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{{銃器 |
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{{Infobox Weapon |
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|名称 = AK107 |
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|設計・製造 = 設計:[[ミハイル・カラシニコフ]]<br/> ユーリイ・K・アレクサンドロフ<br/> V・N・パラーニン{{Sfn|NO Assoc. DEAL|2010|pages=248-251}}<br/>製造:[[イジェフスク機械製作工場|イズマッシュ社]] |
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<!-- Type selection --> |
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|種別 = [[アサルトライフル]] |
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<!-- Service history --> |
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|口径 = 5.45 mm(AK107)<br/>5.56 mm(AK108) |
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|銃身長 = 415 mm |
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<!-- Production history --> |
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|装弾数 = '''AK107'''<br/>30発(6L23[[弾倉#ボックスマガジン|箱型弾倉]])<br/>60発(6L31箱型弾倉)<br/>([[AK-74|AK74]]互換)<br/>'''AK108'''<br/>30発(6L29箱型弾倉) |
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|designer=Youriy K. Alexandrov |
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|作動方式 = [[ガス圧作動方式#ロングストロークピストン式|ロングストロークピストン式]]<br/>[[ガス圧作動方式#ロータリーボルト式|ロータリーボルト式]]<br/>BARSシステム<br/>セミ/フルオート/3点バースト切替射撃 |
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|発射速度 = 850発/分(AK107)<ref name="AK107" /><br/>900発/分(AK108)<ref name="AK108" /> |
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|manufacturer=[[イジェフスク機械製作工場]] |
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<!-- General specifications --> |
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'''AK107'''は、[[5.45x39mm弾]]を使用する[[AK-74#AK100シリーズ|AK100シリーズ]]の[[ロシア]]製[[アサルトライフル]]である。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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AK107の特徴として、かつて[[AEK-971]]で用いられたのと似た安定化機構が挙げられる。従来のカラシニコフ型[[小銃]]にユーリイ・K・アレクサンドロフとV・N・パラーニンが開発した新型のガスシステムが組み込まれている。 |
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これらの新型ライフルは、[[1970年代]]初期に開発された技術実証用の[[:en:AL-7|AL-7]] ライフルに由来する。AL-7は革新的な自動反動安定化システム |
これらの新型ライフルは、[[1970年代]]初期に開発された技術実証用の[[:en:AL-7|AL-7]] ライフルに由来する。AL-7は革新的な自動反動安定化システム('''BARS''':'''B'''alanced '''A'''utomatics '''R'''ecoil '''S'''ystem)として知られる安定化ガス給弾機構を備えており、これは反動と[[銃口]]の跳ね上がりを除去するため、[[1965年]]にピョートル・アンドレイェヴィチ・トカチェフが[[TsNIITochMash]]にて開発した[[:en:AO-38 assault rifle|AO-38]]で最初に用いられた。この機構は[[イジェフスク機械製作工場]]の若手[[技術者|エンジニア]]だったアレクサンドロフによって改良が加えられ、'''AL-7'''と名づけられた[[プロトタイプ|試作型]]が開発された。AL-7は、[[ソ連地上軍|ソ連陸軍]]が制式[[小銃]]として採用した[[AK-74|AK74]]と比べて生産するには高価すぎると考えられた。それから[[1990年代]]まで開発が進展することはなく、すでにアレクサンドロフが年配の[[技師]]となったころになって[[AN-94]]よりは安価な別の選択肢として設計することを指示された。 |
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この新型小銃とオリジナルのAL-7の差異は1つしかない。 |
この新型小銃とオリジナルのAL-7の差異は1つしかない。AK107のレシーバーには溝がなく、3点バースト機能はすでに備わっていた。別の言い方をすれば、試作型のAL-7とほぼ変わらないということである。 |
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== 設計 == |
== 設計 == |
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AK107とAK108は[[1940年代]]に原型が作られたカラシニコフ型動作方式とは重要な変化があるとされている。特徴である安定化機構は[[ニュートン力学#質点に関する運動の法則|ニュートン力学第三法則]](作用・反作用の法則)を用いている。この機構は、それぞれ反対方向へ動作する2本のオペレーティングロッドを使用することによって反動を安定化するという、反動軽減カウンターマスメカニズムを採用している。2本のオペレーティングロッドのうち、上側の1本が前方向へ作動するガスピストンと、そして下側のもう1本が後ろ方向へ作動するガスピストンとそれぞれ結合している。ハンドガード前端付近にあるガスチューブは、2本のロッドがある都合から前後2つの出口を持つ。ハンドガード上部にある大型のガスチューブカバーは、それぞれのロッドを保護する役割がある。 |
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AK107とAK108は[[射撃]]時に[[気体|ガス]]が銃身のガスポートから分岐してガスチューブに入り込んで2本のガスピストンを前後へ押し、下側のロッドがボルトキャリアを後部に押しやるのと同時に、反動を打ち消す上側のロッドがレールを前方へ押しやる形となる。重要な往復時の動作は両者と連動するよう繋がれた星型の[[スプロケット]]によってロッドが共に動ききった後、元の地点まで完全かつ同時に戻るようになされる。このように反動が軽減され、精度の向上と制御しやすいフルオート射撃を行えるようになる。往復部のストロークは他のカラシニコフ設計の[[小銃]]より短いため、標準的なカラシニコフ小銃(600発/分)より高い、850 - 900発/分という射撃レートを誇る。しかしながら、体感される反動が著しく低減されているため、特にバースト射撃中での射撃精度が向上していると製造者は主張しており、その精度は[[AK-74#AK74M|AK74M]]や他の[[AK-74#AK100シリーズ|AK100シリーズ]]と比較して1.5 - 2倍であると報告される<ref>[http://izhevsk.club.guns.ru/eng/ak107.html Valery Shilin's Gun Club<!-- Bot generated title -->].</ref><ref name="AK107">{{Cite web |url=http://www.izhmash.ru/eng/product/ak107.shtml |title=AK107 Kalashnikov assault rifle with balanced action, caliber 5.45 mm. |publisher=[[イジェフスク機械製作工場|OJSC Izhmash]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20010126012200/http://www.izhmash.ru/eng/product/ak107.shtml#top |archivedate=2001-01-26 |accessdate=2023-09-01}}</ref><ref name="AK108">{{Cite web |url=http://www.izhmash.ru/eng/product/ak108.shtml |title=AK108 Kalashnikov assault rifle with balanced action, caliber 5.56 mm. |publisher=[[イジェフスク機械製作工場|OJSC Izhmash]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20010124003400/http://www.izhmash.ru/eng/product/ak108.shtml |archivedate=2001-01-24 |accessdate=2023-09-01}}</ref>{{Sfn|NO Assoc. DEAL|2010|pages=248-251}}。 |
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AK107は射撃モードを変更することができ、セミオートとフルオートの中間に3点バースト射撃機能がある。AK107において、3点バースト射撃はたとえ1,2発目を発射している途中であったとしても[[トリガー (銃)|トリガー]]を引き直すたびにカウントはリセットされる。レシーバー左側にあるマウントレールは光学および[[暗視装置|夜間照準器]]を備え付けることが可能で、[[GP-25|GP-30]]などの40 mm[[グレネードランチャー]]も装備可能である。 |
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[[ファイル:Kalaschnikow AK 107 noBG.png|サムネイル|300x300ピクセル|[[ラトニク|ラトニク計画]]に提出された仕様のAK107の一つ。レシーバーカバー上部に[[ピカティニー・レール|ピカティニーレール]]が追加され、その後端に新型リアサイトを備えている。]] |
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AK-108はAK-107の[[5.56x45mm NATO弾]]を用いる派生型である。他のAK-100シリーズのようにこれらの新型AKも、ピストルグリップやヒートシールドに用いられる[[繊維強化プラスチック]]のように化学合成素材を用いている。このような素材は、原型の[[AK-74]]や[[AK-47#AKM|AKM]]の[[木]]製素材よりも費用対効果が高く、強靭である。 |
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またAK107には[[ラトニク|ラトニク計画]]に提出するための試作モデルが数種類確認されている。2011年に発表された最初の改良モデルは、レシーバーカバーに[[ピカティニーレール]]とレシーバーカバー固定用ラッチが備えられており、レシーバー左側面のサイドレールは削除されている。リアサイトもレシーバーカバー前端にあったタンジェントタイプのものから、レシーバーカバー後端に移された固定式のアパーチャータイプへと変更されている。2012年に行なわれた軍事演習「Kavkaz-2012」で使用されたモデルでは更に改良が加えられており、2011年モデルに伸縮調整・折りたたみ可能な独自形状の[[銃床]]やピカティニーレール付きロアハンドガードの追加、リアサイトを固定式からピカティニーレール対応の脱着式に変更{{Efn2|レシーバーカバーに固定されていたリアサイトベースが無くなった分、ピカティニーレール後端が延長されている。}}、60連クアッドカラム[[弾倉]]である6L31を備えていた<ref>{{Cite web |last=Popenker |first=Maxim |url=https://modernfirearms.net/en/assault-rifles/russia-assault-rifles/ak-107108-eng/ |title=AK-107/108 |publisher=Modern Firearms |accessdate=2024-03-20}}</ref><ref>{{Cite web |last=Johnson |first=Steve |url=https://www.thefirearmblog.com/blog/2012/09/27/improved-ak-107-60-round-magazine-holo-sight/ |title=Improved AK-107, 60 round Magazine & Holo Sight |date=2012-09-27 |publisher=The Firearm Blog |accessdate=2024-03-20}}</ref><ref>{{Cite web |last=Onokoy |first=Vladimir |url=https://www.thefirearmblog.com/blog/2022/01/05/unknown-history-new-russian-ak-12-kalashnikov-rifle-part-1/ |title=The Unknown History of Russian AK-12 Kalashnikov Rifle: Part 1 |date=2022-01-05 |publisher=The Firearm Blog |accessdate=2024-03-20}}</ref>。そのほかにも前述したモデルにロシアの銃器カスタムパーツを販売する企業であるゼニット製のB-10MハンドガードとPT-1折りたたみ[[銃床]]を取り付けたモデルが存在する。 |
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== 派生型 == |
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=== AK108 === |
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'''AK108'''は、AK107を[[5.56x45mm NATO弾]]を使用できるように変更したモデル。 |
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=== サイガ MK-107 === |
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[[File:Saiga MK-107.jpg|thumb|MK-107]] |
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'''サイガ MK-107'''は、カラシニコフ SR1の前モデルにあたる狩猟用および競技用の民間向けモデルのAK107。使用弾薬は[[5.56x45mm NATO弾|5.56×45mm弾]]で、[[銃床]]を[[AR-15]]パイプに変更、伸縮調整・折りたたみが可能なものに変更、ハンドガードをより握りやすい円柱形に近く滑らかなものに変更、グリップもより握りやすい[[PP-19 Bizon|PP-19-01]]と同様のものに変更している。マガジンキャッチは自重落下による迅速な再装填が可能なタイプになっており、より多くの[[照準器]]に対応するためレシーバー上部全面が[[ピカティニーレール]]になっており、アイアンサイトは省略された。ガスブロックはデザインが変更され、マズルは[[AK-74|AK74]]と同様のものから左右3つずつ穴が開けられた[[マズルブレーキ]]に変更されている。 |
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=== カラシニコフ SR1 === |
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[[ファイル:Kalashnikov SR-1 2017.jpg|サムネイル|299x299ピクセル|カラシニコフ SR1]] |
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'''カラシニコフ SR1'''は、ロシアの[[カラシニコフ・コンツェルン]]によって開発されたAK107をベースとした競技用[[自動小銃]]。使用弾薬を5.56x45mm NATO弾に変更し、マガジンウェルをAK独特のものから[[STANAG マガジン|STANAGマガジン]]などが使用できる西側規格のものに変更している。また銃身を延長した'''カラシニコフ SR1 №1'''というモデルも存在している。 |
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2024年11月30日 (土) 20:31時点における最新版
GP-25 グレネードランチャーを装備したAK107 | |
AK107 | |
---|---|
種類 | アサルトライフル |
製造国 | ロシア |
設計・製造 |
設計:ミハイル・カラシニコフ ユーリイ・K・アレクサンドロフ V・N・パラーニン[1] 製造:イズマッシュ社 |
仕様 | |
種別 | アサルトライフル |
口径 |
5.45 mm(AK107) 5.56 mm(AK108) |
銃身長 | 415 mm |
ライフリング |
4条、ピッチ200 mm(AK107)[2] 4条、ピッチ178 mm(AK108)[3] |
使用弾薬 |
5.45x39mm弾(AK107) 5.56x45mm NATO弾(AK108) |
装弾数 |
AK107 30発(6L23箱型弾倉) 60発(6L31箱型弾倉) (AK74互換) AK108 30発(6L29箱型弾倉) |
作動方式 |
ロングストロークピストン式 ロータリーボルト式 BARSシステム セミ/フルオート/3点バースト切替射撃 |
全長 |
943 mm(銃床展開) 700 mm(銃床折畳み)[2][3] |
重量 |
3.45 kg(弾倉無し)[2][3] 3.8 kg(空弾倉込)[1] |
発射速度 |
850発/分(AK107)[2] 900発/分(AK108)[3] |
銃口初速 |
900 m/s(AK107)[2] 910 m/s(AK108)[3] |
歴史 | |
設計年 | 1990年代 |
バリエーション | "バリエーション"を参照 |
AK107は、5.45x39mm弾を使用するAK100シリーズのロシア製アサルトライフルである。
概要
[編集]AK107の特徴として、かつてAEK-971で用いられたのと似た安定化機構が挙げられる。従来のカラシニコフ型小銃にユーリイ・K・アレクサンドロフとV・N・パラーニンが開発した新型のガスシステムが組み込まれている。
これらの新型ライフルは、1970年代初期に開発された技術実証用のAL-7 ライフルに由来する。AL-7は革新的な自動反動安定化システム(BARS:Balanced Automatics Recoil System)として知られる安定化ガス給弾機構を備えており、これは反動と銃口の跳ね上がりを除去するため、1965年にピョートル・アンドレイェヴィチ・トカチェフがTsNIITochMashにて開発したAO-38で最初に用いられた。この機構はイジェフスク機械製作工場の若手エンジニアだったアレクサンドロフによって改良が加えられ、AL-7と名づけられた試作型が開発された。AL-7は、ソ連陸軍が制式小銃として採用したAK74と比べて生産するには高価すぎると考えられた。それから1990年代まで開発が進展することはなく、すでにアレクサンドロフが年配の技師となったころになってAN-94よりは安価な別の選択肢として設計することを指示された。
この新型小銃とオリジナルのAL-7の差異は1つしかない。AK107のレシーバーには溝がなく、3点バースト機能はすでに備わっていた。別の言い方をすれば、試作型のAL-7とほぼ変わらないということである。
設計
[編集]AK107とAK108は1940年代に原型が作られたカラシニコフ型動作方式とは重要な変化があるとされている。特徴である安定化機構はニュートン力学第三法則(作用・反作用の法則)を用いている。この機構は、それぞれ反対方向へ動作する2本のオペレーティングロッドを使用することによって反動を安定化するという、反動軽減カウンターマスメカニズムを採用している。2本のオペレーティングロッドのうち、上側の1本が前方向へ作動するガスピストンと、そして下側のもう1本が後ろ方向へ作動するガスピストンとそれぞれ結合している。ハンドガード前端付近にあるガスチューブは、2本のロッドがある都合から前後2つの出口を持つ。ハンドガード上部にある大型のガスチューブカバーは、それぞれのロッドを保護する役割がある。
AK107とAK108は射撃時にガスが銃身のガスポートから分岐してガスチューブに入り込んで2本のガスピストンを前後へ押し、下側のロッドがボルトキャリアを後部に押しやるのと同時に、反動を打ち消す上側のロッドがレールを前方へ押しやる形となる。重要な往復時の動作は両者と連動するよう繋がれた星型のスプロケットによってロッドが共に動ききった後、元の地点まで完全かつ同時に戻るようになされる。このように反動が軽減され、精度の向上と制御しやすいフルオート射撃を行えるようになる。往復部のストロークは他のカラシニコフ設計の小銃より短いため、標準的なカラシニコフ小銃(600発/分)より高い、850 - 900発/分という射撃レートを誇る。しかしながら、体感される反動が著しく低減されているため、特にバースト射撃中での射撃精度が向上していると製造者は主張しており、その精度はAK74Mや他のAK100シリーズと比較して1.5 - 2倍であると報告される[4][2][3][1]。
AK107は射撃モードを変更することができ、セミオートとフルオートの中間に3点バースト射撃機能がある。AK107において、3点バースト射撃はたとえ1,2発目を発射している途中であったとしてもトリガーを引き直すたびにカウントはリセットされる。レシーバー左側にあるマウントレールは光学および夜間照準器を備え付けることが可能で、GP-30などの40 mmグレネードランチャーも装備可能である。
またAK107にはラトニク計画に提出するための試作モデルが数種類確認されている。2011年に発表された最初の改良モデルは、レシーバーカバーにピカティニーレールとレシーバーカバー固定用ラッチが備えられており、レシーバー左側面のサイドレールは削除されている。リアサイトもレシーバーカバー前端にあったタンジェントタイプのものから、レシーバーカバー後端に移された固定式のアパーチャータイプへと変更されている。2012年に行なわれた軍事演習「Kavkaz-2012」で使用されたモデルでは更に改良が加えられており、2011年モデルに伸縮調整・折りたたみ可能な独自形状の銃床やピカティニーレール付きロアハンドガードの追加、リアサイトを固定式からピカティニーレール対応の脱着式に変更[注 1]、60連クアッドカラム弾倉である6L31を備えていた[5][6][7]。そのほかにも前述したモデルにロシアの銃器カスタムパーツを販売する企業であるゼニット製のB-10MハンドガードとPT-1折りたたみ銃床を取り付けたモデルが存在する。
派生型
[編集]AK108
[編集]AK108は、AK107を5.56x45mm NATO弾を使用できるように変更したモデル。
サイガ MK-107
[編集]サイガ MK-107は、カラシニコフ SR1の前モデルにあたる狩猟用および競技用の民間向けモデルのAK107。使用弾薬は5.56×45mm弾で、銃床をAR-15パイプに変更、伸縮調整・折りたたみが可能なものに変更、ハンドガードをより握りやすい円柱形に近く滑らかなものに変更、グリップもより握りやすいPP-19-01と同様のものに変更している。マガジンキャッチは自重落下による迅速な再装填が可能なタイプになっており、より多くの照準器に対応するためレシーバー上部全面がピカティニーレールになっており、アイアンサイトは省略された。ガスブロックはデザインが変更され、マズルはAK74と同様のものから左右3つずつ穴が開けられたマズルブレーキに変更されている。
カラシニコフ SR1
[編集]カラシニコフ SR1は、ロシアのカラシニコフ・コンツェルンによって開発されたAK107をベースとした競技用自動小銃。使用弾薬を5.56x45mm NATO弾に変更し、マガジンウェルをAK独特のものからSTANAGマガジンなどが使用できる西側規格のものに変更している。また銃身を延長したカラシニコフ SR1 №1というモデルも存在している。
登場作品
[編集]テレビドラマ
[編集]- 『ウォーキング・デッド』
- シーズン6にて、リック・グライムズが主要武器として使用している。以降のシーズンからも愛用している。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ レシーバーカバーに固定されていたリアサイトベースが無くなった分、ピカティニーレール後端が延長されている。
出典
[編集]- ^ a b c NO Assoc. DEAL 2010, pp. 248–251.
- ^ a b c d e f “AK107 Kalashnikov assault rifle with balanced action, caliber 5.45 mm.”. OJSC Izhmash. 2001年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月1日閲覧。
- ^ a b c d e f “AK108 Kalashnikov assault rifle with balanced action, caliber 5.56 mm.”. OJSC Izhmash. 2001年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月1日閲覧。
- ^ Valery Shilin's Gun Club.
- ^ Popenker, Maxim. “AK-107/108”. Modern Firearms. 2024年3月20日閲覧。
- ^ Johnson, Steve (2012年9月27日). “Improved AK-107, 60 round Magazine & Holo Sight”. The Firearm Blog. 2024年3月20日閲覧。
- ^ Onokoy, Vladimir (2022年1月5日). “The Unknown History of Russian AK-12 Kalashnikov Rifle: Part 1”. The Firearm Blog. 2024年3月20日閲覧。
参考文献
[編集]- Russian Close Combat Weapon. NO "Association "Defense Enterprises Assistance League". (2010). ISBN 978-5-904540-04-3