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血漿

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体重70 kgの男性の体液の内訳[1]
全水分量42 L 細胞外液14 L 血漿(血管内)2.8 L
間質液11.2 L
細胞内液28 L
新鮮凍結血漿の袋。

血漿(けっしょう、: Blood plasma)は血液に含まれる液体成分の一つ。血液の55%をしめる。 血液を試験管にとって遠心沈殿すると、下の方に赤い塊りができ、上澄は淡黄色の液体になる。赤い塊りは主として赤血球の集りで、上澄の液体が血漿である。赤血球と血漿との容積の比はほぼ半々ぐらいである。血漿はアルブミングロブリンからなるタンパクを約7.0%程度含んでおり、その他KNaCaなどの電解質ビタミンなどを含んでいる[2]

血漿量

血漿量は、全体液量−細胞内液量-間質液量で求めることができる。また、エバンスブルー色素を用いての色素濃度の測定、放射性ヨウ素標識血清アルブミンを用いての放射活性からも血漿量を求めることができる。

組成

やや黄色みを帯びた中性の液体で以下の成分で構成される。水 (91%) の次にたんぱく質 (7%) が多い。

なお、血漿等における無機塩類の濃度は表のとおりである[3]

イオン 血漿等細胞外濃度
(mmol/L)
細胞内濃度
(mmol/L)
ナトリウム(Na+) 145 12
カリウム(K+) 4 140
マグネシウム(Mg2+) 1.5 0.8
カルシウム(Ca2+) 1.8 <0.0002
塩素(Cl-) 116 4
リン酸(HPO4 2-) 1 35

役割

血液細胞・養分・脂質ホルモン・老廃物の運搬、体内恒常性の維持(緩衝作用)、血液凝固免疫機能を持つ(抗原抗体反応の場)。急激な温度変化の抑制。

血管外に組織液としてしみだす事ができ、これにより細胞に栄養分を供給できる。一部は毛細血管を経由して血管に戻るが、多くは毛細リンパ管に入り、リンパ漿となる。

検査項目

  • 血漿浸透圧
    • 計算式
      血漿浸透圧を血清ナトリウム濃度をNa、血清カリウム濃度をK、血糖をBG、血中尿素窒素をBUN (UN)とすると、血漿浸透圧は
      で近似できる。さらに臨床的には
      とする。
    • 正常値
      285〜295mOsm/L (mOsm/kg)

臨床効果が認められていない利用

アメリカ合衆国では、一部でアンチエイジングなどを目的に若者から採取した血漿を注入する療法が行われてきた。こうした療法についてアメリカ食品医薬品局は、2019年2月19日、臨床効果が認められていないうえ、危険が伴う恐れがものとして警告を出している[4]

脚注

  1. ^ 血圧と血中ナトリウム量の関係について教えてください(日本心臓財団、2009年4月)
  2. ^ 大谷 五良、「代用血漿」、『高分子』Vol. 7 (1958) No. 1 P 21-23
  3. ^ [出典無効] 水・無機質 講義資料のページ
  4. ^ 米FDA、若者の血漿注入する「治療」に警告”. CNN (2019年2月19日). 2019年2月20日閲覧。

関連項目