アカギ(赤木[2]学名: Bischofia javanica)は、コミカンソウ科[注 1]常緑高木あるいは半落葉性の高木である。別名カタン。琉球ではアカン、アカツグ、ミミジンなどとよばれる[3]

アカギ
アカギ(葉と花序)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: キントラノオ目 Malpighiales
: コミカンソウ科 Pyllanthaceae
: アカギ属 Bischofia
: アカギ B. javanica
学名
Bischofia javanica Blume (1826)[1]
和名
アカギ
英名
Bishop wood
アカギの大木(台湾彰化県

名称

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和名のアカギは、樹皮が赤いことから名がつけられている[2]。また植物学者の辻井達一は、樹木の材が硬くて、切るときに細かな木くずで手が赤く染まるといわれるので、むしろこのことからアカギと呼ばれるようになったのではないかと述べている[2]

中国名は秋楓(別名:茄冬)[1]

分布・生育環境

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日本国外では、台湾中国南部、東南アジアインド[2]ポリネシアオーストラリアなどに、日本では、南西諸島奄美群島沖縄諸島先島諸島)および小笠原諸島に分布する[4][5][6]。ただし、小笠原諸島のものは薪炭材として利用するために移植されたものであり、固有種からなる在来の植生を駆逐することが懸念されている[6]。また、奄美群島のものも人的な移入と考えられている[5]日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている。

南西諸島では、主に石灰岩地帯に生育し、タブノキなどとともに極相林を形成する樹種の一つである。石炭岩質の土壌に生育するが、かなりいろいろな条件に耐える[2]。肥沃なところではよく生育して、樹冠を大きく広げる[2]

形態

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半落葉広葉樹の高木[3]。成長がとても早く、樹高は10メートル (m) ほどであるが、根元の直径は1 m以上になる[3]。樹皮は細かく割れて剥がれ、全体に赤褐色を呈しており、和名の由来にもなっている[2]3出複葉互生し、小葉は8 - 15センチメートル (cm) の卵形で、革質、濃緑色、つやがあり、先端はとがり鈍い鋸歯を持つ。葉柄は赤みを帯びる[2]。葉は与那国島に分布する世界最大のヨナグニサンの幼虫の食草でもある[2]

花期は2 - 3月頃。雌雄異株[3]。葉腋から円錐花序が生じ、黄緑色の多数の小花をつける[2]果実は球形で、直径1 - 1.5 cm、小さなのような形をしていて、渋みがあるが食べられる[2]。果実は野鳥の食糧となる[2]

アレロパシーを有するとされている。

利用

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街路樹、庭木、防風樹、公園樹などとして利用され、台湾では並木になっているところもある[2]が赤く、緻密で硬く、白色の木目があって美しいため家具建材工芸品などの用材にも利用される[2]。果実は食用。

沖縄県のアカギ

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1623年首里王府によって『おもろさうし』(おもろそうし)編纂された歌集の『第一三巻・八二二』にアカキの歌がある。歌の意味は、

東方の大主(太陽)が上がってくる その大主の前に アカギ・ユスギの花が真白に 真赤に咲いているから それを取って折り差して(かざしたいものだ。(後略)

沖縄県では樹皮はミンサー織りの染料に使われている。那覇市首里の周辺には、第二次世界大戦以前にアカギの大木からなる森があちこちにあったとされるが、戦火によって焼け落ち、現在では首里金城町の一部に残っているだけである[7]。その中でも「首里金城の大アカギ」は、樹齢200-300年ともいわれるアカギの大木が6本もあり、国の天然記念物に指定されている[8]首里城の南西側に位置する内金城御嶽にあるアカギ。最大のものは樹高10~15m、胸高直径140cmにも達する。なお、焼けた大木が首里城前に一本だけ残されている。その木のてっぺんにはアコウが根を下ろしており、バスガイドはそれを「大木に寄生しております」と紹介するのが常である。なお、沖国大米軍ヘリ墜落事件によって焼け焦げたアカギの木が沖縄国際大学構内に存在する。

脚注

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注釈

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  1. ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではコミカンソウ科 (Phyllanthaceae) に分類されるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではトウダイグサ科 (Euphorbiaceae) に分類される[1]

出典

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  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Bischofia javanica Blume アカギ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 辻井達一 2006, p. 111.
  3. ^ a b c d 辻井達一 2006, p. 109.
  4. ^ 島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧【改訂版】』 九州大学出版会、1997年、282-283頁、ISBN 4-87378-522-7
  5. ^ a b 鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 -鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、500頁、ISBN 4-9901588-1-4
  6. ^ a b 小笠原の自然環境の保全と再生に関する基本計画
  7. ^ 内金城嶽・金城町の大アカギ[出典無効]
  8. ^ 新納義馬 「首里金城の大アカギ」『日本の天然記念物』『日本の天然記念物』加藤陸奥雄沼田眞渡部景隆畑正憲監修、講談社、1995年3月20日、514頁、ISBN 4-06-180589-4

参考文献

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  • 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、109 - 111頁。ISBN 4-12-101834-6 

関連項目

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外部リンク

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