塩化ベンザル(Benzal chloride)は、C6H5CHCl2化学式を持つ有機化合物である[1]。この無色の液体は催涙剤であり、有機合成の構造ブロックとしても用いられる。

塩化ベンザル
識別情報
CAS登録番号 98-87-3 ×
PubChem 7411
ChemSpider 13882337 チェック
UNII 222447TR16 ×
EC番号 249-854-8
国連/北米番号 1886
KEGG C19165 チェック
MeSH Compounds Benzylidene Compounds
RTECS番号 CZ5075000
バイルシュタイン 1099407
特性
化学式 C7H6Cl2
モル質量 161.03 g/mol
外観 無色液体
密度 1.254 g/cm3
融点

-17 ~ -15 °C

沸点

205 °C (82 °C @10 mm Hg)

への溶解度 0.25 g/L at 39 °C
蒸気圧 0.6 kPa (45 °C)
危険性
EU分類 毒性 (T)、発がん性、環境に対する危険性(N)
Rフレーズ 22-23-37/38-40-41
Sフレーズ 36/37-38-45
引火点 93 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

製造と利用

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塩化ベンザルは、始めに塩化ベンジル、次にベンゾトリクロリドトルエンフリーラジカル塩素化することによって製造される。

C6H5CH3 + Cl2 → C6H5CH2Cl + HCl
C6H5CH2Cl + Cl2 → C6H5CHCl2 + HCl
C6H5CHCl2 + Cl2 → C6H5CCl3 + HCl

ハロゲン化ベンジルは、通常強いアルキル化剤であり、そのため塩化ベンザルは有害物質として扱われる。

塩化ベンザルをナトリウムで処理すると、スチルベンが得られる。

塩化ベンザルの工業的な用途は、ほぼベンズアルデヒドの前駆体である。この変換には、塩基性下の加水分解が含まれる[2]

C6H5CHCl2 + H2O → C6H5CHO + 2 HCl

出典

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  1. ^ BENZAL CHLORIDE”. International Programme on Chemical Safety. 2007年10月30日閲覧。
  2. ^ Karl-August Lipper and Eckhard Loser “Benzyl Chloride and Other Side-Chain Chlorinated Aromatic Hydrocarbons" in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 2011, Wiley-VCH, Weinheim. doi:10.1002/14356007.o04_o01