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「政見放送」の版間の差分

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2007年5月19日 (土) 05:30時点における版

政見放送(せいけんほうそう)とは選挙における立候補者の政見演説放送(テレビ・ラジオ番組)のことである。

概説

日本では国政選挙(衆議院選挙参議院選挙)や都道府県知事選挙が開催される時に公職選挙法に基づいて行われる。

選挙運動という法律に基づく番組の性格上、ほとんどの場合は公共放送である日本放送協会(NHK)から放送される。放送局は、候補者などにより録画・録音された内容を一切編集してはならずそのまま放送しなければならないが、候補者の発言やその他放送内容について責任を問われない。そのため、放送禁止用語もストレートに流れることがある。放送の前後には「この放送は公職選挙法に基づいて、候補者の経歴と政見をそのままお伝えします(しました)」というアナウンスが流れる。

国政選挙では大きく比例代表選挙と選挙区選挙に分けられるが、比例代表選挙に関してはNHKのみで全国同一内容で放送される[1]。また選挙区選挙については各都道府県ごとに放送される。

参議院選挙の選挙区候補者は各候補者の個人演説だが、衆議院選挙では1996年小選挙区制ができてからは、小選挙区候補者については政党単位でのプロモーションビデオのような内容となった。参議院選挙および衆議院比例代表区の政見放送は、指定されたスタジオでの収録しかできず、様式は固定されている。しかし、衆議院小選挙区の政党候補は政党が自由に内容を自作できるようになった。それと同時に衆院選では無所属、および政党要件を満たしていない政治団体の選挙区候補は政見放送そのものに出ることができなくなった。衆院選の無所属候補が政見放送に出ないのは要件を満たさないため法律上出られないからである。だが、このことはあまり知られておらず、政見放送を怠ったと見られてしまう無所属やその他の政治団体候補者もいる。また、政見放送の自作が認められた政党候補とは極めて大きな格差が生まれている。なお、衆院選における諸派・無所属候補及び全ての選挙で政見放送の収録に来なかった候補者についてはプロフィールのみを簡単に紹介する経歴放送が流される。

また聴覚障害者のために参議院比例代表選挙では手話通訳が、衆議院の選挙区選挙については手話通訳と字幕スーパーインポーズの挿入もできるようになっている。

一般的には選挙公示の翌日から投票日の前々日までに放送される。しかし、最近は民放地上波テレビ局キー局準キー局では、編成の都合上、早朝や深夜の放送終了前しか放送できなくなってきている現状である。このことや、局にスポンサー料が入らないことを配慮してか、民放(特に広域局)には放送させないことが多い。

NHKの場合も以前はゴールデンタイムの19-20時台、及び21時台後半-22時台にも行われたが、定時放送の視聴者確保の観点から現在はゴールデン枠に政見放送は行っていない。日曜日には政見放送が行われないことが多い。

なお、比例代表選挙の政見放送はNHKのみでしか行われないが、選挙期間中には主要な政党・政治団体のコマーシャルがスポット扱いで頻繁に放送されているので、事実上政見放送の代わりととってもよい。

都道府県知事の選挙候補者のそれについても参議院選挙の選挙区候補者と同じように各候補者の個人演説となっており、収録場所、様式も参議院選挙の選挙区候補者の場合と同じ。

また、関東東海静岡県を除く)、近畿のいわゆる「広域放送圏」に相当する地域では、国会議員選挙はその地域の総合テレビジョン、都道府県知事選挙の場合は当該地区の基幹放送局(東京・放送センター名古屋大阪の各局)と当該都府県のNHK各局、及び独立UHF放送局で放送される[2]

また、政見放送のスケジュールは公職選挙法に基づいて決定しているため必ず指定された日時でないと放送することが出来ない(振り替え放送できない)ので、NHKの場合、総合テレビ中波ラジオ第1放送で政見放送中に突発的な事件や地震などがあった場合は教育テレビFMラジオ放送などでニュース放送が振り替えられる。

泡沫候補の政見放送及び選挙公報は非常に個性的なものが多く、愛好する好事家も多い。

2007年東京都知事選挙の政見放送で、外山恒一の政見放送がネット上で話題となりYouTubeに多数公開され、中には改変されて公開されているものもあった。選挙期間中に幾度も特定の候補者のみの政見放送が大多数の有権者に見られてしまうのは問題だとして、東京都選挙管理委員会がYouTubeに対し、政見放送の動画削除を要請することとなった[3]

政見放送と災害などの臨時ニュースが重なった過去の事例

  • 1993年7月12日 北海道南西沖地震が起きた22時過ぎ、総合テレビジョンでは衆議院選挙の政見放送が実施されていた(この当時はゴールデンタイムに政見放送が組まれたことが多かった)。その最中に緊急警報放送のシグナルが発生。一旦全波共通で地震速報を入れた。
  • 2000年6月16日 香淳皇后(当時の皇太后)死去のニュースが伝わった時間(夕方5時ごろ)、総合テレビジョンでは衆議院選挙の選挙区政見放送が行われたためニュースが放送できず、教育テレビジョンで振り替えて放送された。
  • 2005年9月6日 「台風14号災害」この前日5日から総合テレビでは台風関係のニュースを伝えており、この日も4:30からのおはよう日本から集中的に報道していた。しかし6:25-6:50、7:30-8:00、8:30-9:45のそれぞれの時間帯で衆議院選挙区選挙の政見放送があり、政見放送が行われる地域では教育テレビの番組を変更して台風情報を伝えた。

脚注

  1. ^ 地上波のみ BS(衛星放送)、NHKワールドのテレビ、ラジオの放送では放送されない。ただし、国際放送(NHKワールド)については、2005年9月に海外に住む日本人を対象にした、在外選挙をめぐる裁判で、最高裁違憲判決を出したことから、今後政見放送を実施する可能性がある。
  2. ^ 関東地方のNHKは茨城県のデジタル以外はUHF県域放送を現在行っていない。また東京都内の政見放送は2007年都知事選までは東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)のアンテナ普及率が低いと判断してか政見放送が放送されなかったが、規程を改正したので2007年の参院選以後は放送可能となった。但し放送は通常の番組開始前の早朝である。
  3. ^ ユーチューブに削除要請=政見放送投稿で-都選管時事通信、2007年4月5日。

関連項目