「リストリクター」の版間の差分
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2007年10月5日 (金) 20:42時点における版
リストリクター(Restrictor)とは、モータースポーツにおいてエンジン出力を制限する目的で、エンジン吸気口に取り付けられる部品のこと。一般にはトランペット状の管となっているものが多いが、板状のものを使用するカテゴリもある。
概要
エンジンは燃料の燃焼のために吸気口から空気を燃焼室に取り入れる必要があるが、一般に空気の流速は音速を超えることはないため、エンジンが一定時間内に取り入れることのできる空気の総量は通常吸気口の大きさによってその上限が定まる。リストリクターはこの性質を利用し、エンジン吸気口に本来のエンジン性能上求められる大きさよりも小さい口径の管や板を設置することで空気の流量を制限するものである。
本来エンジンは回転数が上がることで出力馬力が上昇するが、回転数が上がるということはそれに伴い燃焼のためにより多くの空気を取り入れる必要が生じる。それに対しリストリクターが設けられた状態では、回転数が一定の値を超えるとエンジンの燃焼に空気の供給が追いつかなくなる現象が発生し、エンジン回転数が上昇しても逆に出力馬力は低下する。
またリストリクターの口径が同じ場合、前記の通り一定時間ごとの吸気量の上限が定まり、一定の空気と燃料を混合して爆発させることにより得られるエネルギーも理論的に上限が定まるため、結果としてエンジン形式を問わずエンジン馬力の上限がほぼ一定となるという効果もある。
このようにリストリクターにより「エンジンの過度な高回転化の防止」「出力馬力の均衡化」といった効果が得られ、エンジン開発費の高騰を防ぐ、レースにおける戦力が拮抗するといったメリットがあることから、近年多くのレースカテゴリーにおいてリストリクターの装着が義務化されている。
運用
リストリクター口径が同じ場合、前述の通り出力馬力の上限はほぼ一定となるが、トルクなどの過渡特性についてはエンジン排気量が多い方が有利となることから、実際のレースにおいては「排気量が多くなるとリストリクター径が小さくなる」といったように、戦力に差がつかないような形でレギュレーションが定められる場合が多い。
またSUPER GTのように「マシンの最低重量によりリストリクター径が変化する」レギュレーションを採用している場合には、コーナーの多いサーキットでは「エンジン出力低下よりも軽い車重を選ぶ」目的でリストリクター径を絞り、一方長い直線のあるサーキットでは「直線速度を得るためエンジン出力を優先させる」目的でリストリクター径を拡大するといった戦略を取るチームも多い。
なお吸気口に装着したリストリクターをチーム側で勝手に取り外したり、リストリクター以外の部分からの吸気が可能になっていたりしたのではリストリクターを設ける意味がないため、リストリクターの装着に際してはレース主催者側で封印が施されるほか、それ以外の部分からの吸気ができない構造になっているかどうかが車検でチェックされる。
ただそれでもリストリクターを巡る論争やトラブルは絶えず、特に1995年には世界ラリー選手権(WRC)において、トヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)が使用していたトヨタ・セリカ(ST205型)のエンジンがリストリクター外からの吸気が可能な構造になっていたとして、TTEは1995年の全獲得ポイントを剥奪された上1996年のWRC参加を禁止される事態となったことがある。
主なリストリクター採用カテゴリー
- ル・マン24時間レース
- F3
- SUPER GT
- 世界ラリー選手権
- ドイツツーリングカー選手権
- NASCAR・ネクステルカップ(一部のレースのみ)
など