Thor
Thor(ソア、ソー)は、シスコシステムズによって開発されたロイヤリティフリーのビデオコーデック(動画圧縮規格)である。Thorの仕様は、様々なインターネットドラフトで利用可能であった[1]。ちなみにThorは北欧神話のトール神を意味する。
2015年7月22日にNETVC(ロイヤリティフリーの動画圧縮規格を策定するプロジェクト)のビデオ標準の候補としてIETF(インターネット技術特別調査委員会)に提出された[2]。 Thorは、H.265(HEVC)でも使われているシスコの技術要素を使用している[3]。 NETVCの業務の一部として、Thorで使われているConstrained Low-Pass Filter (CLPF)とフレーム間予測技術は、Daalaコーデック由来のLapped transform技術と合わせて試験された[4]。
2015年9月1日、シスコは、Alliance for Open Mediaがロイヤリティフリーの動画圧縮規格であるAOMedia Video 1 (AV1)を開発するためにThorの技術要素を使用するであろうと発表した[5][6][7]。
初期のThor開発者であり、AV1の貢献者でもあるスタイナー・ミツコゲン氏(Steinar Midtskogen)によると、(2018年3月19日のNETVC会議101の時点において)同時期のAV1と打って変わってThorはCPUでリアルタイムにエンコーディングするのに向いているとのことである[8]。Thorの開発は、AV1を完成させるために停止してしまった。しかし、ミツコゲン氏は、Daalaのエントロピー・コーダーを組み合わせたさらなるThorの開発と映像コンテンツのためのツールをさらに増やすことを構想していた[9]。
出典
編集- ^ A. Fuldseth, G. Bjontegaard, M. Zanaty, e.a. (18 March 2016). "Thor Video Codec". IETF. 2016年6月14日閲覧。
- ^ “NETVC IETF 93”. Internet Engineering Task Force 2015年8月11日閲覧。
- ^ “Thor: High Efficiency, Moderate Complexity Video Codec using only RF IPR”. Internet Engineering Task Force 2015年8月11日閲覧。
- ^ NETVC Hackathon Results IETF 93 (Prague) (PDF)
- ^ “New open standard for Ultra High Definition video will enable enhanced video playback”. Alliance for Open Media. (2015年9月1日) 2015年9月1日閲覧。
- ^ Stephen Shankland (1 September 2015). "Tech giants join forces to hasten high-quality online video". CNET. 2015年9月1日閲覧。
- ^ Zimmerman, Steven (15 May 2017). "Google's Royalty-Free Answer to HEVC: A Look at AV1 and the Future of Video Codecs". XDA Developers. 2017年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月10日閲覧。
- ^ "IETF101-NETVC-20180319-1550". 19 March 2018. 2018年5月23日閲覧。
It's certainly possible to get real-time encoding with Thor, that we know, but for AV1, it's not proven yet.
- ^ "Thor update and AV1 comparisons". 2018年5月23日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- Thorのソースコードリポジトリ (GitHub)