コンテンツにスキップ

「サンショウウオ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
PdCat4412 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
編集の要約なし
21行目: 21行目:
山椒魚の名は、体に[[サンショウ]]に似た香りがある種がいることによる。
山椒魚の名は、体に[[サンショウ]]に似た香りがある種がいることによる。


かつては食用として捕まえたサンショウウオを縦に裂いて、片半分を川に放流すると自然にもう片半分が再生してもとのサンショウウオに戻るという伝説から「'''はんざき'''」(あるいは'''はんさき'''、'''半裂''')とも呼ばれていた。
かつては食用として捕まえたサンショウウオを縦に裂いて、片半分を川に放流すると自然にもう片半分が再生してもとのサンショウウオに戻るという伝説から「'''はんざき'''」(あるいは'''はんさき'''、'''半裂''')とも呼ばれていた。英語名の「サラマンダー ({{lang|en|salamander}})」は、[[イモリ]]の仲間のニュート ({{lang|en|newt}}) も含む。元々は火の中に住む精霊[[サラマンダー]](火トカゲ)を意味する。火トカゲとしてのサラマンダーのイメージは、ある種のイモリの特徴である鮮やかな赤色の腹面からきたものとする説、倒木などの薪の中に潜りこんだものが火にくべられた時に這い出てくることから、火の中から生まれると考えられていたことに由来するとする説などがある
英語名の「サラマンダー ({{lang|en|salamander}})」は、[[イモリ]]の仲間のニュート ({{lang|en|newt}}) も含む。元々は火の中に住む精霊[[サラマンダー]](火トカゲ)を意味する。火トカゲとしてのサラマンダーのイメージは、ある種のイモリの特徴である鮮やかな赤色の腹面からきたものとする説、倒木などの薪の中に潜りこんだものが火にくべられた時に這い出てくることから、火の中から生まれると考えられていたことに由来するとする説などがある。


==特徴==
==特徴==

2016年6月15日 (水) 03:41時点における版

有尾目
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Caudata / Urodela
上科 : サンショウウオ上科 Cryptobranchoidea
学名
Cryptobranchoide Dunn, 1922
和名
サンショウウオ山椒魚
椒魚(はじかみいお)
はんざき」(あるいははんさき半裂
イモリ
英名
Salamander
Newt
下位分類群

サンショウウオ山椒魚)とは、両生綱有尾目(またはサンショウウオ目サンショウウオ上科に属する動物の総称である。古くは椒魚(はじかみいお)と呼ばれた。日本、中国、台湾アメリカなどに生息している。

呼び名

山椒魚の名は、体にサンショウに似た香りがある種がいることによる。

かつては食用として捕まえたサンショウウオを縦に裂いて、片半分を川に放流すると自然にもう片半分が再生してもとのサンショウウオに戻るという伝説から「はんざき」(あるいははんさき半裂)とも呼ばれていた。英語名の「サラマンダー (salamander)」は、イモリの仲間のニュート (newt) も含む。元々は火の中に住む精霊サラマンダー(火トカゲ)を意味する。火トカゲとしてのサラマンダーのイメージは、ある種のイモリの特徴である鮮やかな赤色の腹面からきたものとする説、倒木などの薪の中に潜りこんだものが火にくべられた時に這い出てくることから、火の中から生まれると考えられていたことに由来するとする説などがある。

特徴

一般に名前が知られているのは全長50cm〜150cmと世界最大の両生類の一つであるオオサンショウウオだが、他の種類は20cm以下と小型である。日本産のサンショウウオでオオサンショウウオの次に大きいのは、体長20cmほどになるオオダイガハラサンショウウオである。

他の両生類と同じように、皮膚にはがなく粘膜におおわれる。呼吸の大半を皮膚呼吸に頼っていて、皮膚が湿っていないと生存できない。渓流に生息するハコネサンショウウオは肺を持っていない。また、前足は4本、後足は5本の指を持つ。キタサンショウウオ属キタサンショウウオだけは後肢の指は4本。

春になると水辺に集まって産卵行動をおこなう種類が多い。アベサンショウウオなどは12月ぐらいから雪の上を歩いて繁殖場に移動する場合もある。イモリなどのイモリ亜目はメスが体内に精子を取り込み産卵時に受精させる体内受精を行うが、サンショウウオ亜目は産卵後にオスが放精する体外受精によって受精する。産卵場所は種類によって異なり、流れのない止水に産卵するものと、渓流の流れの弱い場所や伏流水中に産卵するものに大別できる。オオサンショウウオは数珠状につながった寒天質に包まれた多数の卵を産むが、他の小型のサンショウウオの卵は数cm〜10cm程度のバナナ状やコイル状の寒天質のさやに包んで産み、1つのさやにつき数個〜数十個の卵が入っている。

孵化した幼生にはアホロートルのような外鰓(がいさい)があるが、外見は種類によって異なる。

  • 止水で育つ種類の幼生はからだの断面が丸く、足に爪がない。外鰓と別に「バランサー」という突起をもつ。
  • 流水で育つ種類の幼生はからだの断面が上下に平たく、足に爪がある。バランサーはない。

幼生は水中で小動物を食べて成長するが、口に入る動物ならなんでも食べるため、共食いすることもある。孵化した当初は足も生えていないが、しばらくすると足が生え外鰓が消えて変態して幼体となり成体となる。

オオサンショウウオは繁殖期に川を遡上するとき以外はほとんど水中から出ることはないが、他の種類は陸上生活を送ることが多く、森林の落ち葉の下やモグラやネズミが掘った穴の中や、川近くの石の下などに生息する。繁殖期以外はあまり人の目にはふれることはない。

文化

利用

江戸時代初期、1643年寛永20年)頃の『料理物語』にも食材としてサンショウウオの項があり、オオサンショウウオも含めて食料として用いられていた。実際に食した北大路魯山人によると、肉は硬いが長時間煮込む事でやわらかくなり、味はスッポンの肉の臭みを除いたようなもので非常に美味であるとしている。[1]

現在も、串焼きにする例があり、中国ではチュウゴクオオサンショウウオスープなどの食材とされている。

長野県秋山郷地域では、サンショウウオを障子に貼り付け、乾燥させ、黒焼にして飲むと疳の虫が治るという民間風習がある。また、長野県阿智村と喬木村地域には、サンショウウオを黒焼にして夜尿症治療に、また、サンショウウオを酒に漬けこみ、扁桃腺の湿布薬とする伝統が、残っている[2]

おもな日本産種

乾燥に弱く、動きも遅い動物で、他の地方の個体との交雑がおこりにくい。そのため地方ごとに独自の種類が分布している。開発などで種の存在がおびやかされやすく、絶滅が危惧されている種類や地域個体群も多い。

脚注

  1. ^ 北大路魯山人『魯山人味道』中公文庫、1980年。ISBN 9784896602128 山椒魚より
  2. ^ 『信州の民間薬』全212頁中23頁 84頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集

関連項目