ヒロボー bit
概要
編集ヒロボーは東日本大震災を契機に[1]、要救助者の探索や緊急避難といった[2]災害時の人命救助に活用したいという松坂晃太郎社長の意志を反映して、1人乗りヘリコプターであるbitを開発した[1][3]。完成した機体は制限下でのホバリング試験を経て[2]、2012年(平成24年)10月に開催された国際航空宇宙展で発表された[2][3][4][5]。その後は同時に発表された無人電動ヘリコプターであるHX-1[2][4][6]およびその改良型であるHX-2への取り組みを優先させつつも[6]、2017年(平成29年)頃まで開発を継続していたが[1][7]、bitのような航空機の飛行の可否を決定できるような法整備がなされていないことから、日本でのbitの運用は不可能との判断に基づき、2019年(令和元年)までに開発は中断されている[8]。
機体の機構はHX-1のそれを発展させたもので[4][8]、可変ピッチ機構を持つ[9]電気モーター駆動の[4]同軸二重反転式ローターを備え[1][4]、静粛性の確保や[3]テールローターを省いての機体のコンパクト化を図っている[1]。パイロットによる操縦時にはフライ・バイ・ワイヤが使用される他[2][4]、有人・無人双方での完全自律飛行や[4]遠隔操縦も可能[2]。操縦席には右側にコントロールスティック、左側にパワーレバー、左前面にヘッドアップディスプレイ(HUD)を備える[4]。飛行速度は96 km/h[2]あるいは100 km/hで[3]、その際の航続時間は30分[2][3][8]。最大積載重量は約80 kg[8]。価格は1機3,000万円[3]。
2012年の発表の時点では、翌2013年(平成25年)の初飛行と[2]、2016年(平成28年)までの実用化が予定されていた[3]。想定されていた用途には、人命救助の他に富裕層のホビー[2]、エアタクシー、輸送、防衛などがあった[1]。また、災害現場での運用のための防爆化や[1]、2人乗りの派生型の構想も存在した[3]。
脚注
編集参考文献
編集- SELFTURN ONLINE編集部 (2017年6月7日). “メイドインジャパンの航空機を飛ばしたい! 防衛省から外資系企業、そして広島へ。地方から日本の未来を牽引するリーダー”. GLOCAL MISSION Times. みらいワークス. 2024年7月5日閲覧。
- Jason Paur (2012年11月29日). “日本のメーカー、「1人乗りヘリ」を開発”. WIRED. コンデナスト・ジャパン. 2024年7月5日閲覧。
- “時速100kmで30分間飛行が可能なヘリコプター! 電動式のためエンジン式に比べて騒音が少ない”. 日刊工業新聞 Business Line. 日刊工業新聞社 (2012年11月7日). 2012年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月5日閲覧。
- 石田真一 (2012年10月11日). “【国際航空宇宙展12】未来的なデザインの1人乗り電動ヘリコプター”. Response.. イード. 2024年7月5日閲覧。
- 西坂真人 (2017年6月5日). “「空飛ぶ乗り物」をMade in Japanで――ヒロボー”. MONOist. アイティメディア. pp. 2 - 4. 2024年7月5日閲覧。
- 矢吹竜太郎、清嶋直樹、白井良、池上俊也 (2019年10月7日). “タケコプター、タイムマシン、どこでもドアは実現できるか、3大道具を徹底検証”. 日経クロステック. 日経BP. pp. 1. 2024年7月5日閲覧。
関連項目
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