第68次長期滞在は68回目の国際宇宙ステーションへの長期滞在。この長期滞在は2022年9月29日のソユーズMS-21の出発とともに開始され[2]ESAサマンサ・クリストフォレッティがISSの指揮をとり[3]、2023年3月28日の無人のソユーズMS-22の出発で終了した。

ISS第68次長期滞在
ISSでの第68次長期滞在クルー
任務種別ISS長期滞在
運用者NASA / Roscosmos
任務期間180日 2時間 23分
長期滞在
宇宙ステーション国際宇宙ステーション
開始2022年9月29日[1]
到着スペースX Crew-4
ソユーズMS-22
スペースX Crew-5
乗員
乗員数7-11
乗員

第68次長期滞在の徽章

第68次長期滞在クルーのポートレート

予備クルーと出来事

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当初、この長期滞在は第67次長期滞在から移行したクリストフォレッティとCrew-4同乗者のチェル・リンドグレン英語版ロバート・ハインズ英語版ジェシカ・ワトキンス英語版の3人で始められ、2022年9月21日にソユーズMS-22に搭乗して打ち上げられたロスコスモスセルゲイ・プロコピエフ英語版およびドミトリー・ペテリン英語版飛行士と、アメリカ人飛行士のフランシスコ・ルビオ英語版が第67次長期滞在からCrew-4の宇宙飛行士とともに移行した。

Crew-4は2022年10月13日にステーションから離脱し、NASAニコール・マン英語版およびジョシュ・カサダ英語版飛行士、JAXA若田光一飛行士およびロスコスモスのアンナ・キキナ英語版飛行士をステーションへと運んだスペースX Crew-5と交代した。離脱の前に、クリストフォレッティがステーションの指揮権をプロコピエフに引き継いだ。

2022年12月14日にドッキング中のソユーズMS-22宇宙船で冷却材の漏洩が発見され、アンモニアが漏出して目前に迫っていたロシアの船外活動が中止を余儀なくされた[4]

損傷を受けた宇宙船の調査と撮影の後で、2023年1月にロスコスモスとNASAは、この漏洩によってMS-22宇宙船が緊急事態以外では安全に有人で帰還することができないと発表した。2つの管理機関は乗員名簿の変更も発表した。ソユーズMS-22宇宙船のクルーは12か月間ステーションに留まり、ソユーズMS-22宇宙船は無人で帰還する。ソユーズMS-23宇宙船が2月に打ち上げられ[5]、ソユーズのクルーはMS-23で2023年9月21に帰還する。その代わりに、当初のMS-23のクルーはソユーズMS-24で打ち上げられ、第68次および第69次長期滞在ではなく第69次および第70次長期滞在でステーションでの作業を行う。ルビオの座席内張はCrew-5に移され、最終的にソユーズMS-22の座席内張は、それぞれの宇宙飛行士の体形に合わせてソユーズMS-23に移された。2機のソユーズ間での座席内張の交換は新規な作業ではないが、ソユーズとクルードラゴンとの間では初めてのことだった[6]

2月に、プログレスMS-22/83Pのドッキング当日に、もう1機のロシアの宇宙船プログレスMS-21/82Pでも冷却材漏れが発生し、ステーション上でわずか2か月で2回目の発生となった。このため、地上のロシア当局は調査が実施されるか原因が判明するまではソユーズMS-23の無人打ち上げを延期していた[7]。漏洩から数日後、2月24日に打ち上げられるソユーズMS-23は安全であると判断された。ロスコスモスはMS-22の熱試験を実施したが、ラジエターの損傷から外郭部の冷却材の損失につながった[8]

米国の乗員名簿に関連しない変更として、通常は4月と9月に打ち上げられるアメリカ側のミッションとはことなり、Crew-6ミッションは2023年3月2日に打ち上げられた[9]。伝統的に、長期滞在はソユーズの出発で終了する。これはMS-22にクルーが搭乗していなくても第68次長期滞在でも継続された。第68次長期滞在のクルーは、3月28日のソユーズMS-22の出発を持って全員が第69次長期滞在に移行した。ch.

時系列

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以前:第67次長期滞在

2022年9月29日 - ソユーズMS-21出発第67次長期滞在から公式に移行

2022年10月6日 - スペースX Crew-5ドッキング

2022年10月14日 - スペースX Crew-4離脱

2022年10月23日 - プログレス MS-19/80P離脱

2022年10月27日 - プログレス MS-21/82P離脱

2022年11月9日 - CRSシグナス NG-18捕捉

2022年11月9日 - CRSシグナス NG-18係留

2022年11月15日 - EVA 1 (US-81) 7時間11分

2022年11月17日 - EVA 2 (VKD-55) 6時間25分、多目的実験モジュール ナウカに大きなペイロードを取り付けるための、多目的実験モジュール艤装作業プラットフォーム SKKO のナウカへの設置

2022年11月27日 - CRS Spx-26ドッキング

2022年12月3日 - EVA 3 (US-82) 7時間5分

2022年12月3日 - 太陽電池パドル3AへのIROSAの設置

2022年12月14日 - ソユーズMS-22の漏洩事故、ロシアの船外活動中止[10]

2022年12月22日 - EVA 4 (US-83) 7時間8分

2022年12月22日 - 4枚目のIROSAを多用電池パドル4Aに設置

2023年1月9日 - CRS SpX-26離脱

2023年1月17日/18日 - ルビオの座席内張をソユーズMS-22からCrew-5に移設

2023年1月20日 - EVA 5 (US-84) 7時間21分

2023年2月2日 - EVA 6 (US-85) 6時間41分

2023年2月11日 - プログレスMS-22/83Pドッキング

2023年2月11日 - プログレスMS-21漏洩事故

2023年2月18日 - プログレスMS-21/82P離脱

2023年2月26日 - ソユーズMS-23無人ドッキング

2023年3月2日 - プロコピエフとペテリンの座席内張をソユーズMS-22からソユーズMS-23に移設

2023年3月3日 - スペースX Crew-6ドッキング

2023年3月6日 - ルビオの座席内張をCrew-5からソユーズMS-23に移設

2023年3月11日 - スペースX Crew-5離脱

2023年3月15日 - 搭乗宇宙飛行士によるソユーズMS-22の熱試験。どの程度加熱されるか、また、事故が発生した場合にISSからの緊急脱出に使用できるかどうかを確認。

2023年3月16日 - CRS SpX-27ドッキング

2023年3月28日 - ソユーズMS-22無人離脱;第69次長期滞在に公式に移行

以降:第69次長期滞在

クルー

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フライト 飛行士 第1期
(2022年9月29日 - 10月6日)
第2期
(2022年10月6日 – 10月14日)
第3期
(2022年10月14日 - 2023年3月3日)
第4期
(2023年3月3日 – 3月11日)
第5期
(2023年3月11日 – 3月28日)
第69次への移行日
(2023年3月28日)
ソユーズMS-22/68SソユーズMS-23/69S宇宙船で帰還)   セルゲイ・プロコピエフ英語版ロスコスモス
2回目
フライトエンジニア 船長[11][12]
  ドミトリー・ペテリン英語版ロスコスモス
1回目
フライトエンジニア
  フランシスコ・ルビオ英語版NASA
1回目
フライトエンジニア
スペースX Crew-4   サマンサ・クリストフォレッティESA
2回目
船長[13] 帰還後
  チェル・リンドグレン英語版NASA
2回目
フライトエンジニア 帰還後
  ロバート・ハインズ英語版NASA
1回目
フライトエンジニア 帰還後
  ジェシカ・ワトキンス英語版NASA
1回目
フライトエンジニア 帰還後
スペースX Crew-5   ニコール・マン英語版NASA
1回目
搭乗前 フライトエンジニア
  ジョシュ・カサダ英語版NASA
1回目
搭乗前 フライトエンジニア 帰還後
  若田光一JAXA
5回目
搭乗前 フライトエンジニア 帰還後
  アンナ・キキナ英語版,ロスコスモス
1回目
搭乗前 フライトエンジニア 帰還後
スペースX Crew-6   スティーブ・ボーエン英語版NASA
5回目
搭乗前 フライトエンジニア
  ウォーレン・ホバーグ英語版NASA
1回目
搭乗前 フライトエンジニア
  スルタン・アル・ネヤディ英語版MBRSC英語版
1回目
搭乗前 フライトエンジニア
  アンドレイ・フェジャーエフ英語版ロスコスモス
1回目
搭乗前 フライトエンジニア

第67次および第68次長期滞在でのESAのサマンサ・クリストフォレッティのミッションはミネルヴァと名付けられた[14]

Crew-5でのアンナ・キキナのステーションへの飛行は、NASAの商業乗員計画では初めてクルードラゴンでのロシア人宇宙飛行士の飛行であり、20年ぶりの米国の宇宙船でのロシア人の飛行となった[15][16]

若田光一のISSへの飛行は自身にとって5回目であるとともに、ドラゴン宇宙船での初めての飛行となった。これまでのソユーズおよびスペースシャトルでの飛行と合わせて、地球から打ち上げられて3種類の異なる宇宙船で飛行した史上8人目の人物となった。

 
左から、軌道上での2022年のクリスマスイブのディナーをカサダ、若田そしてルビオ
 
2022年11月にステーションで撮影された若田(左)、ルビオ(中央)、マン(右)

宇宙船目録

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宇宙船 目的 ポート ドッキング/捕捉日 離脱日

(第68次長期滞在中であれば)

第66次および第67次長期滞在から引き継いだ宇宙船
  プログレスMS-19/80P ロシアの貨物 MRM2 天頂側 2022年2月7日(第66次) 2022年10月23日
  スペースX Crew-4 フリーダム 第67/68次長期滞在のクルー ハーモニー 天頂側 2022年4月27日(第67次) 2022年10月14日[17]
  プログレスMS-20/81P ロシアの貨物 ズヴェズダ 後方側 2022年6月3日(第67次) 2023年2月7日
  ソユーズMS-22/68S アルタイ 第67/68/69次長期滞在のクルー MRM1 天底側 2022年9月21日(第67次) 2023年3月28日
第68次長期滞在中にドッキングした宇宙船
  スペースX Crew-5 エンデュランス 第68次長期滞在のクルー ハーモニー 前方側 2022年10月6日[18] 2023年3月11日
  プログレスMS-21/82P ロシアの貨物 MRM2 天頂側 2022年10月28日 2023年2月18日
  CRS シグナス NG-18 サリー・ライド アメリカの貨物 ユニティ 天底側 2022年11月9日[19] ドッキング中
  CRS ドラゴン SpX-26 アメリカの貨物 ハーモニー 天頂側 2022年11月27日[20] 2023年1月9日[21]
  プログレスMS-22/83P ロシアの貨物 ズヴェズダ 後方側 2023年2月11日 ドッキング中
  ソユーズMS-23/69S 第67/68/69次長期滞在のクルーの帰還 MRM2 天頂側 2023年2月26日 ドッキング中
  スペースX Crew-6 第68/69次長期滞在のクルー ハーモニー 天頂側 2023年3月3日 ドッキング中
  CRS ドラゴン SpX-27 アメリカの貨物 ハーモニー 前方側 2023年3月16日 ドッキング中

注釈

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  1. ^ スペースX Crew-4の欧州担当部分はミネルヴァと呼ばれ、サマンサ・クリストフォレッティが指揮した。

脚注

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  1. ^ NASA Astronaut, Two Cosmonauts Reach ISS, Expedition 68 to Begin Next Week” (21 September 2022). 2022年10月17日閲覧。
  2. ^ Expedition 68 Crew Launches to Space Station” (21 September 2022). 2022年10月17日閲覧。
  3. ^ ESA astronaut Samantha Cristoforetti becomes first European female ISS commander”. 2022年10月17日閲覧。
  4. ^ “Unexplained leak from docked Soyuz spacecraft cancels Russian ISS spacewalk”. Reuters (Reuters). (15 December 2022). https://www.reuters.com/lifestyle/science/unexplained-leak-docked-soyuz-spacecraft-cancels-russian-iss-spacewalk-2022-12-15/ 
  5. ^ Wattles, Ashley Strickland,Jackie (2023年1月11日). “Roscosmos will send replacement spacecraft to return crew to Earth after Soyuz leak” (英語). CNN. 2023年1月15日閲覧。
  6. ^ International Space Station Operations, Soyuz Status Update – Space Station” (英語). blogs.nasa.gov (11 January 2023). 2023年1月13日閲覧。
  7. ^ Russia delays launch of replacement for damaged Soyuz crew ship” (英語). www.cbsnews.com (13 February 2023). 2023年2月14日閲覧。
  8. ^ Pavlushchenko, Katya [@katlinegrey] (2023年3月15日). "Roscosmos announced the thermal test of #SoyuzMS22 which lost coolant agent in the external contour due to the damage of the radiator, but they shared no details. Izvestia talked to their sources in space industry and found out what will happen today". X(旧Twitter)より2023年4月21日閲覧
  9. ^ SpaceX and NASA target Crew-6 astronaut launch in mid-February” (英語). Space.com (2023年1月10日). 2023年1月14日閲覧。
  10. ^ updated, Robert Z. Pearlman last (2022年12月15日). “Soyuz spacecraft suffers 'fairly substantial' leak at space station, cancels spacewalk by Russian cosmonauts” (英語). Space.com. 2023年1月19日閲覧。
  11. ^ Rubio Primed for Integrated Crew Ops, Cristoforetti, Prokopyev to Command Expedition 68a/b - AmericaSpace” (英語). www.americaspace.com (2022年8月23日). 2022年9月23日閲覧。
  12. ^ Bock, Michael (2017年10月16日). “NASA Television Upcoming Events”. NASA. 2022年10月12日閲覧。
  13. ^ Rubio Primed for Integrated Crew Ops, Cristoforetti, Prokopyev to Command Expedition 68a/b - AmericaSpace” (英語). www.americaspace.com (2022年8月23日). 2022年9月23日閲覧。
  14. ^ Agency, European Space (2022年3月28日). “Minerva: ESA Astronaut Samantha Cristoforetti's Second Space Mission” (英語). SciTechDaily. 2023年1月15日閲覧。
  15. ^ 1st Russian cosmonaut to launch with SpaceX heads to space station” (英語). Space.com (2022年10月5日). 2023年1月15日閲覧。
  16. ^ Russian cosmonaut to fly aboard U.S. spacecraft for first time since 2002” (英語). www.cbsnews.com (4 October 2022). 2023年1月15日閲覧。
  17. ^ Crew-4 undocks from International Space Station, begins journey back to Earth” (英語). WESH (2022年10月14日). 2023年1月19日閲覧。
  18. ^ updated, Josh Dinner last (2022年10月6日). “SpaceX's Crew-5 astronaut mission arrives at the International Space Station” (英語). Space.com. 2023年1月19日閲覧。
  19. ^ Navin, Joseph (2022年11月7日). “SS Sally Ride Cygnus arrives at ISS on NG-18 mission” (英語). NASASpaceFlight.com. 2023年1月19日閲覧。
  20. ^ Navin, Joseph (2022年11月27日). “NASA, SpaceX launch and dock CRS-26 mission to ISS” (英語). NASASpaceFlight.com. 2023年1月19日閲覧。
  21. ^ SpaceX Dragon cargo capsule heads home from space station” (英語). Space.com (2023年1月9日). 2023年1月19日閲覧。