桜を見る会
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桜を見る会 (さくらをみるかい)は日本の内閣総理大臣が主催する公的行事である[1]。1952年(昭和27年)から、例年ヤエザクラが見頃となる4月中旬頃に新宿御苑で開催されている。
桜を見る会 | |
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会場所在地 | 東京都新宿区内藤町・渋谷区千駄ヶ谷 新宿御苑 |
座標 | 北緯35度41分07秒 東経139度42分35秒 / 北緯35.68528度 東経139.70972度 |
開催国 | 日本 |
初回開催 | 1952年 |
主催 | 内閣総理大臣 |
概要
目的を「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため」とし[2]、皇族、元皇族、各国大使等、衆議院議長と参議院議長及び両院副議長、最高裁判所長官、国務大臣、副大臣及び大臣政務官、国会議員、認証官、事務次官等及び局長等の一部、都道府県の知事及び議会の議長等の一部、その他各界の代表者等、約1万人が招待され[3]、酒類や菓子、食事が振る舞われる[4]。招待客の参加費や新宿御苑の入園料は無料であり、費用は税金から拠出される[5]。
2019年10月15日、安倍内閣は「内閣総理大臣が各界において功績、功労のあった方々を招き、日頃の御苦労を慰労するとともに、親しく懇談する内閣の公的行事として開催しているものであり、意義あるものと考えている」と閣議決定した答弁書を公開した[6][1]。
会場
新宿御苑において開催される[3]。新宿御苑は日本さくら名所100選に選定されており、65種・約1300本の桜があり、春には花見の名所として大勢の観光客で賑わう[7]。ソメイヨシノが見ごろを迎える3月下旬から4月上旬にかけても多くの来園者を迎えるが、一般財団法人国民公園協会ではイチヨウを御苑の桜の代表品種として位置付けており、イチヨウ等の多品種のヤエザクラが見ごろを迎える4月中旬から下旬を御苑の桜のベストシーズンと位置付けており[7]、桜を見る会もこの時期に開催されることが多い。
開催中の時間帯は招待客のみが入園できる(2019年は午前8時30分から10時30分)[3]。開催の可否は内閣官房長官が決定し、中止になった場合も、開催時間帯は招待客への開放のみ行われ、開催時と同様に茶菓の提供が行われる[3]。2019年の設営は開催日の前々日から2日間行われ[8]、新宿御苑の中央付近(イギリス風景式庭園辺り)にて設営された[9]。
招待客
会は内閣総理大臣が主催するが[3]、招待客の選定は各府省庁からの意見を踏まえて内閣官房と内閣府が最終的にとりまとめる[10]。実態として、与党国会議員に推薦枠が割り振られている[11][12]。案内状の発送は内閣府が一括し、必ず招待客一人ひとりに宛てて送付を行う[2]。参加にあたってのドレスコードは平服となっている[3]。芸能人やスポーツ選手が多数参加する[13]様子が毎年メディアで取り上げられている。
歴史
桜を見る会の前身として「観桜会」がある。この観桜会は1881年(明治14年)に吹上御所で「観桜御宴」が行われたのを前史とし、1883年(明治16年)から1916年(大正5年)までは浜離宮、1917年(大正6年)から1938年(昭和13年)までは新宿御苑に会場を移し、いずれも国際親善を目的として皇室主催で行われていた[7]。
この観桜会を復活させる形で1952年(昭和27年)に吉田茂が総理大臣主催の会として始めたのが「桜を見る会」である。開催地は観桜会と同じく新宿御苑となるが、同園は1947年(昭和22年)の閣議決定により旧皇室庭園から国民公園へと変更されている[14]。
1960年(昭和35年)は日米安保条約を巡る安保闘争が激化に至る直前の時期となっており中止された[15]。
1970年(昭和45年)にはそれまでごく僅かであった自衛官の招待数を増やした[16]。
1995年(平成7年)は阪神・淡路大震災を理由として中止された[17]。
2000年(平成12年)には、小渕首相が同年4月2日に脳梗塞で入院したため[18]、同月5日には森内閣が発足した[19]。このため、同年の桜を見る会は森首相が主催している[20]。官邸サイトに掲載された当日の写真は参加者の黒服と黒傘が印象的である[20]。
2011年(平成23年)は東日本大震災[21]、2012年(平成24年)は北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応を理由として中止された[22][23]。
開催一覧
回次 | 開催日 | 首相 | 招待数 | 出席者数 | 予算額 | 支出額 |
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1 | 1952年 | 吉田茂 | ||||
1954年4月15日[24] | 吉田茂 | 約4,400人[24] | 約30万円[24] | |||
1955年4月16日[24] | 鳩山一郎 | 約4,400人[24][注 1] | 約30万円[24] | |||
1970年4月13日[16] | 佐藤栄作[16] | |||||
1985年[25] | 中曽根康弘[25] | 約8,300人[26][注 2] | ||||
1986年4月18日[25] | 中曽根康弘[25] | 約7,700人[26][注 3] | ||||
45 | 1998年4月18日[27] | 橋本龍太郎 | ||||
46 | 1999年4月17日[28] | 小渕恵三 | ||||
47 | 2000年4月15日[20] | 森喜朗 | 約8500人[20] | |||
48 | 2001年4月21日 | 森喜朗 | 約8000人[29] | |||
49 | 2002年4月20日 | 小泉純一郎 | 約8000人[30] | |||
50 | 2003年4月19日[31] | 小泉純一郎 | ||||
51 | 2004年4月17日 | 小泉純一郎 | 約8000人[32] | |||
52 | 2005年4月9日 | 小泉純一郎 | 約8700人[33] | |||
53 | 2006年4月15日 | 小泉純一郎 | 約11000人[34] | |||
54 | 2007年4月14日 | 安倍晋三 | 約11000人[35] | |||
55 | 2008年4月12日 | 福田康夫 | 約10000人[36] | |||
56 | 2009年4月18日 | 麻生太郎 | 約11000人[37] | |||
57 | 2010年4月17日 | 鳩山由紀夫 | 約10000人[38] | |||
58 | 2013年4月20日[39] | 安倍晋三 | 約12000人[39] | 1718万円[40] | ||
59 | 2014年4月12日[41] | 安倍晋三 | 約12800[10][42] | 約14000人[41] | 1766万6000円[40] | 3005万3000円[40][43] |
60 | 2015年4月18日[44] | 安倍晋三 | 約13600[10][42] | 約15000人[45] | 1766万6000円[40] | 3841万7000円[40][43] |
61 | 2016年4月9日 | 安倍晋三 | 約13600[10][42] | 約16000人[46] | 1766万6000円[40] | 4639万1000円[40][43] |
62 | 2017年4月15日[47] | 安倍晋三 | 約13900[10][42] | 約16500人[48] | 1766万6000円[40] | 4725万円[40][43] |
63 | 2018年4月21日[49] | 安倍晋三 | 約15900[10][42] | 約17500人[50] | 1766万6000円[40] | 5229万円[40][43] |
64 | 2019年4月13日[51] | 安倍晋三 | 約15400[10][42] | 約18200人 | 1766万円[40] | 5518万円7000円[52][2] |
批判
2014年以降の招待数と支出金額の急増や、招待基準の不透明さについて批判が出ている[53]。
招待数と支出額の増加
2019年5月13日、衆議院決算行政監視委員会で、日本共産党の宮本徹衆議院議員が、第二次安倍政権の5年間で「桜を見る会」の支出額が増加し続けており、毎年予算額を大幅に上回っていることを問題として指摘した[54]。宮本は、「(安倍内閣で)功労をあげた人が急に増えたのか」「招待客の基準が全く不透明」「こういう支出のふやし方というのは、官房長官、国民の理解は決して得られないんじゃないですか」と批判した[55][56]。
同じく、日本共産党の田村智子参議院議員は2019年11月8日の参議院予算委員会で批判した[57]。
2019年11月11日、菅義偉内閣官房長官は「来年度(2020年)の概算要求では、テロ対策の強化や混雑緩和の措置など、近年に講じた改善点を反映させており、実態にあわせた要求を行っている」と述べた[58]。
招待基準の不透明さ
2019年10月29日、「参加者選定に係る基準及びその基準が妥当であると考える根拠」を質問[59]された内閣は、「毎年、内閣官房及び内閣府が定める『桜を見る会』開催要領に基づき招待している」と回答、閣議決定した[60]。
2019年11月8日、先述の田村智子は「安倍首相の地元後援会のみなさんを多数招待している」「友田(有・山口)県議、後援会女性部はどういう功労が認められたのか」などと指摘して批判した[61]。これに対し大塚幸寛内閣府大臣官房長[62]は「具体的な招待者の推薦にかかる書類は、保存期間1年未満の文書として廃棄している」と述べ[63]、安倍晋三は「会は各界で功績、功労のあった方々を招いて開催している。地元には自治会やPTAなどの役員をしている方々もいるので、後援会の方々と重複することも当然ある」と述べた[2][64]。
また、田村は「安倍事務所に申し込んだら、内閣府から招待状がきた」という下関の後援会員の証言があると指摘し[2]、「税金の私物化が行われている」と指摘して非難した[65]。さらに、開催前日の後援会員との懇親会に安倍晋三の妻である安倍昭恵が出席している事を指摘し、「(桜を見る会が)まさに首相の後援会の一大行事になっている」と指摘して批判した[64]。立憲民主党の安住淳衆議院議員は安倍晋三の地元後援者らが招かれていることについて、「事実だとすれば、内閣総理大臣がその地位を利用して個人の後援会活動にそれを利用していたと。いわば税金で主催するこの国の公的行事で接待していたと受け取られかねない事案だと思います」と述べた[66]。
自民党の石破茂元幹事長は「党の役職をしているときに枠があったが、使ったことはない」と述べた[12]。
2019年に招待された1万5000人余りの内訳は、各省庁推薦の功労者・各国大使・国会議員・勲章受章者が約6000人、自民党関係者からの推薦枠が約6000人、安倍総理大臣からの枠が約1000人、副総理・官房長官・官房副長官からの枠が合わせて約1000人、国際貢献や芸術文化などの特別招待者や報道関係者、公明党関係者などが合わせて約1000人だった。内閣官房の大西証史内閣審議官によると「安倍事務所において幅広く参加希望者を募るプロセスの中で昭恵夫人からの推薦もあった」という[67]。 第二次安倍政権以降、招待者の範囲について「その他各界の代表者等」と、鳩山政権当時にはなかった「等(とう)」の文字が加えられている。
衛藤晟一消費者相は衆院消費者問題特別委員会で、預託商法により多額の資金を集めて破産し、4月に特定商取引法違反容疑で警視庁などの家宅捜索を受けた「ジャパンライフ」の会長・山口隆祥宛てに、2015年に行われた安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の招待状が送られていたことを事実上認めた。
菅義偉官房長官は反社会的勢力が出席していたとの指摘について「出席は把握しておりませんでしたけれども、私が、桜を見る会で写真を撮った中に『そうした方』がいたというご指摘を受けましたので、結果として入っていたんだろうということを申し上げたところであります。何年の分か分かりません。いつの時だったか。まったく分からない状況ですけども、まあ、マスコミの方から『そうした方』というご指摘をいただいたということは、これ事実でありますから、結果的に(会に)入られたんだろうというふうに思ってます」と述べた。
公職選挙法との関わり
公職選挙法では投票や選挙運動の報酬として財産上の利益などを供与したり、供応接待することは事後報酬供与罪(事後買収)[68]として禁じており、罰則は3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金となっている[69]。無料で酒や食事が振る舞われる桜を見る会に、与党国会議員が推薦枠を使って自分の選挙区の後援会関係者を招くことについて、自分の資金を使えば公職選挙法違反になることを税金を使ってしていることになりモラルが問われると批判を受けている[4]。
自民党の二階俊博は「議員が選挙区の皆さんに配慮するのは当然だ」と語った[70]。
招待状の売買問題
桜を見る会は、招待状さえ持っていれば入ることができ、自民党議員の政治資金稼ぎに利用されているとの指摘が出ている。
2019年4月16日、FRIDAYデジタルは、桜を見る会の招待状が、自民党の政治パーティー券との抱き合わせで8万円の価格で売買がされていると報じた[71]。同様のことは、後追いで東京スポーツによっても報じられた[72]。
「招待状は自民党議員に一定枠与えられ、希望があれば、追加でもらうことが可能。それを自身の派閥のパーティー券と一緒にブローカーに売りつけるんです。つまり『桜を見る会』の招待状を利用して、小銭稼ぎしている議員がいるということ」 — 政府関係者、“安倍首相の桜を見る会に「裏口疑惑」蔓延する招待状の“高額転売””. 2019年11月9日閲覧。
民間における「桜を見る会」
民間にも「桜を見る会」というものがあり、そこに内閣総理大臣が出席することもある。例えば、安倍内閣総理大臣とその秘書官が出席した加計学園の実施による「桜を見る会」(100名ほどの催し)である。[73]
脚注
- 注釈
- 出典
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- ^ “「桜を見る会」後援会員招待 二階幹事長「選挙区への配慮は当然」”. 産経ニュース. 産経新聞社 (2019年11月12日). 2019年11月21日閲覧。
- ^ “安倍総理『桜の会』芸能人続々のウラに「招待状8万円」の闇ルート”. FRIDAYデジタル (2019年4月16日). 2019年11月10日閲覧。
- ^ “安倍首相の桜を見る会に「裏口疑惑」蔓延する招待状の“高額転売” – 東京スポーツ新聞社”. 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社. 2019年11月9日閲覧。
- ^ “第196回 衆議院 予算委員会 平成30年5月28日 第26号” (PDF). 国立国会図書館. p. 11. 2019年11月12日閲覧。