オルニトゥラエ類 (Ornithurae) または鳥尾類(ちょうびるい)は、真鳥類に属する恐竜の一群である。

オルニトゥラエ類
Ornithurae
生息年代: 白亜紀後期現生, 99.6–0 Ma
イクチオルニス・ディスパルの骨格標本, Rocky Mountain Dinosaur Resource Center
ヤブツカツクリ (Alectura lathami)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊椎動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
階級なし : 鳥翼類 Avialae
階級なし : 尾端骨類 Pygostylia
階級なし : 真鳥類 Euornithes
階級なし : オルニトゥラエ類 Ornithurae
学名
Ornithurae
Haeckel1866
和名
オルニトゥラエ類[1]
鳥尾類[2]
下位分類群

概要

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オルニトゥラエ類(ギリシャ語で「鳥の尾部」)は、現生鳥類イクチオルニスヘスペロルニスアプサラヴィス英語版などの共通祖先を含むクレードである。

共有形質としては左右の恥骨が癒合せず開いており、相対的に大型の卵を産むことができることが挙げられる[1]

分類

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エルンスト・ヘッケルは、 1866年にオルニトゥラエ類を命名し、現生鳥類に見られる尾の形態を持つすべての鳥類に含めた。ヘッケルは、始祖鳥をオルニトゥラエ類から除外し、Sauriuraeと呼ばれる別の新しいグループに配置した。単純に言えば、現生鳥類は短くて融合した尾端骨の尾を持ち、始祖鳥は恐竜の仲間である獣脚類の特徴である長い尾を持っていた[3]

ゴーティエは、オルニトゥラエ類を「現生する鳥類やイクチオルニスとヘスペロルニスのような始祖鳥より現生する鳥類に近い他のすべての分類群」とするブランチベースのクレードに定義を変更した。その後、彼とデ・ケイロスは、オルニトゥラエ類をヘッケルがもともと使用した定義に沿って拡大し、派生形質による(apomorphy-based)クレードとして再定義した。オルニトゥラエ類はコンドルとその子孫のすべてのものとともに異形同源の「鳥の尾」をもつ初期のpan-birdを含めた[4]。彼らは、「鳥の尾」を大腿骨よりも短い尾とし、尾端骨は、すきの刃ような形状、圧縮された要素があり、成鳥では骨が融合し、6本未満の尾椎骨で構成されるとし、尾自体は、8本未満の尾椎で構成されている短い尾と定義した。彼らはAves(現生鳥類のクラウン生物群と定義した)、イクチオルニス、ヘスペロルニス、およびアプサラヴィス英語版をオルニトゥラエ類に含めた。

Neornithesはもともと1892年と1893年にGadowによってオルニトゥラエ類の代替として提案された。したがって、ゴーティエとデ・ケイロスは、Neornithesをオルニトゥラエ類のジュニアシノニムと考え[4] 、他の多くの科学者は、Neornithesを現生鳥類のみからなるクラウン生物群とした。一部の研究者は、オルニトゥラエ類をヘスペロルニスと現生鳥類に限定したノードベースのクレードと定義した[5]

関係

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以下の分岐図は、2012年にO’ConnorとZhouによる以前の研究からのデータに拡大し、2014年、マイケル・リーらが分析した結果である。クレード名はその定義に基づいて配置されている[6]

オルニトゥラエ類

イクチオルニス

ヘスペロルニス

Limenavis

Neornithes (現生鳥類)

脚注

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  1. ^ a b 田中康平・Darla K. Zelenitsky・François Therrien・小林快次非鳥類型恐竜類から鳥類へ,営巣方法と営巣行動の変遷」『日本鳥学会誌』第67巻第1号、日本鳥学会、2018年、25-40頁、doi:10.3838/jjo.67.25 
  2. ^ 冨田幸光・對比地孝亘・三枝春生・池上直樹・平山廉・仲谷英夫「恐竜類の分岐分類におけるクレード名の和訳について」『化石』第108巻、日本古生物学会、2020年、23-35頁、doi:10.14825/kaseki.108.0_23 
  3. ^ Haeckel, Ernst (1866). Generelle Morphologie der Organismen. Berlin: Georg Reimer.
  4. ^ a b Gauthier, Jacques, de Queiroz, Kevin (2001). "Feathered dinosaurs, flying dinosaurs, crown dinosaurs, and the name 'Aves'". in New Perspective on the Origin and Evolution of Birds: Proceedings of the International Symposium in Honor of John H. Ostrom. Yale Peabody Museum. Yale University. New Haven, Conn. USA
  5. ^ Chiappe, Luis M. (2007). Glorified Dinosaurs: The Origin and Early Evolution of Birds. Sydney: University of New South Wales Press. ISBN 978-0-86840-413-4 
  6. ^ Lee, Michael SY; Cau, Andrea; Darren, Naish; Gareth J., Dyke (2013). “Morphological Clocks in Paleontology, and a Mid-Cretaceous Origin of Crown Aves”. Systematic biology (Oxford Journals) 63 (3): 442. doi:10.1093/sysbio/syt110. PMID 24449041.