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ブランド名は、元々[[ビデオフロッピー]]と呼ばれる専用媒体に記録していた[[電子スチルビデオカメラ|アナログ式ビデオスチルカメラ]]の商標「マビカ(Mavica)」(登録商標第1265479号ほか全5件)に |
ブランド名は、元々[[ビデオフロッピー]]と呼ばれる専用媒体に記録していた[[電子スチルビデオカメラ|アナログ式ビデオスチルカメラ]]の商標「マビカ(Mavica)」(登録商標第1265479号ほか全5件)に由来し、型番のMVCもそれを引き継いだものである。 |
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== 概要 == |
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2019年4月23日 (火) 00:28時点における版
デジタルマビカ(Digital Mavica)は、ソニーが発売していたデジタルカメラのブランドである。
ブランド名は、元々ビデオフロッピーと呼ばれる専用媒体に記録していたアナログ式ビデオスチルカメラの商標「マビカ(Mavica)」(登録商標第1265479号ほか全5件)に由来し、型番のMVCもそれを引き継いだものである。
概要
1997年に最初の製品が発売された、ソニーのデジタルスチルカメラ製品である。
本体内にフロッピーディスクドライブを搭載し、フロッピーディスクを記録媒体とすることが大きな特徴として挙げられる。この頃のデジタルスチルカメラは多くの製品が撮影した画像を内蔵のフラッシュメモリに記録するもので、記録媒体を取り出して交換することが出来ない以上、本体に内蔵されたメモリーの容量以上には記録できない、という難点があった。交換可能なメモリーカード対応の製品も存在したが、本体、記録媒体共に高価であり、一般的な製品としては普及はしていないものであった。
当時のデジタルスチルカメラの大半はVGA規格の静止画像を記録する30万~40万画素程度のCCDしか持っていなかった(作成されるファイルサイズは低圧縮率の最大画質でも0.1メガバイト未満)ため、2HD規格のフロッピーディスク1枚(容量1.44メガバイト)でならば撮影枚数換算15~40枚前後の記録が可能であった。デジタルマビカはソニーがこれに着目して「記録媒体に安価なフロッピーディスクを使用できる、多数の画像を撮影・記録して保存できるデジタルスチルカメラ」として製品化したものである。
モデルチェンジを重ねるに従い記録速度や記憶媒体の能力向上も図られ、4倍速ディスクドライブやフロッピーディスク型のメモリースティックアダプタを利用できる製品が発売され、中期の製品以降はディスクドライブとメモリースティックスロットの両方を搭載するモデルが標準となった。フロッピーディスクドライブではなくCD-Rドライブを搭載し、8cmサイズのCD-Rを記録媒体に用いる「CDマビカ」シリーズも発売された。
しかし、デジタルカメラに用いられるCCDが高画素化されるに従い、作成されるファイルサイズも大きくなり、フロッピーディスクでは撮影可能な画像の枚数が限られてくるようになり、記録時の速度が遅いことも問題となっていった。後期の製品ではフロッピーディスクを用いた場合最高画質での保存枚数はわずかに4枚前後という少なさであり、撮影後の書き込みにもかなりの時間(最大サイズ・最大画質で6秒ほど)を要し、「フロッピーディスクに多数の画像を撮影・記録できるデジタルカメラ」という元来のコンセプトの製品としては実用的なものとしては成立し得なくなっていた。そのため、後期製品では実用的な記録媒体としてはメモリースティックを用いることが必要となり、製品の存在意義が失われていった。
また、記録媒体にフロッピーディスクを用いることの特徴であった「記録媒体が安価である」点も、フラッシュメモリの低価格化によってメモリーカードが比較的安価になっていったことから失われつつあった。フロッピーディスクそのものが個人用コンピュータの記録媒体としては用いられなくなっていったため、フロッピーディスクドライブを装備したパーソナルコンピュータ製品が少なくなっていったことも、製品としての実用性に難をきたした一因である。
フロッピーディスクの容量の少なさに対応する形で製品化されたCDマビカシリーズも「撮影後の書き込みに時間がかかる」という点ではメモリーカードを用いる製品に対して不利であり、記憶媒体に用いた8cmサイズCD-Rが普及しなかったこともあり、個人向け製品としての実用性は高いものとはならなかった。
デジタルマビカシリーズは2002年に、CDマビカシリーズは2003年をもって新製品の発表は終了し、セールスそのものは日本国外を中心にその後もしばらく続けられたものの、2000年代中頃にはソニーのデジタルカメララインナップからは姿を消し、ソニーの製造・発売するデジタルカメラ製品はサイバーショットシリーズへと統合された。
備考
現在ソニーがデジタルカメラの世界シェアでトップを争うほどの位置にいるのは、後に展開されるサイバーショットシリーズよりもこのデジタルマビカシリーズの貢献度が大きい。後に交換可能なメモリーカード対応のデジタルスチルカメラが一般化した後も、デジタルマビカはフラッシュメモリではなくフロッピーディスクを記録媒体として使っていたため、比較的安価にデジタルカメラ本体及び記録媒体の供給を可能としており、コストパフォーマンスを重視する官公庁や教育現場を始めとした業務用途、及び欧州・北米などの海外市場でベストセラーとなった。また、初期製品から10倍ズームを搭載していたことも、それらの市場で受け入れられる要因になっていた。
ソニーはこのデジタルマビカの成功により「デジタルカメラ=ソニー」というブランドイメージを確立させ、特に海外市場において大きなシェアを獲得することに成功した。
ラインナップ
デジタルマビカシリーズ
- MVC-FD7(1997年8月1日発売) - MVC-FD5の上位モデル。光学10倍ズームレンズ搭載。撮影画像を本体の操作で加工できる「ピクチャーエフェクト」機能搭載。
- MVC-FD51(1998年7月1日発売) - MVC-FD5のマイナーチェンジモデル。フロッピーディスクドライブを2倍速とし、本機種以降は2倍速が標準となっている。「ピクチャーエフェクト」機能搭載。
- MVC-FD71(1998年8月1日発売) - レンズ部、及びディスクドライブを小型化することにより、FD5/FD7/FD51に比べ体積、重量を20%削減した新型モデル。画像処理チップの高速化により、MVC-FD7に比べ撮影画像の記録時間が60%短縮され約4秒(非圧縮モード除く)で可能となった。光学10倍ズーム、35万画素(有効33万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。
- MVC-FD81(1998年10月10日発売) - MVC-FD71の上級機種。光学3倍ズーム、85万画素(有効80万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。VGAに加えXGAの記録が可能になり、動画撮影にも対応。MPEG1方式の動画を最大15秒(320×240ドット記録時)/60秒(160×112ドット記録時)まで記録することが可能となった。
- MVC-FD91(1998年10月10日発売) - MVC-FD81をベースに大型ズームレンズと光学ビューファインダーを搭載したハイエンドモデル。それまでのデジタルマビカシリーズが縦型のコンパクトカメラ様のデザインだったものに対し、大型レンズを装着した一眼レフカメラに似たデザインとなっている。光学式手ブレ補正機能付き光学3倍ズーム、85万画素(有効80万画素)CCD、2.5型TFT液晶、18万画素ビューファインダー搭載。フラッシュはポップアップ式。
- MVC-FD73K(1999年5月20日発売) - MVC-FD71の後継機。マニュアルフォーカスは省略されている。光学10倍ズーム、35万画素(有効33万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。MPEG1動画を最大60秒記録可能。
- MVC-FD83K(1999年6月10日発売) - MVC-FD81の後継機。レンズ部が若干大型化され、レンズ横の内蔵フラッシュ上部に内蔵マイクが配置された。フロッピーディスクドライブは2倍速から4倍速に変更され、本機種以降は4倍速が標準となった。また、NTSC/PAL両方式に対応したビデオ出力端子が新たに装備された。“プレシジョンズーム”機能を搭載、大型レンズを搭載することなく6倍ズーム(光学3倍ズーム+デジタル2倍ズーム)が可能となった。撮影した画像に信号処理を加える“メガピクセルモード”により、約100万画素(1216×912ドット)の静止画記録を可能としている。85万画素(有効80万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。MPEG1動画最大60秒記録可能。
- MVC-FD88K(1999年6月10日発売) - MVC-FD83Kの上位機種。“プレシジョン16倍ズーム”(光学8倍ズーム+デジタル2倍ズーム)を可能とした高倍率モデル。130万画素(有効125万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。VGA、XGAに加えSXGAの静止画記録が可能になった。MPEG1動画最大60秒記録可能。
- MVC-FD85(2000年6月1日発売) - MVC-FD83Kの後継機。レンズ部が本体左上部より左中央部に移動し、レンズ部のみが若干突出するデザインに変更された。“プレシジョン6倍ズーム”(光学3倍ズーム+デジタル2倍ズーム)130万画素(有効122万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。静止画記録サイズはQuad-VGA(1280×960ドット)まで。MPEG1動画最大60秒記録可能。本機より、別売のフロッピーディスクドライブ用メモリースティックアダプターを使用することでメモリースティックへの記録が可能となった。
- MVC-FD90(2000年6月1日発売) - MVC-FD85の上位機種。“プレシジョン16倍ズーム”(光学8倍+デジタル2倍)、130万画素(有効122万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。。MPEG1動画最大60秒記録可能。ソニー独自のデジタル信号処理技術、SRC(Super Resolution Converter)の搭載により、約160万画素相当(1472×1104ドット)の静止画記録を可能としている。
- MVC-FD95(2000年6月1日発売) - MVC-FD91の後継機。FD91同様に大型ズームレンズと光学ビューファインダーを搭載したハイエンドモデルで、ファインダー部が大型化されている。。光学式手ブレ補正機能付き“プレシジョン20倍ズーム”(光学10倍+デジタル2倍)、211万画素(有効192万画素)CCD、2.5型TFT液晶、液晶ビューファインダー搭載。UXGA(1600×1200ドット)までの静止画記録が可能。MPEG1動画最大60秒記録可能。
- MVC-FD87(2001年3月21日発売) - MVC-FD85の後継機。“プレシジョン6倍ズーム”(光学3倍+デジタル2倍)、130万画素(有効122万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。動画記録能力は搭載されていない。
- MVC-FD92(2001年3月21日発売) - MVC-FD87の上位機種。本機より、本体にフロッピーディスクドライブの他にメモリースティックスロットを搭載した“デュアルスロット”モデルとなり、メモリースティックスロットの搭載によりMPEG1動画を最大42分(64MBメモリースティック使用時)まで記録可能となった。更にUSB外部出力端子を搭載し、パソコンへ直接接続しての出力が可能となった。“プレシジョン16倍ズーム”(光学8倍+デジタル2倍)、130万画素(有効122万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。
- MVC-FD97(2001年4月10日発売) - MVC-FD95の後継機。FD95同様に大型ズームレンズと光学ビューファインダーを搭載したハイエンドモデル。光学式手ブレ補正機能付き“プレシジョン20倍ズーム”(光学10倍+デジタル2倍)、211万画素(有効192万画素)CCD、2.5型TFT液晶、液晶ビューファインダー搭載。MPEG1動画最大42分(64MBメモリースティック使用時)記録可能。
- MVC-FD100(2002年2月13日発売) - MVC-FD87の後継機。デザインが若干変更され、レンズ部の突出が緩やかになっている。“プレシジョン6倍ズーム”(光学3倍ズーム+デジタル2倍ズーム)、130万画素(有効122万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。“デュアルスロット”、USB出力端子装備。
- MVC-FD200(2002年2月13日発売) - “プレシジョン6倍ズーム”(光学3倍ズーム+デジタル2倍ズーム)、211万画素(有効198万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。“デュアルスロット”、USB出力端子装備。「デジタルマビカ」シリーズの最終機種。
- MVC-FD75(2001年発売、日本国内未発売) - 海外販売専用モデル。光学10倍ズーム、35万画素(有効33万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。
CDマビカシリーズ
当初は「“CD-R”マビカ」の名称で発表された。なお当シリーズの機種にはメモリースティックスロットが搭載されたものはなく、使用できる記憶媒体はCD-R/CD-RWのみである。
- MVC-CD1000(2000年8月1日発売) - 「CDマビカ」シリーズの初代機種。MVC-FD95をベースにフロッピーディスクドライブに代わり8cmCD-Rドライブを搭載、8cmCD-Rディスクは記録容量156MB、UXGA(1600×1200ドット)のJPEG画像を最大160枚まで記録可能であった。記録4倍/再生8倍速CD-Rドライブ、光学式手ブレ補正機能付き“プレシジョン20倍ズーム”(光学10倍+デジタル2倍)、211万画素(有効192万画素)CCD、2.5型TFT液晶、18万ドットカラー液晶ビューファインダー搭載。MPEG1動画最大85分記録可能。
- MVC-CD200(2001年6月8日発売) - 外観が一新され、ソニー・サイバーショット Pシリーズに近似した横型のデザインとなった。本機より、書き換え可能なCD-RWに対応した8cmCD-R/CD-RWドライブを搭載した。光学3倍ズーム、211万画素(有効192万画素)CCD、2.5型TFT12.3万ドットカラー液晶搭載。記録4倍/再生8倍速CD-R/CD-RWドライブ、MPEG1動画最大90分(連続記録時間は最大240秒)記録可能。USBケーブルによる「マスストレージ接続」対応。
- MVC-CD300(2001年6月8日発売) - MVC-CD200の上位機種。カールツァイス“バリオゾナー”レンズ搭載。QXGA(2048×1536ドット)までの静止画記録が可能。光学3倍ズーム、334万画素(有効324万画素)CCD、2.5型TFT12.3万ドットカラー液晶搭載。記録4倍/再生8倍速CD-R/CD-RWドライブ、MPEG1動画最大90分(連続記録時間最大240秒)記録可能。「マスストレージ接続」対応。
- MVC-CD250(2002年6月8日発売) - MVC-CD200の後継機。グリップ部を大型化、内蔵フラッシュは横型のポップアップ式から縦型のポップアップ式に変更されてレンズ部の上部に位置変更され、一眼レフカメラに近似したデザインとなった。光学3倍ズーム、211万画素(有効192万画素)CCD、2.5型TFT12.3万ドットカラー液晶搭載。記録4倍/再生8倍速CD-R/CD-RWドライブ、MPEG1動画最大90分(連続記録時間最大240秒)記録可能。
- MVC-CD400(2002年6月8日発売) - MVC-CD250の上位機種で、MVC-CD300の後継機。最大2,592×1,944ドットの静止画を撮影可能。カールツァイス“バリオゾナー”レンズ搭載、“プレシジョン6倍ズーム”(光学3倍+デジタル2倍)、330万画素(有効324万画素)CCD、2.5型TFT12.3万ドットカラー液晶搭載。記録4倍/再生8倍速CD-R/CD-RWドライブ、MPEG1動画最大90分(連続記録時間最大240秒)記録可能。
- MVC-CD500(2003年4月25日発売) - MVC-CD400の後継機。カールツァイス“バリオゾナー”光学3倍ズームレンズ、530万画素(有効510万画素)CCD、2.5型TFT12.3万ドットカラー液晶搭載。記録4倍/再生8倍速CD-R/CD-RWドライブ、MPEG1動画最大90分(連続記録時間最大240秒)記録可能。「CDマビカ」シリーズの最終機種。
- MVC-CD350(2003年発表、日本国内未発売) - 海外販売専用モデル。記録4倍/再生8倍速CD-R/CD-RWドライブ、9.6倍(光学3倍+デジタル3.2倍)ズームレンズ、330万画素(有効324万画素)CCD、2.5型TFTカラー液晶搭載。
関連項目
外部リンク
- SONY公式サイト>製品情報>総合サポート>デジタルスチルカメラ>機種別サポート>Mavica>FD2013年4月10日閲覧。
- SONY公式サイト>製品情報>総合サポート>デジタルスチルカメラ>機種別サポート>Mavica>CD2013年4月10日閲覧。
- SONY公式サイト>製品情報>総合サポート>取扱説明書ダウンロード マビカ2013年4月10日閲覧。