映像 (テレビ番組)

日本のテレビ番組

映像』(えいぞう)は、毎日放送MBSテレビ)で1980年4月から毎月1回(2024年4月以降は原則として最終日曜日の5:00 - 6:00)に放送されているドキュメンタリー番組。2020年に放送40周年を迎えた。

映像
ジャンル ドキュメンタリー番組
ナレーター MBSアナウンサーなど(交代制)
製作
制作 毎日放送MBSテレビ
放送
映像形式字幕放送(作品による)
音声形式ステレオ放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1980年4月 -
放送時間原則として毎月最終日曜日の5:00 - 6:00
放送分60分
公式サイト

特記事項:
1990年より『映像90』、2000年より『映像00』というタイトルで放送。2010年以降の番組タイトルには、放送の年度を示す下2桁が入る。
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1990年から1999年は『映像90』、2000年から2009年までは『映像00』、2010年以降は放送年の西暦年度の下2桁を(2023年の場合は『映像'23』)を番組のタイトルに使用している。

番組概要

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MBSは1975年3月31日ネットチェンジを機に、朝日放送(現在の朝日放送テレビ)と入れ替わる格好で、TBS(当時は東京放送)が基幹局として運営するJNNへ加盟した。TBSは日本のテレビ放送史に残るドキュメンタリーを多々輩出してきたほか、JNN加盟各局が制作したドキュメンタリー番組を『テレビルポルタージュ』を通じて全国向けに放送してきたが、1978年の4月改編で同番組を終了。ドキュメンタリー番組のレギュラー放送枠が事実上消滅した[注釈 1]。この状況に危機感を抱いたMBSが、「(放送対象地域である)近畿地方だけでも『現代史を映像で記録する本格的なドキュメンタリー番組』を定期的に放送する」という方針の下に、同年4月11日金曜日)に『映像80』というタイトルでレギュラー放送を開始。初回の作品は「6歳未満 沖縄・戦災傷害者の証言」で、開始当初は原則として毎月第2金曜日の23:50 - 24:25に放送されていた。

初回から月1回のペースで放送されているが、放送曜日・時間は頻繁に変更(詳細後述)。『映像'84』時代の1984年3月10日から『映像'85』時代の1985年10月19日までは、放送枠を土曜日の午前中(10:45 - 11:40)に放送枠を編成していた。それ以外の期間には、夜間 - 深夜帯(22時台以降)に放送。『映像88』時代の1988年5月15日以降は、日本の民放テレビ局がレギュラーで編成するドキュメンタリー番組としては最も長い放送枠(60分枠)を、日曜日の深夜(月曜日の未明)に確保していた。

ちなみに、『映像80』の編成に際しては、30分番組としての放送も検討されていた。しかし、「記録性と発掘性を軸に、制作者の顔が見えるように番組を編成する」という基本姿勢に沿って、テーマが大きくて密度の濃い作品を目指すことを当初から志向。この志向を満たすべく、60分(当初は55分)番組として放送することが自然に決まったという。実際には、近畿地方と(大半の地域で毎日放送の番組を視聴できる)徳島県を主な対象に、地域の出来事・課題と向き合った作品、出身・在住者の著名人に密着した作品、地域の文化を扱った作品などを制作。関西ローカルの番組でありながら、放送対象外地域(初回の作品では沖縄県)に関する作品を制作・放送することや、放送済みの作品が日本の内外を代表するテレビ番組コンクール国際エミー賞ギャラクシー選奨芸術祭賞日本民間放送連盟賞地方の時代映像祭など)で入賞することも多い。1999年に放送した「ふつうのままで」では、国際エミー賞のドキュメンタリー作品部門でグランプリを受賞。2001年の「生まれてくるわが子へ」でも同コンクールで入賞した。

2020年11月の時点では、MBS報道局のドキュメンタリー報道部(2021年4月1日のラジオ放送事業分社化以降は新設の「報道情報局編集部ドキュメンタリー班」[1])が、プロデューサー1名(奥田雅治)[1]・ディレクター4名という体制で制作を担当[注釈 2]。1本の作品に対して、取材におよそ3か月、撮影済み映像の編集に2週間を費やしている。2016年の『映像'16』で放送された「がんとお金~“夢の薬”の光と影~」(第24回坂田記念ジャーナリズム賞受賞作品)および、『映像'17』(2017年1月)以降に放送された全ての作品については、本編の動画を『MBS動画イズム』(MBSが運営する放送済み動画のインターネット配信サービス)の有料(月額見放題)コースで視聴できる。

2020年11月29日の深夜(30日の未明)には、通算488本目の作品を「映像シリーズ40年 関西発・真夜中のドキュメンタリズム」と題して放送。MBSアナウンサーの西靖(当時は『Newsミント!』のメインキャスター)による顔出しの進行とナレーションで当番組の歴史や制作現場を紹介しながら、井口岳洋(MBSテレビ編成部長)や藤田貴久(朝日放送テレビ報道局プロデューサー、同局では日曜日の早朝に放送されている『テレメンタリー』向けのドキュメンタリー制作を担当)に対する西のインタビュー映像などを盛り込むなど、「関西ローカルでドキュメンタリーを作り続ける意味」「(MBSを初めとする)民放テレビ局でドキュメンタリーの放送枠が深夜に集中している理由」「ローカル・ドキュメンタリー番組のあり方」を問い掛けた。この作品も、第58回(2021年)ギャラクシー賞の報道活動部門で優秀賞を受賞している[1]

2021年に入ってからは、過去に放送した作品を教育や研究の現場で活用することを視野に、放送済みの映像をデジタルデータに変換する作業を進行。同年の最終放送(12月5日深夜=6日未明放送分)では、通算の放送回数が500回に到達したことを受けて、『映像シリーズ500回 90分拡大スペシャル』(過去の放送年を代表する作品のダイジェスト映像を西の進行で紹介する特別版)を編成している。

2024年4月以降は、「『真夜中のドキュメンタリズム』から『黎明(夜明け前)のドキュメント』へ」というキャッチフレーズの下で、原則として毎月最終日曜日の早朝(5:00 - 6:00)に放送。放送上のタイトルも、『MBS×映像○○』(○○は放送年度を示す数字の下2桁)に改められている。

放送時間

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現在(2024年4月26日放送分以降)

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  • 原則として毎月最終日曜日 5:00 - 6:00
    • 毎日放送では2021年5月16日から、原則として毎月第3日曜日の当該時間帯で『ドキュメンタリー「解放区」』(TBSテレビが2021年4月5日から原則として隔週月曜日の未明にレギュラーで編成している番組)の遅れネットを実施。当番組での関西ローカル向け放送を経て、『解放区』を通じて関東ローカル向けに放送されていた毎日放送制作の作品が遅れネットの対象に含まれることや、(同局での未ネット分を含めて)『解放区』で放送済みの作品が「TBSドキュメンタリー映画祭」で上映されることもある。

過去

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放送月によっては、月に2回放送することや、特別編成などで放送時間を遅らせることがあった。

ナレーション

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MBSの新旧アナウンサーが主に担当。2020年の時点では、西靖、大吉洋平、東京支社報道部記者(元・アナウンサー)の石田敦子、元・アナウンサーの小山紀一などを交互に起用している。

かつては、藤本永治高梨欣也吉田智子小堀豊子などの元・アナウンサー(担当の時点ではフリーアナウンサーや大学教授など。藤本・吉田は故人)がナレーターを務めていた。また、2011年3月27日の『映像'11』で放送された「母と娘の告白~虐待から絆への18年~」では、現役アナウンサーの松川浩子(当時は『Newsミント!』の前身番組『VOICE』のサブキャスター)がナレーションと取材(ディレクター)を兼務していた。

放送された作品の映画化

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当番組で放送された作品の一部は、再編集や追加取材を経て劇場用映画として公開されている。2012年公開の「生き抜く」(東日本大震災をテーマに制作された作品)以降は映画化が10年間途絶えていたが、2022年の5月13日からは、「教育と愛国」(2017年7月の本放送後に第55回ギャラクシー大賞を受賞した作品)が日本各地の映画館で順次上映されている[2][3]

2021年6月に放送された「いつか帰れる日まで」(サッカーミャンマー代表GKだったピエ・リヤン・アウンによる日本への亡命をテーマに据えた作品)は、「三本指のレジスタンス」というタイトルのドキュメンタリー映画として、「TBSドキュメンタリー映画祭2022」[注釈 4]の大阪(2022年4月のシネ・リーブル梅田)上映分のラインナップに加えられていた。2023年の「TBSドキュメンタリー映画祭2023」でも、「93歳のゲイ」(当番組で2022年6月26日に放送された作品の劇場版)をシネ・リーブル梅田限定で上映。2024年4月からは、この作品に追加取材と再編集を施した「94歳のゲイ」が、日本各地のミニシアターで順次公開されている。

関連項目

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  • 橋本佐与子 - 毎日放送の社員で、報道局社会部の記者を皮切りに、『VOICE』の初代メインキャスターや報道情報局の解説委員を歴任。当番組で放送される作品の取材や制作にも記者時代から携わっていて、報道情報局番組センターのドキュメンタリー担当部長へ異動してからは、当番組のプロデューサーを奥田から引き継いでいる。
  • MBSマンスリーリポート - MBS(毎日放送)が毎月第1週に放送している広報・自己批評番組で、2014年4月以降は、放送枠を原則として毎月第1日曜日の早朝5時台に編成。当番組で放送済みの作品が局外で表彰された場合や、放送の前月に局内の番組審議会で取り上げられた場合や、「TBSドキュメンタリー映画祭」の大阪開催分で上映される場合には、その旨を作品の概要と合わせて紹介している。
  • NNNドキュメント - NNN系列における全国ネットのドキュメンタリー枠。1970年1月4日から毎週日曜日の夜間(1990年4月以降は月曜日の未明)に編成されていて、当番組と同じく、放送年の西暦年度の下2桁を(2023年の場合は『NNNドキュメント '23』)を番組のタイトルに使用している。関西地方では読売テレビが同時ネットを実施していて、同局が制作した後に関西ローカルで放送を済ませていた作品が流れることもある。放送時間は基本として30分で、年に10本設定されている拡大枠でも、放送時間は55分に過ぎない。
  • ドキュメンタリー「解放区」

注釈

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  1. ^ 『テレビルポルタージュ』終了の背景には、視聴率の低下をTBSの編成部から厳しく問われたことが挙げられている。実際には、タイトルを変更したうえで、『土曜どきゅめんと』として再スタート。『テレビルポルタージュ』時代の硬派路線からの転換を図ったが、視聴率の回復につながらないまま1980年7月に終了した。ただし、1980年10月から放送を開始した『JNN報道特集』→『報道特集NEXT』→『報道特集』では、JNN系列各局が制作したドキュメンタリーの短縮版を(自社で本放送を済ませた作品を含めて)「特集」扱いで全国に放送している。
  2. ^ 作品によっては、毎日放送のアナウンサーや、報道情報局のニュースセンターに所属する現役の報道記者が制作することがある。
  3. ^ 日本プロサッカーリーグの企画・監修による『KICK OFF!』シリーズの関西版」という位置付けで、2023年4月1日から放送を開始。複数のネットスポンサーが付いている企画ネット方式の収録番組で、同年12月9日までは毎週土曜日の早朝(6:30 - 7:00)に放送されていた。
  4. ^ TBSテレビが2021年から、「ミニシアターでの上映」と「オンラインでの配信」という二本立て方式で年に1回開催している映画祭の第2回。同局では、第1回の開催をきっかけに、自社で制作するドキュメンタリー映画のブランドとして「TBS DOCS」を2021年11月から立ち上げている。

脚注

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外部リンク

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