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{{神経細胞の図|髄鞘をもつ末梢[[ニューロン]]の模式図。[[軸索]]に[[シュワン細胞]]が幾重にも巻き付くことによって髄鞘が形成されている。}} |
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'''髄鞘'''(ずいしょう、myelin sheath)は、[[神経科学]]において[[脊椎動物]]の多くの[[神経細胞|神経細胞(ニューロン)]]の[[軸索]]の周りに存在する[[絶縁 (電気)|絶縁]]性の[[リン脂質|脂質]]の層を指す。 おもにミエリンという脂質からなることから'''ミエリン鞘'''とも言う。ミエリンの成分のひとつである[[コレステロール]]に基づく絶縁性<ref>[http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui3/q_042.html コレステロールの体内での働きは? - よくある質問] (財団法人日本食肉消費総合センター)</ref>により[[活動電位|神経パルス]]の伝導を高速にする機能がある。 |
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髄鞘は[[グリア細胞]]の一種である[[シュワン細胞]]と[[オリゴデンドロサイト]] (乏突起または稀突起グリア細胞、[[:en:oligodendrocyte]]) からなり、神経細胞そのものの一部ではない。シュワン細胞は[[末梢神経系]]の神経細胞で、オリゴデンドロサイトは[[中枢神経系]]の神経細胞で髄鞘を形成する。 髄鞘中のミエリンによって顕微鏡像において見た目が相対的に白く見えるので、[[神経繊維]]が多く分布する大脳髄質や脊髄皮質などを[[白質]]と呼ぶ場合がある。 |
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[[Image:Neuron.jpg|right|250px]] |
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==Composition of myelin== |
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The myelin produced by the different cell types varies in its chemical composition or configuration, but performs the same function. |
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Myelin is composed of about 80% [[lipid]] [[fat]] and about 20% [[protein]]. Some of the proteins that make up myelin are [[Myelin basic protein]] ミエリン塩基性タンパク (MBP), [[Myelin oligodendrocyte glycoprotein]] (MOG) and [[Proteolipid protein]] (PLP). Myelin is made up primarily of a [[sphingolipid]] called [[sphingomyelin]], and it is thought that the intertwining of the hydrocarbon chains of sphingomyelin serve to strengthen the myelin sheath. |
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⚫ | 髄鞘は伝導性が低いために、髄鞘化されていることによって神経繊維の内外の[[電気抵抗|抵抗]]は5000倍に、[[静電容量]]は50分の1となる。この絶縁性の高い髄鞘が存在することの主たる機能は、髄鞘化された神経繊維(有髄繊維)に沿った神経パルスの伝導速度が速くなることである。繊維は完全に髄鞘に覆われているわけではなく、数十 µm から数 mm おきに存在する間隙を残して髄鞘化されている。この間隙は[[ランヴィエの絞輪]]と呼ばれている。髄鞘化されていない繊維では神経パルスは連続的に伝わるが、繊維がランヴィエの絞輪を残して髄鞘化され絶縁されることによって、パルスはこれらの間隙の間を跳躍的に伝導する。これを[[跳躍伝導]]という。ランヴィエの絞輪にはパルスの伝導に関わる[[イオンチャネル]]が特に多く存在している。髄鞘が傷害される[[脱髄疾患]]では神経の伝導速度が低下するため、多様な症状が起こることとなる。 |
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⚫ | 髄鞘は伝導性が低いために、髄鞘化されていることによって神経繊維の内外の[[電気抵抗|抵抗]]は5000倍に、[[静電容量]]は50分の1となる。この絶縁性の高い髄鞘が存在することの主たる機能は、髄鞘化された神経 |
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[[スフィンゴ脂質]]の一種である[[スフィンゴミエリン]](Sphingomyelin)(SPH)は、動物の細胞膜中に存在しており、特に[[神経細胞]]の[[軸索]]を膜状に覆うミエリン鞘の構成成分としてよく知られている。 |
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=== 神経細胞の構造図 === |
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[[Image:Complete neuron cell diagram ja.svg|thumb|left|600px|'''[[神経細胞]]の構造図''' |
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[[:en:Dendrites]]=[[樹状突起]]、[[:en:Rough ER]] ([[:en:Nissl body]])=[[粗面小胞体]]([[ニッスル小体]])、[[:en:Polyribosomes]]=[[ポリリボソーム]]、[[:en:Ribosomes]]=[[リボソーム]]、[[:en:Golgi apparatus]]=[[ゴルジ体]]、[[:en:Nucleus]]=[[細胞核]]、[[:en:Nucleolus]]=[[核小体]]、[[:en:Membrane]]=[[膜]]、[[:en:Microtubule]]=[[微小管]]、[[:en:Mitochondrion]]=[[ミトコンドリア]]、[[:en:Smooth ER]]=[[滑面小胞体]]、[[:en:Synapse]] (Axodendritic)=[[シナプス]]([[軸索]][[樹状突起]]) |
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[[:en:Synapse]]=[[シナプス]]、 [[:en:Microtubule]] [[:en:Neurofibrils]]=[[微小管]][[ニューロフィラメント]]、[[:en:Neurotransmitter]]=[[神経伝達物質]]、[[:en:Receptor]]=[[受容体]]、 |
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[[:en:Synaptic vesicles]]=[[シナプス小胞]]、[[:en:Synaptic cleft]]=[[シナプス]]間隙、 |
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[[:en:Axon terminal]]=[[軸索]]末端、[[:en:Node of Ranvier]] =[[ランヴィエの絞輪]] 、[[:en:Myelin Sheath]]([[:en:Schwann cell]])=[[ミエリン鞘]]([[シュワン細胞]])、[[:en:Axon hillock]]=[[軸索小丘]]、 |
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[[:en:Nucleus]] ([[:en:Schwann cell]])=[[細胞核]]([[シュワン細胞]])、[[:en:Microfilament]]=[[マイクロフィラメント]]、[[:en:Axon]]=[[軸索]] |
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== 脱髄疾患及び髄鞘形成不全疾患 == |
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{{main|脱髄疾患}} |
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脱髄は、[[神経]]を[[絶縁 (電気)|絶縁]]している[[ミエリン鞘]]の崩壊であり、[[白質ジストロフィ]]([[:en:Leukodystrophy]])、[[シャルコー・マリー・トゥース病]]のような[[多発性硬化症]]、[[急性散在性脳脊髄炎]]、横断性脊髄炎([[:en:transverse myelitis]])、慢性炎症性脱髄性[[多発性神経炎]]、[[ギラン・バレー症候群]]、中央脳梁ミエリン症([[:en:central pontine myelinosis]])、遺伝性脱髄疾患を含む代表的な[[神経変性]]である[[自己免疫疾患]]である。[[悪性貧血]]を罹患している患者は、迅速に適切な診断がなされなければ、神経損傷をも罹患することになる。悪性貧血に続く[[亜急性連合性脊髄変性症]]は、些細な[[末梢神経]]障害から[[会話]]、[[認識]]、[[意識]]などをつかさどる[[中枢神経]]に重大な損傷を与えることができる。ミエリンが崩壊すると、神経に沿った信号伝達が障害を受け、失われ、ついには神経が失われてしまう。 |
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[[腫瘍壊死因子]](TNF)<ref>{{cite journal |author=Ledeen RW, Chakraborty G |title=Cytokines, Signal Transduction, and Inflammatory Demyelination: Review and Hypothesis |journal=Neurochem. Res. |volume=23 |issue=3 |pages=277–89 |year=1998 |month=March |url=http://www.ingentaconnect.com/content/klu/nere/1998/00000023/00000003/00421003 |doi=10.1023/A:1022493013904 |pmid=9482240}}</ref>や[[インターフェロン]]の指令を受けた[[サイトカイン]]の過剰生産により脱髄を生じさせている[[炎症]]を含めた疾患が[[免疫系]]の関連で脱髄に関係する可能性も存在する。 |
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==Demyelination== |
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== 脚注 == |
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== 参考文献 == |
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* 『生理心理学』、サイエンス社、岡田隆・廣中直行・宮森孝史 共著 |
* 『生理心理学』、サイエンス社、岡田隆・廣中直行・宮森孝史 共著 |
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== 外部リンク == |
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[[de:Myelin]] |
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[[en:Myelin]] |
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[[es:Mielina]] |
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[[fi:Myeliini]] |
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[[fr:Myéline]] |
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[[is:Mýlisslíður]] |
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[[it:Guaina mielinica]] |
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[[pl:Otoczka mielinowa]] |
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[[ru:Миелин]] |
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[[zh:髓鞘]] |
2023年12月12日 (火) 07:05時点における最新版
髄鞘をもつ末梢ニューロンの模式図。軸索にシュワン細胞が幾重にも巻き付くことによって髄鞘が形成されている。 |
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髄鞘(ずいしょう、myelin sheath)は、神経科学において脊椎動物の多くの神経細胞(ニューロン)の軸索の周りに存在する絶縁性の脂質の層を指す。 おもにミエリンという脂質からなることからミエリン鞘とも言う。ミエリンの成分のひとつであるコレステロールに基づく絶縁性[1]により神経パルスの伝導を高速にする機能がある。
髄鞘はグリア細胞の一種であるシュワン細胞とオリゴデンドロサイト (乏突起または稀突起グリア細胞、en:oligodendrocyte) からなり、神経細胞そのものの一部ではない。シュワン細胞は末梢神経系の神経細胞で、オリゴデンドロサイトは中枢神経系の神経細胞で髄鞘を形成する。 髄鞘中のミエリンによって顕微鏡像において見た目が相対的に白く見えるので、神経繊維が多く分布する大脳髄質や脊髄皮質などを白質と呼ぶ場合がある。
髄鞘の機能
[編集]髄鞘は伝導性が低いために、髄鞘化されていることによって神経繊維の内外の抵抗は5000倍に、静電容量は50分の1となる。この絶縁性の高い髄鞘が存在することの主たる機能は、髄鞘化された神経繊維(有髄繊維)に沿った神経パルスの伝導速度が速くなることである。繊維は完全に髄鞘に覆われているわけではなく、数十 µm から数 mm おきに存在する間隙を残して髄鞘化されている。この間隙はランヴィエの絞輪と呼ばれている。髄鞘化されていない繊維では神経パルスは連続的に伝わるが、繊維がランヴィエの絞輪を残して髄鞘化され絶縁されることによって、パルスはこれらの間隙の間を跳躍的に伝導する。これを跳躍伝導という。ランヴィエの絞輪にはパルスの伝導に関わるイオンチャネルが特に多く存在している。髄鞘が傷害される脱髄疾患では神経の伝導速度が低下するため、多様な症状が起こることとなる。
また髄鞘は軸索から電流が漏れ、短絡することを防ぐ、電線の絶縁材のような働きをしている。 さらに末梢の神経繊維が切断されたときにも、髄鞘は繊維が再生するための経路を確保する。しかし哺乳類の中枢神経系では髄鞘化されているかどうかに関わらず繊維は再生しない。
スフィンゴ脂質の一種であるスフィンゴミエリン(Sphingomyelin)(SPH)は、動物の細胞膜中に存在しており、特に神経細胞の軸索を膜状に覆うミエリン鞘の構成成分としてよく知られている。
神経細胞の構造図
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脱髄疾患及び髄鞘形成不全疾患
[編集]脱髄は、神経を絶縁しているミエリン鞘の崩壊であり、白質ジストロフィ(en:Leukodystrophy)、シャルコー・マリー・トゥース病のような多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、横断性脊髄炎(en:transverse myelitis)、慢性炎症性脱髄性多発性神経炎、ギラン・バレー症候群、中央脳梁ミエリン症(en:central pontine myelinosis)、遺伝性脱髄疾患を含む代表的な神経変性である自己免疫疾患である。悪性貧血を罹患している患者は、迅速に適切な診断がなされなければ、神経損傷をも罹患することになる。悪性貧血に続く亜急性連合性脊髄変性症は、些細な末梢神経障害から会話、認識、意識などをつかさどる中枢神経に重大な損傷を与えることができる。ミエリンが崩壊すると、神経に沿った信号伝達が障害を受け、失われ、ついには神経が失われてしまう。
腫瘍壊死因子(TNF)[2]やインターフェロンの指令を受けたサイトカインの過剰生産により脱髄を生じさせている炎症を含めた疾患が免疫系の関連で脱髄に関係する可能性も存在する。
脚注
[編集]- ^ コレステロールの体内での働きは? - よくある質問 (財団法人日本食肉消費総合センター)
- ^ Ledeen RW, Chakraborty G (March 1998). “Cytokines, Signal Transduction, and Inflammatory Demyelination: Review and Hypothesis”. Neurochem. Res. 23 (3): 277–89. doi:10.1023/A:1022493013904. PMID 9482240 .
参考文献
[編集]- 『生理心理学』、サイエンス社、岡田隆・廣中直行・宮森孝史 共著