久美沙織
日本の小説家
久美沙織(くみ さおり、1959年4月30日 - )は、作家である。本名は波多野稲子(旧姓:菅原)。岩手県盛岡市生まれ。大田区立大森第六中学校、岩手県立盛岡第一高等学校を経て上智大学文学部哲学科卒。長野県在住。
略歴
- 1979年、『小説ジュニア』(後の『Cobalt』)四月号において、山吉あい名義で、『水曜日の夢はとっても綺麗な悪夢だった』にてデビュー。ただし、このペンネームはこのときだけのものである。
- 1981年、初の単行本『宿なしミウ』が出版される。この後、コバルト文庫を中心に活躍する。復刊を除くコバルト文庫での最終作は1993年初版の『東京少年十字軍』。
- 1984年、『丘の家のミッキー』第一作が出版される。この後同作品は1年に2作程度のペースでシリーズ化し、最盛期には初版が10万部以上刷られていたと言われている。なお、最終巻である第10巻は1988年の出版となった。
- 1987年、ハヤカワ文庫より『あけめやみ とじめやみ』が出版に。一般には少女小説作家として扱われていた久美沙織の初のファンタジー作品であり、『SFマガジン』に連載されていた短編集でもある(ただし、SF作品としては過去にも執筆がある)。
- 1989年、新潮文庫より『MOTHER』が出版される。それまで後書きなどからゲーム好きであるとは知られていたが、久美沙織にとってこれが初のゲーム関連作品であり、これを皮切りに『ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説』等エニックス関連作品などのノベライズを手がける。
- 1992年までに波多野鷹と結婚、軽井沢に転居する。『軽井沢動物記』はその当時に出版されたエッセイである。
- 1993年、小説ハウツー本である『新人賞の獲り方教えます』が出版に。
以後、ホラー、ミステリーなどのジャンルにも一定の成果を残し、現在に至る。
作品リスト
コバルト文庫収録
- 丘の家のミッキー
- 通称『半熟せりかの探偵ごっこ』シリーズ
- 主人公舞せりかとその彼氏茅野遙が出会う事件を描いたライトミステリー。
- 鏡の中のれもん
ゲーム関連ノベライズ
- MOTHER
- 任天堂の人気RPGである『MOTHER』のノベライズ。続編である『MOTHER2 ギーグの逆襲』も久美沙織によりノベライズされている。
- 小説ドラゴンクエストIV
- 人気RPGである『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』のノベライズ。各章の各主人公に合わせて文体・一人称・三人称を使い分けるという実験的な試みが行なわれている。久美沙織はこのほか、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』など、他のドラゴンクエストシリーズのノベライズも手がけている。(CDシアター ドラゴンクエストIVでは声優としてゲスト出演)。
- ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説
- 小説アンジェリーク異聞
- 天地創造 - Light in the darkness
SF、ファンタジー
- 『ドラゴンファーム』シリーズ
- 竜を飼う牧場に住むフュンフを巡って起こる出来事を語る物語。
- 『ソーントーン・サイクル』シリーズ
- 『ここは魔法少年育成センター』シリーズ
- 真珠たち
- あけめやみ とじめやみ
- 『冷蔵庫』シリーズ
ミステリー
- 修道女マリコ
ホラー
- 孕む
- 電車
その他フィクション
- 小説エマ
- 森薫原作の漫画のノベライズ。
- 2005年、ISBN 4-7577-2209-5
- 2005年、ISBN 4-7577-2490-X
ノンフィクション(エッセイ等)
- 新人賞の獲り方教えます
- 実際に開かれた文章養成講座の内容を元に構成された、小説の書き方作法本。文章の他に、原稿用紙の使い方、賞への応募方法についても言及されている。続編が他に2冊(『もう一度だけ――』『これがトドメの――』)出版された。
- 軽井沢動物記
- コバルト風雲録
- 45歳、もう生んでもいいかしら?
- 挫折だらけの不妊時代から奇跡の妊娠、45歳の母になるまでを「大人の本音」で綴った、生みたい人も生まない理由を見つけた人も、みんなが共感できる爆笑出産記。(オビより抜粋)
翻訳
- ヘイスタック
- アーサー・ガイサートの絵本。このほか『コブタをかぞえてIからMM』『プレーリータウン』『リバータウン』『マウンテンタウン』『デザートタウン』『ナーサリークライムズ』などの同著者の絵本の翻訳も行っている。