「警察小説」の版間の差分
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文学史上最初の警察官探偵はおそらく、[[チャールズ・ディケンズ]]が交友のあった[[スコットランド・ヤード]]の捜査官をモデルにしたという、『荒涼館』(1853年)に登場するバケット警部であろう。但し、このバケット警部は後年に[[F・W・クロフツ]]が生み出すフレンチ警部のような個性の乏しい人物である。
シリーズ刑事として最初の警察官探偵は[[エミール・ガボリオ]]の『ルルージュ事件』(1866年)から『ルコック探偵』(1869年)までの3編または4編に登場する[[パリ警視庁]]のルコックである。なお、[[アーサー・コナン・ドイル]]は『[[緋色の研究]]』の中で[[シャーロック・ホームズ]]に「取り柄といえばたったひとつ、精力的に動くという点だけだ」と罵倒させている。
[[第一次世界大戦]]以前は、[[レストレード警部]]しかり、ホームズのような民間探偵の引立て役に過ぎなかったが、大戦後はクロフツ『フレンチ警部最大の事件』(1925年)、パリ警視庁の[[ジュール・メグレ]]が活躍する[[ジョルジュ・シムノン]]『怪盗レトン』(1929年)など、警察官がヒーローとしていくらか復権する。
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[[1956年]]、[[エド・マクベイン]]が警察官の私生活まで描く『[[87分署シリーズ]]』を発表する。
日本では、戦前はアーサー・コナン・ドイルや[[S・S・ヴァン=ダイン]]を手本にしたせいか、警察官は道化役であることが多かった。戦後になっても、[[金田一耕助]]の等々力警部などに引き継がれたが、[[鮎川哲也]]の[[鬼貫警部]]や[[松本清張]]『[[点と線]]』の三原警部など、主役として活躍する警察官が登場し始める。
[[1965年]]から[[1975年]]にかけて[[スウェーデン]]の作家[[ペール・ヴァールー]]が妻のマイ・シューヴァルとの共同で発表した[[マルティン・ベック]]シリーズは日本でも人気となったが、警察組織の活躍譚はなかなか主流にならなかった。この点について[[今野敏]]は「『[[鬼平犯科帳]]』が集団捜査ものとしても警察群像ものとしても優れていたからではないか」という推測を唱えている<ref>巻頭対談『本当におもしろい警察小説ベスト100』洋泉社</ref>。その後はテレビが隆盛となり、『[[新宿警察]]』を始めとする[[刑事ドラマ]]が多数放映され、小説は多数の刑事を識別するという点で映像作品には敵わない。
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