinga. 2018年8月24日閲覧。
- ^ a b c d “Venova”. ru.yamaha.com. 2018年8月24日閲覧。
- ^ Sergey Govorov (2017年8月30日). “VENOVA new music instrument by Yamaha”. 2018年8月24日閲覧。
- ^ 実吉純一 (1977年). “円錐ホーンの反共振周波数の球面波理論による解析-円錐形管楽器の鳴る周波数”. 2018年11月20日閲覧。
- ^ “YVS-100 - Характеристики”. ru.yamaha.com. 2018年8月24日閲覧。
外部リンク
- ヴェノーヴァ™ - YAMAHA