バークシャー種: Berkshire pig)は、ブタの品種である。

バークシャー種
別名六白豚
原産国イギリス
特徴
ブタ
Sus scrofa domesticus

イングランド南東部のバークシャーを原産とする品種[1]。外観的特徴としては中型であり、被毛は黒色[1]。鼻や四肢の先端など六箇所に白いまだら模様があることから六白豚と呼ばれることもある[1][2]

バークシャーの在来豚とシアメース種中国種ネオポリタン種などを交雑してつくられた[2]1820年頃に品種として固定し、1851年以降は純粋繁殖が行われている[2]

原産国のイギリスでは希少品種となっている。オーストラリア日本ニュージーランドアメリカなど多くの国に輸出され、そのうちのいくつかの国では多数の飼育されている。

歴史

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バークシャー種は、バークシャーの伝統的な品種である[3][4]。18世紀まではロップイヤーを持つ大きな褐色の豚であり、しばしば黒っぽい斑点があった。18世紀後半から19世紀初頭にかけて、アジアから輸入された小型の黒豚との交配によって大幅に改良された[3]。 

イングランドでは現在も、ハートフォードシャーアルデンハム・カントリー・パーク英語版にある希少種保存トラストと、ケントのサウス・オブ・イングランド希少種センターによって維持されている。バークシャー種は2008年に絶滅危惧種に指定された。当時、繁殖雌豚は300頭以下しか確認されていなかったが、日本の「高級豚肉」販売との関連で人気が復活し、頭数が増加している[5]

多くの国に輸出され、その内のいくつかの国では多数飼育されるようになった。国際連合食糧農業機関DAD-IS英語版データベースには、アメリカ大陸ユーラシアオセアニアの23カ国から報告されている[6]

アメリカへの輸出は19世紀初頭に始まった。1875年に設立されたアメリカバークシャー協会は、豚の品種のための最初の品種協会英語版であった[3]。最初に登録された最初の豚はエース・オブ・スペードという名で、ヴィクトリア女王によって飼育されたと伝えられている[7]

日本には1860年代に輸出され、数多く飼育されるようになった[8]。日本のかごしま黒豚は、1930年代に日本に輸入された2頭のイギリスのバークシャー種に由来するとされるが、別の品種と考えられている。黒豚として販売され、高値が付くこともある[3]

特徴

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中型の品種であり、成体の雄は約280キロ、雌は約220キロである[9]。体色は黒で、6つの白いマーキングがある。4つの白いソックス、鼻の白いスプラッシュ、尾の先端の白である[10]

利用

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バークシャーは食肉用として飼育されている。肉のpHは比較的低く、通常はpHの高さは消費者の満足度と相関関係にあるが、バークシャー種の肉はアメリカでの味覚テストで高い評価を得た[11]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b c 豚に関する豆知識(3) バークシャー種”. 一般社団法人 日本養豚協会. 2016年11月30日閲覧。
  2. ^ a b c 「新養豚全書」バークシャー種(Berkshire)” (PDF). 全国養豚協会. 2016年11月30日閲覧。
  3. ^ a b c d Porter, Valerie; Alderson, Lawrence; Hall, Stephen J. G.; Sponenberg, D. Phillip (2016-03-09) (英語). Mason's World Encyclopedia of Livestock Breeds and Breeding, 2 Volume Pack. CABI. ISBN 978-1-84593-466-8. https://books.google.it/books?id=2UEJDAAAQBAJ&hl=en 
  4. ^ New Zealand Pig Breeders' Association”. web.archive.org (2023年3月6日). 2023年3月6日閲覧。
  5. ^ Watchlist”. web.archive.org (2008年7月31日). 2008年7月31日閲覧。
  6. ^ Transboundary breed: Berkshire”. dadis-transboundary-ext-ws.web.app. 2024年8月15日閲覧。
  7. ^ History – American Berkshire Association”. web.archive.org (2019年5月28日). 2019年5月28日閲覧。
  8. ^ Breed data sheet: Berkshire / Japan (Pig)”. dadis-breed-datasheet-ws.web.app. 2024年8月15日閲覧。
  9. ^ Berkshire | Rare Breeds Survival Trust”. web.archive.org (2020年9月23日). 2020年9月23日閲覧。
  10. ^ BPA: The British Pig Association”. web.archive.org (2006年5月12日). 2006年6月12日閲覧。
  11. ^ McMullen, Larry (2006-01-01). “Sensory Preferences of Consumers for High pH, Low pH Commodity Pork Loins and Berkshire Pork Loins” (None). Iowa State University Animal Industry Report 3 (1). doi:10.31274/ans_air-180814-986. ISSN 2693-0293. https://www.iastatedigitalpress.com/air/article/id/6711/.