グッドフェローズ
『グッドフェローズ』 (Goodfellas) は、1990年のアメリカ合衆国の犯罪伝記映画。監督はマーティン・スコセッシ、出演はレイ・リオッタとロバート・デ・ニーロなど。原作はニコラス・ピレッジのノンフィクション『ワイズガイ』(1985年)[1][4]。 1955年から1980年にかけてのニューヨーク・マフィア界で生きた、ヘンリー・ヒルという実在の男を題材とした作品である[5][6]。主人公を演じたレイ・リオッタにとっても、本作は出世作となった。[要出典]
グッドフェローズ | |
---|---|
Goodfellas | |
監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 |
ニコラス・ピレッジ マーティン・スコセッシ |
原作 |
ニコラス・ピレッジ 『ワイズガイ』[1] |
製作 | アーウィン・ウィンクラー |
製作総指揮 | バーバラ・デ・フィーナ |
出演者 |
レイ・リオッタ ロバート・デ・ニーロ ジョー・ペシ |
撮影 | ミヒャエル・バルハウス |
編集 | セルマ・スクーンメイカー |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
1990年9月9日(VIFF)[2] 1990年9月19日 1990年10月13日 |
上映時間 | 145分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 イタリア語 ヘブライ語[2] イディッシュ語[2] |
製作費 | $25,000,000 |
興行収入 | $46,879,633[3] |
原題の単数形"Goodfella"は、直訳すると「気の置けない友達」という意味で、マフィア界の隠語では「自分と同じ組織の所属にある者」という意味である。"Good fellow"は後者の意味で用いられることはないが、単語のくだけた形を使用しないという日本映画界の慣行から、グッドフェラではなくグッドフェローズとつけられた。
本作の成功を受け、同じくスコセッシ監督、デ・ニーロ及びペシ出演、ピレッジ原作で『カジノ』が1995年に製作された。スコセッシは同じく「モブ・マフィアもの」の『ディパーテッド』を2006年に製作している。また、2012年現在、本作のTVドラマ化の企画が進んでいるという[7]。
ストーリー
編集ヘンリー・ヒルはアイルランド系の父とシチリア系の母を持ち、子供の頃からマフィアの一員になる事を夢見ていた。彼は11歳でニューヨーク・ブルックリンのタクシー配車センターでマフィアの使い走りとなり、やがて闇煙草の密売や、偽造クレジットカードの使用などを皮切りに、トラックの荷物強奪や違法賭博・ノミ行為・八百長試合の設定といった犯罪に手を広げていく。彼の一味はポール・ヴァリオ(劇中ではポール・シセロ)を長とし、トラック強奪を得意としたジミー・バーク(同じくジミー・コンウェイ)や武装強盗と殺人に秀でたトミー・デシモネ(同じくトミー・デヴィート)が同僚であった。
ジミー・バークを首謀者とした彼ら3人は共謀し、1968年に近傍のクイーンズ区・ジョン・F・ケネディ国際空港でエア・フランス現金強奪事件を成功させ、42万ドルを手に入れる。一味は1978年に同じくケネディ国際空港でルフトハンザ航空現金強奪事件を起こし、600万ドルと桁違いの成功を収めた。しかしこれが終わりの始まりとなった。バークとデシモネは証拠物件の処分に失敗した人物を皮切りに、関わった人物を口封じのために次々と殺害していく。ヒルはルフトハンザには直接関わった訳ではないが、計画立案段階からの詳細を知る人物であった。また、ヒルはヴァリオの組織ではタブーとされていた麻薬密売に関わった事が発覚。頼みの綱の最後の生産分の麻薬も共犯にして妻のカレンが自宅捜査を恐れてトイレに流してしまった。立て直す元金すら失いヴァリオに泣きついてたった3,000ドルの退職金をもらい受けて「破門」状態となった。
ヒルは自身を消そうとするかつての同僚の追及を逃れるため、アメリカ合衆国証人保護プログラムの保護下に入り、検察側の証人となり司法取引を行う。これによりヴァリオとバークは逮捕。デシモネは今までの喧嘩っ早さと無差別な殺しによる他組織からの報復で殺害されていた。ヒルは1980年以降、ヘンリー・ヒルという名前で存在することを辞め、全く新しい名前で「カモになる側」の人生を始める事となってしまったのだった。
キャスト
編集ジミー・バークなど、一部の人物は変名となっている。
※括弧内は日本語吹替
- アイルランド系の父とシチリア系の母を持つ。貧困から真剣に働くことが嫌になり、ギャングに金持ちになる夢を持った。学校へ行っていたが中退する。とある事件で逮捕されたが仲間を売らなかったことから信頼されるようになる。しかし、度を越した行いにより、後に破門されるようになる。
- ヘンリーの仲間。街から恐れられた存在。ドラック強奪を得意とする。
- 武装強盗と殺人に秀でる。
- ヘンリーの妻。ユダヤ系。ギャングである夫を怖く思っていたが、感化されて自分も楽しむようになり、麻薬の取引も行うようになった。
- 地元のギャングのボス。麻薬販売に反対している。
- フランキー・カーボーン: フランク・シベロ(石井敏郎)
- アンソニー・スタビレ::フランク・アドニス
- ロバート・“フレンチー”・マクマホン: マイク・スター(筈見純)
- ビリー・バッツ: フランク・ヴィンセント(筈見純)
- 大物マフィア。トミーに殺される。
- モリス・“モーリー”・ケスラー: チャック・ロー(原田一夫)
- タディ・シセロ: フランク・ディレオ(安西正弘)
- トニー・スタックス: トニー・シリコ
- スタックス・エドワーズ: サミュエル・L・ジャクソン
- 少年時代のヘンリー: クリストファー・セロン(鳥海勝美)
- カレンの母: スザンヌ・シェパード
- トミーの母: キャサリン・スコセッシ
- ヴィニー: チャールズ・スコセッシ
- ジョニー・ディオ:フランク・ペレグリノ
- サンディ: デビ・メイザー
- ロージー: イリーナ・ダグラス
- スパイダー: マイケル・インペリオリ
- 保護観察官: トビン・ベル
- エキストラ: ヴィンセント・ギャロ
- ファット・アンディ: ルイス・エッポリト[注 1]
- フランキー・ザ・ワップ:トニー・リップ
- ジョニー・ローストビーフ:ジョニー・ウィリアムズ
- その他:八代駿、島美弥子、峰恵研、牧野和子、村越伊知郎、村山明、火野カチコ、太田淑子、沖洵一郎、丸山裕子、高橋直子、丸山真奈実、塩野幹聡、小池浩司、石川悦子、荒川功
音楽
編集使用された主な楽曲は以下のとおり。
- 「貧者から富者へ」 (トニー・ベネット)
- 「スピードゥー」(ザ・キャディラックス)
- 「キッスでダウン」(クリスタルズ)
- 「涙の紅バラ」(ボビー・ヴィントン)
- 「リーダー・オブ・ザ・パック」(シャングリラス)
- 「リメンバー~渚のおもいで」(シャングリラス)
- 「幻のアトランティス」(ドノヴァン)
- 「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー」(アレサ・フランクリン)
- 「ビヨンド・ザ・シー」(ボビー・ダーリン)
- 「ギミー・シェルター」(ローリング・ストーンズ)
- 「モンキー・マン」(ローリング・ストーンズ)
- 「フロスティ・ザ・スノーマン」 (ザ・ロネッツ)
- 「ジャンプ・イントゥ・ザ・ファイアー」(ニルソン)
- 「美しき人生」(ジョージ・ハリスン)
- 「サンシャイン・ラヴ」(クリーム)
- 「マニッシュ・ボーイ」(マディ・ウォーターズ)
- 「マジック・バス(ライブ・バージョン)」(ザ・フー)
- 「いとしのレイラ」(デレク・アンド・ザ・ドミノス)
- 「マイ・ウェイ」(シド・ヴィシャス)
評価
編集マーティン・スコセッシは本作でヴェネツィア映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した(銀獅子賞は1990年から始まった賞なので、スコセッシは受賞者第1号である)。1991年のアカデミー賞でアカデミー作品賞、アカデミー監督賞(スコセッシ)、アカデミー助演女優賞(ロレイン・ブラッコ)にノミネートされた他、トミー・デヴィートを演じたジョー・ペシがアカデミー助演男優賞を獲得している。
アカデミー作品賞の受賞は逃したものの評価は極めて高く、Rotten Tomatoesでは97%の支持を得ている他、シスケル&エバートの双方から1990年の映画ベスト1位に選ばれていた。アメリカ映画協会(AFI)が2008年に発表した、アメリカ映画名作ランキング・ギャング映画編では『ゴッドファーザー』に次ぐ第2位に選ばれている。
原作
編集- 『ワイズガイ-わが憧れのマフィア人生-』ニコラス・ピレッジ著、平尾圭吾訳 徳間書店(ハードカバー) ISBN 978-4193440942
- 改題『グッドフェローズ』 徳間文庫 1990年 ISBN 978-4195991787
- 原著名 Wiseguy: Life in a Mafia Family 1986
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b “Goodfellas (1990)”. American Film Institute. January 24, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月30日閲覧。
- ^ a b c “GoodFellas” (英語). IMDb. 2024年9月30日閲覧。
- ^ “Goodfellas” (英語). Box Office Mojo. 2020年8月6日閲覧。
- ^ Vlastelica, Ryan (September 18, 2015). “Goodfellas turned Wiseguy's simple prose into cinematic gold”. The A.V. Club. オリジナルのSeptember 18, 2024時点におけるアーカイブ。 September 18, 2024閲覧。
- ^ “Reel Faces: Fact vs. Fiction”. Chasingthefrog.com. 2024年9月30日閲覧。
- ^ “「グッドフェローズ」主人公モデルの元マフィア、H・ヒル氏が死去”. 映画.com. (2012年6月17日) 2020年8月6日閲覧。
- ^ “スコセッシ監督「グッドフェローズ」がTVドラマ化”. 映画.com. (2010年9月27日) 2020年8月6日閲覧。
- ^ Celona, Larry; Feuerherd, Ben (2019年11月4日). “Mafia cop Louis Eppolito dies while serving life in prison for mob hits” (英語). New York Post 2020年8月6日閲覧。
関連項目
編集- 最も多くFUCKという言葉が使われた映画一覧
- 映画『マラヴィータ』 - 本作『グッドフェローズ』が取り扱われる。