スピーシーズ 種の起源
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『スピーシーズ 種の起源』(スピーシーズ しゅのきげん、原題: Species)は、1995年に公開されたアメリカ合衆国のSFホラー映画。
スピーシーズ 種の起源 | |
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Species | |
監督 | ロジャー・ドナルドソン |
脚本 | デニス・フェルドマン |
製作 |
フランク・マンキューソ・ジュニア デニス・フェルドマン |
出演者 |
ベン・キングズレー マイケル・マドセン アルフレッド・モリーナ フォレスト・ウィテカー マーグ・ヘルゲンバーガー ナターシャ・ヘンストリッジ |
音楽 | クリストファー・ヤング |
撮影 | アンジェイ・バートコウィアク |
編集 | コンラッド・バフ |
製作会社 |
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー フランク・マンキューソ・ジュニア・プロダクションズ |
配給 |
MGM/UA Distribution Co. UIP |
公開 |
1995年7月7日 1995年11月23日 |
上映時間 | 108分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $35,000,000 |
興行収入 |
$60,074,103[1] $113,374,103[1] |
次作 | スピーシーズ2 |
ストーリー
地球人のDNAや地球の人口などを含むアレシボ・メッセージが、1974年に地球の天文台から発信された。それから20年近くを経た1993年に、宇宙の知的生命体より返信があった。人類の改造も可能な新たなDNAの結合情報であった。科学者たちはメッセージを送って来た異星人が友好的と考え、未知のDNAをヒトの卵子と結合させる実験を行なう。受精に成功した個体は急成長を遂げ、短期間で人間の少女の外見に育った。SIL(シル)と名付けられた生命体は、研究責任者フィッチの判断のもと、毒ガスで処分されることになった日に研究所から脱走。フィッチはシル追跡のため、生物学者のローラ、人類学者のアーデン、霊能力者のダン、傭兵あがりの解決屋プレスを招集した。
列車に乗って逃亡中の少女型シルは、客室内で蛹になって成人女性の姿へ変態。交尾相手を求めて、男性客が多く集まるクラブへ出かける。ナンパされた男の家へ行くものの、シルは本能的にその男を拒絶して殺害。事件現場に急行したプレスたちは、男の部屋から糖尿病患者が使うインスリン薬品を発見し、シルが持病のない純粋な遺伝子だけを求めていることに気が付く。一行はシルの交尾を阻止するべく、逃亡した彼女を追跡する。
シルは追跡を逃れようと、誘拐した女性を乗せた車を高圧電流のブレーカーに激突させ、事故死を偽装。ダン以外のメンバーは、シルが死んだと思い気を緩める。逃げ延びたシルは外見を変えるため、ヘアカラーでブロンドヘアをブルネットに染め、プレスたちが宿泊するホテルに忍びこんだ。ホテルのバーから戻って来たアーデンは、部屋で美女が待っていたことに驚きつつも、彼女の誘いに応じてセックスを始める。
自室で休んでいたダンは、すぐ近くにシルが来ていることを察知。アーデンの部屋に彼女がいると確信して、プレスとローラを呼びに行くが、すでにシルは性器内に射精を受けている最中だった。精液を注がれた直後の彼女が妊娠を告げ、下腹部の中で胎児が動いているのを知ったアーデンは、自分がシルと交尾してしまったことに気付くが、その直後に殺害される。部屋の壁を突き破って逃亡したシルは、ホテル地下の下水道へ逃げ込んだ。
エイリアン形態に変身したシルはフィッチを殺害したあと男児を産み落とし、シルの子供はダンを襲って異形の姿に変身するが、火炎放射器を作動したダンが子供を返り討ちにする。子供を殺されて怒り狂うシルの猛攻をかわしつつ、プレスはその頭部をショットガンで狙い撃つ。ようやく恐ろしい事件は終わったかに見えたが、シルの触手を食べたネズミが、その因子に感染していた。
興行
『スピーシーズ』は1995年7月7日に全米で劇場公開された。週末のオープニング興収は1,710 万ドルで、当時の興行成績では『アポロ13』に次ぐ第2位となり、MGM映画史上最大の興行収入となった[2]。
製作費3,500万ドルの本作は、米国での6,000万ドルを含め、全世界で1億1,300万ドルの収益を上げた[3]。この大成功を受けてフランチャイズ化を果たし、同じキャラクターや、その関係者が登場する続編『スピーシーズ2』(Species II)、『スピーシーズ3 禁断の種』(Species III)、登場人物と世界観を一新した『スピーシーズ4 新種覚醒』(Species – The Awakening)が製作された。マイケル・マドセンとマーグ・ヘルゲンバーガーは同じ役柄で第2作まで、ナターシャ・ヘンストリッジは第3作まで出演している。
登場人物
- ザビエ・フィッチ
- 演 - ベン・キングズレー
- "シル"を生み出した研究所のトップ。非常にワンマン。
- その凶暴性を恐れてシルを殺処分しようとしたが、脱走されてプレスらを招集した。シルの殺処分を最優先し、規則と称してプレスらを無菌室に閉じ込めたり、シルが下水管に逃げ込んだ際にダンの意見を切り捨てるなど、自分本位な言動が目立った。その結果、エイリアンと化したシルに下水の中に引きずり込まれる形で殺害された。
- なお、3作目『スピーシーズ3 禁断の種』の主人公であるアボット博士はかつての助手。
- プレス・レノックス
- 演 - マイケル・マドセン
- 問題解決屋。ファーストネームは「プレストン」。ニヒルな性格だが、強運の持ち主。
- 召集される前、飼い猫を親戚の老婆に預けている。"シル"討伐がきっかけでローラと知り合い、後に恋仲となってベッドを共にする。最終決戦ではナイフを用い、"シル"の触手を切断したうえで火の海と化した原油の池に放り込む。ダンを道連れにしようとしたシルの頭部にショットガンを浴びせ殺害し一連の追跡劇を終わらせた。
- 本作と次作の間に警備会社を設立し社長職についている。
- スティーブン・アーデン
- 演 - アルフレッド・モリーナ
- ハーバードの人類学者。女好きだが、プレスに負けず劣らずのニヒル。
- ローラに好意を持っても全く相手にされず、シルが死を偽装した後のパーティーで連れの男性がいる女性2人をナンパするなど女運が悪くそれが彼の末路へと繋がってしまう。プレスとローラが無菌室に閉じ込められた際、ダンがフィッチと揉み合いになった隙を突き、緊急ボタンを押したことで2人の脱出に貢献するが、終盤で自分の客室に忍びこんでいた謎の茶髪の美女と性交をした結果、その美女がシルであることに気づくも時すでに遅く、殺害された。
- ダン・スミスソン
- 演 - フォレスト・ウィテカー
- 霊能力者。招集されたメンバーの中では、唯一の黒人。細心かつ用心深い性格。
- プレスとローラが無菌室に閉じ込められた際、扉を開けようとしないフィッチと対立。揉み合いとなり、アーデンが緊急ボタンを押す隙を作った。自らの霊能力を駆使してシルを追い詰め、彼女が車ごと崖に落ちたことで彼女が死んだと判断されるが、持ち前の霊能力ゆえにごまかされず、茶髪の美女の正体がシルであることにいち早く気付いた。フィッチの死後、彼が持つ火炎放射器を武装し、謎の子供に接触した際、その子供に襲われたことでシルが産み落とした子供であることを確信。シルの子供に火炎を浴びせ殺害するも、その反動で原油の池に落ちそうになり、シルに道連れにされそうになりながらも、プレスがシルを始末したことによって九死に一生を得た。
- ローラ・ベイカー
- 演 - マーグ・ヘルゲンバーガー
- 分子生物学者。理知的なキャリアウーマンだが、時折アグレッシブな行動を取る。
- 無菌室のトラブルがきっかけでプレスと深い仲となり、それが幸いしてプレスがシルと交尾することを回避している[4]。終盤、研究者仲間のアーデンとフィッチを失うも、プレスの手でシルを撃退することに成功し、プレスとダンと共に生還を果たす。
- 本作と次作との間にアメリカ軍で研究所を設立し、シルのクローン・"イヴ"を誕生させ、フィッチの失敗を繰り返さないよう厳重に育てている。
- シル
- 演 - ナターシャ・ヘンストリッジ(少女時:ミシェル・ウィリアムズ)
- 人間と未知のDNAを結合させて誕生した生命体。邪魔するものを躊躇なく殺害する極悪な性質。
- フィッチの手で毒殺されそうになるが、凶暴性を発揮し脱出。脱出劇のさなかで体に異変が起き蛹となって少女の姿から大人の女性へと成長する[5]。交尾相手の男性を求め街をさまようが、プレスに追跡されていることに気づき、それを逆手に自分が車ごと崖から転落して死亡したと偽装することで追跡を交わし、茶髪に染め、プレスを誘惑しようとするが、忍び込んだ客室の主がアーデンであることに気づき彼と交尾し、感づいた彼を口封じに殺害する。さらにフィッチを下水の中に引きずり込んで殺害するも、産み落とした子供がダンに始末され、プレスを襲うが逆に返り討ちにされる。最期はダンを道連れにしようと悪あがきをするが、プレスによって自らも始末された。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
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ソフト版 | テレビ朝日版 | |||
ザビエ・フィッチ(研究所所長) | ベン・キングズレー | 津嘉山正種 | 小川真司 | |
プレス・レノックス(問題解決屋) | マイケル・マドセン | 大塚明夫 | 山路和弘 | |
スティーブン・アーデン(人類学者) | アルフレッド・モリーナ | 山路和弘 | 家中宏 | |
ダン・スミスソン(霊能力者) | フォレスト・ウィテカー | 堀内賢雄 | 中博史 | |
ローラ・ベイカー(分子生物学者) | マーグ・ヘルゲンバーガー | 岡村恭子 | 高島雅羅 | |
シル | ナターシャ・ヘンストリッジ | 湯屋敦子 | 日野由利加 | |
少女シル | ミシェル・ウィリアムズ | 津村まこと | 大坂史子 | |
エイリアン・シル(声) | フランク・ウェルカー | |||
助手 | ジョーダン・ランド | 福田信昭 | 長克巳 | |
その他 | 楠大典 鈴木れい子 水野龍司 金尾哲夫 咲野俊介 佐藤しのぶ 岩田安生 仲野裕 巴菁子 塚田正昭 佐久田修 坪井智浩 火野カチコ 麻丘夏未 |
中田和宏 片岡富枝 古澤徹 後藤敦 さとうあい 寺内よりえ 宮寺智子 田原アルノ 茶風林 大川透 佐藤しのぶ 幹本雄之 岡本章子 遠藤純一 | ||
日本語版制作スタッフ | ||||
演出 | 加藤敏 | 蕨南勝之 | ||
翻訳 | 岡枝慎二(字幕) 新村一成(吹替) |
武満眞樹 | ||
調整 | 田中和成 | 山田太平 | ||
効果 | リレーション | |||
編集 | オムニバス・ジャパン | |||
プロデューサー | 貴島久祐子 | 高橋由佳 | ||
制作 | 東北新社 ワーナー・ホーム・ビデオ |
ムービーテレビジョン ViViA | ||
初回放送 | 2011年9月7日 『午後のロードショー』[6] |
1999年2月7日 『日曜洋画劇場』[7] |
- 再放送ではテレビ朝日版の音源が使用されている。
スタッフ
- 製作 - フランク・マンキューソ・ジュニア、デニス・フェルドマン
- 監督 - ロジャー・ドナルドソン
- 脚本 - デニス・フェルドマン
- 撮影 - アンジェイ・バートコウィアク
- 音楽 - クリストファー・ヤング
- 配給 - メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
- プロダクション・デザイナー - ネルソン・コーテス
- 美術 - ジョン・ムート
- SFX - スティーヴ・ジョンソン
備考
- 新DNA実験体"シル"の変身はエイリアンをデザインしたH・R・ギーガーが手がけている。
- 新人女優のナターシャ・ヘンストリッジのヌードシーンが話題になり、人気を評した[要出典]。他にもマイケル・マドセンなどのベテラン俳優が出演している。
- 『スピーシーズX 美しき寄生獣』(Decoys)、『スピーシーズXX 寄生獣の誘惑』(Decoys 2: Alien Seduction)、『スピーシーズXXX 寄生獣の甘い罠』(Candy Stripers)といった作品も存在するが、シリーズとは無関係。
脚注
- ^ a b “Species (1995)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年3月30日閲覧。
- ^ “Time Right for ‘Species’ to Emerge”. Los Angeles Timest. 2024年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月15日閲覧。
- ^ “"Species (1995) – Financial Information"”. The Numbers. 2024年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年4月15日閲覧。
- ^ ダンの霊能力による予知やたまたまアーデンの客室にシルが忍び込むという偶然が重なったことも回避の理由にもなっている。
- ^ このため追跡側は彼女の顔が分からなくなっている。
- ^ 本来はテレビ朝日版の吹替で放送する予定であったが、SD素材しか無かったためソフト版の音源が使用された。
- ^ その後各局もこの吹替版を放送。