「日新丸」の版間の差分
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『日新丸よみがえる』から加筆。 |
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'''日新丸'''（にっしんまる）は、日本の[[捕鯨船|捕鯨母船]]。歴史上で日新丸と命名された捕鯨母船は3隻あるほか、第一日新丸 |
'''日新丸'''（にっしんまる）は、日本の[[捕鯨船|捕鯨母船]]。歴史上で日新丸と命名された捕鯨母船は3隻あるほか、第一日新丸と第二日新丸（初代・2代）および第三日新丸と林兼商店（後の大洋捕鯨、大洋漁業、[[マルハ]]、現：[[マルハニチロ]]）や日本共同捕鯨の持ち船として同名船が多数存在し、「[[日本の捕鯨]]の象徴」と呼ばれている<ref name="asahi20231106">{{cite news|url=https://www.asahi.com/articles/ASRC57DZDRC5TZNB004.html?iref=pc_ss_date_article |title=日本捕鯨支えた「日新丸」、下関で引退セレモニー|author=白石昌幸 |date=2023-11-6|publisher=[[朝日新聞デジタル]]|accessdate=2023-11-11}}</ref>。 |
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[[共同船舶]]が保有する4代目の日新丸は、竣工以来世界唯一の捕鯨母船で、[[1987年]]から[[2019年]]に行われた日本の調査捕鯨では、調査母船となっていた。 |
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== 日新丸 (初代) == |
== 日新丸 (初代) == |
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|クラス=日新丸型捕鯨母船 |
|クラス=日新丸型捕鯨母船 |
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|船籍={{JPN1889}} |
|船籍={{JPN1889}} |
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|所有者=[[マルハ|大洋 |
|所有者=林兼商店（後に[[マルハ|大洋捕鯨]]） |
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|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋 |
|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋捕鯨<br/>{{navy|Empire of Japan}} |
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|建造所=[[川崎造船所]] |
|建造所=[[川崎造船所]] |
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|母港=[[東京港]]/[[東京 |
|母港=[[東京港]]/[[東京府]] |
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|姉妹船=第二日新丸 |
|姉妹船=第二日新丸 |
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|建造費= |
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|航行区域= |
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|船級= |
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|信号符字=JGFL |
|信号符字=JGFL |
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|改名= |
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|建造期間=214日 |
|建造期間=214日 |
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|就航期間=2,778日 |
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|計画数= |
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|建造数= |
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|次級= |
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|発注= |
|発注= |
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|起工=[[1936年]] |
|起工=[[1936年]]（昭和11年）2月26日<ref name="ita68">[[#板橋]]p.68-69</ref> |
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|進水=1936年 |
|進水=1936年（昭和11年）8月1日 |
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|竣工=1936年 |
|竣工=1936年（昭和12年）9月28日 |
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|就航= |
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|処女航海= |
|処女航海= |
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|引退= |
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|除籍= |
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|最後=[[1944年]] |
|最後=[[1944年]]（昭和19年）5月6日被雷沈没 |
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|現況= |
|現況= |
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|要目注記= |
|要目注記= |
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|トン数= |
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|総トン数=16, |
|総トン数=16,801[[トン]]<ref name="ita68"/> |
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|純トン数=13,220トン |
|純トン数=13,220トン |
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|載貨重量=22,190トン |
|載貨重量=22,190トン |
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|満載喫水= |
|満載喫水= |
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|デッキ数= |
|デッキ数= |
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|機関= |
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|機関=川崎[[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基 |
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|ボイラー= |
|ボイラー= |
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|主機= |
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|推進器=1軸 |
|推進器=1軸 |
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|出力=7,120[[船舶工学#馬力|BHP]] |
|出力=7,120[[船舶工学#馬力|BHP]] |
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|車両搭載数= |
|車両搭載数= |
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|その他= |
|その他= |
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|備考=[[1941年]] |
|備考=[[1941年]]11月25日徴用。<br/>高さは米海軍識別表<ref name="#1">[https://maritime.org/doc/id/oni208j-japan-merchant-ships/pg293.htm Kyokuyo_Maru_class]</ref>より([[フィート]]表記) |
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=== 建造・操業 === |
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林兼商店<ref name="asahi20231106"/>は[[北洋漁業]]に参入しようとしたが、[[日魯漁業]]（後の[[ニチロ]]、現・マルハニチロ）が先行し、政府の指示もあって135万円の保証金で事業を断念せざるを得なかった<ref>[[#板橋]]p.65-66</ref>。そこで、既に[[1934年]]（昭和9年）に日本捕鯨（後に日本水産、現・[[ニッスイ]]）が図南丸で参入していた南氷洋捕鯨の開始を企画し、創業者で社長の[[中部幾次郎]]は次男の[[中部謙吉]]（後に3代目社長）を[[川崎造船所]]に派遣し、大型の捕鯨母船建造を相談した。応対したのは吉岡安貞専務（元・[[大日本帝国海軍|海軍]]少将）で、その場で建造を快諾し、漁期が始まる10月末までの竣工も確約した<ref>[[#板橋]]p.66-67</ref>。川崎造船所は建造にあたって[[イギリス]]の{{仮リンク|ファーネス造船所|en|Furness Shipbuilding Company}}から、世界初の[[ディーゼルエンジン]]搭載捕鯨母船である[[ノルウェー]]船籍の捕鯨母船{{仮リンク|サー・ジェームス・クラーク・ロス|no|FLK «Sir James Clark Ross» (1930)}}（14,362トン）の設計図を10万円で購入し、万一に備えて設計図を2枚作り、[[シベリア鉄道]]経由と[[大西洋]]-[[アメリカ合衆国|アメリカ]]経由の航空便で入手した。建造契約の最終協議は[[丸ノ内ビルヂング]]の中部の事務所で行われ、総工費は保証金だけでは不足する550万円だったが、折しも皇太子[[明仁]]誕生の[[号外]]の鈴が鳴り「幸先が良い」と調印が終わった<ref>[[#板橋]]p.67-68</ref>。 |
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林兼商店（後の大洋捕鯨）が捕鯨事業の開始にあたり、[[川崎造船所]]に大型の捕鯨母船を発注した。こうして建造されたのが「日新丸」である。川崎造船所は建造にあたって[[イギリス]]のFurness Shipbuilding Co., Ltd.から[[ノルウェー]]船籍の捕鯨母船「Sir James Clark Ross」（14,362トン）の設計図を購入し、それを原形とした。原形船は2軸推進だが主機製作の関係で1軸推進としたため船尾材、舵等は新たに設計され、遮浪甲板から覆甲板に変更するなどのアレンジを加えた船型となった<ref name="a">[http://tensyofleet.sakura.ne.jp/library/others/whalefactoryship.html 本邦建造捕鯨母船の系譜]</ref>。[[1936年]]（昭和11年）2月26日に起工された「日新丸」は、翌秋の出漁期にあわせるために建造工事が急がれ、起工から156日目の8月1日に進水した。[[9月28日]]竣工。竣工後は同年秋の1936年度南氷洋捕鯨から投入され、それから4年間は南氷洋捕鯨に従事した。[[1937年]]（昭和12年）2月には「パノラマ大模型 日新丸の鯨狩」という題名で[[少年倶楽部]]の付録に採用されている。 |
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原形となったサー・ジェームス・クラーク・ロスは2軸推進だが、主機製作やスクリュー調達の関係で1軸推進とした<ref name="ita68"/>ため、船尾材、舵等は新たに設計され、遮浪甲板から覆甲板に変更するなどのアレンジを加えた船型となった<ref name="a">[http://tensyofleet.sakura.ne.jp/library/others/whalefactoryship.html 本邦建造捕鯨母船の系譜]</ref>。また、設計図だけでは[[ボイラー]]に不明な点があり、林兼商店の子会社で捕鯨船長を長年勤め、幾次郎に母船式捕鯨を提案した志野徳助が、雑誌や[[百科事典]]を元に手探りで調整した<ref name="ita68"/>。[[二・二六事件]]と同じ[[1936年]]（昭和11年）2月26日に起工された捕鯨母船は、翌秋の出漁期にあわせるために昼夜突貫、建造中の[[巡洋艦]]の建造を一時中断して建造が急がれ、起工から156日目の8月1日に神戸市民5万人が式典に押し寄せる中進水<ref name="ita68"/>、9月28日に竣工した。 |
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国際情勢の悪化により[[1941年]]（昭和16年）度南氷洋捕鯨は中止となり<ref name="b">[[#松井]]p.79</ref>、同年11月25日、「日新丸」は海軍に徴用されて海軍一般徴用船となる。徴用後の同年12月から翌[[1942年]]（昭和17年）11月まで南洋方面への輸送任務に従事。4月11日、{{coor dm|33|27|N|135|37|E|}}の潮岬沖で米潜[[トラウト (SS-202)|トラウト]](''USS Trout, SS-202'')に発見され、魚雷1本が船尾に命中したものの、沈没には至らなかった<ref name="c">{{Cite web|url=http://www.ibiblio.org/hyperwar/USN/USN-Chron/USN-Chron-1942.html|title=The Official Chronology of the U.S. Navy in World War II Chapter IV: 1942|publisher=HyperWar|language=英語|accessdate=2011-11-19}}</ref><ref>[[#横鎮1704(1)]]pp.22-24</ref>。11月下旬からは[[シンガポール|昭南]]や[[ミリ (サラワク州)|ミリ]]と本土の間での油輸送に従事する。[[1943年]]（昭和18年）2月7日、ミリで停泊中の「日新丸」は再度米潜トラウトに発見され、魚雷1本が日新丸の後部に命中して煙が上がり、中破した<ref>[[#戦史54]]</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.ibiblio.org/hyperwar/USN/USN-Chron/USN-Chron-1943.html|title=The Official Chronology of the U.S. Navy in World War II Chapter V: 1943|publisher=HyperWar|language=英語|accessdate=2011-11-20}}</ref><ref>[[#SS-202, USS TROUT]]p.109,116</ref>。20日、ミリを出港し、24日に昭南に到着。セレター軍港で修理を受ける。 |
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竣工後、日新丸は同年10月7日に出航し、[[1937年]]（昭和12年）までの南氷洋捕鯨に投入された。11月1日に寄港地の[[フリーマントル (西オーストラリア州)|フリーマントル]]で船団長の志野が[[脳出血]]で急死する事態に見舞われたが、幾次郎の三男である[[中部利三郎]]が船団長を引き継ぎ、1,116頭を捕獲して[[鯨油]]1万5,280トンを製造した<ref>[[#板橋]]p.70-71</ref>。帰港後、アメリカ西海岸の[[ロサンゼルス]]に向かい、[[石油タンカー]]として石油製品の輸入に用いられた<ref>野間恒「商船の映像（11） ロサンゼルス港の日本商船（2）」 船舶技術協会[https://zousen-shiryoukan.jasnaoe.or.jp/wp/wp-content/uploads/item/funenokagaku/funenokagaku-vol37-06.pdf 『船の科学』第37巻第6号] 1984年 p.22</ref>。当時最新鋭かつ国産の捕鯨船である日新丸は人気があり、1937年（昭和12年）2月には「パノラマ大模型 日新丸の鯨狩」という題名で雑誌『[[少年倶楽部]]』の付録に採用されている<ref>小関新人「解説」 小関与四郎『クジラ解体』 [[春風社]] 2011年 ISBN 978-4-86110-261-5</ref>。 |
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[[1944年]]（昭和19年）5月4日、タンカー[[橘丸 (タンカー)|橘丸]]（共同企業、6,539トン）、応急タンカー白馬山丸（太洋興業、6,650トン）、貨物船天晨丸（瑞光商船、4,236トン）他輸送船12隻と共に[[ミ船団|ミ02船団]]を編成し、[[水雷艇]][[鷺 (鴻型水雷艇)|鷺]]、[[蓬 (駆逐艦)|第38号哨戒艇]]、[[海防艦]][[淡路 (海防艦)|淡路]]の護衛でミリを出港。「日新丸」は船団中最大の船舶であった。6日朝、船団は米潜[[クレヴァル (潜水艦)|クレヴァル]](''USS Crevalle, SS-291'')に発見される。8時1分、クレヴァルは「日新丸」へ向け魚雷を発射。うち2本が後部に命中した「日新丸」は5分で沈没し、積荷の多量の石油を喪失した。船員15名が戦死。沈没地点はボルネオ北岸沖、{{coor dm|07|19|N|116|52|E|}}。 |
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[[1939年]]（昭和13年）から[[1940年]]（昭和15年）の南氷洋捕鯨では、[[ロス海]]湾口の氷結を恐れず[[南緯75度線|南緯75度]]を南下して[[シロナガスクジラ]]を多数捕獲した<ref>[[#板橋]]p.95</ref>。 |
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1940年（昭和15年）から[[1941年]]（昭和16年）の南氷洋捕鯨は、重油の配給や連日の時化、ロス海湾口の氷結など状況が悪い中、日新丸を含む6隻で9,328頭を捕獲し、鯨油10万4,100トン、[[鯨肉]]1万3,500トンを生産した。既に日本と欧米の国際関係が悪化しており、フリーマントル寄港はおろか[[オーストラリア]]の[[領海]]から離れて航行するよう海軍から指示された。帰路に[[オランダ領東インド]]の[[タラカン島]]で行われる予定だった給油は、[[シェル (企業)|シェル石油]]の連絡が無いという理由で拒否され、偶然遭遇した日本水産のタンカー[[厳島丸 (タンカー)|厳島丸]]から540トンの給油を受けて帰国できた<ref name="ita97">[[#板橋]]p.97-99</ref>。 |
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=== 損傷 === |
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国際情勢の悪化により1941年（昭和16年）度南氷洋捕鯨は中止となり<ref name="ita97"/><ref name="b">[[#松井]]p.79</ref>、同年11月25日、「日新丸」は海軍に徴用されて海軍一般徴用船となる。徴用後の同年12月から翌[[1942年]]（昭和17年）11月まで南洋方面への輸送任務に従事。4月11日、{{coor dm|33|27|N|135|37|E|}}の潮岬沖で[[アメリカ海軍]]の潜水艦[[トラウト (SS-202)|トラウト]](''USS Trout, SS-202'')に発見され、魚雷1本が船尾に命中したものの、沈没には至らなかった<ref name="c">{{Cite web|url=http://www.ibiblio.org/hyperwar/USN/USN-Chron/USN-Chron-1942.html|title=The Official Chronology of the U.S. Navy in World War II Chapter IV: 1942|publisher=HyperWar|language=英語|accessdate=2011-11-19}}</ref><ref>[[#横鎮1704(1)]]pp.22-24</ref>。11月下旬からは[[シンガポール|昭南]]や[[ミリ (サラワク州)|ミリ]]と本土の間での油輸送に従事する。[[1943年]]（昭和18年）2月7日、ミリで停泊中の「日新丸」は再度米潜トラウトに発見され、魚雷1本が日新丸の後部に命中して煙が上がり、中破した<ref>[[#戦史54]]</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.ibiblio.org/hyperwar/USN/USN-Chron/USN-Chron-1943.html|title=The Official Chronology of the U.S. Navy in World War II Chapter V: 1943|publisher=HyperWar|language=英語|accessdate=2011-11-20}}</ref><ref>[[#SS-202, USS TROUT]]p.109,116</ref>。20日、ミリを出港し、24日に昭南に到着。セレター軍港で修理を受ける。 |
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=== 撃沈 === |
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[[1944年]]（昭和19年）5月4日、タンカー[[橘丸 (タンカー)|橘丸]]（共同企業、6,539トン）、応急タンカー白馬山丸（太洋興業、6,650トン）、貨物船天晨丸（瑞光商船、4,236トン）他輸送船12隻と共に[[ミ船団|ミ02船団]]を編成し、[[水雷艇]][[鷺 (鴻型水雷艇)|鷺]]、[[蓬 (駆逐艦)|第38号哨戒艇]]、[[海防艦]][[淡路 (海防艦)|淡路]]の護衛でミリを出港。「日新丸」は船団中最大の船舶であった。16日<ref name="ita100">[[#板橋]]p.150</ref>朝、船団は米潜[[クレヴァル (潜水艦)|クレヴァル]](''USS Crevalle, SS-291'')に発見される。8時1分、クレヴァルは「日新丸」へ向け魚雷を発射。うち2本が後部に命中した「日新丸」は5分で沈没し、積荷の多量の石油を喪失した。船員15名が戦死。沈没地点はボルネオ北岸沖、{{coor dm|07|19|N|116|52|E|}}。 |
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{{clear}} |
{{clear}} |
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| 98行目: | 109行目: | ||
|クラス=日新丸型捕鯨母船 |
|クラス=日新丸型捕鯨母船 |
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|船籍={{JPN1889}} |
|船籍={{JPN1889}} |
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|所有者=[[マルハ|大洋 |
|所有者=[[マルハ|大洋捕鯨]] |
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|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋 |
|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋捕鯨<br/>{{navy|Empire of Japan}} |
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|建造所=[[川崎造船所]] |
|建造所=[[川崎造船所]] |
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|母港= |
|母港=東京港/[[東京府]] |
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|姉妹船=日新丸 |
|姉妹船=日新丸 |
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|建造費= |
|建造費= |
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|航行区域= |
|航行区域= |
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|船級= |
|船級= |
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|信号符字=JTSL |
|信号符字=JTSL |
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| 111行目: | 122行目: | ||
|改名= |
|改名= |
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|建造期間=295日 |
|建造期間=295日 |
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|就航期間= |
|就航期間=2,247日 |
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|計画数= |
|計画数= |
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|建造数= |
|建造数= |
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| 117行目: | 128行目: | ||
|次級= |
|次級= |
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|発注= |
|発注= |
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|起工=[[1936年]] |
|起工=[[1936年]]（昭和11年）12月16日 |
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|進水=[[1937年]] |
|進水=[[1937年]]（昭和12年）6月9日 |
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|竣工=1937年 |
|竣工=1937年（昭和12年）10月6日 |
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|就航= |
|就航= |
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|処女航海= |
|処女航海= |
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| 127行目: | 138行目: | ||
|引退= |
|引退= |
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|除籍= |
|除籍= |
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|その後=[[1943年]]（昭和18年）11月30日廃船 |
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|現況= |
|現況= |
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|要目注記= |
|要目注記= |
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| 149行目: | 160行目: | ||
|満載喫水= |
|満載喫水= |
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|デッキ数= |
|デッキ数= |
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|機関= |
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|機関=川崎[[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基 |
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|ボイラー= |
|ボイラー= |
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|主機=川崎[[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基 |
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|主機= |
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|推進器=1軸 |
|推進器=1軸 |
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|出力=7,210[[船舶工学#馬力|BHP]] |
|出力=7,210[[船舶工学#馬力|BHP]] |
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| 167行目: | 178行目: | ||
|車両搭載数= |
|車両搭載数= |
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|その他= |
|その他= |
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|備考=[[1941年]] |
|備考=[[1941年]]12月2日徴用。<br/>高さは米海軍識別表<ref name="#1"/>より([[フィート]]表記) |
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=== 建造・操業 === |
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「第二日新丸」は[[川崎造船所]]で[[1936年]]（昭和11年）12月16日に起工。[[1937年]]（昭和12年）6月9日に進水し、同年10月6日に竣工した。先に竣工した姉妹船の日新丸は波浪で揺れやすいといった意見があったため、「第二日新丸」では船首楼と後部甲板室を1層追加と船体を大型化して揺れを若干改善。それに伴い船内の配置や設備が変更された。またデリックの能力も日新丸では過大気味であったためか全般的に小さくしている<ref name="a"/>。 竣工後は1937年度南氷洋捕鯨から投入され、それから3年間は南氷洋捕鯨に従事した。 |
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第二日新丸は、[[淡路島]]近海で行われた日新丸の試運転中、中部幾次郎が性能に満足し「これなら2号船も欲しい」と言ったのを、吉岡が二つ返事で快諾し建造が決まった<ref name="ita68"/>。川崎造船所で[[1936年]]（昭和11年）12月16日に起工。[[1937年]]（昭和12年）6月9日に進水し、同年10月6日に竣工した。先に竣工した姉妹船の日新丸は波浪で揺れやすいといった意見があったため、「第二日新丸」では船首楼と後部甲板室を1層追加と船体を大型化して揺れを若干改善。それに伴い船内の配置や設備が変更された。またデリックの能力も日新丸では過大気味であったためか全般的に小さくしている<ref name="a"/>。 |
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竣工後は1937年（昭和12年）から[[1938年]]（昭和12年）の南氷洋捕鯨から投入されたが、[[台湾]]沖で[[大日本帝国陸軍|陸軍]]に傭船され引き返し、[[第二次上海事変]]に伴う[[第10軍 (日本軍)|第10軍]]の[[上陸用舟艇]]輸送に用いられた。傭船終了後は25日遅れで南氷洋に向かったが、この間にキャッチャーボート4隻に[[腸チフス]]が蔓延し、10名が死亡した<ref>[[#板橋]]p.72</ref>。 |
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国際情勢の悪化により[[1941年]]（昭和16年）度南氷洋捕鯨は中止となり<ref name="b"/>、同年12月2日、「第二日新丸」は海軍に徴用されて海軍一般徴用船となる。徴用直後から翌[[1942年]]（昭和17年）12月まで南洋方面への輸送任務に従事。以降は[[シンガポール|昭南]]や[[ミリ (サラワク州)|ミリ]]と本土の間での油輸送に従事する。[[1943年]]（昭和18年）[[4月14日]]、「第二日新丸」は応急タンカー徳和丸（日東汽船、1,943トン）、同日鶴丸（日産汽船、1,946トン）と共に第147船団を編成し、護衛を受けず六連を出港。17日18時13分、「第二日新丸」は{{coor dm|23|56|N|124|19|E|}}の[[石垣島]]白保崎南方50海里の海上で浮遊機雷に触れ大破する<ref>[http://www.combinedfleet.com/Nikkaku_t.htm Nikkaku_Maru]</ref>。機雷の爆発で船体は3つに分かれ、前部と後部が沈没し、一番大きい中央部のみが浮いていた。船団は「第二日進丸」を置き去りにして[[馬公市|馬公]]へ向かい、「第二日進丸」は漂流する。18日6時、救援のため[[藤 (駆逐艦)|第36号哨戒艇]]が会合し警戒を受ける。同日17時15分、駆逐艦[[早苗 (駆逐艦)|早苗]]が来着し、第36号哨戒艇は早苗に「第二日進丸」の警戒を任せ、第252船団の護衛のため離脱。22日0600、{{coor dm|23|25|N|122|39|E|}}の地点で[[蓼 (駆逐艦)|第39号哨戒艇]]が来着し、早苗から「第二日進丸」の警戒任務を引き継ぎ、早苗は[[基隆市|基隆]]に向かった。23日朝、{{coor dm|23|48|N|122|42|E|}}の[[与那国島]]南方沖で、2隻は米潜[[シーウルフ (サーゴ級潜水艦)|シーウルフ]](''USS Seawolf, SS-197'')に発見される。シーウルフは第39号哨戒艇を雷撃し、同艦は被雷沈没した。シーウルフは最後に残った魚雷を「第二日新丸」に向けて発射し、命中はしたものの不発だった<ref>[[#SS-197, USS SEAWOLF, Part 1]]p.244</ref>。同日、基隆から早苗が来着し第39号哨戒艇の生存者救助と「第二日新丸」の警戒を行う。24日18時、駆逐艦[[帆風 (駆逐艦)|帆風]]が来着し、早苗は任務を引き継ぎ[[高雄港|高雄]]へ向かった。25日8時、救難船兼曳船の立神が到着し、「第二日新丸」は同艦に曳航される。25日、高潮の際に立神と翔鳳丸の2隻で浅瀬に座礁させられる。その後離礁され、28日に立神に曳航されて基隆に到着。11月30日に廃船となった<ref>写真提供：藤木洋一/[[船の科学館]]「写真シリーズ 思い出の日本貨物船その242」『[[世界の艦船]]』第846集（2016年10月特大号） [[海人社]] 155頁</ref>。触雷時船員41名戦死。 |
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1938年（昭和12年）から1939年（昭和14年）の南氷洋捕鯨では、船団に所属するキャッチャーボートの第十一玉丸と第六利丸、第八利丸が3月10日に結氷に囲まれて脱出不能となり、57名の乗組員は3月13日午前9時40分に船を放棄し脱出、徒歩で氷原を移動し、1名の行方不明者も出さず午後8時に救助のキャッチャーボートに合流した<ref>[[#板橋]]p.92-93</ref>。 |
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1939年（昭和13年）から1940年（昭和15年）の南氷洋捕鯨では、3月に放棄した3隻のうち第八利丸を[[第三図南丸]]の船団が発見したため、曳航しながらの航行となり漁場への到着が遅れた。船団長の利三郎は不漁を危惧したが、探鯨船の関丸が[[東経80度線|東経80度]]から[[東経140度線|東経140度]]の{{仮リンク|スタージー島|en|Sturge Island}}と{{仮リンク|バッケル島|en|Buckle Island}}近海で、シロナガスクジラと[[ナガスクジラ]]の大群を発見し年末から約15日で6,000トンの鯨油を製造した<ref>[[#板橋]]p.94-95</ref>。 |
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1940年（昭和15年）から1941年（昭和16年）の南氷洋捕鯨では、ロス海で[[ドイツ海軍 (国防軍)|ドイツ海軍]]の[[仮装巡洋艦]]「シフ45」こと[[コメート (仮装巡洋艦)|コメート]]に遭遇し、鯨肉を提供するなど交歓を行った<ref name="ita97"/>。 |
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=== 撃沈 === |
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国際情勢の悪化により1941年（昭和16年）からの南氷洋捕鯨は中止となり<ref name="ita97"/><ref name="b"/>、同年12月2日、「第二日新丸」は海軍に徴用されて海軍一般徴用船となる。徴用直後から翌1942年（昭和17年）12月まで南洋方面への輸送任務に従事。以降は[[シンガポール|昭南]]や[[ミリ (サラワク州)|ミリ]]と本土の間での油輸送に従事する。1943年（昭和18年）4月14日、第二日新丸は応急タンカー徳和丸（日東汽船、1,943トン）、同日鶴丸（日産汽船、1,946トン）と共に第147船団を編成し、護衛を受けず六連を出港。17日18時13分、第二日新丸は{{coor dm|23|56|N|124|19|E|}}の[[石垣島]]白保崎南方50海里の海上で浮遊機雷に触れ大破する<ref>[http://www.combinedfleet.com/Nikkaku_t.htm Nikkaku_Maru]</ref>。機雷の爆発で船体は3つに分かれ、前部と後部が沈没し、一番大きい中央部のみが浮いていた。船団は第二日新丸を置き去りにして[[馬公市|馬公]]へ向かい、第二日新丸は漂流する。18日6時、救援のため[[藤 (駆逐艦)|第36号哨戒艇]]が会合し警戒を受ける。同日17時15分、駆逐艦[[早苗 (駆逐艦)|早苗]]が来着し、第36号哨戒艇は早苗に第二日新丸の警戒を任せ、第252船団の護衛のため離脱。22日0600、{{coor dm|23|25|N|122|39|E|}}の地点で[[蓼 (駆逐艦)|第39号哨戒艇]]が来着し、早苗から第二日新進丸の警戒任務を引き継ぎ、早苗は[[基隆市|基隆]]に向かった。23日朝、{{coor dm|23|48|N|122|42|E|}}の[[与那国島]]南方沖で、2隻は米潜[[シーウルフ (サーゴ級潜水艦)|シーウルフ]](''USS Seawolf, SS-197'')に発見される。シーウルフは第39号哨戒艇を雷撃し、同艦は被雷沈没した。シーウルフは最後に残った魚雷を第二日新丸に向けて発射し、命中はしたものの不発だった<ref>[[#SS-197, USS SEAWOLF, Part 1]]p.244</ref>。同日、基隆から早苗が来着し第39号哨戒艇の生存者救助と第二日新丸の警戒を行う。24日18時、駆逐艦[[帆風 (駆逐艦)|帆風]]が来着し、早苗は任務を引き継ぎ[[高雄港|高雄]]へ向かった。25日8時、救難船兼曳船の立神が到着し、第二日新丸は同船に曳航される。25日、高潮の際に立神と翔鳳丸の2隻で浅瀬に座礁させられる。その後離礁され、28日に立神に曳航されて基隆に到着。11月30日に廃船となった<ref>写真提供：藤木洋一/[[船の科学館]]「写真シリーズ 思い出の日本貨物船その242」『[[世界の艦船]]』第846集（2016年10月特大号） [[海人社]] 155頁</ref>。触雷時に船員41名が戦死した。 |
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第二日新丸は戦前の日本にあった6隻の捕鯨母船で、最初の沈没船となった<ref name="ita100"/>。 |
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1940年から1941年の捕鯨の際に中部利三郎業務部長が記録した日誌は、[[2011年]]（平成23年）7月に利三郎の孫と中学生のひ孫によって存在が明らかになり<ref>[[#岸本]]P.13</ref>、[[下関市立大学]]鯨資料室に寄贈された<ref>[[#岸本]]P.3</ref>。この漁場日誌は、他の中部家資料の一部と共に、[[2020年]]（令和2年）に翻刻、口語訳されて出版された<ref>[[#岸本]]P.214</ref>。 |
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|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大阪商船<br/>大洋漁業 |
|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大阪商船<br/>大洋漁業 |
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|建造所=[[三菱重工業長崎造船所]] |
|建造所=[[三菱重工業長崎造船所]] |
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|母港=[[大阪港]]/[[大阪府]]<br/> |
|母港=[[大阪港]]/[[大阪府]]<br/>東京港/[[東京都]] |
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|姉妹船=3TL型戦時標準タンカー5隻 |
|姉妹船=3TL型戦時標準タンカー5隻 |
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|建造費= |
|建造費= |
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| 196行目: | 220行目: | ||
|MMSI番号= |
|MMSI番号= |
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|改名=大攬丸→第一日新丸→錦城丸 |
|改名=大攬丸→第一日新丸→錦城丸 |
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|建造期間= |
|建造期間=1,019日 |
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|就航期間= |
|就航期間= |
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|計画数= |
|計画数= |
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|次級= |
|次級= |
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|発注= |
|発注= |
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|起工=[[1945年]] |
|起工=[[1945年]]1月5日 |
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|進水=[[1946年]] |
|進水=[[1946年]]8月28日 |
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|竣工=1946年 |
|竣工=1946年10月20日 |
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|就航= |
|就航= |
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|処女航海= |
|処女航海= |
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|引退= |
|引退= |
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|除籍= |
|除籍= |
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|その後=[[1965年]]3月売却解体 |
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|現況= |
|現況= |
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|要目注記= |
|要目注記= |
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|満載喫水= |
|満載喫水= |
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|デッキ数= |
|デッキ数= |
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|機関= |
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|機関=[[三井造船|三井]][[バーマイスター・アンド・ウェイン|B&W式]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基(1948年)<br/>[[川崎造船所|川崎]][[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基(1958年) |
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|ボイラー=21号水管缶 2基(1946年) |
|ボイラー=21号水管缶 2基(1946年) |
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|主機=[[蒸気タービン|タービン機関]] 1基(1946年)<br/>[[三井造船|三井]][[バーマイスター・アンド・ウェイン|B&W式]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基(1948年)<br/>[[川崎造船所|川崎]][[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基(1958年) |
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|主機=[[蒸気タービン|タービン機関]] 1基(1946年) |
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|推進器=1軸 |
|推進器=1軸 |
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|出力=5,400[[船舶工学#馬力|BHP]](1948年)<br/>8,000BHP(1958年) |
|出力=5,400[[船舶工学#馬力|BHP]](1948年)<br/>8,000BHP(1958年) |
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=== 建造 === |
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元々は[[三菱重工業長崎造船所]]で[[商船三井|大阪商船]]の石油タンカーである3TL型[[戦時標準船]]'''大攬丸'''（だいらん丸）で、同船は建造中に[[長崎市への原子爆弾投下]]に遭い放置されていた。 |
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元々は[[三菱重工業長崎造船所]]で大阪商船（現・[[商船三井]]）の石油タンカーである3TL型[[戦時標準船]]'''大攬丸'''（だいらんまる）で、同船は建造中に[[長崎市への原子爆弾投下]]に遭い放置されていた。 |
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林兼商店から西大洋漁業統制、西大洋漁業を経て、[[1945年]]（昭和20年）12月に再改称した大洋漁業は、まず小笠原近海での捕鯨を行うこととしたが、保有していた日新丸・第二日新丸を含む6隻の捕鯨母船は全滅していた。そんな折「[[浅野造船所|日本鋼管鶴見造船所]]で修理中の捕鯨船の隣にスリップウェイのついた[[軍艦]]がいる」という情報が持ち込まれた。大洋漁業はその「スリップウェイのついた軍艦」こと、[[第一号型輸送艦]]の[[第九号輸送艦]]、[[第十六号輸送艦]]、[[第十九号輸送艦]]を改造したものを借用し、[[1946年]]（昭和21年）3月から捕鯨母船として小笠原近海捕鯨を行った。冷凍設備が無く冷蔵と塩漬に限定され、低緯度の高温地域での操業のため甲板が高温になり、鯨肉は腐敗しやすく、腐臭で倒れる作業員もいた<ref>[[#板橋]]p.108</ref>。 |
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小笠原捕鯨の成功を受けて、[[農商務省 (日本)|農商務省]]は大洋漁業の働きかけを受けて、鯨肉生産による食料（特にタンパク質と脂肪）確保と鯨油輸出による外貨獲得を目的とする南極海での捕鯨再開を計画し、[[連合国軍最高司令官総司令部]]（GHQ）天然資源局も応諾した<ref>[[#板橋]]p.108-109</ref>。[[財閥解体]]の対象となった日本水産（現・[[ニッスイ]]）も参加することになったが、借用していた輸送艦は連合国に賠償艦として引き渡されることになったことから使えず、南氷洋捕鯨用の捕鯨母船を必要とした。そこで日本水産は[[橋立丸]]、大洋漁業は大攬丸に目をつけ、同船を購入して捕鯨母船へ改造することになった。[[オーストラリア]]政府は終戦から1年にもならない敗戦国が1万トン以上の大形船建造することに反対したが、[[ジョージ・マーシャル]][[アメリカ国務長官|米国務長官]]が「反対国は日本に1,000万ドルの食料援助をしてもらう」と説得し<ref>[[#板橋]]p.109-110</ref>、GHQは捕鯨母船の建造を許可した。改造されることになった大攬丸だったが、資材不足の上に食糧事情もあり、造船所の工員の効率も上がらなかった。造船所は[[長崎県]]に米飯の特別配給を要請して、大洋漁業の長く使うための良質鋼材の調達要請も黙殺した<ref name="ita110">[[#板橋]]p.110</ref>。大攬丸は'''第一日新丸'''と改名され、[[1946年]]（昭和21年）10月15日に竣工。大攬丸時代にGHQの[[日本商船管理局]]（SCAJAP）により与えられた'''SCAJAP-N068'''の管理番号を継承した。 |
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[[1948年]]（昭和23年）8月、従来のボイラーと主機を撤去し、三井製ディーゼル機関を装備。 |
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=== 操業 === |
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当時、[[オーストラリア]]政府から[[戦争賠償]]として本船と[[橋立丸]]（日本水産、10,021トン）を譲渡するよう要求があったが、[[アメリカ合衆国]]の反対により実現を免れている<ref>[[#柴|柴（1986年）]]、292頁。</ref>。 |
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市民の盛大な声援を受けて[[長崎港]]を出航した第一日新丸だったが、一昼夜後に機関故障を起こし長崎港に戻ったため1-2週間遅れで南氷洋に到着<ref name="ita110"/>したり、ボイラーの不調で蒸気が漏れたり鯨油が逆流したりして休漁になる<ref>[[#板橋]]p.112</ref>など、急造船のため事故が続出した。[[1947年]]（昭和22年）までの南氷洋捕鯨で、第一日新丸と橋立丸はシロナガスクジラ換算で932頭を捕獲したが、これは同じ漁期に南氷洋で捕獲された1万5,304頭の約6%に過ぎなかった<ref>[[#板橋]]p.111</ref>。しかし肉牛換算で13万頭分のタンパク質がもたらされ、1946年の大洋漁業の売り上げの約36%を捕鯨関係が占めた<ref>[[#板橋]]p.112</ref>。 |
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1947年（昭和22年）の帰港後、第一日新丸は7ヶ月かけて設備の修繕や主機関を増設などの整備を行った。11月6日、第一日新丸は[[1948年]]（昭和23年）の南氷洋捕鯨に[[横須賀港]]を出航したが、前年の捕鯨による食料入手と外貨収入に満足したGHQは[[軍楽隊]]の演奏で送迎し、市民の熱烈な送迎で出航は1時間遅れた。この漁期では大きな故障も無く、便乗したGHQの指導官により条約の遵守と作業の効率化が図られたため、第一日新丸と橋立丸はシロナガスクジラ換算で1,017頭（同じ漁期に南氷洋で捕獲された総頭数の約6.2%）を捕獲した<ref>[[#板橋]]p.116</ref>。 |
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[[1951年]]（昭和26年）[[6月11日]]に石油タンカーへ改造すると同時に[[ビューロー・ベリタス|B.V.]]船級取得改造工事を受け、'''錦城丸'''と改名。 |
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[[1948年]]（昭和23年）8月、従来のボイラーと主機を撤去し、三井製ディーゼル機関を装備した。[[1949年]]（昭和24年）までの南氷洋捕鯨を終えて4月13日に横須賀港に帰港した第一日新丸の歓迎式で、GHQ天然資源局のスケンク中佐は以下のように挨拶した<ref>[[#板橋]]p.118-119</ref>。 |
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[[1954年]]（昭和29年）[[4月30日]]、[[川崎造船所]]で再度捕鯨母船へ改造。 |
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{{Quotation|[[ダグラス・マッカーサー|マッカーサー]]元帥は諸氏の使命完遂に満足している。国際捕鯨条約にのっとって行動された諸氏の記録は模範的であり、その操業率、および鯨利用度は日本捕鯨史上かつて到達した最高のものである。}} |
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当時、オーストラリア政府から[[戦争賠償]]として本船と橋立丸を譲渡するよう要求があったが、[[アメリカ合衆国政府]]の反対により実現を免れている<ref>[[#柴|柴（1986年）]]p.292</ref>。 |
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[[1950年]]（昭和25年）には[[レーダー]]の搭載をGHQから許可され、[[RCA]]製のレーダーを搭載して操業した。[[1951年]]（昭和26年）までの南氷洋捕鯨で第一日新丸と橋立丸が捕獲した鯨は1,300頭に減少した。しかし[[朝鮮戦争]]の勃発で油脂価格が高騰したため、大洋漁業の総売上高に捕鯨部門が占める割合は、戦前戦後最高の33%に及んだ<ref>[[#板橋]]p.119</ref>。6月11日、新造された日新丸の就役に伴い、石油タンカーへ改造すると同時に[[ビューロー・ベリタス|B.V.]]船級取得改造工事を受け、'''錦城丸'''と改名した。 |
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[[1954年]]（昭和29年）4月30日、前年の日新丸の好成績に影響され、川崎造船所で再度捕鯨母船へ改造。[[1955年]]（昭和30年）までの南氷洋捕鯨は日新丸と錦城丸、図南丸の3船団で前年から46%増加の2,776頭を捕獲した<ref name="ita146">[[#板橋]]p.146</ref>。 |
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[[1958年]]（昭和33年）10月、川崎製ディーゼル機関に換装。 |
[[1958年]]（昭和33年）10月、川崎製ディーゼル機関に換装。 |
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[[1961年]]（昭和36年）、第三日新丸の就役で南氷洋捕鯨から外された<ref name="ita177">[[#板橋]]p.177</ref>。 |
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[[1965年]]（昭和40年）3月、解体のため[[三菱商事]]に売却され、のちに大阪で解体された。 |
[[1965年]]（昭和40年）3月、解体のため[[三菱商事]]に売却され、のちに大阪で解体された。 |
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| 285行目: | 321行目: | ||
|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋漁業 |
|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋漁業 |
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|建造所=[[川崎造船所]] |
|建造所=[[川崎造船所]] |
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|母港= |
|母港=東京港/東京都 |
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|姉妹船=なし |
|姉妹船=なし |
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|建造費= |
|建造費= |
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|航行区域= |
|航行区域= |
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|船級= |
|船級= |
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|信号符字=JCMC |
|信号符字=JCMC |
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|次級= |
|次級= |
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|発注= |
|発注= |
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|起工=[[1950年]] |
|起工=[[1950年]]（昭和25年）10月19日 |
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|進水=[[1951年]] |
|進水=[[1951年]]（昭和26年）6月21日 |
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|竣工=1951年 |
|竣工=1951年（昭和26年）9月30日 |
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|就航= |
|就航= |
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|処女航海= |
|処女航海= |
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|引退= |
|引退= |
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|除籍= |
|除籍= |
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|その後=[[1973年]]（昭和48年）4月売却 |
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|現況= |
|現況= |
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|要目注記= |
|要目注記= |
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| 333行目: | 369行目: | ||
|満載喫水= |
|満載喫水= |
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|デッキ数= |
|デッキ数= |
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|機関= |
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|機関=[[川崎造船所|川崎]][[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基 |
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|ボイラー= |
|ボイラー= |
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|主機=[[川崎造船所|川崎]][[MAN (企業)|MAN]][[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]] 1基 |
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|主機= |
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|推進器=1軸 |
|推進器=1軸 |
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|出力=10,060[[船舶工学#馬力|PS]] |
|出力=10,060[[船舶工学#馬力|PS]] |
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| 354行目: | 390行目: | ||
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[[1951年]]（昭和26年 |
[[1951年]]（昭和26年）9月30日、[[川崎造船所]]にて竣工。竣工と同時にSCAJAPにより'''SCAJAP-N132'''の管理番号を与えられた。タンカー改造の第一日新丸に対し、シロナガスクジラを1日に30頭処理する設備を有した<ref>[[#板橋]]p.125</ref>。 |
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[[1953年]]（昭和28年）から[[1954年]]（昭和29年）の漁期では、日新丸と橋立丸で1,896頭を捕獲した。特に日新丸は1,085頭を捕獲し、日本の捕鯨母船で初めて1,000頭の大台に乗り、バリーナ（英国、後の[[第三極洋丸]]<ref name="ita152">[[#板橋]]p.152</ref>）、{{仮リンク|アブラハム・ラーセン （船）|label=アブラハム・ラーセン|no|FLK «Unitas»}}（南アメリカ、後の第二日新丸<ref name="ita150">[[#板橋]]p.150</ref>）、コスモスIV（ノルウェー）に次ぐ捕獲量を誇った<ref name="ita146"/>。 |
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1961年（昭和31年）から1962年（昭和37年）の南氷洋捕鯨は、第二日新丸が火災で帰国したため、そのロスを補うため西経漁場の[[日付変更線|西経0度線]]から[[西経60度線]]まで進出し、欧州の捕鯨船団の撤退や縮小で回復していたナガスクジラの好漁場を発見した<ref name="ita177"/>。 |
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[[1971年]]（昭和46年）に鯨油タンカーに改造。 |
[[1971年]]（昭和46年）に鯨油タンカーに改造。 |
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| 365行目: | 405行目: | ||
== 第二日新丸 (2代目) == |
== 第二日新丸 (2代目) == |
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元は[[ドイツ]]船籍の捕鯨母船'''{{仮リンク|ウニタス|no|FLK «Unitas»}}'''で、1937年の建造当時世界最大の捕鯨母船だった。第二次大戦中に[[イギリス]]に[[拿捕]]され'''エンパイヤ・ビクトリー'''（Empire Victory）に改名され、1946年に[[南アフリカ共和国]]に譲渡の上'''アブラハム・ラーセン'''（Abraham Larsen）と再改名された<ref name="koji16">[[#小島]]p.16</ref>。1953年から1954年の南氷洋捕鯨で漁獲量2位だった<ref name="ita146">[[#板橋]]p.146</ref>捕鯨母船を、[[1956年]]（昭和31年）に大洋漁業が6隻のキャッチャーボート込みで買収した<ref name="ita150"/>。優秀な捕鯨船団である第二日新丸の就役で、日本の捕鯨船団は戦前の最盛期とと同じ6船団まで回復し、1956年から1957年（昭和32年）の南氷洋捕鯨の捕獲頭数合計は4,637頭と前漁期の29%も増加した<ref name="ita146"/>。 |
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元[[南アフリカ共和国]]船籍の捕鯨母船'''アブラハム・ラーセン'''を買収した。[[1961年]][[10月30日]]に[[ソロモン海]]域で火災が発生し、[[捕鯨船|キャッチャーボート]]で日本の[[佐世保重工業]]に曳航され修復。 |
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*総トン数 27,035トン |
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1961年（昭和41年）10月30日<ref name="koji17"/>に[[ソロモン海]]域で火災が発生し、一昼夜半炎上し続けた<ref name="ita177"/>。船内を密封して[[酸素]]を絶とうとしたが失敗し、放水による消火を図ったが、効果が無く注水で船体が傾き始めた。そこで甲板に穴を開けて蒸気を送り込み、3日目に鎮火した。鎮火後、キャッチャーボートで日本に曳航され、[[佐世保重工業]]で修復に入った。火元のデッキは酸素や[[アセチレン]]の[[ボンベ]]が誘爆して大破していた<ref name="koji18">[[#小島]]p.18</ref>が、11月24日に修復を終えて再出発した<ref name="koji17"/>。 |
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[[ペンギン]]を持ち帰ることがあり、[[長崎水族館]]で39年間に渡って飼育され世界最長飼育記録を残した[[キングペンギン]]「ぎん吉」や、同館で28年間に渡って飼育された[[エンペラーペンギン]]「フジ」は第二日新丸に捕獲され渡来した個体だった<ref name="白井2006">白井和夫『長崎水族館とペンギンたち』藤木博英社 2006年</ref>。 |
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[[1965年]]（昭和40年）、[[国際捕鯨委員会]]（IWC）会議で捕獲枠が前年より1,000頭減少の3,500頭まで削減され、ザトウクジラ1年、シロナガスクジラ5年の禁漁が決まったことにより、極洋捕鯨（現・[[極洋]]）の[[第二極洋丸]]と共に南氷洋捕鯨から撤退した<ref>[[#板橋]]p.184</ref>。その後すり身工船に改装され、1986年に[[スクラップ]]として[[台湾]]に売却された<ref name="koji16"/>。 |
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*総トン数 27,035トン<ref name="ita150"/> |
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Hvalkokeriene Norhval og Abraham Larsen i Sandefjord 1956.jpg|[[サンデフィヨルド]]における「アブラハム・ラーセン」（右、後の第二日新丸、1956年） |
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Whaling factory ships Balaena and Abraham Larsen (VF.12022).jpg|岸壁に停泊する「アブラハム・ラーセン」（中央）と「バリーナ」（下、後の第三極洋丸、1950年代前半） |
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{{節スタブ}} |
{{節スタブ}} |
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{{Infobox 船 |
{{Infobox 船 |
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|名称=第三日新丸 |
|名称=第三日新丸 |
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|画像= |
|画像=Fs.03039 Kosmos III.jpg |
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|画像説明= |
|画像説明=コスモスIII（後の第三日新丸、1947年頃） |
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|船種=捕鯨母船 |
|船種=捕鯨母船 |
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|クラス=第三日新丸型捕鯨母船 |
|クラス=第三日新丸型捕鯨母船 |
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|船籍=[[File:Flag of Norway.svg|25px|border]] [[ノルウェー]]<br/>[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] [[日本]] |
|船籍=[[File:Flag of Norway.svg|25px|border]] [[ノルウェー]]<br/>[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] [[日本]] |
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|所有者=Kosmos whaling |
|所有者=Kosmos whaling company（1947年-1961年）<br/>[[マルハ|大洋漁業]]（1961年-1976年）<br/>[[日本共同捕鯨]]（1976年-1987年）<br/>共同船舶（1987年-1991年）<ref name="koji17">[[#小島]]p.17</ref> |
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|運航者=[[File:Flag of Norway.svg|25px|border]] Kosmos whaling company<br/>[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋漁業<br/>日本共同捕鯨 |
|運航者=[[File:Flag of Norway.svg|25px|border]] Kosmos whaling company<br/>[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 大洋漁業<br/>日本共同捕鯨<br/>共同船舶 |
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|建造所=A/B Gotaverken |
|建造所=A/B Gotaverken |
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|母港=サンデフィヨルド港/ |
|母港=サンデフィヨルド港/サンデフィヨルド<br/>東京港/東京都 |
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|姉妹船=なし |
|姉妹船=なし |
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|建造費= |
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|航行区域= |
|航行区域= |
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|船級= |
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|信号符字=JNTO |
|信号符字=JNTO |
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|発注= |
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|起工= |
|起工= |
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|進水=[[1947年]] |
|進水=[[1947年]]（昭和22年）11月 |
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|竣工= |
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|就航= |
|就航= |
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|引退= |
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|その後=[[1991年]]（平成3年）売却解体 |
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|現況= |
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|要目注記= |
|要目注記= |
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|満載喫水=9.6m |
|満載喫水=9.6m |
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|推進器=1軸 |
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|出力=6,750[[船舶工学#馬力|BHP]] |
|出力=6,750[[船舶工学#馬力|BHP]] |
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元々は[[スウェーデン]]の |
元々は[[スウェーデン]]の{{仮リンク|イェータヴェルケン|en|Götaverken}}社で建造され、[[1947年]]（昭和22年）に進水した捕鯨母船'''{{仮リンク|コスモスIII|sv|Kosmos III}}'''（Kosmos III）。竣工後は[[ノルウェー]]のKosmos whaling companyが所有し、南氷洋での捕鯨に使用された。 |
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[[1961年]]（昭和36年）、大洋漁業は綿城丸の代替のために同船を購入 |
[[1961年]]（昭和36年）、大洋漁業は綿城丸の代替のために同船を購入し、'''第三日新丸'''に改名して運航した<ref name="koji16"/>。 |
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[[1976年]]（昭和51年）6月の[[日本共同捕鯨]]設立に伴い、同社に売却。 |
[[1976年]]（昭和51年）6月の[[日本共同捕鯨]]設立に伴い、日本水産の[[第二図南丸#第二図南丸 (2代)|第二図南丸]]、極洋の[[第三極洋丸]]の船団と共に同社に売却された<ref name="koji17"/><ref>[[#板橋]]p.201</ref>。 |
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第三日新丸の船団による第 |
第三日新丸の船団による第42次南氷洋捕鯨が[[1987年]]（昭和62年）3月14日に終了したことで、南氷洋商業捕鯨の幕が降ろされた。日本共同捕鯨の解散後、共同船舶に移籍して調査捕鯨の調査母船となったが、船齢40年以上の老朽化と[[過剰性能]]で、[[1991年]]（[[平成]]3年）、解体のため中国の企業に売却された<ref name="koji17"/>。 |
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|所有者=[[日本水産]]<br/>[[共同船舶]] |
|所有者=[[日本水産]]<br/>[[共同船舶]] |
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|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 日本水産<br/>共同船舶 |
|運航者=[[File:Flag of Japan.svg|25px|border]] 日本水産<br/>共同船舶 |
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|建造所=[[日立造船]][[因島]]工場<ref name="asahi20230524">{{cite news|url=https://www.asahi.com/articles/ASR5R6SF6R5QPITB012.html |title=捕鯨母船「日新丸」が最後の航海へ 襲撃や火事を乗り越えた30年余|author=菅野みゆき |date=2023-5-24|publisher=朝日新聞デジタル|accessdate=2023-11-11}}</ref> |
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|建造所=[[日立造船]][[因島]]工場 |
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|母港= |
|母港=東京港/東京都 |
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|姉妹船=なし |
|姉妹船=なし |
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|建造費= |
|建造費= |
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|航行区域= |
|航行区域= |
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|船級= |
|船級= |
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|信号符字=JJCJ |
|信号符字=JJCJ |
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|次級= |
|次級= |
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|発注= |
|発注= |
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|起工=[[1987年]] |
|起工=[[1987年]]（昭和62年）4月 |
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|進水=1987年（昭和62年）8月 |
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|竣工=1987年（昭和62年）12月<ref name="asahi20231106"/> |
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|就航= |
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|処女航海= |
|処女航海= |
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|運航終了=[[2023年]]（令和5年）11月6日<ref name="yomiuri20231104"/> |
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|終航= |
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|退役= |
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|現況= |
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|要目注記= |
|要目注記= |
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|トン数= |
|トン数= |
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|総トン数=7,659[[トン]](1987年)<br/>8,030トン(2005年)<br/>8,145トン（2023年）<ref name="yomiuri20230807">{{cite news|url=https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20230807-OYTNT50028/ |title=世界唯一の捕鯨母船「日新丸」ラスト航海へ…１９８７年に建造、反捕鯨団体の妨害も|author=西部本社編集局 |date=2023-11-6|publisher=[[讀賣新聞]]|accessdate=2023-11-11}}</ref><ref name="yomiuri20231104">{{cite news|url=https://www.yomiuri.co.jp/national/20231104-OYT1T50189/ |title=世界唯一の捕鯨母船「日新丸」引退…南極海へ航海２７回、火炎瓶投げ入れられる妨害も|author= |date=2023-11-4|publisher=讀賣新聞|accessdate=2023-11-11}}</ref> |
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|総トン数=7,659[[トン]](1987年)<br/>8,030トン(2005年) |
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|載貨重量=5,999トン(1987年) |
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|出力=7,320[[船舶工学#馬力|PS]] |
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|積載量=1,600t（[[冷凍庫]]）<ref name="yab20230922">{{cite news|url=https://www.youtube.com/watch?v=rEZ2wgXIOXM |title=【山口】新捕鯨母船「関鯨丸」 くじらの街の行く先|author= |date=2023-9-22|publisher=[[山口朝日放送]]|accessdate=2023-11-11}}</ref> |
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|その他= |
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元々は[[日本水産]]が[[アメリカ合衆国]]からの商業捕鯨撤退の交換条件として出された遠洋漁業に使用するために[[日立造船]][[因島]]工場 |
元々は[[日本水産]]が[[アメリカ合衆国]]からの商業捕鯨撤退の交換条件として出された遠洋漁業に使用するために、船舶新造を中止した[[日立造船]][[因島]]工場（現・[[ジャパン マリンユナイテッド]]因島事業所）の最後の新造船<ref>[[#小島]]p.53</ref>として建造され<ref name="asahi20230524"/>[[1987年]]（昭和62年）12月に竣工した[[トロール船]]'''筑前丸'''だった<ref name="asahi20231106"/>。しかしアメリカは[[パックウッド･マグナソン法]]を制定し、[[排他的経済水域]]での遠洋漁業の認可さえも取り消したため、行き場を失っていた。そこで、第三日新丸の代替として日立造船因島工場で捕鯨母船に改造し、'''日新丸'''に改名した。トロール船から改装された経緯から、これまでの捕鯨母船と比べると1万トンに満たない、かなり小型の捕鯨母船である。1991年（平成3年）の第5回南極海鯨類捕獲調査から捕鯨に従事し<ref name="asahi20231106"/>、[[2019年]]（[[令和]]元年）まで毎年[[日本鯨類研究所]]に[[傭船]]され、27回にわたり<ref name="yomiuri20230807"/><ref name="yomiuri20231104"/>、調査捕鯨の調査母船として運用された。[[2019年]]（令和元年）7月の日本の商業捕鯨再開以降は、日本近海の沖合水域で<ref name="yomiuri20231104"/>、母船式捕鯨の母船として運用された。 |
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船主は日本水産のままだったが、[[2005年]]（平成17年）に |
改装・改名後も船主は日本水産のままだったが、[[2005年]]（平成17年）に共同船舶に売却された。 |
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=== 火災事故 === |
=== 火災事故 === |
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==== 1998年の火災事故 ==== |
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[[1998年]]（平成10年）[[11月20日]]、[[珊瑚海]]にて製油工場付近で出火し、火災区間の封鎖に失敗して自力航行が不可能となった。乗組員を[[大洋漁業のキャッチャーボート|第25利丸]]に移し、[[極洋捕鯨のキャッチャーボート|第1京丸]]を使って消火に当たらせた。火は[[11月29日]]に消し止められたが、甲板手一名が[[自殺]]。[[11月30日]]に[[タグボート]]で[[ニューカレドニア]][[ヌメア]]へ曳航され、[[12月2日]]に入港。[[12月7日]]、[[グリーンピース (NGO)|グリーンピース]]のメンバー4人が同船と第1京丸に侵入し、1人は第1京丸の砲台に自らの体を括り付け、他は同船のプロペラを[[鎖]]で固定した。その後も同会は[[デモ活動]]を続け、アンカーチェーンにぶら下っていた活動家を交代させた（第1京丸側が[[放水]]で対抗）。この際にグリーンピース妨害船に乗っていた日本人女性が調査捕鯨船団に対して脅迫状を交付したため[[水産庁]]、鯨研は抗議し、その後グリーンピース・ジャパンが謝罪した。地元裁判所から撤退命令もあり、撤収した。[[12月8日]]同船はヌメアを出航し、[[12月20日]]日立造船因島工場に入渠。同地で修復され、[[1月5日]]に再び南氷洋へ出航した。<ref>[[2003年]][[10月]]小島敏男著[[成山堂書店]]「調査捕鯨母船 日新丸よみがえる」ISBN 4425881311（ISBN 978-4425881314 ）</ref>。造船所及び各機械メーカーの全面協力により正月休暇を返上しての突貫工事で応急復旧を行ったが全面的な修復はその年の帰国後になった |
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[[1998年]]（平成10年）11月20日深夜、{{coor dm|20|36.6|S|159|53.7|E|}}の[[珊瑚海]]<ref>[[#小島]]p.32</ref>にて船内の製油工場付近で出火し、11月21日1時1分に[[火災報知器]]が作動した<ref name="koji27">[[#小島]]p.27</ref>。火災区間の封鎖を図ったが、失敗した<ref name="koji36">[[#小島]]p.36</ref>した上に主機が停止し自力航行が不可能となった<ref name="koji33">[[#小島]]p.33</ref>。1時41分には消火用ポンプが停止し自力での消火が不可能となり<ref>[[#小島]]p.38</ref>、2時40分に一番近くを航行していた第二十五利丸が接舷<ref>[[#小島]]p.42</ref>、運航行要員の34名を残して縄梯子<ref>[[#小島]]p.43</ref>で77名の乗組員を第二十五利丸に移し<ref>[[#小島]]p.44</ref>、第一京丸が接舷して消火に当たった<ref>[[#小島]]p.49</ref>。8時40分には火災後も稼働していた[[発電機]]が自然停止し<ref>[[#小島]]p.70</ref>、10時頃には包装工場への類焼が原因とみられる紙が焼ける匂いが充満したため<ref>[[#小島]]p.50</ref>、船長は退船準備を命じた<ref>[[#小島]]p.51</ref>が、機関部員が酸素ボンベをつけて機関室に突入して発電機の再稼働用の空気が残っていることを確認し<ref>[[#小島]]p.72</ref>、20時には甲板長が一過性の[[一酸化炭素中毒]]で卒倒した<ref>[[#小島]]p.73</ref>。11月22日に船団から募った突入隊が工場区画に3回にわたり突入し、延焼が見られないことが確認された<ref>[[#小島]]p.80-83</ref>が、突入時に二等機関士が一酸化炭素中毒で倒れた<ref>[[#小島]]p.80</ref>。11月23日に突入隊が工場区画の密封と機関室の孤立化に成功し、80-85%が鎮火した<ref>[[#小島]]p.87-90</ref>。11月24日7時に甲板手1名が[[自殺]]を図ったのが見つかり、[[心臓マッサージ]]が行われたが死亡<ref>[[#小島]]p.96</ref>。通信は多忙を極め、[[中川昭一]]農林水産大臣や[[中須勇雄]]水産庁長官らが弔電と乗組員への励ましのメッセージを寄せた<ref>[[#小島]]p.97</ref>。この間に機関部員が発電機の復旧作業<ref>[[#小島]]p.100-102</ref>に、甲板部員が工場区画の確認作業に入り、発電機1基が復旧<ref name="koji112">[[#小島]]p.112</ref>。11月25日に非常用発電機が使えるようになったため、第一京丸からの電力供給を止め、機関室の排気ファンとビルジポンプを作動させた<ref>[[#小島]]P.120</ref>。11月26日に製造事務室の書類が高温で着火したため、製造事務室の消火活動を行い第一京丸からの送水を再開<ref>[[#小島]]p.125</ref>。11月27日に酸素ボンベ無しで工場区画に立ち入り可能となり、17時に主機関が再稼働した<ref>[[#小島]]p.133</ref>。11月28日11時39分頃に鎮火し、第一京丸は消火ホースを撤収。目視採集船に退避した母船の乗組員が戻り<ref>[[#小島]]p.136</ref>、11月29日14時40分に清水の補給を受けた第一京丸が離舷した<ref name="koji140">[[#小島]]p.140</ref>。なお、この時の日新丸の司厨長は第二日新丸の火災にも遭遇しており、2度にわたり捕鯨母船の火災を目の当たりにすることとなった<ref name="koji18"/>。 |
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日新丸は11月25日に[[ニューカレドニア]]の[[ヌメア]]に入港することが決まり<ref name="koji112"/>、因島工場の工員による応急処置の準備が勧められた<ref>[[#小島]]p.116-117</ref>、[[タグボート]]は、当初[[ニュージーランド]]船籍の小形船が用意された<ref>[[#小島]]p.119</ref>が船主がリベートを要求したため破談、[[ブリスベン]]の航洋曳船も船価の1割の2億1,000万円ものリベートを要求したため破談した<ref>[[#小島]]p.126</ref>。勇進丸と第二共進丸による曳航も計画された<ref>[[#小島]]p.127</ref>が、[[ポートモレスビー]]の航洋曳船「パシフィック・サルバー」が日新丸に向かい<ref>[[#小島]]p.127-128</ref>、日新丸は11月30日15時に曳航され<ref name="koji140"/>、12月2日にヌメアに入港し火災や自殺した甲板員について現地警察の捜査を受けた<ref>[[#小島]]p.145</ref>。火災個所の被害は深刻で、因島工場の技師による調査で日本での復旧が必要と判断された<ref>[[#小島]]p.152</ref>。 |
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[[2007年]]（平成19年）[[2月25日]]再び[[南極海]]ロス海において工場甲板部から出火し、作業員1名が死亡している。[[2月24日]]に自力航行が可能になったものの、その年の南極海鯨類捕獲調査は中止となった。 |
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11月25日、[[マジェランアイナメ|ギンムツ]]の乱獲反対活動に[[ポンペイ島]]へ向かっていた<ref>[[#小島]]p.131</ref>[[エコテロリズム|環境テロリスト団体]]・[[グリーンピース (NGO)|グリーンピース]]の活動船「{{仮リンク|アークティック・サンライズ|en|MV Arctic Sunrise}}」が日新丸に接触<ref>[[#小島]]p.113</ref>し、船団より先にヌメアに入港して[[デモ活動]]を始めた<ref>[[#小島]]p.150</ref>。12月7日、グリーンピースのメンバー4人が日新丸と第一京丸に侵入し、1人は第一京丸の砲台に自らの体を括り付け、他は同船の[[スクリュープロペラ]]を[[鎖]]で固定した<ref name="koji158">[[#小島]]P.158</ref>。第一京丸が[[放水]]で対抗する中、その後も同会はデモ活動を続け、アンカーチェーンにぶら下っていた活動家を交代させた<ref>[[#小島]]p.161</ref>が、地元警察は損傷などの実害や裁判所の命令がないと排除できないと静観<ref>[[#小島]]p.159</ref>。この際にグリーンピースの妨害船に乗っていた日本人女性が調査捕鯨船団に対して[[日本語]]で「[[脅迫状]]」を交付した<ref name="koji158"/>ため、[[水産庁]]と鯨研は抗議し、その後グリーンピース・ジャパンが「内容が不適切だった」と謝罪し、第一京丸の活動家も自ら退船した<ref>[[#小島]]p.162-163</ref>。12月8日9時50分、日新丸はヌメアを出航<ref>[[#小島]]p.164</ref>し、12月20日9時に日立造船因島工場に入渠。直ちに修復作業に入り、[[1999年]]（平成11年）1月5日に再び南氷洋へ出航した<ref>[[#小島]]p.181</ref>。造船所及び各機械メーカーの全面協力により正月休暇を返上しての突貫工事で応急復旧を行ったが、全面的な修復は、その年の北洋海域の調査捕鯨後になった<ref>[[#小島]]p.176</ref>。 |
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=== ハラール === |
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[[2013年]]（平成25年）[[11月24日]]、[[ハラール]]の認証書を取得した<ref>{{cite news |language = | author = | url =http://www.afpbb.com/articles/-/3007075| title =調査捕鯨母船「日新丸」、ハラル認証を取得| publisher =| date= 2014-1-23| accessdate =2014-1-30}}</ref>。 |
|||
==== 2007年の火災事故 ==== |
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[[2007年]]（平成19年）2月15日、[[南極海]]ロス海において日新丸の加工工場から出火し、作業員1名が死亡した。グリーンピースがニュージーランド沖を航行する同団体の船による曳航を申し出たが、日本政府はこれを拒否した<ref>{{Cite web|和書|title=火災発生の捕鯨船「日新丸」の乗組員、遺体で発見 - ニュージーランド |url=https://www.afpbb.com/articles/-/2183147 |website=AFPBB |publisher=[[フランス通信社|AFP]] |date=2007-02-17|accessdate=2024-06-29 }}</ref>。2月24日に自力航行が可能になったものの、南極海鯨類捕獲調査は860頭の捕獲予定頭数の約半分のみ捕獲して、船団は1ヶ月早く帰国の途に就いた。水産庁の担当者は、日新丸は3月末に復旧して5月の北洋海域の調査捕鯨や秋からの次の南氷洋調査捕鯨には問題無いとコメントしたが、オーストラリアの[[マルコム・ターンブル]]環境大臣（当時）は調査捕鯨の早期終了を歓迎し、シー・シェパードは「クジラを愛する人々すべてにとっての朗報」、グリーンピースは「調査が本来の目的ならば、船団はデータ収集を継続していた。（調査船団の帰還は）調査ではなく捕鯨が目的だということが分かる。」と声明を出した<ref>{{Cite web|和書|title=調査捕鯨船日新丸が早期帰還へ、水産庁は調査捕鯨の継続強調 - 東京 |url=https://www.afpbb.com/articles/-/2188737 |website=AFPBB |publisher=AFP |date=2007-03-01|accessdate=2024-06-29 }}</ref>。 |
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=== ハラール認証取得 === |
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[[2013年]]（平成25年）11月24日、[[ハラール]]の認証書を取得した<ref>{{cite news|author=|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3007075|title =調査捕鯨母船「日新丸」、ハラル認証を取得|publisher=AFPBB|date=2014-1-23|accessdate=2023-11-11}}</ref>。 |
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=== 妨害活動 === |
=== 妨害活動 === |
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{{See|グリーンピース (NGO)|シーシェパード}} |
{{See|グリーンピース (NGO)|シーシェパード}} |
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=== 引退 === |
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[[File:World's only whaler factory ship, Nisshin Maru, at 日立造船因島工場 10.jpg|thumb|left|日立造船因島工場に停泊する日新丸（2023年4月22日）]] |
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[[1987年]]（昭和62年）の三代目日新丸の就航から年数が経過し、老朽化が進んでいることから、3倍の大きさの1万6,000トン級捕鯨母船の建造計画もあったが、実現には至っらなかった。 |
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維持管理に1年間で7億円がかかるなど老朽化が著しく<ref name="yab20230922"/>、代替船の建造が進んだことから、[[2023年]]（令和5年）11月6日に最後の航海を終えた。[[ニタリクジラ]]187頭と[[イワシクジラ]]24頭を捕獲して[[下関港]]に帰港し<ref name="yomiuri20231104"/><ref name="yab20231106">{{cite news|url=https://www.youtube.com/watch?v=JFjrxczi4jQ |title=【山口】捕鯨母船の日新丸が引退|author= |date=2023-11-6|publisher=[[山口朝日放送]]|accessdate=2023-11-11}}</ref>、引退セレモニーが開催された。33年間で1万7,072頭の鯨類の解体に当たった<ref name="asahi20231106"/>。引退後は[[パラオ]]に無償提供され冷凍倉庫として用いられる計画もあった<ref name="yomiuri20230807"/>が、部品や設備の一部を後継の関鯨丸で転用し<ref name="yab20231106"/>、同年12月より[[北九州市]]の工場で[[船舶解体|解体]]が始まり<ref name="asahi20231106"/>、[[2024年]]（令和6年）5月に廃船となる予定である<ref name="yab20231106"/>。 |
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== 代替船新造計画 == |
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[[2019年]]（令和元年）8月、三代目日新丸を保有する共同船舶は商業捕鯨の再開に伴い、[[2024年]]（令和6年）を目処に[[ナガスクジラ]]などの大型鯨類の処理が可能な代船建造を行う考えを示した<ref>{{cite news|url=https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/94094|title=共同船舶 大型捕鯨母船建造へ |
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三代目日新丸の就航から年数が経過し、老朽化が進んでいることから、3倍の大きさの1万6,000トン級捕鯨母船の建造計画もあったが、実現には至らなかった。2012年には、共同船舶で新捕鯨母船の建造が計画され、造船所による設計作業も進められたが、捕鯨に関する環境が複雑であることから、実際に建造されることは無かった<ref name="yab20230922"/>。 |
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２４年稼働目標 公海のナガスを想定|author= |date=2019-08-28|publisher= [[みなと新聞]]|accessdate=2021-05-10}}</ref>。[[2021年]]（令和3年）5月10日、共同船舶は南極海まで航行して漁場で作業を行う新母船の建造費を60億円とし、全額を鯨肉卸値の2割値上げや借入金、[[クラウドファンディング]]により自己資金で調達することを発表した<ref>{{cite news|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2021051000893&g=eco |title=捕鯨新母船建造へ ６０億円、２４年操業―共同船舶|author= |date=2021-05-10|publisher= [[時事通信社]]|accessdate=2021-05-10}}</ref>。船体の大型化による航続距離の確保やナガスクジラ解体への対応を図り、2024年3月の竣工を予定している<ref>「内外商船ニュース 共同船舶が捕鯨母船を新造へ」 『世界の艦船』第953集（2021年8月特大号） 海人社 P.184</ref>。 |
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2019年（令和元年）8月、三代目日新丸を保有する共同船舶は商業捕鯨の再開に伴い、[[2024年]]（令和6年）を目処に[[ナガスクジラ]]などの大型鯨類の処理が可能な代船建造を行う考えを示した<ref>{{cite news|url=https://www.minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minato/articles/94094|title=共同船舶 大型捕鯨母船建造へ |
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== 脚注 == |
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２４年稼働目標 公海のナガスを想定|author= |date=2019-08-28|publisher= [[みなと新聞]]|accessdate=2021-05-10}}</ref>。[[2021年]]（令和3年）5月10日、共同船舶は南極海まで航行して漁場で作業を行う新母船の建造費を60億円とし、全額を鯨肉卸値の2割値上げや借入金、[[クラウドファンディング]]により自己資金で調達することを発表した<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20210510125222/https://www.jiji.com/jc/article?k=2021051000893&g=eco |title=捕鯨新母船建造へ ６０億円、２４年操業―共同船舶|author= |date=2021-05-10|publisher= [[時事通信社]]|accessdate=2021-05-10}}</ref>。船体の大型化による航続距離の確保やナガスクジラ解体への対応を図り、2024年3月の竣工を予定している<ref>「内外商船ニュース 共同船舶が捕鯨母船を新造へ」 『世界の艦船』第953集（2021年8月特大号） 海人社 P.184</ref>。 |
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<div class = "references-small"> <references/> </div> |
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船は下関の旭洋造船で造られ、下関を母港とする予定である<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.yomiuri.co.jp/local/yamaguchi/news/20221114-OYTNT50063/|title=共同船舶が下関出張所 捕鯨母船建造円滑化へ|publisher=読売新聞|date=2022-11-15|accessdate=2022-11-21}}</ref>。 |
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60億円で建造される捕鯨母船は'''[[関鯨丸]]'''（かんげいまる<ref name="yomiuri20230807"/>）と命名され、2023年8月に[[進水]]<ref name="yab20230922"/>、2024年3月に竣工した<ref name="asahi20240330">{{cite web|url=https://www.asahi.com/articles/ASS3Y420XS3YTZNB005M.html|title=あらたな捕鯨母船「関鯨丸」が完成 「拠点」として５月に初出漁へ|author=白石昌幸|publisher=朝日新聞デジタル|date=2024-3-30|accessdate=2024-7-15}}</ref>。 |
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==参考文献== |
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== 出典 == |
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{{Reflist|2}} |
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== 参考文献 == |
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[[ファイル:Japan Factory Ship Nisshin Maru Whaling Mother and Calf.jpg|thumb|250px|船尾のスロープから解剖甲板へ鯨を引き上げる日新丸（3代）。]] |
[[ファイル:Japan Factory Ship Nisshin Maru Whaling Mother and Calf.jpg|thumb|250px|船尾のスロープから解剖甲板へ鯨を引き上げる日新丸（3代）。]] |
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*{{Cite book|title=SS-197, USS SEAWOLF, Part 1|url= |
*{{Cite book|title=SS-197, USS SEAWOLF, Part 1|url=https://issuu.com/hnsa/docs/ss-197_seawolf_part1|format=Issuu|publisher=Historic Naval Ships Association|ref=SS-197, USS SEAWOLF, Part 1}} |
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*{{Cite book|title=SS-202, USS TROUT|url= |
*{{Cite book|title=SS-202, USS TROUT|url=https://issuu.com/hnsa/docs/ss-202_trout|format=Issuu|publisher=Historic Naval Ships Association|ref=SS-202, USS TROUT}} |
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* [https://www.jacar.go.jp/index.html アジア歴史資料センター（公式）]（防衛省防衛研究所） |
* [https://www.jacar.go.jp/index.html アジア歴史資料センター（公式）]（防衛省防衛研究所） |
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**Ref.{{Cite book|和書|author=C08030316700|title=自昭和十七年四月一日至昭和十七年四月三十日 横須賀鎮守府戦時日誌|ref=横鎮1704(1)}} |
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* {{Cite book|和書|author=[[板橋守邦]]|title=南氷洋捕鯨史|year=1987|publisher=[[中央公論社]]|series=[[中公新書]]842|month=6|isbn=4121008421|NCID=|ref=板橋}} |
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*{{Cite book|和書|author=柴達彦|title=捕鯨一代―聞書・砲手 泉井守一|publisher=青英社|date=1986|isbn=978-4882330189|ref=柴}} |
*{{Cite book|和書|author=柴達彦|title=捕鯨一代―聞書・砲手 泉井守一|publisher=青英社|date=1986|isbn=978-4882330189|ref=柴}} |
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*{{Cite book|和書|author=松井邦夫|year=1995|title=日本・油槽船列伝|publisher=成山堂書店|isbn=4-425-31271-6|ref=松井}} |
*{{Cite book|和書|author=松井邦夫|year=1995|title=日本・油槽船列伝|publisher=成山堂書店|isbn=4-425-31271-6|ref=松井}} |
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*{{Cite book|和書|author= |
*{{Cite book|和書|author=防衛研究所戦史室編|authorlink=防衛研究所|year=1972|title=戦史叢書62 南西方面海軍作戦 {{small|第二段作戦以降}}|publisher=[[朝雲新聞|朝雲新聞社]]|ref=戦史54}} |
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*{{Cite book|和書|editor=小島敏男|title=調査捕鯨母船 日新丸よみがえる|publisher=[[成山堂書店]]|date=2003|isbn=978-4-425881-31-4|ref=小島}} |
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*{{Cite book|和書|editor=岸本充弘|title=戦前期南氷洋捕鯨の航跡 マルハ創業者・中部家資料から|publisher=花乱社|date=2020|isbn=978-4-910038-14-8|ref=岸本}} |
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== 関連項目 == |
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*[[捕鯨船]] |
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*[[図南丸]]、[[第三図南丸]] |
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*[[極洋丸]] |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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*[http://www.shipspotting.com/gallery/photo.php?lid=70464 Kosmos III]{{en icon}} |
*[http://www.shipspotting.com/gallery/photo.php?lid=70464 Kosmos III]{{en icon}} |
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*[http://channel6.dk/kosmos/uk/Page300.htm The Kosmos whaling fleet 1948/49 season]{{en icon}} |
*[http://channel6.dk/kosmos/uk/Page300.htm The Kosmos whaling fleet 1948/49 season]{{en icon}} |
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*{{YouTube|uG07wYaoM_4|捕鯨母船「日新丸」、下関を出港 日本のEEZで操業へ}}（朝日新聞社提供、2020年2月25日公開） |
*{{YouTube|uG07wYaoM_4|捕鯨母船「日新丸」、下関を出港 日本のEEZで操業へ}}（朝日新聞社提供、2020年2月25日公開） |
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2024年12月1日 (日) 05:38時点における最新版
日新丸（にっしんまる）は、日本の捕鯨母船。歴史上で日新丸と命名された捕鯨母船は3隻あるほか、第一日新丸と第二日新丸（初代・2代）および第三日新丸と林兼商店（後の大洋捕鯨、大洋漁業、マルハ、現：マルハニチロ）や日本共同捕鯨の持ち船として同名船が多数存在し、「日本の捕鯨の象徴」と呼ばれている[1]。
共同船舶が保有する4代目の日新丸は、竣工以来世界唯一の捕鯨母船で、1987年から2019年に行われた日本の調査捕鯨では、調査母船となっていた。
日新丸 (初代)
[編集]| 日新丸（初代） | |
|---|---|
.jpg) 日新丸(初代) | |
| 基本情報 | |
| 船種 | 捕鯨母船 |
| クラス | 日新丸型捕鯨母船 |
| 船籍 |
.svg){kind=small} 大日本帝国 |
| 所有者 | 林兼商店（後に大洋捕鯨） |
| 運用者 |
 大洋捕鯨 大日本帝国海軍 |
| 建造所 | 川崎造船所 |
| 母港 | 東京港/東京府 |
| 姉妹船 | 第二日新丸 |
| 信号符字 | JGFL |
| IMO番号 | 42336（※船舶番号） |
| 建造期間 | 214日 |
| 就航期間 | 2,778日 |
| 経歴 | |
| 起工 | 1936年（昭和11年）2月26日[2] |
| 進水 | 1936年（昭和11年）8月1日 |
| 竣工 | 1936年（昭和12年）9月28日 |
| 最後 | 1944年（昭和19年）5月6日被雷沈没 |
| 要目 | |
| 総トン数 | 16,801トン[2] |
| 純トン数 | 13,220トン |
| 載貨重量 | 22,190トン |
| 垂線間長 | 163.07m |
| 型幅 | 22.56m |
| 型深さ | 14.86m |
| 高さ |
12.19m(水面から1番デリックポスト最上端まで) 25.6m(水面から1番マスト最上端まで) 17.98m(水面から2番デリックポスト最上端まで) 30.78m(水面から2番マスト最上端まで) |
| 主機関 | 川崎MANディーゼル機関 1基 |
| 推進器 | 1軸 |
| 出力 | 7,120BHP |
| 最大速力 | 14.471ノット |
| 航続距離 | 13ノットで15,600海里 |
| 1941年11月25日徴用。 高さは米海軍識別表[3]より(フィート表記) | |
建造・操業
[編集]林兼商店[1]は北洋漁業に参入しようとしたが、日魯漁業（後のニチロ、現・マルハニチロ）が先行し、政府の指示もあって135万円の保証金で事業を断念せざるを得なかった[4]。そこで、既に1934年（昭和9年）に日本捕鯨（後に日本水産、現・ニッスイ）が図南丸で参入していた南氷洋捕鯨の開始を企画し、創業者で社長の中部幾次郎は次男の中部謙吉（後に3代目社長）を川崎造船所に派遣し、大型の捕鯨母船建造を相談した。応対したのは吉岡安貞専務（元・海軍少将）で、その場で建造を快諾し、漁期が始まる10月末までの竣工も確約した[5]。川崎造船所は建造にあたってイギリスのファーネス造船所から、世界初のディーゼルエンジン搭載捕鯨母船であるノルウェー船籍の捕鯨母船サー・ジェームス・クラーク・ロス（14,362トン）の設計図を10万円で購入し、万一に備えて設計図を2枚作り、シベリア鉄道経由と大西洋-アメリカ経由の航空便で入手した。建造契約の最終協議は丸ノ内ビルヂングの中部の事務所で行われ、総工費は保証金だけでは不足する550万円だったが、折しも皇太子明仁誕生の号外の鈴が鳴り「幸先が良い」と調印が終わった[6]。
原形となったサー・ジェームス・クラーク・ロスは2軸推進だが、主機製作やスクリュー調達の関係で1軸推進とした[2]ため、船尾材、舵等は新たに設計され、遮浪甲板から覆甲板に変更するなどのアレンジを加えた船型となった[7]。また、設計図だけではボイラーに不明な点があり、林兼商店の子会社で捕鯨船長を長年勤め、幾次郎に母船式捕鯨を提案した志野徳助が、雑誌や百科事典を元に手探りで調整した[2]。二・二六事件と同じ1936年（昭和11年）2月26日に起工された捕鯨母船は、翌秋の出漁期にあわせるために昼夜突貫、建造中の巡洋艦の建造を一時中断して建造が急がれ、起工から156日目の8月1日に神戸市民5万人が式典に押し寄せる中進水[2]、9月28日に竣工した。
竣工後、日新丸は同年10月7日に出航し、1937年（昭和12年）までの南氷洋捕鯨に投入された。11月1日に寄港地のフリーマントルで船団長の志野が脳出血で急死する事態に見舞われたが、幾次郎の三男である中部利三郎が船団長を引き継ぎ、1,116頭を捕獲して鯨油1万5,280トンを製造した[8]。帰港後、アメリカ西海岸のロサンゼルスに向かい、石油タンカーとして石油製品の輸入に用いられた[9]。当時最新鋭かつ国産の捕鯨船である日新丸は人気があり、1937年（昭和12年）2月には「パノラマ大模型 日新丸の鯨狩」という題名で雑誌『少年倶楽部』の付録に採用されている[10]。
1939年（昭和13年）から1940年（昭和15年）の南氷洋捕鯨では、ロス海湾口の氷結を恐れず南緯75度を南下してシロナガスクジラを多数捕獲した[11]。
1940年（昭和15年）から1941年（昭和16年）の南氷洋捕鯨は、重油の配給や連日の時化、ロス海湾口の氷結など状況が悪い中、日新丸を含む6隻で9,328頭を捕獲し、鯨油10万4,100トン、鯨肉1万3,500トンを生産した。既に日本と欧米の国際関係が悪化しており、フリーマントル寄港はおろかオーストラリアの領海から離れて航行するよう海軍から指示された。帰路にオランダ領東インドのタラカン島で行われる予定だった給油は、シェル石油の連絡が無いという理由で拒否され、偶然遭遇した日本水産のタンカー厳島丸から540トンの給油を受けて帰国できた[12]。
損傷
[編集]国際情勢の悪化により1941年（昭和16年）度南氷洋捕鯨は中止となり[12][13]、同年11月25日、「日新丸」は海軍に徴用されて海軍一般徴用船となる。徴用後の同年12月から翌1942年（昭和17年）11月まで南洋方面への輸送任務に従事。4月11日、北緯33度27分 東経135度37分 / 北緯33.450度 東経135.617度の潮岬沖でアメリカ海軍の潜水艦トラウト(USS Trout, SS-202)に発見され、魚雷1本が船尾に命中したものの、沈没には至らなかった[14][15]。11月下旬からは昭南やミリと本土の間での油輸送に従事する。1943年（昭和18年）2月7日、ミリで停泊中の「日新丸」は再度米潜トラウトに発見され、魚雷1本が日新丸の後部に命中して煙が上がり、中破した[16][17][18]。20日、ミリを出港し、24日に昭南に到着。セレター軍港で修理を受ける。
撃沈
[編集]1944年（昭和19年）5月4日、タンカー橘丸（共同企業、6,539トン）、応急タンカー白馬山丸（太洋興業、6,650トン）、貨物船天晨丸（瑞光商船、4,236トン）他輸送船12隻と共にミ02船団を編成し、水雷艇鷺、第38号哨戒艇、海防艦淡路の護衛でミリを出港。「日新丸」は船団中最大の船舶であった。16日[19]朝、船団は米潜クレヴァル(USS Crevalle, SS-291)に発見される。8時1分、クレヴァルは「日新丸」へ向け魚雷を発射。うち2本が後部に命中した「日新丸」は5分で沈没し、積荷の多量の石油を喪失した。船員15名が戦死。沈没地点はボルネオ北岸沖、北緯07度19分 東経116度52分 / 北緯7.317度 東経116.867度。
第二日新丸 (初代)
[編集]| 第二日新丸（初代） | |
|---|---|
.jpg) 第二日新丸(初代) | |
| 基本情報 | |
| 船種 | 捕鯨母船 |
| クラス | 日新丸型捕鯨母船 |
| 船籍 |
大日本帝国 |
| 所有者 | 大洋捕鯨 |
| 運用者 |
大洋捕鯨 大日本帝国海軍 |
| 建造所 | 川崎造船所 |
| 母港 | 東京港/東京府 |
| 姉妹船 | 日新丸 |
| 信号符字 | JTSL |
| IMO番号 | 43915（※船舶番号） |
| 建造期間 | 295日 |
| 就航期間 | 2,247日 |
| 経歴 | |
| 起工 | 1936年（昭和11年）12月16日 |
| 進水 | 1937年（昭和12年）6月9日 |
| 竣工 | 1937年（昭和12年）10月6日 |
| その後 | 1943年（昭和18年）11月30日廃船 |
| 要目 | |
| 総トン数 | 17,553トン |
| 純トン数 | 14,315トン |
| 載貨重量 | 21,989トン |
| 垂線間長 | 163.07m |
| 型幅 | 22.56m |
| 型深さ | 14.86m |
| 高さ |
12.19m(水面から1番デリックポスト最上端まで) 25.6m(水面から1番マスト最上端まで) 17.98m(水面から2番デリックポスト最上端まで) 30.78m(水面から2番マスト最上端まで) |
| 喫水 | 10.521m |
| 主機関 | 川崎MANディーゼル機関 1基 |
| 推進器 | 1軸 |
| 出力 | 7,210BHP |
| 最大速力 | 13.616ノット |
| 航続距離 | 13ノットで15,600海里 |
| 1941年12月2日徴用。 高さは米海軍識別表[3]より(フィート表記) | |
建造・操業
[編集]第二日新丸は、淡路島近海で行われた日新丸の試運転中、中部幾次郎が性能に満足し「これなら2号船も欲しい」と言ったのを、吉岡が二つ返事で快諾し建造が決まった[2]。川崎造船所で1936年（昭和11年）12月16日に起工。1937年（昭和12年）6月9日に進水し、同年10月6日に竣工した。先に竣工した姉妹船の日新丸は波浪で揺れやすいといった意見があったため、「第二日新丸」では船首楼と後部甲板室を1層追加と船体を大型化して揺れを若干改善。それに伴い船内の配置や設備が変更された。またデリックの能力も日新丸では過大気味であったためか全般的に小さくしている[7]。
竣工後は1937年（昭和12年）から1938年（昭和12年）の南氷洋捕鯨から投入されたが、台湾沖で陸軍に傭船され引き返し、第二次上海事変に伴う第10軍の上陸用舟艇輸送に用いられた。傭船終了後は25日遅れで南氷洋に向かったが、この間にキャッチャーボート4隻に腸チフスが蔓延し、10名が死亡した[20]。
1938年（昭和12年）から1939年（昭和14年）の南氷洋捕鯨では、船団に所属するキャッチャーボートの第十一玉丸と第六利丸、第八利丸が3月10日に結氷に囲まれて脱出不能となり、57名の乗組員は3月13日午前9時40分に船を放棄し脱出、徒歩で氷原を移動し、1名の行方不明者も出さず午後8時に救助のキャッチャーボートに合流した[21]。
1939年（昭和13年）から1940年（昭和15年）の南氷洋捕鯨では、3月に放棄した3隻のうち第八利丸を第三図南丸の船団が発見したため、曳航しながらの航行となり漁場への到着が遅れた。船団長の利三郎は不漁を危惧したが、探鯨船の関丸が東経80度から東経140度のスタージー島とバッケル島近海で、シロナガスクジラとナガスクジラの大群を発見し年末から約15日で6,000トンの鯨油を製造した[22]。
1940年（昭和15年）から1941年（昭和16年）の南氷洋捕鯨では、ロス海でドイツ海軍の仮装巡洋艦「シフ45」ことコメートに遭遇し、鯨肉を提供するなど交歓を行った[12]。
撃沈
[編集]国際情勢の悪化により1941年（昭和16年）からの南氷洋捕鯨は中止となり[12][13]、同年12月2日、「第二日新丸」は海軍に徴用されて海軍一般徴用船となる。徴用直後から翌1942年（昭和17年）12月まで南洋方面への輸送任務に従事。以降は昭南やミリと本土の間での油輸送に従事する。1943年（昭和18年）4月14日、第二日新丸は応急タンカー徳和丸（日東汽船、1,943トン）、同日鶴丸（日産汽船、1,946トン）と共に第147船団を編成し、護衛を受けず六連を出港。17日18時13分、第二日新丸は北緯23度56分 東経124度19分 / 北緯23.933度 東経124.317度の石垣島白保崎南方50海里の海上で浮遊機雷に触れ大破する[23]。機雷の爆発で船体は3つに分かれ、前部と後部が沈没し、一番大きい中央部のみが浮いていた。船団は第二日新丸を置き去りにして馬公へ向かい、第二日新丸は漂流する。18日6時、救援のため第36号哨戒艇が会合し警戒を受ける。同日17時15分、駆逐艦早苗が来着し、第36号哨戒艇は早苗に第二日新丸の警戒を任せ、第252船団の護衛のため離脱。22日0600、北緯23度25分 東経122度39分 / 北緯23.417度 東経122.650度の地点で第39号哨戒艇が来着し、早苗から第二日新進丸の警戒任務を引き継ぎ、早苗は基隆に向かった。23日朝、北緯23度48分 東経122度42分 / 北緯23.800度 東経122.700度の与那国島南方沖で、2隻は米潜シーウルフ(USS Seawolf, SS-197)に発見される。シーウルフは第39号哨戒艇を雷撃し、同艦は被雷沈没した。シーウルフは最後に残った魚雷を第二日新丸に向けて発射し、命中はしたものの不発だった[24]。同日、基隆から早苗が来着し第39号哨戒艇の生存者救助と第二日新丸の警戒を行う。24日18時、駆逐艦帆風が来着し、早苗は任務を引き継ぎ高雄へ向かった。25日8時、救難船兼曳船の立神が到着し、第二日新丸は同船に曳航される。25日、高潮の際に立神と翔鳳丸の2隻で浅瀬に座礁させられる。その後離礁され、28日に立神に曳航されて基隆に到着。11月30日に廃船となった[25]。触雷時に船員41名が戦死した。
第二日新丸は戦前の日本にあった6隻の捕鯨母船で、最初の沈没船となった[19]。
1940年から1941年の捕鯨の際に中部利三郎業務部長が記録した日誌は、2011年（平成23年）7月に利三郎の孫と中学生のひ孫によって存在が明らかになり[26]、下関市立大学鯨資料室に寄贈された[27]。この漁場日誌は、他の中部家資料の一部と共に、2020年（令和2年）に翻刻、口語訳されて出版された[28]。
第一日新丸
[編集]| 第一日新丸（大攬丸） | |
|---|---|
| 基本情報 | |
| 船種 | タンカー/捕鯨母船 |
| クラス | 3TL型戦時標準タンカー |
| 船籍 |
日本 |
| 所有者 |
大阪商船 大洋漁業 |
| 運用者 |
大阪商船 大洋漁業 |
| 建造所 | 三菱重工業長崎造船所 |
| 母港 |
大阪港/大阪府 東京港/東京都 |
| 姉妹船 | 3TL型戦時標準タンカー5隻 |
| 航行区域 | 遠洋 |
| 信号符字 | JXNW→JDDF |
| IMO番号 | 58435（※船舶番号） |
| 改名 | 大攬丸→第一日新丸→錦城丸 |
| 建造期間 | 1,019日 |
| 経歴 | |
| 起工 | 1945年1月5日 |
| 進水 | 1946年8月28日 |
| 竣工 | 1946年10月20日 |
| その後 | 1965年3月売却解体 |
| 要目 | |
| 総トン数 |
10,912トン(1946年) 11,781トン |
| 全長 | 150.8m |
| 垂線間長 | 150.0m |
| 型幅 | 20.4m |
| 型深さ | 12.0m |
| ボイラー | 21号水管缶 2基(1946年) |
| 主機関 |
タービン機関 1基(1946年) 三井B&W式ディーゼル機関 1基(1948年) 川崎MANディーゼル機関 1基(1958年) |
| 推進器 | 1軸 |
| 出力 |
5,400BHP(1948年) 8,000BHP(1958年) |
| 最大出力 | 10,000SHP(1946年) |
| 定格出力 | 8,000SHP(1946年) |
| 最大速力 | 14.0ノット |
| 航海速力 | 12.0ノット |
| 航続距離 | 16ノットで8,000海里(計画) |
建造
[編集]元々は三菱重工業長崎造船所で大阪商船（現・商船三井）の石油タンカーである3TL型戦時標準船大攬丸（だいらんまる）で、同船は建造中に長崎市への原子爆弾投下に遭い放置されていた。
林兼商店から西大洋漁業統制、西大洋漁業を経て、1945年（昭和20年）12月に再改称した大洋漁業は、まず小笠原近海での捕鯨を行うこととしたが、保有していた日新丸・第二日新丸を含む6隻の捕鯨母船は全滅していた。そんな折「日本鋼管鶴見造船所で修理中の捕鯨船の隣にスリップウェイのついた軍艦がいる」という情報が持ち込まれた。大洋漁業はその「スリップウェイのついた軍艦」こと、第一号型輸送艦の第九号輸送艦、第十六号輸送艦、第十九号輸送艦を改造したものを借用し、1946年（昭和21年）3月から捕鯨母船として小笠原近海捕鯨を行った。冷凍設備が無く冷蔵と塩漬に限定され、低緯度の高温地域での操業のため甲板が高温になり、鯨肉は腐敗しやすく、腐臭で倒れる作業員もいた[29]。
小笠原捕鯨の成功を受けて、農商務省は大洋漁業の働きかけを受けて、鯨肉生産による食料（特にタンパク質と脂肪）確保と鯨油輸出による外貨獲得を目的とする南極海での捕鯨再開を計画し、連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）天然資源局も応諾した[30]。財閥解体の対象となった日本水産（現・ニッスイ）も参加することになったが、借用していた輸送艦は連合国に賠償艦として引き渡されることになったことから使えず、南氷洋捕鯨用の捕鯨母船を必要とした。そこで日本水産は橋立丸、大洋漁業は大攬丸に目をつけ、同船を購入して捕鯨母船へ改造することになった。オーストラリア政府は終戦から1年にもならない敗戦国が1万トン以上の大形船建造することに反対したが、ジョージ・マーシャル米国務長官が「反対国は日本に1,000万ドルの食料援助をしてもらう」と説得し[31]、GHQは捕鯨母船の建造を許可した。改造されることになった大攬丸だったが、資材不足の上に食糧事情もあり、造船所の工員の効率も上がらなかった。造船所は長崎県に米飯の特別配給を要請して、大洋漁業の長く使うための良質鋼材の調達要請も黙殺した[32]。大攬丸は第一日新丸と改名され、1946年（昭和21年）10月15日に竣工。大攬丸時代にGHQの日本商船管理局（SCAJAP）により与えられたSCAJAP-N068の管理番号を継承した。
操業
[編集]市民の盛大な声援を受けて長崎港を出航した第一日新丸だったが、一昼夜後に機関故障を起こし長崎港に戻ったため1-2週間遅れで南氷洋に到着[32]したり、ボイラーの不調で蒸気が漏れたり鯨油が逆流したりして休漁になる[33]など、急造船のため事故が続出した。1947年（昭和22年）までの南氷洋捕鯨で、第一日新丸と橋立丸はシロナガスクジラ換算で932頭を捕獲したが、これは同じ漁期に南氷洋で捕獲された1万5,304頭の約6%に過ぎなかった[34]。しかし肉牛換算で13万頭分のタンパク質がもたらされ、1946年の大洋漁業の売り上げの約36%を捕鯨関係が占めた[35]。
1947年（昭和22年）の帰港後、第一日新丸は7ヶ月かけて設備の修繕や主機関を増設などの整備を行った。11月6日、第一日新丸は1948年（昭和23年）の南氷洋捕鯨に横須賀港を出航したが、前年の捕鯨による食料入手と外貨収入に満足したGHQは軍楽隊の演奏で送迎し、市民の熱烈な送迎で出航は1時間遅れた。この漁期では大きな故障も無く、便乗したGHQの指導官により条約の遵守と作業の効率化が図られたため、第一日新丸と橋立丸はシロナガスクジラ換算で1,017頭（同じ漁期に南氷洋で捕獲された総頭数の約6.2%）を捕獲した[36]。
1948年（昭和23年）8月、従来のボイラーと主機を撤去し、三井製ディーゼル機関を装備した。1949年（昭和24年）までの南氷洋捕鯨を終えて4月13日に横須賀港に帰港した第一日新丸の歓迎式で、GHQ天然資源局のスケンク中佐は以下のように挨拶した[37]。
マッカーサー元帥は諸氏の使命完遂に満足している。国際捕鯨条約にのっとって行動された諸氏の記録は模範的であり、その操業率、および鯨利用度は日本捕鯨史上かつて到達した最高のものである。
当時、オーストラリア政府から戦争賠償として本船と橋立丸を譲渡するよう要求があったが、アメリカ合衆国政府の反対により実現を免れている[38]。
1950年（昭和25年）にはレーダーの搭載をGHQから許可され、RCA製のレーダーを搭載して操業した。1951年（昭和26年）までの南氷洋捕鯨で第一日新丸と橋立丸が捕獲した鯨は1,300頭に減少した。しかし朝鮮戦争の勃発で油脂価格が高騰したため、大洋漁業の総売上高に捕鯨部門が占める割合は、戦前戦後最高の33%に及んだ[39]。6月11日、新造された日新丸の就役に伴い、石油タンカーへ改造すると同時にB.V.船級取得改造工事を受け、錦城丸と改名した。
1954年（昭和29年）4月30日、前年の日新丸の好成績に影響され、川崎造船所で再度捕鯨母船へ改造。1955年（昭和30年）までの南氷洋捕鯨は日新丸と錦城丸、図南丸の3船団で前年から46%増加の2,776頭を捕獲した[40]。
1958年（昭和33年）10月、川崎製ディーゼル機関に換装。
1961年（昭和36年）、第三日新丸の就役で南氷洋捕鯨から外された[41]。
1965年（昭和40年）3月、解体のため三菱商事に売却され、のちに大阪で解体された。
日新丸 (2代)
[編集]| 日新丸（2代） | |
|---|---|
| 基本情報 | |
| 船種 | タンカー/捕鯨母船 |
| クラス | 日新丸型捕鯨母船 |
| 船籍 |
日本 |
| 所有者 | 大洋漁業 |
| 運用者 |
大洋漁業 |
| 建造所 | 川崎造船所 |
| 母港 | 東京港/東京都 |
| 姉妹船 | なし |
| 信号符字 | JCMC |
| IMO番号 | 67661（※船舶番号） |
| 建造期間 | 347日 |
| 経歴 | |
| 起工 | 1950年（昭和25年）10月19日 |
| 進水 | 1951年（昭和26年）6月21日 |
| 竣工 | 1951年（昭和26年）9月30日 |
| その後 | 1973年（昭和48年）4月売却 |
| 要目 | |
| 総トン数 | 16,777トン |
| 載貨重量 | 22,993トン |
| 垂線間長 | 175.0m |
| 型幅 | 23.40m |
| 型深さ | 12.62m |
| 喫水 | 10.6m |
| 主機関 | 川崎MANディーゼル機関 1基 |
| 推進器 | 1軸 |
| 出力 | 10,060PS |
| 最大速力 | 14.0ノット |
| 航海速力 | 13.0ノット |
1951年（昭和26年）9月30日、川崎造船所にて竣工。竣工と同時にSCAJAPによりSCAJAP-N132の管理番号を与えられた。タンカー改造の第一日新丸に対し、シロナガスクジラを1日に30頭処理する設備を有した[42]。
1953年（昭和28年）から1954年（昭和29年）の漁期では、日新丸と橋立丸で1,896頭を捕獲した。特に日新丸は1,085頭を捕獲し、日本の捕鯨母船で初めて1,000頭の大台に乗り、バリーナ（英国、後の第三極洋丸[43]）、アブラハム・ラーセン（南アメリカ、後の第二日新丸[44]）、コスモスIV（ノルウェー）に次ぐ捕獲量を誇った[40]。
1961年（昭和31年）から1962年（昭和37年）の南氷洋捕鯨は、第二日新丸が火災で帰国したため、そのロスを補うため西経漁場の西経0度線から西経60度線まで進出し、欧州の捕鯨船団の撤退や縮小で回復していたナガスクジラの好漁場を発見した[41]。
1971年（昭和46年）に鯨油タンカーに改造。
1973年（昭和48年）4月、中華人民共和国の企業に売却。以降の消息は不明だが、1981年（昭和56年）時点では現役だった。
![[icon]](/https/ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Wiki_letter_w_cropped.svg){kind=small} | この節の加筆が望まれています。 |
第二日新丸 (2代目)
[編集]元はドイツ船籍の捕鯨母船ウニタスで、1937年の建造当時世界最大の捕鯨母船だった。第二次大戦中にイギリスに拿捕されエンパイヤ・ビクトリー（Empire Victory）に改名され、1946年に南アフリカ共和国に譲渡の上アブラハム・ラーセン（Abraham Larsen）と再改名された[45]。1953年から1954年の南氷洋捕鯨で漁獲量2位だった[40]捕鯨母船を、1956年（昭和31年）に大洋漁業が6隻のキャッチャーボート込みで買収した[44]。優秀な捕鯨船団である第二日新丸の就役で、日本の捕鯨船団は戦前の最盛期とと同じ6船団まで回復し、1956年から1957年（昭和32年）の南氷洋捕鯨の捕獲頭数合計は4,637頭と前漁期の29%も増加した[40]。
1961年（昭和41年）10月30日[46]にソロモン海域で火災が発生し、一昼夜半炎上し続けた[41]。船内を密封して酸素を絶とうとしたが失敗し、放水による消火を図ったが、効果が無く注水で船体が傾き始めた。そこで甲板に穴を開けて蒸気を送り込み、3日目に鎮火した。鎮火後、キャッチャーボートで日本に曳航され、佐世保重工業で修復に入った。火元のデッキは酸素やアセチレンのボンベが誘爆して大破していた[47]が、11月24日に修復を終えて再出発した[46]。
ペンギンを持ち帰ることがあり、長崎水族館で39年間に渡って飼育され世界最長飼育記録を残したキングペンギン「ぎん吉」や、同館で28年間に渡って飼育されたエンペラーペンギン「フジ」は第二日新丸に捕獲され渡来した個体だった[48]。
1965年（昭和40年）、国際捕鯨委員会（IWC）会議で捕獲枠が前年より1,000頭減少の3,500頭まで削減され、ザトウクジラ1年、シロナガスクジラ5年の禁漁が決まったことにより、極洋捕鯨（現・極洋）の第二極洋丸と共に南氷洋捕鯨から撤退した[49]。その後すり身工船に改装され、1986年にスクラップとして台湾に売却された[45]。
- 総トン数 27,035トン[44]
-
サンデフィヨルドにおける「アブラハム・ラーセン」（右、後の第二日新丸、1956年） -
岸壁に停泊する「アブラハム・ラーセン」（中央）と「バリーナ」（下、後の第三極洋丸、1950年代前半）
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第三日新丸
[編集]| 第三日新丸 | |
|---|---|
 コスモスIII（後の第三日新丸、1947年頃） | |
| 基本情報 | |
| 船種 | 捕鯨母船 |
| クラス | 第三日新丸型捕鯨母船 |
| 船籍 |
 ノルウェー 日本 |
| 所有者 |
Kosmos whaling company（1947年-1961年） 大洋漁業（1961年-1976年） 日本共同捕鯨（1976年-1987年） 共同船舶（1987年-1991年）[46] |
| 運用者 |
Kosmos whaling company 大洋漁業 日本共同捕鯨 共同船舶 |
| 建造所 | A/B Gotaverken |
| 母港 |
サンデフィヨルド港/サンデフィヨルド 東京港/東京都 |
| 姉妹船 | なし |
| 信号符字 | JNTO |
| IMO番号 |
5253494 86899（※船舶番号） |
| 改名 | Kosmos III→第三日新丸 |
| 経歴 | |
| 進水 | 1947年（昭和22年）11月 |
| その後 | 1991年（平成3年）売却解体 |
| 要目 | |
| 総トン数 | 23,108トン |
| 載貨重量 | 23,332トン |
| 全長 | 194.6m |
| 垂線間長 | 182.77m |
| 型幅 | 23.77m |
| 型深さ | 17.68m |
| 満載喫水 | 9.6m |
| 主機関 | ディーゼル機関 1基 |
| 推進器 | 1軸 |
| 出力 | 6,750BHP |
| 最大速力 | 13.2ノット |
| 航海速力 | 12.0ノット（満載） |
元々はスウェーデンのイェータヴェルケン社で建造され、1947年（昭和22年）に進水した捕鯨母船コスモスIII（Kosmos III）。竣工後はノルウェーのKosmos whaling companyが所有し、南氷洋での捕鯨に使用された。
1961年（昭和36年）、大洋漁業は綿城丸の代替のために同船を購入し、第三日新丸に改名して運航した[45]。
1976年（昭和51年）6月の日本共同捕鯨設立に伴い、日本水産の第二図南丸、極洋の第三極洋丸の船団と共に同社に売却された[46][50]。
第三日新丸の船団による第42次南氷洋捕鯨が1987年（昭和62年）3月14日に終了したことで、南氷洋商業捕鯨の幕が降ろされた。日本共同捕鯨の解散後、共同船舶に移籍して調査捕鯨の調査母船となったが、船齢40年以上の老朽化と過剰性能で、1991年（平成3年）、解体のため中国の企業に売却された[46]。
日新丸 (3代)
[編集]| 日新丸（3代） | |
|---|---|
 日新丸（3代）の概要図 | |
| 基本情報 | |
| 船種 | 捕鯨母船 |
| クラス | 筑前丸型トロール船 |
| 船籍 |
日本 |
| 所有者 |
日本水産 共同船舶 |
| 運用者 |
日本水産 共同船舶 |
| 建造所 | 日立造船因島工場[51] |
| 母港 | 東京港/東京都 |
| 姉妹船 | なし |
| 信号符字 | JJCJ |
| IMO番号 |
8990079 130177（※船舶番号） |
| MMSI番号 | 431501779 |
| 改名 | 筑前丸→日新丸 |
| 経歴 | |
| 起工 | 1987年（昭和62年）4月 |
| 進水 | 1987年（昭和62年）8月 |
| 竣工 | 1987年（昭和62年）12月[1] |
| 運航終了 | 2023年（令和5年）11月6日[52] |
| 要目 | |
| 総トン数 |
7,659トン(1987年) 8,030トン(2005年) 8,145トン（2023年）[53][52] |
| 載貨重量 | 5,999トン(1987年) |
| 全長 | 129.58m |
| 垂線間長 | 117.0m |
| 型幅 | 19.40m |
| 型深さ | 11.70m |
| 主機関 | 日立M-B&W式ディーゼル機関 1基 |
| 推進器 | 1軸 |
| 出力 | 7,320PS |
| 最大速力 | 17.49ノット |
| 航海速力 | 14.3ノット |
| 積載能力 | 1,600t（冷凍庫）[54] |
元々は日本水産がアメリカ合衆国からの商業捕鯨撤退の交換条件として出された遠洋漁業に使用するために、船舶新造を中止した日立造船因島工場（現・ジャパン マリンユナイテッド因島事業所）の最後の新造船[55]として建造され[51]1987年（昭和62年）12月に竣工したトロール船筑前丸だった[1]。しかしアメリカはパックウッド･マグナソン法を制定し、排他的経済水域での遠洋漁業の認可さえも取り消したため、行き場を失っていた。そこで、第三日新丸の代替として日立造船因島工場で捕鯨母船に改造し、日新丸に改名した。トロール船から改装された経緯から、これまでの捕鯨母船と比べると1万トンに満たない、かなり小型の捕鯨母船である。1991年（平成3年）の第5回南極海鯨類捕獲調査から捕鯨に従事し[1]、2019年（令和元年）まで毎年日本鯨類研究所に傭船され、27回にわたり[53][52]、調査捕鯨の調査母船として運用された。2019年（令和元年）7月の日本の商業捕鯨再開以降は、日本近海の沖合水域で[52]、母船式捕鯨の母船として運用された。
改装・改名後も船主は日本水産のままだったが、2005年（平成17年）に共同船舶に売却された。
火災事故
[編集]1998年の火災事故
[編集]1998年（平成10年）11月20日深夜、南緯20度36.6分 東経159度53.7分 / 南緯20.6100度 東経159.8950度の珊瑚海[56]にて船内の製油工場付近で出火し、11月21日1時1分に火災報知器が作動した[57]。火災区間の封鎖を図ったが、失敗した[58]した上に主機が停止し自力航行が不可能となった[59]。1時41分には消火用ポンプが停止し自力での消火が不可能となり[60]、2時40分に一番近くを航行していた第二十五利丸が接舷[61]、運航行要員の34名を残して縄梯子[62]で77名の乗組員を第二十五利丸に移し[63]、第一京丸が接舷して消火に当たった[64]。8時40分には火災後も稼働していた発電機が自然停止し[65]、10時頃には包装工場への類焼が原因とみられる紙が焼ける匂いが充満したため[66]、船長は退船準備を命じた[67]が、機関部員が酸素ボンベをつけて機関室に突入して発電機の再稼働用の空気が残っていることを確認し[68]、20時には甲板長が一過性の一酸化炭素中毒で卒倒した[69]。11月22日に船団から募った突入隊が工場区画に3回にわたり突入し、延焼が見られないことが確認された[70]が、突入時に二等機関士が一酸化炭素中毒で倒れた[71]。11月23日に突入隊が工場区画の密封と機関室の孤立化に成功し、80-85%が鎮火した[72]。11月24日7時に甲板手1名が自殺を図ったのが見つかり、心臓マッサージが行われたが死亡[73]。通信は多忙を極め、中川昭一農林水産大臣や中須勇雄水産庁長官らが弔電と乗組員への励ましのメッセージを寄せた[74]。この間に機関部員が発電機の復旧作業[75]に、甲板部員が工場区画の確認作業に入り、発電機1基が復旧[76]。11月25日に非常用発電機が使えるようになったため、第一京丸からの電力供給を止め、機関室の排気ファンとビルジポンプを作動させた[77]。11月26日に製造事務室の書類が高温で着火したため、製造事務室の消火活動を行い第一京丸からの送水を再開[78]。11月27日に酸素ボンベ無しで工場区画に立ち入り可能となり、17時に主機関が再稼働した[79]。11月28日11時39分頃に鎮火し、第一京丸は消火ホースを撤収。目視採集船に退避した母船の乗組員が戻り[80]、11月29日14時40分に清水の補給を受けた第一京丸が離舷した[81]。なお、この時の日新丸の司厨長は第二日新丸の火災にも遭遇しており、2度にわたり捕鯨母船の火災を目の当たりにすることとなった[47]。
日新丸は11月25日にニューカレドニアのヌメアに入港することが決まり[76]、因島工場の工員による応急処置の準備が勧められた[82]、タグボートは、当初ニュージーランド船籍の小形船が用意された[83]が船主がリベートを要求したため破談、ブリスベンの航洋曳船も船価の1割の2億1,000万円ものリベートを要求したため破談した[84]。勇進丸と第二共進丸による曳航も計画された[85]が、ポートモレスビーの航洋曳船「パシフィック・サルバー」が日新丸に向かい[86]、日新丸は11月30日15時に曳航され[81]、12月2日にヌメアに入港し火災や自殺した甲板員について現地警察の捜査を受けた[87]。火災個所の被害は深刻で、因島工場の技師による調査で日本での復旧が必要と判断された[88]。
11月25日、ギンムツの乱獲反対活動にポンペイ島へ向かっていた[89]環境テロリスト団体・グリーンピースの活動船「アークティック・サンライズ」が日新丸に接触[90]し、船団より先にヌメアに入港してデモ活動を始めた[91]。12月7日、グリーンピースのメンバー4人が日新丸と第一京丸に侵入し、1人は第一京丸の砲台に自らの体を括り付け、他は同船のスクリュープロペラを鎖で固定した[92]。第一京丸が放水で対抗する中、その後も同会はデモ活動を続け、アンカーチェーンにぶら下っていた活動家を交代させた[93]が、地元警察は損傷などの実害や裁判所の命令がないと排除できないと静観[94]。この際にグリーンピースの妨害船に乗っていた日本人女性が調査捕鯨船団に対して日本語で「脅迫状」を交付した[92]ため、水産庁と鯨研は抗議し、その後グリーンピース・ジャパンが「内容が不適切だった」と謝罪し、第一京丸の活動家も自ら退船した[95]。12月8日9時50分、日新丸はヌメアを出航[96]し、12月20日9時に日立造船因島工場に入渠。直ちに修復作業に入り、1999年（平成11年）1月5日に再び南氷洋へ出航した[97]。造船所及び各機械メーカーの全面協力により正月休暇を返上しての突貫工事で応急復旧を行ったが、全面的な修復は、その年の北洋海域の調査捕鯨後になった[98]。
2007年の火災事故
[編集]2007年（平成19年）2月15日、南極海ロス海において日新丸の加工工場から出火し、作業員1名が死亡した。グリーンピースがニュージーランド沖を航行する同団体の船による曳航を申し出たが、日本政府はこれを拒否した[99]。2月24日に自力航行が可能になったものの、南極海鯨類捕獲調査は860頭の捕獲予定頭数の約半分のみ捕獲して、船団は1ヶ月早く帰国の途に就いた。水産庁の担当者は、日新丸は3月末に復旧して5月の北洋海域の調査捕鯨や秋からの次の南氷洋調査捕鯨には問題無いとコメントしたが、オーストラリアのマルコム・ターンブル環境大臣（当時）は調査捕鯨の早期終了を歓迎し、シー・シェパードは「クジラを愛する人々すべてにとっての朗報」、グリーンピースは「調査が本来の目的ならば、船団はデータ収集を継続していた。（調査船団の帰還は）調査ではなく捕鯨が目的だということが分かる。」と声明を出した[100]。
ハラール認証取得
[編集]2013年（平成25年）11月24日、ハラールの認証書を取得した[101]。
妨害活動
[編集]引退
[編集]
維持管理に1年間で7億円がかかるなど老朽化が著しく[54]、代替船の建造が進んだことから、2023年（令和5年）11月6日に最後の航海を終えた。ニタリクジラ187頭とイワシクジラ24頭を捕獲して下関港に帰港し[52][102]、引退セレモニーが開催された。33年間で1万7,072頭の鯨類の解体に当たった[1]。引退後はパラオに無償提供され冷凍倉庫として用いられる計画もあった[53]が、部品や設備の一部を後継の関鯨丸で転用し[102]、同年12月より北九州市の工場で解体が始まり[1]、2024年（令和6年）5月に廃船となる予定である[102]。
代替船新造計画
[編集]三代目日新丸の就航から年数が経過し、老朽化が進んでいることから、3倍の大きさの1万6,000トン級捕鯨母船の建造計画もあったが、実現には至らなかった。2012年には、共同船舶で新捕鯨母船の建造が計画され、造船所による設計作業も進められたが、捕鯨に関する環境が複雑であることから、実際に建造されることは無かった[54]。
2019年（令和元年）8月、三代目日新丸を保有する共同船舶は商業捕鯨の再開に伴い、2024年（令和6年）を目処にナガスクジラなどの大型鯨類の処理が可能な代船建造を行う考えを示した[103]。2021年（令和3年）5月10日、共同船舶は南極海まで航行して漁場で作業を行う新母船の建造費を60億円とし、全額を鯨肉卸値の2割値上げや借入金、クラウドファンディングにより自己資金で調達することを発表した[104]。船体の大型化による航続距離の確保やナガスクジラ解体への対応を図り、2024年3月の竣工を予定している[105]。 船は下関の旭洋造船で造られ、下関を母港とする予定である[106]。
60億円で建造される捕鯨母船は関鯨丸（かんげいまる[53]）と命名され、2023年8月に進水[54]、2024年3月に竣工した[107]。
出典
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参考文献
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- 松井邦夫『日本・油槽船列伝』成山堂書店、1995年。ISBN 4-425-31271-6。
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- 小島敏男 編『調査捕鯨母船 日新丸よみがえる』成山堂書店、2003年。ISBN 978-4-425881-31-4。
- 岸本充弘 編『戦前期南氷洋捕鯨の航跡 マルハ創業者・中部家資料から』花乱社、2020年。ISBN 978-4-910038-14-8。
外部リンク
[編集]- 天翔艦隊文書資料室
- なつかしい日本の汽船 日新丸(初代)
- なつかしい日本の汽船 第二日新丸(初代)
- なつかしい日本の汽船 第一日新丸
- なつかしい日本の汽船 日新丸(2代)
- なつかしい日本の汽船 第三日新丸
- なつかしい日本の汽船 筑前丸
- 日新丸(初代)
- 第二日新丸(初代)
- Kosmos III
- The Kosmos whaling fleet 1948/49 season
- 捕鯨母船「日新丸」、下関を出港 日本のEEZで操業へ - YouTube（朝日新聞社提供、2020年2月25日公開）
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- この記事はアメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。