負圧計
負圧計(vacuum-meter、vacuum-gauge、バキューム計)は、内燃機関において吸気圧力を指示する計器、測定器である。
自動車・オートバイなどの内燃機関を搭載する車両や、バキューム車などの負圧を特に利用する機器に装備され、操作者が現在の吸気圧力を把握するのに用いられる。
概要
内燃機関にとっては吸気圧力は、内燃機関の作動状態を知る為の要素の一つである。 自然吸気式のエンジンにおいては、負圧状態から正圧までの測定を行う事ができ、同じ回転数でも正圧に近くなる程エンジンに多大な負荷が掛かっている事を示す事となる。過給器付きエンジンにおいては、ブースト計が負圧計の機能を兼ねている。
計器としての単位はkgf/cm2である(北米ではpsiを用いる事もある)が、純正装着の負圧計の文字盤には0.5kgf/cm2刻み程度の大まかな表記しか行われていない場合が多い。
歴史
負圧計は内燃機関の登場以前から既に存在していたが、自動車の内燃機関においては近年まで純正採用される事は少なかった。 これは自然吸気エンジンの負圧計が、過給器付きエンジンにおけるブースト計と比較して、吸気システムの正常な動作状態を把握するという意味で、インテークマニホールドの負圧を常時正確に測定し続ける必然性が低かった事が一因である。旧来よりエコランに専念したい一部のドライバーの間では、エンジンの負荷状態を正確に知る意味で負圧計を取り付ける者が存在したが、自然吸気エンジンの保守に際して必ずしも必要な装備では無かった。
しかし、近年の原油価格の高騰化に伴って経済走行を心がけるドライバーが増えてきた為、自動車メーカーの間で負圧計の新たな利用法が模索され始めた。本来、吸気圧力を表示する文字盤に燃費数値を記載する事で、ドライバーが視覚的に現在の燃費を知る事が出来るよう、燃費測定計という形で、負圧計が積極的に用いられるようになったのである。
まだ一部の高級車種以外ではこうした負圧計の原理を利用した燃費測定計は採用されていないが、今後自動車メーカーのエコカー指向が強まってくる事で、多くの車種に純正採用される事が予想される。
構造
現在使用されている負圧計は、大きく分けて機械式と電気式に分類される。両者の大きな違いは、メーター本体が吸気圧力を機械的に読み取るか、圧力センサーやエアフロメーターを介して電気的に読み取るかである。
機械式負圧計
機械式負圧計は、メーター内にインテークマニホールドからのバキュームホースを直接引き込んで吸気圧力を表示する形式である。 メーターまで直接バキュームラインを引く必要がある事から配管の設置に手間が掛かるが、電気式メーターに比較して安価である事や、万が一配管が外れた場合の危険性が水温計や油温計に比べて低い事から、社外品の負圧計の多くが今日でもこの方式を採用している。
電気式負圧計
電気式負圧計はインテークマニホールド内に備えられた圧力センサーによって吸気圧力を測定し、電気式メーターに吸気圧力を表示する方式である。車種によってはエンジンコントロールユニットやエアフロメーターの測定値から吸気圧力を計算して表示するものもある。 現在の車両に純正で備え付けられている負圧計(燃費測定計)の多くはこの形式である。