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2024年1月11日 (木) 10:56時点における版
ノート:能登半島地震 (2024年)に、このページに関する議論があります。(2024年1月) 議論の要約:群発地震とともに「令和6年能登半島地震」の対象となる能登半島地震 (2024年)を含めた記事の扱い |
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能登群発地震(のとぐんぱつじしん)[注釈 1]は、2020年12月以降に石川県の能登地方および能登半島沖で発生している群発地震である。2024年1月1日に一連の地震活動で最大のM7.6の地震が発生したことに伴い、気象庁より「令和6年能登半島地震」と命名された[7]。2023年5月5日に発生して被害を出した地震は、石川県が「令和5年奥能登地震」と命名している[8]。
概要
石川県能登地方では、2018年頃から地震回数が増加傾向となり、2020年12月から地震活動が活発になった[9]。気象庁によると、2020年12月以降、2024年1月2日13時の時点で震度1以上の揺れを675回観測した[10]。
一連の活動で最大の地震は、2024年1月1日に発生したM7.6の地震で、志賀町で最大震度7を観測している。この他、2021年9月16日に発生したM5.1の地震では珠洲市で最大震度5弱[11]、2022年6月19日に発生したM5.4の地震では珠洲市で最大震度6弱[12]、2023年5月5日に発生したM6.5の地震では珠洲市で最大震度6強[13]を観測した。
一連の地震活動は、2022年6月時点では東西約15 km、南北約15 kmの領域で発生しており、特に北側から東側にかけての領域で地震活動が活発であった[14]。地震活動の領域は半島先端部を時計回りの方向で拡大する傾向を見せ、2022年11月以降は南東部の海岸沿いにも広がった[15]。また2023年5月のM6.5の地震は活動域の東側の北部で発生し、以後は地震活動がさらに北から東側の海域にも拡大した[16]。さらに2024年1月1日に発生したM7.6の地震以後、地震活動は能登半島北東海域から2007年の能登半島地震活動域付近にかけて、能登半島北部を北東 - 南西方向に縦断する範囲にまで拡大している[10]。
群発地震の詳しい原因はわかっていないが[17]、金沢大学教授の平松良浩によると、地下から上昇した流体により地殻が膨張している可能性があるという[18]。地面が隆起する地殻変動も観測されており、 珠洲市の観測点では2020年11月から2022年6月までに地面が4 cmほど隆起している[14][19]。能登地方のように周囲に火山がない場所でこれほどの地殻変動が観測されるのはかなり珍しいことである[20]。東京工業大学教授の中島淳一は、同地域における過去の地震の伝播を解析した結果から、半島地下に水が広く存在していると推測した。また、それらの供給量や上昇経路を解明できれば、地震活動を予測できる可能性があるとしている[15]。
2023年4月に地震調査研究推進本部地震調査委員会が発表した地震活動の評価によると、能登半島での活発な地震活動について、「地殻変動域の変化、地震活動の浅部への移動、電気伝導度の分布などから、今回の活動には、流体の移動が関与している可能性がある」としている[21]。
主な地震の一覧
石川県能登地方での地震回数が増加傾向になった2018年以降に発生した最大震度5弱以上の地震を以下に示す。
発生日時 | 震央 | 震源の深さ | 規模(M) | 最大震度 | 出典 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2020年3月13日2時18分 | 石川県能登地方 | 12 km | 5.5 | 5強 | [22] | |
2021年9月16日18時42分 | 石川県能登地方 | 13 km | 5.1 | 5弱 | [22] | |
2022年6月19日15時08分 | 石川県能登地方 | 13 km | 5.4 | 6弱 | [22] | #2022年6月の地震参照。 |
2022年6月20日10時31分 | 石川県能登地方 | 14 km | 5.0 | 5強 | [22] | |
2023年5月5日14時42分 | 能登半島沖 | 12 km | 6.5 | 6強 | [22] | #2023年5月の地震(令和5年奥能登地震)参照。 |
2023年5月5日21時58分 | 能登半島沖 | 14 km | 5.9 | 5強 | [22] | |
2024年1月1日以降は能登半島地震 (2024年)#一連の地震参照。 |
2022年6月の地震
石川県能登地方を震源とする地震 (2022年6月19日) | |
---|---|
震央の位置 | |
本震 | |
発生日 | 2022年6月19日 |
発生時刻 | 15時8分7.5秒(JST) |
震央 | 日本 石川県能登 |
座標 | 北緯37度30.9分 東経137度16.5分 / 北緯37.5150度 東経137.2750度 |
震源の深さ | 13 km |
規模 | M5.4 |
最大震度 | 震度6弱:石川県珠洲市 |
津波 | なし |
地震の種類 | 地殻内地震(逆断層型) |
被害 | |
死傷者数 | 負傷者6人 |
| |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
2022年6月19日15時8分頃、石川県の能登地方(北緯37度30.9分 東経137度16.5分 / 北緯37.5150度 東経137.2750度)の深さ13 kmを震源とするM5.4の地震があり[23]、石川県珠洲市で震度6弱の激しい揺れを観測した[24]。また、石川県能登では長周期地震動階級1を観測した[25]。石川県で震度6弱以上の揺れを観測したのは、2007年に起きた能登半島地震以来、15年ぶりである[26]。
この地震は地殻内で発生した地震であり、発震機構は北北西-南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である[25][14]。この地震に対し、気象庁は地震波検知から8.6秒後の15時8分19.1秒に緊急地震速報(警報)を発表した[25]。
各地の震度
震度 | 都道府県 | 観測点名 |
---|---|---|
6弱 | 石川県 | 珠洲市正院町 |
5弱 | 珠洲市大谷町・能登町松波 | |
4 | 輪島市鳳至町・輪島市門前町走出・珠洲市三崎町・能登町宇出津・能登町柳田 |
余震
6月20日10時31分頃には、19日の地震の余震とみられるM5.0の地震が発生し、珠洲市で震度5強の揺れを観測した[19]。
被害・影響
この地震により6人が軽傷を負ったほか、73棟の住家が一部破損した[28]。 震度6弱を観測した珠洲市では、住宅地の塀が倒れたり[29]、寺の墓石が倒れたりした[30][31]。珠洲市飯田町の春日神社では、鳥居が倒壊したほか[32][33]、境内の石灯籠が倒れたり、階段の一部が崩れたりした[34]。見附島でも土砂が崩れ落ち、白い砂煙が上がる様子が確認された[35]。
2023年5月の地震
令和5年奥能登地震 | |
---|---|
5月5日の地震で倒壊した家屋 | |
震央の位置 | |
本震 | |
発生日 | 2023年5月5日 |
発生時刻 | 14時42分4.1秒(JST) |
震央 | 日本 能登半島沖 |
座標 | 北緯37度32.3分 東経137度18.2分 / 北緯37.5383度 東経137.3033度 |
震源の深さ | 12 km |
規模 | M6.5 |
最大震度 | 震度6強:石川県珠洲市 |
津波 | 10 cm(輪島港) |
地震の種類 | 地殻内地震(逆断層型) |
余震 | |
回数 | 震度1以上:124回(6月8日8時時点) |
最大余震 |
2023年5月5日21時58分 能登半島沖、M5.9 最大震度5弱 |
被害 | |
死傷者数 |
死者1人 負傷者数48人 |
| |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
2023年5月5日14時42分頃、能登半島沖(北緯37度32.3分 東経137度18.2分 / 北緯37.5383度 東経137.3033度座標: 北緯37度32.3分 東経137度18.2分 / 北緯37.5383度 東経137.3033度)[注釈 2]の深さ12 kmを震源とするM6.5の強い地震が発生し、石川県珠洲市で震度6強(計測震度6.1)の大きな揺れを観測した[36][37]。また、石川県能登では長周期地震動階級3を観測した[38]。防災科学技術研究所が発表した面的推定震度分布によると、珠洲市狼煙漁港付近で震度7相当の揺れとなっていた可能性がある[39]。
この地震により、同日15時26分に輪島港で10 cm、14時50分に珠洲市長橋で4 cmの津波を観測した[16]。
この地震に対し、気象庁は地震波検知から7.3秒後に緊急地震速報(警報)を発表した[40]。
外国訪問から帰国途上であった内閣総理大臣・岸田文雄は、搭乗中の政府専用機内から官邸危機管理センターに向けて官邸対策室の設置を指示し、関係省庁の局長級による緊急参集チームを招集した[41]。
石川県は、5月5日に2市1町(輪島市、珠洲市、能登町)に対して災害救助法の適用を決定した[42][43]。また、5月12日に珠洲市に対して被災者生活再建支援法の適用を決定した[44][45]。5月23日、政府は珠洲市に対して局地激甚災害(局激)を適用する見込みであると発表し[46]、6月14日に施行される[47]。
石川県は、この5月5日に発生した地震について「令和5年奥能登地震」と呼ぶことを決定、6月7日の知事の記者会見で発表した。被害が能登地方の中でも奥能登地域に集中していることを理由に挙げており、併せて、奥能登地域の応援を掲げた観光振興や農水産物のPRを行っていくことを発表している。なお、顕著な災害の基準に到達していないことから、気象庁による正式名称は定められていない[8]。
各地の震度
震度 | 都道府県 | 観測点名 |
---|---|---|
6強 | 石川県 | 珠洲市正院町 |
5強 | 珠洲市三崎町・大谷町、能登町松波 | |
5弱 | 輪島市鳳至町・門前町走出、能登町宇出津 | |
4 | 金沢市西念、七尾市本府中町・袖ヶ江町・垣吉町・能登島向田町、小松市小馬出町、輪島市舳倉島・河井町、羽咋市旭町、かほく市浜北、能美市来丸町、志賀町富来領家町・末吉千古、中能登町末坂・能登部下、穴水町大町、能登町柳田 | |
新潟県 | 長岡市中之島、三条市新堀、十日町市千歳町・松之山、妙高市田町、上越市中ノ俣・大手町・木田・牧区柳島・柿崎区柿崎・大潟区土底浜・頸城区百間町・吉川区原之町・三和区井ノ口・板倉区針・名立区名立大町、佐渡市岩谷口・河原田本町・赤泊・小木町、刈羽村割町新田 | |
富山県 | 高岡市福岡町、氷見市加納、小矢部市泉町、射水市小島・本町・橋下条・二口・加茂中部、舟橋村仏生寺 | |
福井県 | あわら市市姫・国影、坂井市三国町中央 |
階級 | 都道府県 | 観測点名 |
---|---|---|
階級3 | 石川県 | 珠洲市三崎町 |
階級2 | 輪島市鳳至町 |
余震
同日21時58分頃には、能登半島沖の深さ14 kmを震源とするM5.9の地震が発生し石川県珠洲市で最大震度5強を観測、長周期地震動階級2を石川県能登で観測した[50][51]。この地震に対し、気象庁は地震波検知から6.7秒後に緊急地震速報(警報)を発表した[52]。この地震においては直前に小さな地震を検知したことからPLUM法による警報も発表されたため、同じ地震で2度の緊急地震速報が出ている[53]。
前述の地震を含め、M6.5の地震発生以降、6月8日8時の時点で最大震度1以上を観測した地震は124回発生した[16]。
被害・影響
都道府県 | 人的被害 (人) | 住家被害 (棟) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
死者 | 重傷 | 軽傷 | 全壊 | 半壊 | 一部破損 | |
富山県 | 1 | 4 | ||||
石川県 | 1 | 2 | 45 | 40 | 311 | 3,042 |
合計 | 1 | 2 | 46 | 40 | 311 | 3,046 |
珠洲市では、60代の男性がはしごから転落し死亡した[56]。同市内では、一時最大39世帯で断水、また一部で水道水の濁りが発生したが、5月7日までにすべて解消した[57][58]。国道249号線は、地震の影響による落石や路面の亀裂拡大により珠洲市と輪島市の2か所で一時通行止めとなったが、応急復旧工事を行い5月10日までに片側交互通行が可能となった[59]。2022年6月の地震により被害を受けた春日神社では、修復を終えた石灯篭が再び倒壊するなどの被害が出たほか[60]、見附島でも斜面の崩落が再び確認され、島への道が通行禁止となった[61]。
2024年1月の地震
令和6年能登半島地震 | |
---|---|
震源の位置(USGS) | |
震央の位置(気象庁) | |
本震 | |
発生日 | 2024年(令和6年)1月1日 |
発生時刻 |
16時10分9.692秒(JST、USGS 16時10分22.5秒(気象庁、2024年1月3日) |
規模 |
Mj7.6 Mw7.5 |
最大震度 | 震度7:石川県羽咋郡志賀町香能 |
津波 | あり(石川・輪島市にて1.2 m以上 |
地震の種類 | 地殻内地震(逆断層型) |
前震 | |
回数 | 震度5強:1回 |
最大前震 | 2024年1月1日 16時6分6.1秒、Mj5.5、最大震度5強 |
被害 | |
死傷者数 |
死者 213人 負傷者 524人 |
被害地域 |
北陸地方 新潟県 |
出典:特に注記がない場合は気象庁の報道発表資料またはUSGSによる。 | |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
2024年(令和6年)1月1日16時6分、石川県能登半島沖でマグニチュード5.7の地震が発生し、石川県珠洲市で最大震度5強を観測した[62]。その直後の16時10分には能登地方でマグニチュード7.6の地震が発生、石川県羽咋郡志賀町で震度7の揺れを観測した[63]。気象庁は石川県能登に大津波警報、山形県・新潟県上中下越・佐渡島・富山県・石川県加賀・福井県・兵庫県北部の各津波予報区にも津波警報を発令した[64]。同日20時30分に能登地方の大津波警報は津波警報に切り替えられた[65]。
日本国政府は16時11分、総理官邸危機管理センターに官邸対策室を設置[66]。関係省庁局長級の緊急参集チームを集め、被害情報を収集している[67]。
同日、気象庁はこの地震並びに2020年12月以降の一連の地震活動を「令和6年能登半島地震」と命名した。地震災害に対して気象庁が命名を行うのは、2018年9月の平成30年北海道胆振東部地震以来[68]。
警察庁は警備局長を本部長とする災害警備本部を設置。石川県を中心に建物への被害や人的被害の確認を進めている[69]。
脚注
注釈
出典
- ^ “富山の揺れ過去10年で最多 能登群発地震が影響”. 北日本新聞 (2022年5月31日). 2023年6月20日閲覧。
- ^ “奥能登群発地震 海底で「地磁気」を観測 地下の流体解析へ”. TBS NEWS DIG. 北陸放送 (2022年9月14日). 2023年6月20日閲覧。
- ^ a b “珠洲群発地震の原因か 流体の動き 継続監視”. 中日新聞(北陸中日新聞) (2022年2月3日). 2023年6月20日閲覧。
- ^ “能登半島の群発地震「10年近く続く可能性も」 流体の動きが鈍い?”. 朝日新聞 (2023年6月5日). 2023年6月20日閲覧。
- ^ “<備える> 能登の群発地震、その仕組みは? 震度6強から1カ月” (2023年6月5日). 2023年6月20日閲覧。
- ^ “奥能登「流体」量増えず 地震、警戒継続呼び掛け”. 北國新聞 (2023年6月5日). 2023年6月20日閲覧。
- ^ “令和6年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震について(第2報)” (PDF). 気象庁 地震火山部 (2024年1月1日). 2024年1月1日閲覧。
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- ^ “6人ケガ…能登地方で最大震度6弱の地震 タンスが倒れた住宅も「普通の地震じゃないぞと思った」(石川テレビ)”. Yahoo!ニュース. 2022年6月20日閲覧。
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- ^ a b c 2022年6月19日石川県能登地方の地震の評価 - 地震調査研究推進本部・地震調査委員会
- ^ a b “能登半島で地震の頻発エリア拡大、地下の「水」が要因か…政府調査委「注視したい」”. 読売新聞. (2022年12月17日) 2022年12月17日閲覧。
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- ^ 『時事ドットコム』2024年1月1日「岸田首相、被害状況把握を指示 官邸対策室設置」(時事通信社)
- ^ 「運転停止中の志賀原発に異常なし…能登地震受け、首相官邸に対策室を設置」『読売新聞オンライン』2024年1月1日。2024年1月1日閲覧。
- ^ 日本放送協会 (2024年1月1日). “気象庁 「令和6年能登半島地震」と命名 石川県能登地方の地震 | NHK”. NHKニュース. 2024年1月3日閲覧。
- ^ 警察庁が災害警備本部を設置 石川県警が現場で被害状況の確認行う(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース