ベネズエラ軍
ベネズエラ軍(ベネズエラぐん、スペイン語: Fuerza Armada Nacional Bolivariana de Venezuela)は、ベネズエラの軍事組織。
ベネズエラ軍 Fuerza Armada Nacional Bolivariana | |
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派生組織 |
ベネズエラ陸軍 ベネズエラ海軍 ベネズエラ空軍 ベネズエラ国家警備隊 |
本部 | 運用戦略司令部 |
指揮官 | |
最高司令官 | 第54代大統領 ニコラス・マドゥロ[1][2] |
国防大臣 | ブラディミル・パドリノ・ロペス (es:Vladimir Padrino López)[3] |
参謀長 | カルロス・ホセ・マタ・フィゲロア陸軍大将(Carlos José Mata Figueroa) |
総人員 | |
兵役適齢 | 18歳から |
徴兵制度 | 徴兵制 |
適用年齢 | 18-30歳 |
現総人員 |
82,300人(2007) 予備役8,000人(2007)[4] |
関連項目 | |
歴史 |
ベネズエラ独立戦争 連邦戦争 ベネズエラ10月革命 |
ベネズエラ軍の階級 |
2007年時点で4軍種の総員82,300人、予備役8,000人[4]。
最高司令官であるベネズエラ大統領の指揮の下[2]、国防大臣を通じて文民統制を受ける。国防省傘下の陸海空の三軍の他に、軍事作戦と法執行活動を行なう国家警備隊がある。
徴兵制を採用しており、成人男子は18歳を迎えると徴兵登録する法的義務が存在するが、現在は定員と人口構成の問題から兵役に服することは任意となっている。
概要
編集1999年に成立したウゴ・チャベス政権下における反米路線により、従来の兵器供給源が急速に代わることになる。2007年に空軍の名称が変更され、2008年にはアンデス危機が発生。2009年9月、隣国コロンビアにおける駐留アメリカ軍の増強に対抗する為、ロシアから戦車とS-300の購入やヘリコプターなどの供与の契約を結び[5]、さらに中国からも水陸両用戦車[6][7]や軍用機[8]などを購入し、ベネズエラの軍事パレードでは中露の兵器が披露された[9]。2015年9月に中国の中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典で天安門広場を行進した[10]。
組織構成
編集国軍は大統領を最高司令官とし、国防省傘下の国軍最高指揮官高等会議(Alto Mando y Junta Superior de la FAN)の下で調整運用される。
国軍全体の統合運用、計画、業務執行の全体的戦略の統制を目的とする最高機関として、運用戦略司令部(Comando Estratégico Operacional)が設けられ、国土を5つの軍管区に区分して四軍の調整運用を行なっている。
- 中央軍管区 担当地域:首都地区、バルガス州、ミランダ州、アラグア州、カラボボ州、ヤラクイ州。
- 西部軍管区 担当地域:ファルコン州、ララ州、トルヒーリョ州、メリダ州、タチラ州、スリア州。
- ロス・ジャノス軍管区 担当地域:アプレ州、ポルトゥゲーサ州、バリナス州、コヘデス州、グアリコ州、アンソアテギ州。
- 東部軍管区 担当地域:デルタアマクロ州、モナガス州、スクレ州、ヌエバ・エスパルタ州。
- グアジャナ軍管区 担当地域:ボリバル州、アマソナス州。
陸軍
編集陸軍は、6個の師団を基本戦略単位部隊とし、4つの機能別集団および部隊・機関から成る。チャベス政権の反米姿勢により西側諸国から調達していた兵器類が禁輸措置により入手困難となり、近年はロシア製の戦車も導入されている。
海軍
編集海軍は、6隻のフリゲートとドイツ製の2隻の潜水艦を主力に44隻の艦艇を有し、国内を7つの海軍管区に区分しカラボボ州プエルト・カベージョに主要基地を設けている。海軍組織の指揮系統としては5つの機能別集団を設け、各艦艇や海軍航空隊、約7,000人規模の海兵隊および沿岸警備隊を収めている。近年は海兵隊で中華人民共和国製の軽戦車も導入されている[6][11]。
空軍
編集空軍は、5個の機能別集団の下、12個の航空群や学校や機関その他の部隊から成る。2007年にFuerza Aérea VenezolanaからAviación Militar Nacionalに改称した。陸軍と同様に近年はロシアや中華人民共和国製の航空機の導入が進んでいる。
国家警備隊
編集ボリバル国家警備隊は国内秩序の維持のため犯罪捜査や街頭警備、戦時の際の予備戦力として機能するとされる。この他に予備・補助組織として国家ボリバル民兵が民間防衛組織として存在している。近年では抗議デモが増えているために国家警備隊では中華人民共和国製の装甲車が大量に導入されている[12][13]。
兵役条件
編集ベネズエラ国籍を保持する18歳から30歳までの成人男性、成人女性は25歳まででかつ、保護する子女がいないこと、独身者であること、裁判で有罪判決を受けていないこと、犯罪歴・前科がないこと、身体障害者でない(健常者である)こと、CI証を提示できることが必要条件となっている。
脚注
編集出典
編集- ^ 2013年3月5日の暫定大統領就任時より。同年4月19日、正式に第54代大統領として就任し、最高司令官を留任。
- ^ a b 尚、大統領が国軍の最高司令官を務めることは、1999年に改憲された現行のベネズエラ・ボリバル共和国憲法第236条の5「以下は、共和国大統領の職権と義務である。(中略)5. 最高司令官としてのその地位において国軍を指揮し、それ(国軍)の階層構造における最高権限を行使し、その(国軍の)配分を定めること。」 (Son atribuciones y obligaciones del Presidente o Presidenta de la República: ... 5. Dirigir las Fuerza Armada Nacional en su carácter de Comandante en Jefe, ejercer la suprema autoridad jerárquica de ella y fijar su contingente.) によって、明確に規定されている。Constitución de la República Bolivariana de Venezuela: Artículo 236, Inciso 5
- ^ 2014年10月25日より。General en Jefe Vladimir Padrino López, Ministro del Poder Popular para la Defensa
- ^ a b Military Balance 2007
- ^ 産経MSN ベネズエラ、ロシア製戦車92台購入へ 2009年9月14日
- ^ a b “Venezuela displays new Chinese combat vehicles during military parade”. Army Recognition. (2018年7月9日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ “Chavez: Venezuela to buy tanks from China”. San Diego Union Tribue. (2012年7月3日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ “Venezuela receives first six K-8 jet trainers”. flightglobal. (2010年3月17日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ “Venezuela launches two-week military drill featuring Chinese and Russian arms after claiming the US 'is an imminent danger'” (英語). デイリー・メール
- ^ “Xi seeks greater collaboration with Venezuela” (英語). Chinadaily.com.cn
- ^ “Venezuela armed forces take delivery of Chinese VN-1 8x8 armoured vehicles for its Marine Corps.”. Army Recognition. (2014年8月16日) 2018年8月28日閲覧。
- ^ National Guard of Venezuela will receive more Chinese-made Norinco VN4 vehicles - Armyrecognition.com, March 12, 2013
- ^ María Delgado, Antonio (12 June 2017). “Maduro importa blindados de combate en vez de alimentos en medio de crisis venezolana” (英語). El Nuevo Herald 13 June 2017閲覧。
参考文献
編集- Christopher Langton, Military Balance 2007, Routledge