コンテンツにスキップ

「Amstrad CPC」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
概要: 空白除去
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集 改良版モバイル編集
sty
タグ: 2017年版ソースエディター
 
21行目: 21行目:
'''Amstrad CPC'''は、[[1980年代]]後半から[[1990年代]]前半にかけてイギリスの[[アムストラッド]]によって製造された、[[8ビット]][[ホームコンピューター]]のシリーズである。ヨーロッパ市場で成功した。
'''Amstrad CPC'''は、[[1980年代]]後半から[[1990年代]]前半にかけてイギリスの[[アムストラッド]]によって製造された、[[8ビット]][[ホームコンピューター]]のシリーズである。ヨーロッパ市場で成功した。


== 概要 ==
CPCは「Color Personal Computer カラー・パーソナル・コンピューター」の頭文字である。このコンピューターを標準的なカラーディスプレイ (CTM640) 付きでも、グリーンディスプレイ (GT65/66) 付きでも購入することもできた。
CPCは「Color Personal Computer カラー・パーソナル・コンピューター」の頭文字である。このコンピューターを標準的なカラーディスプレイ (CTM640) 付きでも、グリーンディスプレイ (GT65/66) 付きでも購入することもできた。


== 歴史 ==
;初号機CPC 464
[[ファイル:6128plus es.jpg|thumb|right|The 6128 plus(スペイン語キー配列]]
::{{仮リンク|Amstrad CPC 464|en|Amstrad CPC 464}}
1984年に発売された初代機{{仮リンク|Amstrad CPC 464|en|Amstrad CPC 464}}は、当時イギリスで成功していた[[コモドール64]]や[[ZX Spectrum]]に対抗できるようにデザインされた。完成品として売り出され、この製品にはモニターが付属しており、キーボード右側には[[データレコーダー]](つまりカセットテープでデータを読み書きできる装置)が内蔵されていた。内蔵[[BASIC]]はLocomotive software Ltd.によるものであり「Locomotive BASIC」と呼ばれる。この初号機は[[ヨーロッパ]]でヒットし300万台が売れた。CPCの変種やコピー商品は[[ドイツ]]でも売り出された。

1984年に発売された初代機CPC 464は、当時イギリスで成功していた[[コモドール64]]や[[ZX Spectrum]]に対抗できるようにデザインされた。完成品として売り出され、この製品にはモニターが付属しており、キーボード右側には[[データレコーダー]](つまりカセットテープでデータを読み書きできる装置)が内蔵されていた。内蔵[[BASIC]]はLocomotive software Ltd.によるものであり「Locomotive BASIC」と呼ばれる。この初号機は[[ヨーロッパ]]でヒットし300万台が売れた。CPCの変種やコピー商品は[[ドイツ]]でも売り出された。


CPC 464のヒットに次いでアムストラッドは、Amstrad PCWというワープロを売り出し、800万台を売った。
CPC 464のヒットに次いでアムストラッドは、Amstrad PCWというワープロを売り出し、800万台を売った。


1985年初頭に売り出されたCPC 664には[[フロッピーディスクドライブ]]が内蔵されていた。また、1985年には1985年にはCPC 6128も売り出された。
;CPC 664
1985年初頭に売り出されたCPC 664には[[フロッピーディスクドライブ]]が内蔵されていた。

[[ファイル:6128plus es.jpg|thumb|right|The 6128 plus。スペイン語キー配列のもの。]]
;CPC 6128
1985年にはCPC 6128も売り出された。


;CPC 464 PlusとCPC 6128 Plus
1990年、アムストラッドは、古いCPCの後継として拡張した CPC 464 Plus と CPC 6128 Plus を発売した。このPlusはより高い性能を有する[[16ビット]]の[[Atari ST]]や[[Amiga]]に敗れてしまった。
1990年、アムストラッドは、古いCPCの後継として拡張した CPC 464 Plus と CPC 6128 Plus を発売した。このPlusはより高い性能を有する[[16ビット]]の[[Atari ST]]や[[Amiga]]に敗れてしまった。


== 仕様と技術 ==
== 仕様と技術 ==
;ハードウェア
=== ハードウェア ===
*CPU
;CPU
:CPCシリーズはすべて[[CPU]]にザイログ[[Z80]]Aの4MHzを用いている<ref name="CPC464_manual">Technical Specification, CPC464 Service Manual, p. 2., Amstrad Consumer Electronics Plc.</ref>。
:CPCシリーズはすべて[[CPU]]にザイログ[[Z80]]Aの4MHzを用いている<ref name="CPC464_manual">Technical Specification, CPC464 Service Manual, p. 2., Amstrad Consumer Electronics Plc.</ref>。
*メインメモリ量
;メインメモリ量
:64 KBのもの(CPC464, CPC664, 464plus, GX4000)と、128 KBのもの(CPC6128, 6128plus)がある<ref name="CPC464_manual" /><ref name="CPC6128_manual">Technical Specification, CPC6128 Service Manual, p. 31., Amstrad Consumer Electronics Plc.</ref>。最大で576 KBまで増設できた。
:64 KBのもの(CPC464, CPC664, 464plus, GX4000)と、128 KBのもの(CPC6128, 6128plus)がある<ref name="CPC464_manual" /><ref name="CPC6128_manual">Technical Specification, CPC6128 Service Manual, p. 31., Amstrad Consumer Electronics Plc.</ref>。最大で576 KBまで増設できた。


;ソフトウェア
=== ソフトウェア ===
当時のほとんどのホームコンピュータと同様に、[[Read only memory|ROM]]にあらかじめOSと[[BASIC]][[インタープリタ]]が書きこまれる形で搭載されている。BASICは[[:en:Locomotive BASIC]]と呼ばれるものであり、Locomotive Software社のZ80 BASICという[[BBC Micro|BBC Microcomputer]]向けのBASICだったものを改良したものである。このBASICはビデオと音響リソースへのアクセスが容易だという特徴がある(Microsoft BASICの[[POKE]]文を使わなければならないものよりすぐれている)。他の特徴としては、時間が関連するイベント処理でAFTERやEVERYというコマンドを使えることや、テキストベースのウィンドウ操作ができたことである。
当時のほとんどのホームコンピュータと同様に、[[Read only memory|ROM]]にあらかじめOSと[[BASIC]][[インタープリタ]]が書きこまれる形で搭載されている。BASICは[[:en:Locomotive BASIC]]と呼ばれるものであり、Locomotive Software社のZ80 BASICという[[BBC Micro|BBC Microcomputer]]向けのBASICだったものを改良したものである。このBASICはビデオと音響リソースへのアクセスが容易だという特徴がある(Microsoft BASICの[[POKE]]文を使わなければならないものよりすぐれている)。他の特徴としては、時間が関連するイベント処理でAFTERやEVERYというコマンドを使えることや、テキストベースのウィンドウ操作ができたことである。


CPC 664と6128のディスクシステムでは、デジタルリサーチの[[CP/M]]が提供され、CPC 646ではDDI-1ディスク拡張ユニットが提供された。
CPC 664と6128のディスクシステムでは、デジタルリサーチの[[CP/M]]が提供され、CPC 646ではDDI-1ディスク拡張ユニットが提供された。


;他のプログラミング言語
=== 他のプログラミング言語 ===
Locomotive BASIC、[[C言語]]、[[Pascal]]の[[コンパイラ]]を入手することも可能だった。とはいえCPCのソフトウェアはしばしばZ80のネイティブの[[アセンブリ言語]]で書かれた。CPCで一般的だった[[アセンブラ]]はHisoftのDevpac、ArnorのMaxam、 (フランスでは) DAMSだった。ディスク仕様のCPC(ただしPlusは除く)には教育向けインタプリタの[[LOGO]]が同梱され、CP/M 2.2で起動できた。
Locomotive BASIC、[[C言語]]、[[Pascal]]の[[コンパイラ]]を入手することも可能だった。とはいえCPCのソフトウェアはしばしばZ80のネイティブの[[アセンブリ言語]]で書かれた。CPCで一般的だった[[アセンブラ]]はHisoftのDevpac、ArnorのMaxam、 (フランスでは) DAMSだった。ディスク仕様のCPC(ただしPlusは除く)には教育向けインタプリタの[[LOGO]]が同梱され、CP/M 2.2で起動できた。


;ギャラリー
== ギャラリー ==
{{Gallery|width = 260px
{{Gallery|width = 260px
|File:Amstrad CPC screen closeup.jpg|CPC 464のカラーディスプレイでのBASIC画面。
|File:Amstrad CPC screen closeup.jpg|CPC 464のカラーディスプレイでのBASIC画面。
67行目: 59行目:
}}
}}


== コミュニティ ==
== コミュニティ ==
アムストラッドは、ゲームだけでなく、業務用機材も作ったことで太く長い企業生命を維持してきた。熱心なプログラマーたちはCPCレンジを使用し続け、FutureOSやSymbOSといった[[グラフィカルユーザインタフェース]]を備えた[[オペレーティングシステム]]までもが開発された。インターネット上ではCPCが世界中のフォーラムやニュース、ハードウェア、ソフトウェア、プログラミング、ゲームの分野で名前が挙がっていることを示すサイトがいくつかあった。CPCの公式誌Amstrad Computer User,<ref name="CPC UK magazines">{{cite web | last = | first = | authorlink = | coauthors = | title =CPC UK Magazines | work = | publisher = Nicholas Campbell | date = | url =http://users.durge.org/~nich/cpcmags/ | format = | doi = | accessdate =2008-05-06 }}</ref>、独立系のAmstrad Action<ref name="CPC UK magazines" />、 Amtix!<ref name="CPC UK magazines" />、 Computing with the Amstrad CPC<ref name="CPC UK magazines" />、CPC Attack<ref name="CPC UK magazines" /> 、The Amstrad User(オーストラリア)、 Amstrad Cent Pour Cent(『Amstrad 100%』フランス)、Amstarといった雑誌がイギリス、ドイツ、フランス、スペイン、デンマーク、オーストラリア、ギリシャといった国々で出版された。
アムストラッドは、ゲームだけでなく、業務用機材も作ったことで太く長い企業生命を維持してきた。熱心なプログラマーたちはCPCレンジを使用し続け、FutureOSやSymbOSといった[[グラフィカルユーザインタフェース]]を備えた[[オペレーティングシステム]]までもが開発された。インターネット上ではCPCが世界中のフォーラムやニュース、ハードウェア、ソフトウェア、プログラミング、ゲームの分野で名前が挙がっていることを示すサイトがいくつかあった。CPCの公式誌Amstrad Computer User,<ref name="CPC UK magazines">{{cite web | last = | first = | authorlink = | coauthors = | title =CPC UK Magazines | work = | publisher = Nicholas Campbell | date = | url =http://users.durge.org/~nich/cpcmags/ | format = | doi = | accessdate =2008-05-06 }}</ref>、独立系のAmstrad Action<ref name="CPC UK magazines" />、 Amtix!<ref name="CPC UK magazines" />、 Computing with the Amstrad CPC<ref name="CPC UK magazines" />、CPC Attack<ref name="CPC UK magazines" /> 、The Amstrad User(オーストラリア)、 Amstrad Cent Pour Cent(『Amstrad 100%』フランス)、Amstarといった雑誌がイギリス、ドイツ、フランス、スペイン、デンマーク、オーストラリア、ギリシャといった国々で出版された。



2023年5月14日 (日) 11:18時点における最新版

Amstrad CPC
Amstrad CPC 464, with CTM644 colour monitor
OS Locomotive BASIC 1.0, 1.1 and CP/M
CPU Zilog Z80A @ 4 MHz
メモリ 64 から 576 KB

Amstrad CPCは、1980年代後半から1990年代前半にかけてイギリスのアムストラッドによって製造された、8ビットホームコンピューターのシリーズである。ヨーロッパ市場で成功した。

CPCは「Color Personal Computer カラー・パーソナル・コンピューター」の頭文字である。このコンピューターを標準的なカラーディスプレイ (CTM640) 付きでも、グリーンディスプレイ (GT65/66) 付きでも購入することもできた。

歴史

[編集]
The 6128 plus(スペイン語キー配列)

1984年に発売された初代機Amstrad CPC 464英語版は、当時イギリスで成功していたコモドール64ZX Spectrumに対抗できるようにデザインされた。完成品として売り出され、この製品にはモニターが付属しており、キーボード右側にはデータレコーダー(つまりカセットテープでデータを読み書きできる装置)が内蔵されていた。内蔵BASICはLocomotive software Ltd.によるものであり「Locomotive BASIC」と呼ばれる。この初号機はヨーロッパでヒットし300万台が売れた。CPCの変種やコピー商品はドイツでも売り出された。

CPC 464のヒットに次いでアムストラッドは、Amstrad PCWというワープロを売り出し、800万台を売った。

1985年初頭に売り出されたCPC 664にはフロッピーディスクドライブが内蔵されていた。また、1985年には1985年にはCPC 6128も売り出された。

1990年、アムストラッドは、古いCPCの後継として拡張した CPC 464 Plus と CPC 6128 Plus を発売した。このPlusはより高い性能を有する16ビットAtari STAmigaに敗れてしまった。

仕様と技術

[編集]

ハードウェア

[編集]
CPU
CPCシリーズはすべてCPUにザイログZ80Aの4MHzを用いている[1]
メインメモリ量
64 KBのもの(CPC464, CPC664, 464plus, GX4000)と、128 KBのもの(CPC6128, 6128plus)がある[1][2]。最大で576 KBまで増設できた。

ソフトウェア

[編集]

当時のほとんどのホームコンピュータと同様に、ROMにあらかじめOSとBASICインタープリタが書きこまれる形で搭載されている。BASICはen:Locomotive BASICと呼ばれるものであり、Locomotive Software社のZ80 BASICというBBC Microcomputer向けのBASICだったものを改良したものである。このBASICはビデオと音響リソースへのアクセスが容易だという特徴がある(Microsoft BASICのPOKE文を使わなければならないものよりすぐれている)。他の特徴としては、時間が関連するイベント処理でAFTERやEVERYというコマンドを使えることや、テキストベースのウィンドウ操作ができたことである。

CPC 664と6128のディスクシステムでは、デジタルリサーチのCP/Mが提供され、CPC 646ではDDI-1ディスク拡張ユニットが提供された。

他のプログラミング言語

[編集]

Locomotive BASIC、C言語Pascalコンパイラを入手することも可能だった。とはいえCPCのソフトウェアはしばしばZ80のネイティブのアセンブリ言語で書かれた。CPCで一般的だったアセンブラはHisoftのDevpac、ArnorのMaxam、 (フランスでは) DAMSだった。ディスク仕様のCPC(ただしPlusは除く)には教育向けインタプリタのLOGOが同梱され、CP/M 2.2で起動できた。

ギャラリー

[編集]

コミュニティ

[編集]

アムストラッドは、ゲームだけでなく、業務用機材も作ったことで太く長い企業生命を維持してきた。熱心なプログラマーたちはCPCレンジを使用し続け、FutureOSやSymbOSといったグラフィカルユーザインタフェースを備えたオペレーティングシステムまでもが開発された。インターネット上ではCPCが世界中のフォーラムやニュース、ハードウェア、ソフトウェア、プログラミング、ゲームの分野で名前が挙がっていることを示すサイトがいくつかあった。CPCの公式誌Amstrad Computer User,[3]、独立系のAmstrad Action[3]、 Amtix![3]、 Computing with the Amstrad CPC[3]、CPC Attack[3] 、The Amstrad User(オーストラリア)、 Amstrad Cent Pour Cent(『Amstrad 100%』フランス)、Amstarといった雑誌がイギリス、ドイツ、フランス、スペイン、デンマーク、オーストラリア、ギリシャといった国々で出版された。

CPCの生産終了後、アムストラッドは、改変せずなおかつアムストラッドが著作権を保持していることを明記したうえでCPCのロムを配信してもよいとした。

タイムライン

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b Technical Specification, CPC464 Service Manual, p. 2., Amstrad Consumer Electronics Plc.
  2. ^ Technical Specification, CPC6128 Service Manual, p. 31., Amstrad Consumer Electronics Plc.
  3. ^ a b c d e CPC UK Magazines”. Nicholas Campbell. 2008年5月6日閲覧。

外部リンク

[編集]