日本モンキーセンター
日本モンキーセンター(にほんモンキーセンター、英語: Japan Monkey Centre)は、愛知県犬山市にある、サル類専門の動物園。公益財団法人日本モンキーセンターが運営しており、本項で併せて記述する。
日本モンキーセンター | |
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施設情報 | |
専門分野 | サル類 |
管理運営 | 公益財団法人日本モンキーセンター |
園長 | 伊谷原一 |
開園 | 1956年(昭和31年)10月17日(財団法人設立日)[1] |
所在地 |
〒484-0081 愛知県犬山市大字犬山官林26番地 |
位置 | 北緯35度23分26.28秒 東経136度57分27.14秒 / 北緯35.3906333度 東経136.9575389度座標: 北緯35度23分26.28秒 東経136度57分27.14秒 / 北緯35.3906333度 東経136.9575389度 |
公式サイト | 日本モンキーセンター |
動物園
編集世界にも数少ないサル専門の動物園であり、生きた霊長類の展示施設としては世界最大の規模を誇る[2]。南側に京都大学ヒト行動進化研究センターが隣接している。また、閉園となった猿ヶ島と犬山野猿公苑からニホンザルを受け入れている。
かつては霊長類以外の哺乳類(アジアゾウ、イルカ、アカカンガルー、リャマ、アシカ、ペンギン、エミュ、トムソンガゼル、スプリングボック、ニホンジカ、モルモットなど)や爬虫類(カメレオン、リクガメなど)、両生類、魚類、昆虫も飼育されていたが[3]、徐々に飼育が中止され、霊長類の動物園に特化していった。原始的な霊長類とされていたツパイも飼育されていたが、ツパイが独立した登木目となったことにより、飼育は中止された。ただし、飼育が中止されたのは他の動物園や水族館などで飼育されているような種類であり、動物ふれあい施設「KIDSZOO」などで霊長類以外の動物の飼育はされていた。2020年(令和2年)に「KIDSZOO」の閉鎖後は、くすのきの森でヤギなど、スローロリス保全センターで魚類などの飼育にとどまっている。ここにいるニホンザル(ヤクシマザル)は、焚き火に当たるサルとして冬の風物詩になっている[4][5]。元は犬山野猿公苑で伊勢湾台風の流木で職員が焚き火をしていたところ、子ザルが火を恐れず近づいたのがきっかけだという[6]。1997年に犬山野猿公苑が閉鎖され、ヤクシマザルがモンキーセンター内のモンキーバレーに移された後も焚き火は毎年冬に行われ、火の中に入れられたサツマイモをめぐり、毎回サルたちによる激しい争奪戦が繰り広げられる[4]。
施設
編集- ギボンハウス
- テナガザル(ボウシテナガザル・シロテテナガザル・ミュラーテナガザル)の展示
- モンキースクランブル
- モンキーバレイ
- ヤクシマザル約160頭を放し飼い展示。閉園となった犬山野猿公苑で飼育されていた子孫に当たる。
- ヒヒの城
- ヒヒ(アヌビスヒヒ)約70頭を放し飼い展示。
- ニホンザルの丘
- ニホンザル約100頭を飼育(非公開施設)。
- マダガスカル館
- アフリカ館
- 新アフリカ館 原野と森の家
- 南米館
- アジア館
- Waoランド
- ワオキツネザルを放し飼いで展示(柵内に入り、間近に観察可能)。
- Waoランドmini
- Waoランドと同じくワオキツネザルを展示しているが、柵内に入ることは出来ない。
- アフリカセンター
- 夜行性サルの世界
- スローロリス保全センター
- ペット目的で密輸されたレッサースローロリス(ピグミースローロリス)を保護するための施設(非公開施設)。
- くすのきの森
- ヤギなどの展示。
- ビジターセンター
- レクチャールームなどでサルについて学べる。
- 特別展示室では特別展を年数回開催する。
- 食事処「楽猿」
- 名鉄モンキーパークモノレール線動物園駅のレストランカフェ「ジャングリラ」を転用したレストラン。
- モンキーバー
- ドリンク、ファストフードなどの販売所(土日祝日のみ営業)。
- 休憩所(冷暖房完備)
- スカイダンボ(遊園地(現:日本モンキーパークと動物園(現:日本モンキーセンター)の行き来ができた乗り物)の動物園側乗場の1階を転用した施設。写真などの展示も行う。
- みはらし広場
- 犬山市街を見下ろすことができ、日本モンキーパーク内の若い太陽の塔の正面を見ることができる。
- けやき広場
主な飼育霊長類の一覧
編集2023年1月時点、56種を飼育する(ヤクシマザルはニホンザルの亜種のため、種としてはニホンザルとして扱われる)。 分類・和名は、『日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018)』[7]による。ここではいくぶん素人向けに開いた形で列記する。
- 真猿型下目 - 狭鼻小目 - オナガザル上科 - オナガザル科
- オナガザル亜科 - オナガザル族 - オナガザル属
- アカオザル
- クチヒゲグエノン
- サイクスモンキー
- ショウハナジログエノン
- ブラッザグエノン
- オナガザル亜科 - オナガザル族 - タラポアン属
- キタタラポアン
- オナガザル亜科 - ヒヒ族
- アヌビスヒヒ
- マントヒヒ
- オナガザル亜科 - シロエリマンガベイ属
- ゴールデンマンガベイ
- オナガザル亜科 - マンドリル属
- オナガザル亜科 - マカク属
- コロブス亜科 - コロブス属
- アビシニアコロブス
- アンゴラコロブス
- コロブス亜科 - ラングール属
- フランソワルトン
- コロブス亜科 - パタスモンキー属
- コロブス亜科 - サバンナモンキー属
- ベルベットモンキー
- オナガザル亜科 - オナガザル族 - オナガザル属
- 真猿型下目 - 狭鼻小目 - ヒト上科 - ヒト科
- 真猿型下目 - 狭鼻小目 - ヒト上科 - テナガザル科
- 真猿型下目 - 広鼻小目 - オマキザル上科 - クモザル科
- クモザル亜科 - クモザル属
- ケナガクモザル
- コロンビアクロクモザル
- ジェフロイクモザル
- ペルークロクモザル
- クモザル亜科 - ウーリーモンキー属
- ハイイロウーリーモンキー
- クモザル亜科 - クモザル属
- 真猿型下目 - 広鼻小目 - オマキザル上科 - オマキザル科
- 真猿型下目 - 広鼻小目 - サキ上科 - サキ科
- サキ属
- ヒゲサキ属
- ヒゲサキ
公益財団法人日本モンキーセンター
編集サルに関する総合的な研究および野生ニホンザルの保護などを目的として、1956年(昭和31年)に名古屋鉄道が出資して設立された財団法人。公益法人制度改革により営利と公益の区分が明確化されたため、2014年4月より公益財団法人となり、京都大学霊長類研究所(現:京都大学ヒト行動進化研究センター)が運営の中心となった[2]。霊長類研究については世界的に有名である。隣接するヒト行動進化研究センターとは、さまざまな交流がある。
「霊長類に関する調査研究を基盤に、その保護と生息地の保全を行い、社会教育・普及活動や図書等の刊行、標本等の資試料の収集、さらには福祉に配慮した動物園の設置および経営等を通じて、学術・教育・文化の発展及び地域社会の調和ある共存に資すること(定款より)」を目的として活動している[8]。附属世界サル類動物園では、サル類の特徴を活かした展示、たくさんのガイドやイベント、キュレーターによる博物館活動などを行っている。
運営に際して、大企業の支援や自治体からの公的補助金はなく、入園料や支援金などで運営費を賄っている[9]。経営状況が厳しい中、「ご支猿」として物品提供や寄付金を募り、話題となった[10][9]。
財団法人日本モンキーセンターは、かつては多くの施設、研究所を運営し、「世界サル類動物園」、「三河湾海上動物公園」(猿ヶ島・うさぎ島、木島、築見島、野島、前島など)、「犬山野猿公苑」、「宮島研究所」「八重山研究所」などを運営していたが[11]、「世界サル類動物園」(現:日本モンキーセンター)以外は閉鎖している。
アクセス
編集その他
編集かつては、犬山遊園駅から名鉄モンキーパークモノレール線が園内中央にある動物園駅まで運行されていたが、2008年12月27日限りで廃止となった。駅舎にあったレストランカフェ「ジャングリラ」は食事処「楽猿」に、窓口や改札口などはモンキーセンターの資材倉庫として使用されている。
2014年3月31日までは西側に隣接する「日本モンキーパーク」の動物園部門として位置付けされており、廃止されたモノレールの動物園駅を挟んで遊園地との往来が自由だったが、翌4月1日より独自の入園料を設定し、単独の施設となった。なお、遊園地休園日に単独の入園料が設定されたことがある。
TBSの特撮テレビドラマ『ウルトラセブン』第44話「恐怖の超猿人」(1968年8月4日放送)のロケ地となっており、後年には記念グッズが発売されている。詳細はゴーロン星人#『ウルトラセブン』に登場するゴーロン星人を参照。
不祥事
編集2020年10月28日に、同センターの男性飼育スタッフの一人が、同センターに展示されているシロガオサキの「モップくん」を見に訪れた女性について、「今までお姉様ばかりだったけど、本日初めて『女子』にお会いしました」と、女性の後ろ姿の写真と共にTwitterに投稿した。これに対し「女性を品定めしている」「客を年齢や容姿で評価しているのか」などの批判がTwitter上で展開されたほか、同センターにも苦情が多数寄せられ、同センターは公式ウェブサイト上に伊谷原一所長名で謝罪文を掲載する事態となった[12][13]。
脚注
編集- ^ 百年史 1994, p. 304.
- ^ a b “モンキーセンター、京大霊長類研の運営が好評”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2014年5月7日). オリジナルの2014年5月7日時点におけるアーカイブ。 2020年12月17日閲覧。
- ^ 2023年度特別展「サルだけじゃない 知られざるコレクション~くらべる・のこす~」
- ^ a b “「たき火にあたるサル」60年続く冬の風物詩 焼きイモ争奪戦も”. THE PAGE (Yahoo!JAPAN). (2020年1月2日) 2020年12月17日閲覧。
- ^ “サルもたき火でぽかぽか 愛知の日本モンキーセンター”. 産経ニュース (2021年12月21日). 2021年12月21日閲覧。
- ^ “たき火囲んでサルもほっこり 愛知のモンキーセンター”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2018年12月19日) 2020年12月17日閲覧。
- ^ 日本モンキーセンター 霊長類和名編纂ワーキンググループ 「日本モンキーセンター 霊長類和名リスト 2018年11月版」(公開日2018年12月16日・2023年3月12日閲覧)
- ^ “日本モンキーセンターとは”. www.j-monkey.jp. 2020年4月7日閲覧。
- ^ a b “動物園が「中古でもいいのでほしい物リスト」公開 車、冷蔵庫、パソコン...日本モンキーセンターの切実な事情”. J-CASTニュース (2019年9月12日). 2020年4月7日閲覧。
- ^ “全国から「支猿」続々 「恩返し」愛知の動物園に(写真=共同)”. 日本経済新聞 電子版. 2020年4月7日閲覧。
- ^ 百年史 1994, p. 698.
- ^ 日本モンキーセンターが不適切投稿で謝罪 「女性蔑視」と批判相次ぐ 毎日新聞 2020年11月6日
- ^ 職員による不適切なSNS投稿について 日本モンキーセンター最新ニュース 2020年11月5日
参考文献
編集- 名古屋鉄道 編『名古屋鉄道百年史』名古屋鉄道、1994年。