S.T.A.R.S.
S.T.A.R.S.(スターズ)は、カプコンのゲーム『バイオハザードシリーズ』に登場する架空の警察系特殊部隊。Special Tactics And Rescue Service(特殊戦術および救助部隊)の略称[1]である。
概要
選抜警官隊とは別に、R.P.D.(ラクーンシティ警察署)内に設置されている特殊班。ラクーンシティにおいて増加傾向にあった都市型テロや多様化していく組織犯罪、その他の緊急事態に対処するため[1]、「明るいラクーン21計画」[2]の一環として1996年に創設され、本部オフィスは署内の2階に存在する。また、署の管轄下にある一方で指揮系統からは半ば独立しており、独自に活動が可能であるなど、特殊な組織体制を持っている[1]。
1998年7月の「洋館事件」で多数の隊員が死亡すると共に、事件後のブライアン・アイアンズ署長による妨害工作や選抜警官隊の強化によるSWATの結成などが試みられたことで、組織としてはかなりの弱体化を図られていた。その後、ラクーンシティの崩壊によりR.P.D.自体が消滅することとなるが、S.T.A.R.S.の生存者はラクーンシティ崩壊後も反アンブレラを誓い、活動を続けることになる。
編成
S.T.A.R.S.の部隊編制の基本は、5名で1チームとする5マンセルであり、隊員は各チーム内において以下のポジションに振り分けられ、作戦行動を行う。1998年7月時点でアルファチームとブラヴォーチームの2チームが存在し、12名が在籍していた。
- LDR(リーダー)
- 戦術的な作戦決定を行うチームの指揮官で、隊長と副隊長がそれぞれアルファチーム、ブラヴォーチームのリーダーを担当している。
- PM(ポイントマン)
- 偵察や陣地確保など最前線での活動を主任務とするため、最も戦闘能力の高い隊員が配置される。
- BUM(バックアップマン)
- PMの援護役で、PMとはコンビで行動することが多く、PMに並ぶ力量を持った隊員が担当する。
- OM(オムニマン)
- 機器の操作や重火器の整備・運用などを行う。
- RS(リア・セキュリティ)
- ヘリコプターの操縦や警護、後方警戒が主な任務で、状況によっては狙撃手を担当する。また、各チームにはこのポジションの隊員が2名所属している。
隊員
隊員の徴集は、他薦によるスカウト[1]と自薦による選抜試験[3]のいずれかで行われる。ただし、洋館事件からラクーンシティ崩壊に至るまでは前者により徴集された隊員しか存在しなかった。また、S.T.A.R.S.は実力主義下で官民混成の部署となっており、隊員は警察官や元軍人のみならず、民間人からも特定分野の専門家がスカウトされている。各人物の詳細はバイオハザードシリーズの登場人物を参照。
アルファチーム
- アルバート・ウェスカー - リーダー
- 38歳。S.T.A.R.S.隊長。生物工学に精通し、陸軍技術将校、アンブレラ幹部社員を経た後、アンブレラの推薦により隊長に就任したが、洋館事件後は離反した。
- クリス・レッドフィールド - ポイントマン
- 25歳。空軍に所属していた経験を持ち、戦闘機やヘリコプターなど航空機の操縦に関しても高い技術を持っている。2014年時点での最新作『6』では、BSAAの隊長として活動している。
- バリー・バートン - バックアップマン
- 38歳。火器の補充と整備を担当で元SWAT隊員。ラクーンシティ壊滅事件にて滅菌作戦直前のラクーンシティに民間のヘリコプターで駆けつけ、ジル・バレンタインやU.B.C.S.隊員のカルロス・オリヴェイラと共に脱出した。その後の行方は不明。
- ジョセフ・フロスト - オムニマン
- 27歳。武器の整備を担当。洋館事件においてブラヴォーチーム捜索中にケルベロスの群れに襲われて絶命し、同事件での最初の犠牲者となった。
- ジル・バレンタイン - リア・セキュリティ
- 23歳。トラップ・爆発物処理要員で、デルタフォース訓練課程を修了済み。ラクーンシティから脱出した後はBSAAに所属し、クリスと共に活動している。
- ブラッド・ヴィッカーズ - リア・セキュリティ兼パイロット
- 35歳。化学防護要員であったが、洋館事件ではヘリコプターによる生存者の回収を行った。その後のラクーンシティ壊滅事件においてR.P.D.前でネメシスに殺害され(『3』)、ゾンビ化する。『2』ではEASY以外の難易度でゲームをクリア後、2周目でR.P.D.正面玄関前の地下通路までアイテムを取らずに到着すると登場し、通常よりも体力の高い「ブラッドゾンビ」として出現する。
ブラヴォーチーム
- エンリコ・マリーニ - リーダー
- 41歳。S.T.A.R.S.副隊長。洋館事件で事件の真相を知り、アルファチームの隊員に伝えようと奔走するが、ウェスカーによって射殺された。
- ケネス・J・サリバン - ポイントマン
- 45歳。化学防護要員であり、化学博士号を所持している。洋館事件にてアルファチーム到着直前にゾンビに襲われて死亡。チーム最年長の黒人。
- リチャード・エイケン - バックアップマン
- 23歳。通信要員。洋館事件でヨーンの毒に冒され、解毒剤の投与によって一命を取り留めたが、その後に死亡。
- フォレスト・スパイヤー - オムニマン
- 29歳。整備・対電脳犯罪担当。洋館事件でB.O.Wに襲われて負傷し、テラスにてクロウに襲われて絶命した後、ゾンビ化する。
- エドワード・デューイ - リア・セキュリティ兼パイロット
- 26歳。ヘリコプターのメインパイロット。洋館事件でエンジントラブルによりヘリコプターが墜落したうえ、黄道特急調査中に絶命した後、ゾンビ化する。
- レベッカ・チェンバース - リア・セキュリティ
- 18歳。衛生要員で化学・薬品に関して豊富な知識を持ち、飛び級により大学を卒業済だが、洋館事件後は行方不明。
関係者
- ケビン・ドゥーリー
- R.P.D.警官。臨時のヘリコプターパイロットとしてブラヴォーチームによる連続猟奇事件の捜査に参加していたが、洋館事件で死亡。
- ジョウ・ケンド
- サンフランシスコ郊外で、カスタムガンショップ「KENDO」を経営しているガンスミス。サンフランシスコ市警でSWATに所属していた経験を買われ、S.T.A.R.S.のトレーナーを務めた後、S.T.A.R.S.制式拳銃「サムライエッジ」を製作している。
- ロバート・ケンド
- 40歳。ラクーンシティのガンショップ「ケンド銃砲店」の店主で、ジョウ・ケンドの弟。S.T.A.R.S.隊員、特にバリーとは親交が深く、彼に注文されて「サムライエッジ・バリー・バートンモデル」をはじめとした特注モデルの銃を製造・納入していたが、『2』においてゾンビに襲われて死亡している。
主要装備
S.T.A.R.S.の活動資金はアンブレラやその他の民間企業が賄っているため、他の部署と比べ資金が豊富で、優れた装備を多数保有していた。
- ナイフ
- アメリカ軍でも採用されているM9を各隊員が装備している。
- 拳銃
- ベレッタM92Fのカスタムモデルサムライエッジを制式拳銃として採用しており、一部の隊員は各々の任務や嗜好に合わせ、更なる改造が施された専用モデルを使用している。
- この他、私物では有るが洋館事件ではバリーが44口径に改造したコルトパイソンを携行しており、洋館事件以降は対B.O.W.用にデザートイーグルやS&W M629などの大型拳銃を調達している。
- 散弾銃
- 洋館事件でジョセフがモスバーグM590、リチャードがベネリM4を携行。オフィス内のガンロッカーにはレミントンM1100-Pが保管されている。
- グレネードランチャー
- 洋館事件でフォレストが携行しており、後にピストルグリップを備えたM79 グレネードランチャー、H&K社製の試作品などを調達している。
- クロスボウ
- バーネット社製のピストルクロスボウがS.T.A.R.S.オフィス内のガンロッカーに保管されている。
上記の他、専用の通信機器やヘリコプターを保有している。
その他
S.D.ペリー執筆の小説版やミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画版では、隊員の人数、組織の性格、設定が異なる。映画版ではジルを除いて物語の中心には置かれておらず、隊員も数十人在籍する常設的なSWATといった組織であった。小説版では1996年以前からR.P.D.内に存在しており、アイアンズ署長は元ブラヴォーチーム隊員という設定に変更されている。
脚注
- ^ a b c d 『biohazard archives』株式会社カプコン、ISBN 4906582311、304頁
- ^ ラクーンシティの治安強化と環境整備を目的に、アンブレラがメインスポンサーを務めた一大プロジェクト。
- ^ 『バイオハザード アウトブレイク ファイル2 完全攻略ガイド』双葉社、ISBN 4575164283、4頁