「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」の版間の差分
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2010年2月4日 (木) 14:28時点における版
『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』(ドラえもんのびたのかいていきがんじょう)は藤子・F・不二雄によって執筆され、『月刊コロコロコミック』1982年8月号から1983年2月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を元に1983年3月12日に公開された映画作品。大長編、映画ともにシリーズ第4作。映画監督は芝山努。配給収入10億円、観客動員数210万人。
概説
原作は同シリーズの他作品同様、雑誌『月刊コロコロコミック』に連載された「大長編ドラえもん」シリーズで、連載当初のタイトルは『のび太の海底鬼岩城』ではなく『のび太の海底城』だった(連載4回目に現行のタイトルとなる)。原作と目立った違いは最初のび太たちのキャンプの行き先が海か山かでもめた際、のび太とジャイアンの意見が正反対になっていた点である。
伝説として有名なムー大陸、アトランティス大陸の両者を冷戦時の2大超大国に見立てた重厚感ある物語に、ミステリー地帯として有名なバミューダトライアングルの要素や日本海溝、マリアナ海溝など海底に関する情報がたくさん盛り込まれた作品。話中盤で出てくるトリエステ号の記録、生物の進化論やクジラの話なども実際の自然科学に基づいたものといえる。
同時上映は『忍者ハットリくん・ニンニンふるさと大作戦の巻』『パーマン・バードマンがやってきた!!』。
1995年にはミュージカル化され、1997年には香港でも上演されている。
短編では、この作品の直前に、1982年を「現在」とした「竜宮城の八日間」があり、この作品でも竜宮はムー大陸にあった国という設定であった。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
あらすじ
物語はのび太としずかが山へ、ジャイアンとスネ夫が海へ行きたいと議論するところから始まる(映画では逆)。結局ドラえもんの提案で海底山へ行くこととなる。海底山キャンプに出かけたのび太たちは、そこで海底人のエルたちに出会った。そしてのび太たちは、海底火山の活動の影響で、数千年前に滅亡した帝国アトランティスに残された自動報復装置ポセイドンが活動を再開したことを知る。鬼角弾が発射されれば海底ばかりか全地球上に甚大な被害が及ぶという。のび太たちは鬼角弾の発射を阻止するため、アトランティスのあるバミューダ海域へ向かう。
予告編
最初に公開されたときは、まだタイトルに加工が見られなかった。
舞台
- 海底山
- ドラえもんがキャンプ地に選んだ、太平洋海底の山。ドラえもんのひみつ道具『テキオー灯』により、のび太たちは海底でも地上と変わりなく行動できる。
- ムー連邦
- マリアナ海溝の底に存在する海底人の連邦国家。1万年も前から高度な文明を築き上げていた。政治体制としては、ムー連邦の国境を違法に越えたドラえもんらに対する裁判で首相が裁判長と呼ばれていることから、不完全な三権分立制であると想像できる。裁判制度に対し「一万年も前に定められた」旨の記述もあり、一般市民の服装や住居は中世ヨーロッパのような描写もあり、祭政一致のような描写も見られることから、封建的制度のもとに軍事能力のみを高めたうえでの文明とも考えられる。
- バミューダ三角海域
- かつてムーと敵対していた海底人の国であるアトランティス連邦が存在した海域。上空までをもカバーする強力なバリアーで囲まれており、放射能やテキオー灯の光も及ばないため、永遠の闇が支配する世界としてムーの人々に恐れられている。中には鬼岩城と鬼角弾(核ミサイル)が未だに存在している。昔核実験に失敗し、国中に放射能が広がり、滅びてしまった。現在、この海域を通過しようとした艦船や航空機はそのバリアーに触れるがために行方不明となるケースが少なくないと言われる(しかし、なぜかバリアー内部に船や航空機の残骸が存在していた)。
ゲストキャラクター
- エル (声:喜多道枝)
- ムー連邦の勇敢な少年兵士。ムーから逃亡したのび太たちを捕らえようとしていたが、バトルフィッシュの攻撃を受けてしまう。その際、逃亡中にも関わらず自分達を助けた5人に感銘を受け、裁判ではただ一人皆を庇った。鬼岩城が活動を開始した際には、ドラえもんらと共にアトランティスに乗り込むことになる。
原作では黒髪、映画では黄色の髪。 - 水中バギー (声:三ツ矢雄二)
- ドラえもんのひみつ道具の1つで、海底キャンプの足として出した水陸両用のバギーカー。内蔵コンピュータにより人間同様に会話ができるが、性格が良いとは言えず、すぐに機嫌を損ねてへそを曲げるなど、他のキャラクター以上に人間臭い。ドラえもんたちには逆らうことが多いが、しずかのことは好きで甘え寄る描写もある。しずかの頼み事には素直に応え、彼女のためならどんなことも顧みない。他のメンバーからは「バギー」と呼び捨てにされるが、しずかには「バギーちゃん」とちゃん付けで親しまれる。ドラえもんの一道具に過ぎなかったが、物語を演出する重要な位置付けのキャラとなる。また、大山のぶ代ら声優陣がドラえもんで一番印象に残ったキャラクターとしてバギーを挙げている。
- ムー連邦首相 (声:大宮悌二)
- ムー連邦の首相。当初、ムーから逃亡したのび太たちを敵視していたが、鬼岩城が活動を開始した際、エルに説得されドラえもんらにアトランティス潜入を依頼する。
- 鉄騎隊
- ポセイドンが操る鬼岩城のロボット兵士。音に敏感。
- ポセイドン (声:富田耕生)
- アトランティスの鬼岩城の自動報復システムを司るコンピュータ。アトランティス滅亡後も未だに鬼岩城に鎮座している。海底火山の活動を自国への攻撃と受け取り、報復を開始する。最後は、爆弾を積んだバギーに内部に入り込まれ爆発する。「復讐の神」を自称していた。また、レーザービームなども発射出来る。
- アナウンサー(声:郷田穂積)
- 幽霊船についてのニュースを読んだアナウンサー。
- 隊員(声:松岡文雄、佐藤正治、戸谷公次、塩屋浩三、橋本晃一)
- ムー連邦の巡視隊員。
スタッフ
- 原作・脚本:藤子・F・不二雄
- レイアウト:本多敏行
- 作画監督:富永貞義
- 美術設定:川本征平
- 美術監督:工藤剛一
- 撮影監督:小池彰
- 録音監督:浦上靖夫
- 音楽:菊池俊輔
- 監修:楠部大吉郎
- プロデューサー:別紙壮一、菅野哲夫
- 監督・絵コンテ:芝山努
- 原画:中村英一、森下圭介、神村幸子、木上益治、大塚正実、一川孝久 他
- 効果:柏原満
- 制作協力:藤子スタジオ、旭通信社
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
主題歌
- オープニングテーマ『ドラえもんのうた』
- 作詞:楠部工、補作詞:はばすすむ、作曲・編曲:菊池俊輔、歌:大杉久美子(コロムビアレコード)
- エンディングテーマ『海はぼくらと』
- 作詞:武田鉄矢、作曲・編曲:菊池俊輔、歌:岩渕まこと(コロムビアレコード)
- ※この歌も『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』の主題歌『心をゆらして』と同様、TVの感動系やスペシャルの話でも、アレンジされてBGMとして使われた。
その他
この作品の原作本では『のび太の恐竜』、『のび太の宇宙開拓史』、『のび太の大魔境』の一部が、のび太がこれまでの大長編での苦労を回想する場面で登場する。
この作品が、原作が単行本化された最初の作品である(第1作の「のび太の恐竜」は1983年12月発行で、この作品は1983年6月発行)。そのため、映画原作の単行本で恒例となっている「映画の主題歌が表記された見開きの加筆ページ」がてんとう虫コミックス版にはない(藤子不二雄ランド版や映画大全集にはある)。
単行本にある最初の2ページは連載時のものを全く同じ内容で再度書き直したものである。
原作ではドラえもんとのび太の2人が海底を下見に行くシーンがあるが、劇場版ではなくなっている(のび太が最初から海に行くことを希望しているため)。
ポセイドンを演じる富田耕生は、日本テレビ時代の初代ドラえもんを演じていた。ちなみに富田は後に「ドラえもん のび太の南海大冒険」のDr.クロン、 「ザ☆ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ」のサト国王の声も担当している
関連項目
外部リンク
- 漫 - 原作漫画、大長編漫画等の執筆者の頭の1文字または略記号。藤=藤子不二雄。F=藤子・F・不二雄。1987年の独立前のみ「藤」と記載した(ただし『ドラえもん』は連載開始時から藤本単独作)。FP=藤子プロ。それ以外は作画者を記載。括弧付きは藤本以外が執筆した外伝、短編など。詳細は大長編ドラえもん#作品一覧(併映作品は各作品のページ)を参照。