Apple Pencil
Apple Pencil(アップル・ペンシル)は、iPadの入力デバイスとしてAppleが開発したスタイラスペン。2015年9月9日にiPad Proと共に発表され、同年11月11日に発売された[1][2]。
Apple Pencil (第2世代) | |
開発元 | Apple |
---|---|
製造元 | フォックスコン |
種別 | スタイラス |
発売日 |
第1世代: 2015年11月11日 |
標準価格 |
第1世代: 11,880円(発売時)→14,880円→16,800円 |
SoC | 第1世代:STMicroelectronics STM32L151UCY6 Ultra-low-power MCU |
CPU | @ 第1世代:32 MHz |
メモリ | 第1世代:64Kバイトフラッシュメモリ |
入力機器 | Bluetooth |
電源 | 第1世代:リチウムイオン充電池(3.82 V, 0.329 Wh) |
サイズ |
第1世代: 長さ 175.7 mm, 直径 8.9 mm |
重量 |
第1世代, 第2世代: 20.7グラム USB-C: 20.5グラム Pro: 19.15 g |
ウェブサイト |
www |
Apple Pencilはクリエイティブワークに使えるようデザインされ、圧力感知と角度検出機能を備えている。iPad用のタッチペンとして使用できる。
ARMベースのCortex-M3、Bosch Sensortech 3軸加速度計が内蔵され、BluetoothでiPadと通信する。
概説
編集Apple Pencil(第1世代)
編集Apple Pencilは圧力感知と角度検出機能を備える[3][4]。プラスチック製ボディには、iPadのスクリーンと内部システムと同時に通信できるBluetoothデバイスが内蔵されている[5] 。Apple Pencilの圧力検知機能では、メモ、フリーボードやIllustratorなどのサードパーティー製の描画アプリを使っている場合、ユーザがどれだけ力を入れているかに応じ、より濃いまたは軽いストロークを可能にする。
Apple Pencilは、スムーズに画面に描けるよう、20msと低レイテンシデザインである。iPad Proでは、パームリジェクション(ユーザの手の画面への接触が認識されないようにする機能)が有効である。また、Apple Pencilと指を同時に使用することができる[6][7]。
Apple Pencilの端にはマグネット式キャップが付いている。このキャップの下にはLightningコネクタがある。これにより、iPadのLightningコネクタ経由でバッテリーを充電できる。空からのフル充電には約12時間掛かるが、iPadのLightningコネクタに15秒間差し込むと30分の使用が可能である[8] 。また、付属の両端がLightningメスのLightningアダプタを使用して、標準のLightningケーブルで充電することもできる[9]。
Apple Pencilのサポートは2018年のiPad発売以降、Pro以外のiPadシリーズにも拡大された[10]。
2022年10月18日、USB-Cポート化されフロントカメラの位置が変更されたiPadの発表に伴い、USB-Cメス - LightningメスのUSB-C - Apple Pencilアダプタ同梱に構成が変更された[11][12]。
対応するiPad[13]
- 12.9インチiPad Pro(第1世代、第2世代)
- 10.5インチiPad Pro
- 9.7インチiPad Pro
- iPad Air(第3世代)
- iPad(第6世代、第7世代、第8世代、第9世代、第10世代)
- iPad mini(第5世代)
Apple Pencil(第2世代)
編集2018年10月30日に、iPad Proの新機種とともに専用のApple Pencilとして発表された[14]。ペアリングや充電は、磁石で対応するiPad側面に着けることによって行なわれる。全長が短くなり、重量バランスも改善された。また、ペン先付近 側面をダブルタップしてペン/消しゴムなどのツールをすばやく切り替えられる機能が追加された。
iPadOS 13では9msと更に低レイテンシー化された[15]。
2022年10月26日に発売されたiPad Proでは、画面から最大12mm離れても認識するホバー(ポイント機能とも呼ばれる)が利用できる[16]。
対応するiPad[17]
- 12.9インチiPad Pro(第3世代、第4世代、第5世代、第6世代)
- 11インチiPad Pro(第1世代、第2世代、第3世代、第4世代)
- iPad Air(第4世代、第5世代)
- iPad mini(第6世代)
Apple Pencil(USB-C)
編集2023年10月17日に「よりお求めやすい価格」として、Apple Pencilで3番目に発表されたモデルである[18][19]。USB-C搭載の全てのiPadとUSB-Cケーブルで、ペアリングと充電が行なえる。先の第2世代の物と比較するとダブルタップと筆圧感知には非対応で、デザインは似ているがUSB-Cポートがスライド式(取り外し不可)のキャップの中にある。対応するiPadにより、第2世代のローエンドモデルあるいは第1世代の後継モデルの扱いとされ、「第3世代」ではない。
対応するiPad[20]
- 13インチiPad Pro (M4)
- 12.9インチiPad Pro(第3世代、第4世代、第5世代、第6世代)
- 11インチiPad Pro (M4)
- 11インチiPad Pro(第1世代、第2世代、第3世代、第4世代)
- 13インチiPad Air (M2)
- 11インチiPad Air (M2)
- iPad Air(第4世代、第5世代)
- iPad(第10世代)
- iPad mini (A17 Pro)
- iPad mini(第6世代)
Apple Pencil Pro
編集2024年5月7日、iPad新モデルの発表イベントにおいて、Apple Pencilで4番目に発表されたモデルである。新たにスクイーズという指で強く押す操作でパレットメニューなどを呼び出せる機能や、ペン軸の回転(ひねり)を検知するバレルロール、ユーザの操作に応じて軽い振動を返す触覚フィードバックが搭載され、探すアプリへの対応がある[21]。そのほかに、筆圧感知、傾き感知、ホバー、ダブルタップ操作、磁石によるペアリングと充電などの機能を引き続き搭載しており、2024年発表モデルで、第2世代が利用できなくなった代わりのモデルである。
対応するiPad
利用法
編集iPadの主な入力方法はマルチタッチ入力である[22] が、Apple PencilはiPad ProとiPadでクリエイティブワークを行えるようにデザインされている[23]。これによりiPad上で、より実用的な描画を可能にする。 2015年9月に行われたAppleイベントでは、Adobe Creative Cloudのモバイル版と[24] 、いくつかのMicrosoft Officeアプリでのドキュメント注釈の描画機能が実演された[25][26]。
2020年9月17日に正式リリースされたiPadOS 14より、テキストフィールドにApple Pencilで手書き入力ができる「スクリブル」が実装された。手書きで文字の入力、削除、選択、挿入、結合が可能である。当初は英語と中国語のみであったが、iPadOS 15より日本語にも対応した。
内部エレクトロニクス
編集Apple Pencil(第1世代)は、32MHzで動作するSTMicroelectronicsのSTM32L151UCY6(超低消費電力32ビットRISC ARMベースのCortex-M3 MCU)、64KBのフラッシュメモリ、Bosch Sensortech BMA280 3軸加速度計、および Cambridge Silicon Radio (Qualcomm)のCSR1012A05をiPadとのBluetooth接続用に搭載している。
リサイクル可能な3.82V、0.329Whのリチウムイオン充電池によって駆動する[27]。
ペン先の近くにはアンテナと圧力センサーがある。また、このペン先(Apple Pencilチップ)は4個入りで交換用として販売されている[28]。
サードパーティーのiPad用スタイラスペン
編集iPad用のスタイラスペンはサードパーティーからも販売されている。しかし、圧力感度、パームリジェクションや角度検出のための技術は統一されていない。また、レイテンシが高い、ストロークが不正確といった問題がある。各サードパーティーは独自ハードウェアとソフトウェアでアプローチしているため、市場には多くのスタイラスペンとアプリが乱立している。例えば、あるスタイラスが圧力感知するように設計されていても、それを使用するためには、アプリ側でそのスタイラスの専用の圧力感知機能が実装されている必要があるため、実際にその機能を使用できる場面は限られてしまう。iPad Proよりもレイテンシが高い以前のiPadハードウェアでは全てに制限があった[29]。
Apple Pencil以外の一般的なスタイラスとしては、WacomやAdonitの製品がある[30] 。
Crayon
編集第1世代
編集2018年3月27日、LogitechはAppleの製品発表会にて、2018年の9.7インチiPad専用にデザインした新しいスタイラスペンのLogitech Crayonを先行披露した[31]。Crayonは、日本では2018年9月から販売されている[32]。ペアリングを必要とするApple Pencilと違い、このスタイラスペンは独自の接続方法を使用し、筆圧感知機能を搭載しないが角度検出機能を備えており、教育市場向けに設計され[33]、机から転がり落ちることを防止するために太く角張った形状である(長さ 163mm, 幅 12mm, 厚さ 8mm, 重量 20g)。教育チャネルを通じて$49で販売されている。日本では、Logicool Crayon for iPadとして、学生・教職員向けApple Storeでは2022年10月現在10,800円(旧価格6,800円)である[34][注 1]。Crayonは、2018年より前のiPad Proでは利用できない[36]が、iPad Air(第3世代)とiPad mini(第5世代)、2018年に発売されたiPad Proとは互換性がある[32]。色は、オレンジとグレイ[32]。
対応するiPad
- iPad Pro(12.9インチ)(第6世代)
- iPad Pro(12.9インチ)(第5世代)
- iPad Pro(12.9インチ) (第4世代)
- iPad Pro(12.9インチ) (第3世代)
- iPad Pro(11インチ)(第4世代)
- iPad Pro(11インチ)(第3世代)
- iPad Pro(11インチ) (第2世代)
- iPad Pro(11インチ) (第1世代)
- iPad(第10世代)
- iPad(第9世代)
- iPad(第8世代)
- iPad(第7世代)
- iPad(第6世代)
- iPad Air(第5世代)
- iPad Air (第4世代)
- iPad Air (第3世代)
- iPad mini (第6世代)
- iPad mini (第5世代)
第2世代
編集2022年10月18日、USB-Cポートとなりキャップが省略された新デザインのCrayonがiPad(第10世代)とともに発表された[37][38]。長さ: 15.9cm、幅: 1.2cm、厚さ: 0.8cm、重量: 20g。
対応するiPad
- iPad Pro(13インチ)(M4)
- iPad Pro(12.9インチ)(第6世代)
- iPad Pro(12.9インチ)(第5世代)
- iPad Pro(12.9インチ)(第4世代)
- iPad Pro(12.9インチ)(第3世代)
- iPad Pro(11インチ)(M4)
- iPad Pro(11インチ)(第4世代)
- iPad Pro(11インチ)(第3世代)
- iPad Pro(11インチ)(第2世代)
- iPad Pro(11インチ)(第1世代)
- iPad Air(13インチ)(M2)
- iPad Air(11インチ)(M2)
- iPad Air(第5世代)
- iPad Air(第4世代)
- iPad(第10世代)
- iPad mini(第6世代)
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “iPad Pro: Apple Pencil”. Apple.com. Apple Inc. (September 9, 2015). September 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。September 10, 2015閲覧。
- ^ "Epic 12.9-inch iPad Pro Available to Order Online Wednesday & Arrives in Stores Later This Week" (Press release). Apple Inc.
- ^ Statt, Nick (September 9, 2015). “Here's why Apple made the stylus that Steve Jobs hated: Styluses and screens have come a long way”. The Verge. Vox Media. September 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。September 10, 2015閲覧。
- ^ Harley. “United States Patent: 8638320”. Patent Full Text. September 10, 2015閲覧。
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- ^ Ulanoff, Lance (September 10, 2015). “Hands on with iPad Pro and Apple Pencil: A huge tablet and an impressive tool”. Mashable.com. September 11, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。September 11, 2015閲覧。
- ^ Cunningham, Andrew (September 9, 2015). “Hands-on with the iPad Pro, its keyboard, and its pencil”. Ars Technica. Condé Nast. September 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。September 11, 2015閲覧。
- ^ “Apple Pencil”. apple.com. 9 December 2015閲覧。
- ^ bpepermans (September 9, 2015). “Zoom sur l’iPad Pro... la tablet grantee.”. MacPlus. September 10, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。September 10, 2015閲覧。
- ^ “Apple’s new iPad with Pencil support is just $299 for schools”. The Verge 2018年3月29日閲覧。
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- ^ “Apple Pencil Teardown” (英語). iFixit. (2015年11月19日) 2017年7月31日閲覧。
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- ^ “GOOJODOQ GD13 レビュー | 側面でワイヤレス充電できる新作のiPad専用スタイラスペンが最高すぎた”. okomerium (2022年4月23日). 2023年5月18日閲覧。
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- ^ “Forget Apple Pencil for your iPad. Now kids can use 'crayon'” (英語). CNET. (2018年3月27日) 2018年4月24日閲覧。
- ^ a b c “Logicool Crayon for iPad”. Apple(日本). 2018年9月20日閲覧。
- ^ Inc., iLounge,. “Logitech releasing Logitech Crayon and Logitech Rugged Combo 2 case for new iPad” (英語). www.ilounge.com. 2018年4月24日閲覧。
- ^ “Logicool Crayon for iPad”. 教育 - Apple(日本). 2019年3月23日閲覧。
- ^ “Logicool Crayon for iPad(第6世代)”. Apple(日本). 2019年3月26日閲覧。
- ^ “Logitech Crayon Digital iPad Pencil for Students” (英語). www.logitech.com. 2018年6月15日閲覧。
- ^ “Logicool Crayon for iPad”. Apple(日本). 2022年10月18日閲覧。
- ^ “Logitech Crayon Digital Pencil” (英語). www.logitech.com. 2022年10月18日閲覧。