ほ座ガンマ星
ほ座γ2星[1] Gamma Velorum | ||
---|---|---|
仮符号・別名 | ほ座γA | |
星座 | ほ座 | |
見かけの等級 (mv) | 1.83[1] 1.81 - 1.87(変光)[2] | |
変光星型 | ウォルフ・ライエ星[1](WR)[2] | |
位置 元期:J2000.0[1] | ||
赤経 (RA, α) | 08h 09m 31.95013s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | −47° 20′ 11.7108″[1] | |
赤方偏移 | 0.000050[1] | |
視線速度 (Rv) | 15 km/s[1] | |
固有運動 (μ) | 赤経: -6.07 ミリ秒/年[1] 赤緯: 10.43 ミリ秒/年[1] | |
年周視差 (π) | 2.92 ± 0.30ミリ秒[1] (誤差10.3%) | |
距離 | 約 1100 光年[注 1] (約 340 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | -5.8[注 2] | |
γ星の位置
| ||
物理的性質 | ||
質量 | 10/30太陽質量 | |
スペクトル分類 | WC8+O7.5 [1] | |
色指数 (B-V) | -0.22[3] | |
色指数 (U-B) | -0.99[3] | |
他のカタログでの名称 | ||
FK5 309[1], HD 68273[1] HIP 39953[1], HR 3207[1] SAO 219504[1] |
||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
ほ座γ1星[4] | ||
---|---|---|
仮符号・別名 | ほ座γB | |
見かけの等級 (mv) | 4.173[4] | |
位置 元期:J2000.0[4] | ||
赤経 (RA, α) | 08h 09m 29.3182203760s[4] | |
赤緯 (Dec, δ) | −47° 20′ 43.034677104″[4] | |
赤方偏移 | 0.000067[4] | |
視線速度 (Rv) | 20.0km/s[4] | |
固有運動 (μ) | 赤経: -6.706 ミリ秒/年[4] 赤緯: 10.775 ミリ秒/年[4] | |
年周視差 (π) | 3.5562 ± 0.3303ミリ秒[1] (誤差9.3%) | |
距離 | 920 ± 90 光年[注 1] (280 ± 30 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | -3.1[注 2] | |
物理的性質 | ||
質量 | 14太陽質量 | |
スペクトル分類 | B2III [4] | |
色指数 (B-V) | -0.23[5] | |
色指数 (U-B) | -0.92[5] | |
他のカタログでの名称 | ||
CD -46 3846[4], HD 68243[4] HR 3206[4], SAO 219501[4] |
||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
特徴
編集ほ座γ星は、少なくとも6つの星からなる重星である[6]。そのうち、2等星のほ座γ2(ほ座γ A)は、ウォルフ・ライエ星(10 太陽質量 (M☉) 、元々は40 M☉)のAaと青色超巨星(30M☉)Abの2つの恒星が重力相互作用している連星である。この連星の軌道周期は78.5日で、1.2 天文単位 (au) 以上離れた軌道で互いを周回している。γ星Aaは、その猛烈な恒星風によって自らの外層を吹き飛ばしてしまったため、水素・ヘリウムからなる核が剥き出しの状態になっている。周囲に物質を放出し続けた結果、元々太陽の40倍の重さだったものが、10倍まで減ってしまったものと考えられている。ウォルフ・ライエ星は、窒素が多いWN型、炭素が多いWC型、酸素が多いWO型に分けられるが、AaはWC8型に属する。有効温度は57,000 - 70,000Kと高温で、光度は太陽の約100,000倍である[7]。このウォルフ・ライエ星は、毎年、太陽質量の10-5のオーダーの質量を失い続けている[7]。
ほ座γ1(ほ座γ B)は、青色巨星の4等星で[4]、Aa・Abの連星から41.2" 離れている[6]ため、容易に双眼鏡で分離することができる。この星はA星系から少なくとも15,000 au離れていると見られる[7]。2018年に公開されたガイア計画の第2回データリリースの年周視差によれば、太陽系からの距離は約920光年となる[注 1]。
Aから60.9″離れて見えるCは、スペクトル分類A型、見かけの等級+7.4等とA、Bと比べて暗い[6]。Aから93.9″離れたところにA型スペクトルの+9.4等のDがある[6]。+12.8等のEは、Dから1.6″離れて見える[6]。
名称
編集アラビア語ではスハイル・アル=ムフリフ[8](سهيل المحلف, Suhayl al-Muḥlif ないしは Suhail al-Muḥlif、英字表記例:Suhail al-Muhlif[9])と呼ばれる。これは「誓約のスハイル」という意味である。「スハイル」が意味するものとしては「輝いているもの」、「栄光あるもの」、「美しいもの」などの説がある[8]。単にスハイル (Suhail) とも呼ばれたが、これは同じほ座のλ星の固有名として国際天文学連合が認証している[10]。
また、Regor(レゴール)という通称でも呼ばれる[1]。これはアポロ1号の搭乗員であった宇宙飛行士、ガス・グリソムが名付けたもので、同じくアポロ1号の搭乗員であったロジャー・チャフィーの"Roger"の綴りを逆さにしたものである[7]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “* gam02 Vel -- Wolf-Rayet Star”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2014年8月9日閲覧。
- ^ a b Samus’, N. N.; Kazarovets, E. V.; Durlevich, O. V.; Kireeva, N. N.; Pastukhova, E. N. (2017). “General catalogue of variable stars: Version GCVS 5.1”. Astronomy Reports 61 (1): 80-88. Bibcode: 2017ARep...61...80S. doi:10.1134/S1063772917010085. ISSN 1063-7729 .
- ^ a b Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode: 1995yCat.5050....0H .
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “* gam01 Vel -- Spectroscopic binary”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2013年2月5日閲覧。
- ^ a b Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode: 1995yCat.5050....0H .
- ^ a b c d e Mason, Brian D. et al. (2001). “The 2001 US Naval Observatory Double Star CD-ROM. I. The Washington Double Star Catalog”. The Astronomical Journal 122 (6): 3466-3471. Bibcode: 2018A&A...616A...1G. doi:10.1086/323920. ISSN 0004-6256 .
- ^ a b c d Jim Kaler (2007年2月23日). “Regor”. STARS (University of Illinois). 2012年1月8日閲覧。
- ^ a b 近藤二郎『星の名前のはじまり』(新版)誠文堂新光社、2012年8月、73-74頁。ISBN 9784416212837。
- ^ “Suhail al Muhlif”. alcyone software. 2013年4月9日閲覧。
- ^ “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2020年8月10日閲覧。