有馬敲

日本の詩人、作家 (1931-2022)

有馬 敲(ありま たかし、1931年12月17日 - 2022年9月24日)は、昭和平成期の詩人作家。本名は西田 綽宏(にしだ のぶひろ)。日本文藝家協会[1]日本ペンクラブ[2]所属。 関西詩人協会[3][4]代表。京都文学研究所代表。全国生活語詩の会代表。日本国際詩人協会[5]理事。元日本モンゴル協会会長。

経歴

編集

1931年12月17日生まれ。京都府亀岡市出身。同志社大学経済学部卒業。同志社大学経済学部在学中に「同志社文学」[6]を発行、実存主義の影響を受ける。卒業後、京都銀行に勤めながら詩作を続け、詩誌「ノッポとチビ」「ゲリラ」などを発行する。昭和40年代に盛んになったフォークソング運動では、高石友也岡林信康らと交流、創作わらべうたなどがフォークシンガーたちによって歌われ、〝オーラル派〝と呼ばれる[7]1977年には京都銀行金閣寺支店長からタカラブネに転職、1982年には役員となった。

この間、創作活動を続け、詩集『終りのはじまり』『迷路から』『白い闇』『よそ者の唄』『東西南北』『インドの記憶』『有馬敲詩集』、創作わらべうた集『らくちゅうらくがいらくがき』、合唱曲集『ちいさなちきゅう』、評論集『定住と移動』『京の夢・異郷の夢』『現場と芸術』、小説『芦生の森』など詩、小説、評論などを発表し、2000年からそれらを収録した『有馬敲集』全25巻(編集工房ノア未踏社)を刊行中。詩集は英語など30数か国語に訳されている。

1995年日本モンゴル協会会長。また1990年から国際詩大会に参加し、詩朗読を提唱。世界各国で開催される大会で自作の詩を朗読。2002年スペインのグラン・カナリア国際詩人祭の国際詩人賞・アトランチダ賞を東洋人で初めて受賞した。その後、インド、モンゴル、ギリシャなどの国際詩賞も受賞。また、国内では、創作わらべうた「せみ」「かもつれっしゃ」などが国語教科書に採用されている[8]。さらに2000年以降は生活語詩を提唱し、詩集『浮世京草子』(2002)『古都新生』(2009)などを出版するとともにアンソロジー『現代生活語詩集』(2007)ほか数冊を編集して、全国的な話題となっている。平成25年(2013年)度、京都市芸術振興賞受賞。[9]

2022年9月24日、脳出血のため死去[7][10]。90歳没。

代表作・作品名

編集

詩集

編集
  • 『変形』(1957)
  • 『薄明の壁』(1959)
  • 『新篇わらべうた』(1963)
  • 『贋金つくり’63』思潮社(1963)
  • 『ぼくのしるし』(1966)
  • 『海からきた女』思潮社(1967)
  • 『わたしのげんまん』(1967)
  • 『くりかえし』(1971)
  • 『終りのはじまり』(1973)
  • 『迷路から 有馬敲詩集』国文社, 1977.9
  • 『ありがとう 有馬敲少年詩集』 (詩の散歩道) 田島征彦絵. 理論社(1981)
  • 『島 詩集』砂子屋書房, 1982.10
  • 『ぱろでいふうる 詩集』近代文芸社, 1982.6
  • 『ちいさなちきゅう 創作わらべうた』土曜美術社, 1983.10
  • 『モンゴルの馬 詩集』素人社, 1988.10
  • 『有馬敲詩集』 (日本現代詩文庫) 堀内統義 編集・解説. 土曜美術社, 1988.11
  • 『定住と移動』現代京都詩話会, 1989.3
  • 『インドの記憶 詩集』花神社, 1992.6
  • 『転生記』 (The works of Arima Takashi 2) 編集工房ノア, 1993.10
  • 『徒労の斧』 (The works of Arima Takashi 1) 編集工房ノア, 1993.6
  • 『風に誘われて』 (The works of Arima Takashi 4) 編集工房ノア, 1994.11
  • 『少年』(The works of Arima Takashi 3) 編集工房ノア, 1994.5
  • 『藁と漂泊』 (The works of Arima Takashi 5) 編集工房ノア, 1995.11
  • 『非公用語圏詩人の手記』 (The works of Arima Takashi 6) 編集工房ノア, 1997.6
  • 『半壊れの壁の前で 詩集』思潮社, 1999.9
  • 『糺の森』澪標、2000
  • 『浮世京草子』澪標, 2002.9
  • 『洛中洛外』思潮社, 2006.9
  • 『霧の国のゲリラ』 (有馬敲集 第11巻) 京都文学研究所, 2008.5
  • 『古都新生』竹林館, 2009.8
  • 『古都の孤独』 (有馬敲集 第15巻) 京都文学研究所, 2009.8
  • 『有馬敲全詩集』沖積舎(2010)
  • 『糺の森 有馬敲詩集』竹林館, 2010.9
  • 『晩年 有馬敲詩集』土曜美術社出版販売,(2013)
  • 『新編 有馬敲詩集』(日本現代詩文庫)日本国際詩人協会(2013)
  • 『ほら吹き将軍: 有馬敲詩集』澪標(2014)
  • 『寿命』竹林館, 2015.10
  • 『有馬敲詩集』(現代詩文庫)思潮社(2016)
  • 『時の二重奏 Duet of time : 響き合う東西詩人: 詩的対話』ジャーメイン・ドルーゲンブロート共著(日本国際詩人協会)(2016)
  • 『存の二重奏 = Duet of existence :響き合う東西詩人 詩的対話』ダンテ・マッフィア共著. Japan Universal Poets Association, 2017.1
  • 『新編ほら吹き将軍 有馬敲詩集』澪標, 2017.4
  • 『もっと光を 詩集』澪標, 2021.6

小説

編集
  • 『バグダッドへの道』(2003)
  • 『レマン湖の月』
  • 『京の森の物語』(有馬敲集 第9巻) 京都文学研究所(2007)

編纂

編集
  • 『日本替歌全集 時事篇』編著. 替歌研究会, 1968
  • 『日本替歌全集 遊戯編』編著. 替歌研究会, 1968
  • 『最新日本現代詩集』編著, Jacques Lalloz [訳]. 竹林館, 2005.12
  • 『生活語詩二七六人集 山河編 2008年版』山本十四尾,鈴木比佐雄共編. コールサック社, 2008.9
  • 『現代の風刺25人詩集』佐相憲一共編. コールサック社, 2014.8

評論集

編集
  • 『現代のガリヴァー 有馬敲評論集』他人の街社, 1970
  • 『替歌研究』京都文学研究所(2000)
  • 『替歌・戯歌研究』京都文学研究所(2003)
  • 『時代を生きる替歌・考 諷刺・笑い・色気』人文書院, 2003.9
  • 『現代生活語詩考』京都文学研究所(2008)
  • 『有馬敲 言行録 セレクション』田中茂二郎編. 土曜美術社出版販売(2016) ISBN 978-4-8120-2304-4

回想録

編集
  • 『火柱の美学』(2020)

翻訳

編集
  • フスト=ホルヘ・パドロン『地獄の連環』訳編. 澪標, 2001.9

受賞歴

編集
  • 中部日本詩人賞努力賞(第8回)〔1960年〕(詩集『薄明の壁』にて)
  • サンケイ児童出版文化賞・推薦賞〔1982年〕
  • アトランチダ賞(第5回)〔2002年〕
  • マイケル・マドスダン賞(第28回)〔2003年〕
  • モンゴル国文化基金賞〔2004年〕
  • サラミナ詩文学翻訳賞〔2005年〕(『孤独な遍歴者』にて)
  • 京都市芸術文化協会賞〔2008年〕

音楽との関係

編集
  • 1967年関西フォークソング運動に参加。自作の詩のうち、30余の詩に作曲家、ミュージシャンが曲をつけて様々なアーティストが歌い、レコード、CDとなっている。
  • 1970年代から京都のコーヒーハウス「ほんやら洞」などを拠点にして、秋山基夫、片桐ユズルらとオーラル派を結成。全国各地で自作詩の朗読キャラバンをつづけた。秋山、 片桐の3人によるポエトリー・リーディングの実況録音盤「ほんやら洞の詩人たち」(URC)が1975年にリリースされた。
  • 「値上げ」、「年輪」などを高田渡が作曲・歌唱し、自身のアルバムに収録。
  • 「180°回転」に高田渡が曲をつけ、第1回全日本フォークジャンボリー中川五郎が歌う。
  • 創作わらべうた「まつかさ」、「ゆあそび」など子ども向けの詩に岩井宏らが曲を付けて、バラーズ、マヨネーズ(坂庭省悟中嶋陽二ら)が歌い、1970年に「ぼくのしるし わらべうた24」(URC)として、レコード化している。
  • 他に、小椋佳、杜こなてらが作曲している。
  • 岡林信康の楽曲など関西フォークでしばしば見られた替え歌を紹介した「時代を生きる替歌・考 諷刺・笑い・色気」(人文書院、2003年)を上梓。

脚注、出典

編集

関連人物

編集

関連項目

編集