カリーカップ
カリーカップ(英: Currie Cup)は、南アフリカ共和国におけるラグビーユニオンの国内最高峰リーグである。国内にある14地域協会の代表チームによる対抗戦として開催される。
カリーカップ | |
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今シーズン・大会: [[2022 (1部), 2022 (2部)]] | |
前身 | ボードトロフィー (1889) |
競技 | ラグビーユニオン |
創立 | 1891年 |
開始年 | 1892年[注 1] |
参加チーム | 19[注 2][注 3] |
リーグレベル | 1部: プレミアディビジョン 2部: ファーストディビジョン |
国 | 南アフリカ共和国[注 3] |
連盟 | 南アフリカラグビー協会 |
前回優勝 | ピューマズ (2022) |
最多優勝 | ウェスタン・プロヴィンス (34回) |
公式サイト | www |
概要
編集1891年に創設された南半球で最も歴史のあるラグビー選手権の1つで[注 4]、地域代表による選手権としては世界最古の大会[1]。優勝チームに授与されるカリーカップは、その伝統と権威から「聖杯(holy grail)」と呼ばれている[2]。
南アフリカでは、かつて参加していた世界規模のクラブリーグ「スーパーラグビー」以上にカリーカップでの優勝を名誉と捉えるファンも多い。その一方で、近年は南アフリカ代表クラスの選手がナショナルチームの活動に専念する傾向にあり、所属クラブでのカリーカップ出場機会は減少している[1]。
1999年までは14チームによる総当たり戦が行われていたが、資金力の違いなどから参加チームのレベル格差が広がっており、近年はプレミアディビジョン(1部)と、ファーストディビジョン(2部)に分かれて開催している[1][注 3]。
日本人では四宮洋平が、カリーカップには出場できなかったものの、2005年にボーランド・カヴァリアーズとプロ契約して在籍した。
歴史
編集草創期
編集1889年、この年に設立された南アフリカラグビー評議会(SARB: South African Rugby Board)により、地域協会の代表チームによる全国大会「ボードトロフィー(Board Trophy)」がキンバリーで開催された。ウェスタン・プロヴィンス、グリクアランド・ウェスト、トランスヴァール、イースタン・プロヴィンスの4チームが参加し、ウェスタン・プロヴィンスが優勝した。この大会は事実上カリーカップの前身であるものの、カリーカップの公式記録としては扱われない。
1891年、ブリティッシュ・ライオンズの南アフリカ遠征に際し、イギリスの海運会社のオーナーであったドナルド・カリーから南アフリカラグビー評議会(SARB)に金製のカップ(カリーカップ)が寄贈された。以降、カリーカップは南アフリカで最も優れたチームに授与されることになり、国内選手権「カリーカップ」の創設につながった。
1892年、ボードトロフィーに引き続き、第1回カリーカップがキンバリーで開催され、ウェスタン・プロヴィンス、グリクアランド・ウェスト、トランスヴァール、ナタール、ボーダーの5チームが参加した。この大会を制したウェスタン・プロヴィンスは、カリーカップの初代王者となった[注 5]。
アマチュアリーグ時代
編集1899年、アングロ・ボーア戦争の緊張の高まりを受け、ウェスタン・プロヴィンスとトランスヴァールが大会参加を見送った。これによりウェスタン・プロヴィンスは第1回大会からの連続優勝記録(5連覇[注 5])が途絶えた。大会はグリクアランド・ウェストが初優勝を遂げた。
1938年、トランスヴァール協会からノーザン・トランスヴァール協会が分離独立したため、ノーザン・トランスヴァール(後のブルー・ブルズ)が誕生した。
1939年、それまで総当たり戦の結果のみで順位を決定していたが、初めて優勝決定プレーオフが導入された。
大会創設以来、不定期な開催が続いていたが、1968年以降は毎年開催されるようになった。
1992年から1994年までの上位3チームには、翌年のスーパー10(スーパーラグビーの前身大会)への出場権が与えられた。
プロリーグ化以降
編集1995年8月にラグビーユニオンのプロ化が施行され、地域協会の数が22から14に再編された。これにより1996シーズンからは、すべての地域協会の代表チームがカリーカップに出場する形式となった。
プロ化に伴い、オーストラリア・ニュージーランドを中心とした国際リーグ「スーパーラグビー(当初はスーパー12)」が開幕した。南アフリカでは、当初はカリーカップの上位4チームがスーパー12に出場する方式を採用しており、ノーザン・トランスヴァール、トランスヴァール、ナタール・シャークス、ウェスタン・プロヴィンス、フリーステイトなどが出場権を獲得した。1998シーズン以降はフランチャイズ制が導入され、スーパーラグビーなどの国際大会には、それぞれの別働チームであるブルズ、ライオンズ、シャークス、ストーマーズ、チーターズが参加するようになった[注 6]。
2019シーズンのファーストディビジョン(2部)では、アルゼンチンのハグアレスXVが国外のチームとして初めて大会を制した。
2020年はCOVID-19パンデミックの影響でスーパーラグビーが中断され、解禁後に、スーパーラグビーに代わる国内大会としてスーパーラグビー・アンロックトが開催された。このためカリーカップは例年より大幅に遅れ、11月から1月にかけて開催された。この年のカリーカップ(2020-21シーズン)では、直前に行われたスーパーラグビー・アンロックトの成績を合算して順位決めが行われた[4]。
2022シーズンのファーストディビジョンは、国外からシンバズ(ケニア)、ゴスホークス(ジンバブエ)、ブラックライオン(ジョージア)が参戦した[5]。さらに2023シーズンにはスペイン、イスラエルなどのチームが新たに参戦する[6]。
参加チーム
編集2023シーズンの所属チーム
編集14地域協会の代表チーム
編集南アフリカ以外のチーム
編集ファーストディビジョン(2部)
- ウェルウィッチアズ(ナミビア)
- シンバズ(ケニア)
- ゴスホークス(ジンバブエ)
- ディアブラス・バルセロナ(スペイン)
- テルアビブ・ヒート(イスラエル)
歴代優勝チーム
編集- 1889年はカリーカップの前身大会「ボードトロフィー(Board Trophy)」。
- 1892年-1936年、1957年-1966年は総当たり戦の結果のみで順位を決定したため、優勝決定プレーオフは実施せず。
- 1968年以降は毎年開催され、優勝決定プレーオフも実施。
- 1996年以降はプロリーグ化。地域協会数が現在の14となる。
チーム別優勝回数
編集- 2022シーズン終了時点
チーム名 | 優勝 | 準優勝 | 優勝シーズン | 準優勝シーズン | 旧称 |
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ウェスタン・プロヴィンス | 34回 | 13回 | (1889[注 5]), 1892, 1894, 1895, 1897, 1898, 1904, 1906, 1908, 1914, 1920, 1925, 1927, 1929, 1932[注 12], 1934[注 12], 1936, 1947, 1954, 1957-59, 1964, 1966, 1979[注 12], 1982, 1983, 1984, 1985, 1986, 1989[注 12], 1997, 2000, 2001, 2012, 2014, 2017 | 1939, 1946, 1950, 1969, 1976, 1980, 1988, 1995, 1998, 2010, 2013, 2015, 2018 | |
ブルー・ブルズ | 25回 | 9回 | 1946, 1956, 1968, 1969, 1971[注 12], 1973, 1974, 1975, 1977, 1978, 1979[注 12], 1980, 1981, 1987, 1988, 1989[注 12], 1991, 1998, 2002, 2003, 2004, 2006[注 12], 2009, 2020-21, 2021 | 1954, 1970, 1982, 1983, 1985, 1990, 2005, 2008, 2016 | ノーザン・トランスヴァール |
ゴールデン・ライオンズ | 11回 | 12回 | 1922, 1939, 1950, 1952, 1971[注 12], 1972, 1993, 1994, 1999, 2011, 2015 | 1947, 1968, 1974, 1986, 1987, 1991, 1992, 1996, 2002, 2007, 2014, 2019 | トランスヴァール |
シャークス | 8回 | 12回 | 1990, 1992, 1995, 1996, 2008, 2010, 2013, 2018 | 1956, 1984, 1993, 1999, 2000, 2001, 2003, 2011, 2012, 2017, 2020-21, 2021 | ナタール |
フリーステイト・チーターズ | 6回 | 9回 | 1976, 2005, 2006[注 12], 2007, 2016, 2019 | 1973, 1975, 1977, 1978, 1981, 1994, 1997, 2004, 2009 | フリーステイト |
グリクアズ | 3回 | 1回 | 1899, 1911, 1970 | 2022 | グリクアランド・ウェスト |
ボーダー・ブルドッグス | 2回 | - | 1932[注 12], 1934[注 12] | - | ボーダー |
ピューマズ | 1回 | - | 2022 | - | |
ボーランド・カヴァリアーズ | - | 1回 | - | 1952 | ボーランド |
ファルケ | - | 1回 | - | 1972 | イースタン・トランスヴァール |
脚注
編集注釈
編集- ^ 前身大会(Board Trophy)を含めると1889年。
- ^ プレミアディビジョン(1部)は8チーム。
- ^ a b c シーズンによっては国内14地域協会に加えて国外チームも参加。
- ^ 他には、1874年創設のシュートシールド(オーストラリア・シドニー)、1899年創設のリバープレートラグビー選手権(アルゼンチン・ブエノスアイレス)、1904年創設のランファーリー・シールド(ニュージーランド)などがある。
- ^ a b c d 1889年のボードトロフィーは、カリーカップの公式記録にはカウントされない。
- ^ 南アフリカがフランチャイズ制を導入する前の1996・1997シーズンのスーパー12の成績は、通常はフランチャイズチームの記録として扱われる。
- ^ a b クワズール・ナタール協会の代表チームは、カリーカップの出場チームも国際大会のフランチャイズも、同じ「シャークス」を名乗っている。
- ^ 英語名の「ファルコンズ」も併用されている。
- ^ カリーカップの前身大会「ボードトロフィー(Board Trophy)」
- ^ 第1回「カリーカップ」
- ^ アングロ・ボーア戦争の影響でウェスタン・プロヴィンス、トランスヴァールは不参加。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 両チーム優勝。
- ^ 1938年にトランスヴァール協会からノーザン・トランスヴァール協会が分離独立し、ノーザン・トランスヴァールが初参加。
- ^ フランス代表の南アフリカ遠征などによる中断をはさみ2年にわたり開催。
- ^ 1968年以降、カリーカップは毎年開催。
- ^ a b c 上位3チームは翌年のスーパー10(スーパーラグビーの前身大会)に出場。
- ^ 南アフリカのラグビーユニオンがプロ化。地域協会数が22から14に再編。
- ^ 旧称「フリーステイト」
- ^ 旧称「ノーザン・トランスヴァール」
- ^ 旧称「トランスヴァール」
- ^ 旧称「ナタール」
- ^ COVID-19パンデミックの影響で11月から1月にかけて開催。
- ^ スーパーラグビー・アンロックト(南アフリカで開催されたスーパーラグビー特別大会)の成績と合算して順位決定。
- ^ 旧称「グリクアランド・ウェスト」
出典
編集- ^ a b c カリーカップ(South Africa) Rugby Republic
- ^ a b Currie Cup History SA Rugby Stats
- ^ a b South Africa - Currie Cup The Rugby Archive
- ^ “How SA's combined Currie Cup/Super Rugby format will work”. News24 (2020年9月23日). 2023年2月5日閲覧。
- ^ “来年のW杯目指すケニア、ジンバブエ、ジョージアに貴重な強化の場。南ア国内リーグ参戦決定。”. Rugby Republic (2022年2月24日). 2023年2月5日閲覧。
- ^ “SA Rugby confirms schedule for double-round 8-team Currie Cup”. News24 (2023年1月30日). 2023年2月5日閲覧。
- ^ “ABSA CURRIE CUP RECORDS”. SA RUGBY ANNUAL (2011年7月25日). 2023年2月5日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- The Currie Cup (@TheCurrieCup) - X(旧Twitter)
- The Currie Cup (@curriecupofficial) - Instagram