「ワタアブラムシ」の版間の差分

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天敵
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== 形態 ==
[[File:Aphis gossypii02.jpg|thumb|right|220px|ワタアブラムシ(有翊胎生虫)]]
ワタアブラムシの無翊胎生虫は、体長1.3ミリメートル程度、体色は黄色や緑、濃緑色など変異が多い<ref name="Matuzaki&Buei"/>。[[触角]]は6節で体長よりも短い。低温下に生育する個体は体表が白い[[ワックスエステル|ワックス]]に覆われ、触角や腿節などの付属器が短小化し球形に近いフォルムとなる<ref>稲泉三丸「越冬寄主上のワタアブラムシ胎生虫の生態および形態」『日本応用動物昆虫学会誌』30(1) 日本応用動物昆虫学会 {{doi|10.1303/jjaez.30.43}} 1986年 pp.43-49.</ref>。初夏に現れる有翊胎生虫は、体長1.2ミリメートル程度、体色は黄緑もしくは青緑色で、腹部側面に4個の黒色斑が付く<ref name="Matuzaki&Buei"/>。
 
== 生態 ==
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アブラムシは1世代が10日程度の発育スピードであり、年の大部分は[[雌|メス]]だけが出現し[[単性生殖]]する<ref name="Matuzaki&Buei"/>。ワタアブラムシは、[[ムクゲ]]や[[ミカン]]などの樹上で卵越冬し、4月上旬に孵化して新葉に寄生し無翊胎生雌虫に成長する。5月上旬には羽のついた有翊胎生雌虫が現れ、[[ザクロ]]などの[[中間宿主]]へと移動する。その後もナスやキュウリなどの2次中間宿主を経て、10月下旬から有翊のオスが現れ、有翊のメスと交尾し、ムクゲなどに戻って産卵する<ref name="Matuzaki&Buei"/>。また、温暖地では無翊胎生雌虫のまま越冬する例も報告されている<ref name="Matuzaki&Buei"/>。
 
生活環により4つのタイプに分類する考えがある<ref>{{Cite journal |和書
|author=稲泉三丸
|title=ワタアブラムシの生活環と寄主を異にするバイオタイプ
|journal=昆蟲
|year=1981
|volume=49
|issue=1
|pages=219-240
|url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10652550
|naid=110003501813
|publisher=東京昆蟲學會
}}</ref>。
# 不完全生活環タイプ
#* 秋季になっても両性生殖個体が全く出現しないタイプ。 雑草(オオイヌノフグリ、ナズナ)などで胎生雌のまま越冬する。
# 中間寄主として寄主転換する完全生活環タイプ
#* ムクゲだけで周年経過するものと、 コスモスやヒャクニチソウなどを中間寄主として寄主転換するものいる。
# 中間寄主の間を行き来する完全生活環タイプ
#* 主宿主はクロツバラやクロウメモドキ、 ツルウメモドキ。サトイモやツユクサなどが中間寄主。
# 非移住型の完全生活環タイプ
#* アカネだけで周年経過する。
 
== 天敵 ==
捕食性天敵としてハナカメムシ ''Orius'' sp.([[:en:Orius]]) などが存在する<ref>[http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/ine/tenteki.html いろいろな天敵昆虫] 九州大学大学院 生物資源環境科学府 天敵昆虫学研究室</ref><ref>永井一哉, 「[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaez1957/35/4/35_4_269/_article/-char/ja ミナミキイロアザミウマ,カンザワハダニ,ワタアブラムシに対するハナカメムシ''Orius'' sp.の捕食特性]」 『日本応用動物昆虫学会誌』 1991年 35巻 4号 p.269-274, {{doi|10.1303/jjaez.35.269}}</ref>。
 
== 人間との関わり ==
広食性且つ季節によって寄生植物を変えることから、様々な[[農作物]]に被害を与える重要害虫と目されている<ref name="Ikeda">池田二三高[http://www.foocom.net/column/pest/3891/ "ワタアブラムシ 体は小さいが多様な被害をもたらす害虫"] - FOOD COMMUNICATION COMPASS(2011年4月28日)2020年12月30日閲覧。</ref>。口吻から樹液を吸う食性から、大量発生すると作物の育成が阻害され、枯死に至る場合もある。また、口針の唾液を[[媒介]]して[[植物ウイルス|モザイクウイルス]]を蔓延させ、大規模な被害を与える場合もある<ref name="Ikeda"/>。[[糖類]]が大量に含まれた粘液状の排泄物は、[[スス病]]菌の温床となり作物の商品価値を損なう<ref name="Ikeda"/>。
 
== 脚注 ==
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<!-- == 参考文献 == -->
 
<!-- == 外部リンク == -->
* {{Cite journal |和書
|author=稲泉三丸
|title=ワタアブラムシの生活環と寄主を異にするバイオタイプ
|journal=昆蟲
|publisher=東京昆蟲學會
|year=1981
|volume=49
|issue=1
|pages=219-240
|url=https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10652550
|naid=110003501813
}}
 
{{デフォルトソートDEFAULTSORT:わたあふらむし}}
[[Category:アブラムシ]]
[[Category:農業害虫]]