ハンズル・パーチメント

ジャマイカの陸上競技選手 (1990-)

ハンズル・ジョージ・パーチメントHansle George Parchment1990年6月17日 ‐ )は、ジャマイカセント・トーマス教区出身の陸上競技選手。専門は110mハードルで、自己ベストは12秒94の元ジャマイカ記録保持者。2012年ロンドンオリンピックで銅メダル、2015年北京世界選手権で銀メダル、2020年東京オリンピックで金メダルを獲得し、オリンピック世界選手権の男子110mハードルにおいてジャマイカ人初のメダリストになった選手である。

ハンズル・パーチメント Portal:陸上競技
選手情報
フルネーム ハンズル・ジョージ・パーチメント
ラテン文字 Hansle Parchment
国籍 ジャマイカの旗 ジャマイカ
競技 陸上競技ハードル
種目 110mハードル
大学 ジャマイカの旗 西インド諸島大学
生年月日 (1990-06-17) 1990年6月17日(34歳)
出身地 ジャマイカの旗 セント・トーマス教区
身長 196cm
体重 90kg
成績
オリンピック 110mH:1位(2021年
世界選手権 110mH:2位(2015年
地域大会決勝 英連邦競技大会
110mH:2位(2018年
最高世界ランク 110mH1位(2014年)(2023年)
自己ベスト
110mハードル 12秒93(2023年)
獲得メダル
陸上競技
ジャマイカの旗 ジャマイカ
オリンピック
2020 東京 110mH
2012 ロンドン 110mH
世界選手権
2015 北京 110mH
2023 ブダペスト 110mH
英連邦競技大会
2018 ゴールドコースト 110mH
中央アメリカ・カリブ選手権
2011 マヤグエス 4x100mR
ユニバーシアード
2011 深圳 110mH
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経歴

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2011年

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8月の深圳ユニバーシアード男子110mハードルを13秒24(-0.3)の自己ベスト(当時)で制し、この種目では全てのカテゴリーの世界大会を通じて[注 1]、ジャマイカ人初の金メダルを獲得した。

2012年

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8月のロンドンオリンピック男子110mハードルに出場すると、準決勝をジャマイカ記録(当時)となる13秒14(+0.1)で突破。決勝でもジャマイカ記録(当時)となる13秒12(-0.3)を記録して3位に入り、この種目ではオリンピック世界選手権を通じて、ジャマイカ人初のメダルとなる銅メダルを獲得した[注 2]。閉会式ではジャマイカ選手団の旗手を務めた。

2013年

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6月1日のダイヤモンドリーグプレフォンテインクラシック英語版男子110mハードルで13秒05(+0.9)のジャマイカ記録(当時)を樹立し、ジャマイカ人初の13秒0台に突入した[1]

6月のジャマイカ選手権では、男子110mハードル決勝に向けたウォームアップトラックでの練習中に足を痛めてしまう[2][3]

8月のモスクワ世界選手権男子110mハードルで準決勝まで進出するも、負傷のため途中棄権に終わった。結局これが今シーズン最後のレースとなった[2]

2014年

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7月5日のダイヤモンドリーグミーティングアレヴァ男子110mハードルで世界歴代10位タイ(当時)の記録となる12秒94(+0.8)を記録し、ジャマイカ人として初めて13秒の壁を突破した[4]。なお、13秒の壁を突破した選手はパーチメントが史上16人目で、カリブ海諸国の選手としてはキューバダイロン・ロブレスに次いで史上2人目となった。

7月11日のダイヤモンドリーグ・グラスゴーグランプリ男子110mハードルでハムストリングスを痛めた影響により、残りのシーズンを棒に振ることとなった[5]

2015年

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8月の世界選手権男子110mハードルに出場すると、準決勝を13秒16(0.0)の組2着(全体4位タイ)で突破し、世界選手権で初めて決勝に進出した。決勝では優勝したセルゲイ・シュベンコフ英語版と0秒05差の2位に入り、この種目でジャマイカ人初のメダルとなる銀メダルを獲得した[6][注 3]

2016年

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5月6日のダイヤモンドリーグカタールスーパーグランプリ男子110mハードルで今季世界2位の記録(当時)となる13秒10(+1.4)を記録したが[7]、同月28日のダイヤモンドリーグ・プレフォンテインクラシック男子110mハードルで負傷してしまう。

ハムストリングス負傷のため7月上旬のジャマイカ選手権は欠場したが、救済措置でリオデジャネイロオリンピックのジャマイカ代表に選出された。しかし、本大会で走るには8月8日までに実力を証明しなければならなかったが、7月24日のレースでは13秒53(+1.5)と本来の調子にはほど遠く、本大会のメンバーから外れた[8]

2017年

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8月のロンドン世界選手権男子110mハードルでは前回大会に続いて決勝に進出したが、2大会連続のメダル獲得とはならず、13秒37(0.0)で8位に終わった[9]

2021年

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6月、東京オリンピック出場権をかけた選考会にて13秒18で3位に入りジャマイカ代表に選出された。本大会では準決勝を13秒23(-0.1)で突破。決勝では13秒04(-0.5)のシーズンベストで金メダルを獲得した[10]

エピソード

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東京オリンピックで8月4日に準決勝が行われた国立競技場へ向かうところ乗るべきバスを乗り間違え、気が付いた時には逆方向の東京アクアティクスセンターに到着していた。その際に大会ボランティアの女性スタッフに事情を話し、助けを求めたところ、そのスタッフが国立競技場までのタクシー代として手持ちの一万円札を貸してくれたことによりすぐに国立競技場へ向かいウォーミングアップに間に合うことができて準決勝を通過、翌日に行われた決勝で見事に金メダルに輝いた。

パーチメントは競技終了後にバスに乗ってその女性スタッフのもとに向かい借りたタクシー代を返すと共に、獲得した金メダルを披露し、感謝の気持ちを込めてジャマイカチームのシャツをプレゼントした[11][12][13][14]

自己ベスト

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記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。

種目 記録 年月日 場所 備考
110mハードル 12秒94(+0.8) 2014年7月5日   パリ ジャマイカ歴代2位(元ジャマイカ記録)

主要大会成績

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備考欄の記録は当時のもの

国際大会

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大会 場所 種目 結果 記録 備考
2007 世界ユース選手権   オストラヴァ 110mYH 準決勝 14秒13(-0.5)
2010 中央アメリカ・カリブ海競技大会 (en   マヤグエス 110mH 5位 13秒97(-0.1) 予選13秒88(+1.6):自己ベスト
英連邦競技大会 (en   デリー 110mH 5位 13秒71 自己ベスト
2011 中央アメリカ・カリブ選手権 (en   マヤグエス 110mH 決勝 DQ 予選13秒85(-3.5)
4x100mR 予選 39秒74(4走) 決勝進出[注 4]
ユニバーシアード (en   深圳 110mH 優勝 13秒24(-0.3) 自己ベスト
2012 オリンピック   ロンドン 110mH 3位 13秒12(-0.3) ジャマイカ記録
2013 世界選手権   モスクワ 110mH 準決勝 DNF 予選13秒43(+0.5)
2014 英連邦競技大会 (en   グラスゴー 110mH 予選 DNS
2015 世界選手権   北京 110mH 2位 13秒03(+0.1)
2017 世界選手権   ロンドン 110mH 8位 13秒37(0.0)
2018 英連邦競技大会 (en   ゴールドコースト 110mH 2位 13秒22(-0.3)
2021 オリンピック   東京 110mH 1位 13秒04(-0.5)

ダイヤモンドリーグ

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ダイヤモンドリーグの総合成績を記載。獲得ポイント欄の( )内は出場したポイント対象レースの数を意味する。

種目 総合順位 獲得ポイント
2012 110mH 4位 3(2レース)

優勝したダイヤモンドリーグ個人種目の成績を記載。金色の背景はポイント対象レースを意味する。

大会 場所 種目 記録 備考
2013 プレフォンテインクラシック   ユージーン 110mH 13秒05(+0.9) ジャマイカ記録
2014 ミーティングアレヴァ   パリ 110mH 12秒94(+0.8) 世界歴代10位タイ

脚注

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注釈

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  1. ^ オリンピックユースオリンピック世界選手権世界ジュニア選手権世界ユース選手権ユニバーシアード
  2. ^ それまでのオリンピックと世界選手権におけるジャマイカ人の男子110mハードル最高成績は、オリンピックはモーリス・ウィグナル2004年アテネ大会で記録した4位、世界選手権はモーリス・ウィグナルが2009年ベルリン大会で記録した5位。
  3. ^ それまでの世界選手権男子110mハードルにおけるジャマイカ人の最高成績は、モーリス・ウィグナルが2009年ベルリン大会で記録した5位。
  4. ^ 決勝は未出場。決勝のジャマイカは38秒81で優勝。

出典

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  1. ^ Parchment hurdles national record”. Jamaica Gleaner (2013年6月2日). 2015年6月20日閲覧。
  2. ^ a b Parchment recovering nicely”. Jamaica Observer (2013年9月23日). 2015年6月20日閲覧。
  3. ^ Parchment awaiting tests results after ankle injury”. Jamaica Gleaner (2013年6月22日). 2015年6月23日閲覧。
  4. ^ Brilliant Parchment - First Jamaican to go below 13 secs in 110m hurdles”. Jamaica Gleaner (2014年7月6日). 2015年6月20日閲覧。
  5. ^ Hamstring injury rules out Parchment”. Jamaica Gleaner (2014年7月23日). 2015年6月20日閲覧。
  6. ^ Report: men's 110m hurdles final – IAAF World Championships, Beijing 2015”. 国際陸上競技連盟 (2015年8月28日). 2015年8月29日閲覧。
  7. ^ Parchment primed to go one better at Racers Grand Prix”. Jamaica Observer (2016年5月25日). 2016年8月4日閲覧。
  8. ^ Parchment's Olympic hope ends - Recovering hurdler leaves Rio camp”. Jamaica Gleaner (2016年8月3日). 2016年8月4日閲覧。
  9. ^ 2017年世界選手権男子110mハードル決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年8月8日). 2017年8月8日閲覧。
  10. ^ 結果 - 男子110mハードル決勝 - 8月5日” (日本語). olympics.com. 2021年8月13日閲覧。
  11. ^ 金メダルを手に「あなたのおかげ」と感謝。バスを間違えた選手を大会関係スタッフが救う【東京オリンピック】” (日本語). ハフポスト. 2021年8月13日閲覧。
  12. ^ 五輪=タクシー代借りて金の陸上選手、助力のボランティアと再会” (日本語). ロイター. 2021年8月13日閲覧。
  13. ^ 五輪で起きた奇跡的秘話 バスを間違えた海外選手、日本人女性の助けで金メダル獲得” (日本語). THE ANSWER. 2021年8月13日閲覧。
  14. ^ バスを間違えた五輪選手を救った◯◯さんが語る。競技に出られなければ「一生後悔させてしまう」

外部リンク

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記録
前年
  デビッド・オリバー
(13秒00)
男子110mハードル
シーズンベスト記録保持者
(12秒94)

2014年
後年
  オーランド・オルテガ
(12秒94)
先代
ドワイト・トーマス
(13秒15)
2011年6月9日
男子110mハードル
ジャマイカ記録保持者
(13秒14 - 12秒94)

2012年8月8日 - 2017年6月24日
次代
オマール・マクレオド
(12秒90)
2017年6月24日
功績
1人目
  ダイロン・ロブレス
(12秒92)
2007年9月23日
男子110mハードル
13秒の壁を突破したカリブ海諸国選手
(12秒94)

2014年7月5日
3人目
  オマール・マクレオド
(12秒97)
2015年6月27日
オリンピック
先代
ベロニカ・キャンベル=ブラウン
(女子陸上競技選手)
2008 北京
ジャマイカ選手団の旗手
(閉会式*)

2012 ロンドン
次代
開会式 / シェリー=アン・フレーザー=プライス
(女子陸上競技選手)
閉会式 / ジャボン・フランシス
(男子陸上競技選手)
2016 リオデジャネイロ