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'''針'''（はり）は、先端の尖った[[道具]]。英語では[[:en:Needle|Needle]]あるいは[[:en:Pin|Pin]]であり、日本語でもそのままピンと呼ぶ例もある。
== 歴史 ==
=== 古代の針 ===
針の歴史は古く、[[旧石器時代]]後期の[[マドレーヌ文化]]では骨角製の針が使用されていた<ref name="kitada">{{Cite journal |和書|author=北田杲三 |title=伝統技術の現況について（3) - 京都みすや針 - |journal=技術と文明|volume=8 |issue=1 |pages= 21-22|url=http://www.jshit.org/kaishi_bn1/08_1kitada.pdf}}</ref>。
[[日本]]でも[[石器時代]]には[[骨角器|骨角]]でつくったくくり針（無孔）があり、石器時代末にはメドと呼ばれる穴を付けた有孔の針も作られるようになった<ref name="kitada" />。
=== 金属製の針の出現 ===
時代とともに材質は骨角製から[[金属]]製に変わり、黄金針のほか、[[青銅器時代]]の青銅針、[[鉄器時代]]の鉄針、そして銅針へと進展した<ref name="kitada" />。さらに[[鋼]]製の針が中国で生まれ、イスラム諸国から[[ヨーロッパ]]、[[朝鮮半島]]から日本へ伝わったといわれている<ref name="kitada" />。ヨーロッパでは[[10世紀]]頃に[[針金]]が発明され、鉄片の鍛造ではなく針金の切断で大量生産されるようになった<ref name="kitada" />。
=== 日本での歴史 ===
金属製の針は渡来人の裁縫技術者によって日本に渡来した<ref name="kitada" />。『[[古事記]]』[[崇神天皇]]の条に「衣の襴に針を刺し通した」と記述がある<ref name="kitada" />。[[平安時代]]には市で針が売られており庶民はその針で衣服を縫製したという<ref name="kitada" />。
[[15世紀]]末には針金を作る専業の針鉄師という職人がいた<ref name="kitada" />。[[中世]]には針磨といわれた職人が針（裁縫用）と[[鍼]]（医療用）を生産していたが、近世には縫針を生産する縫針師（針師）と打鍼や刺針を生産する針習（はりずり）に分化した<ref name="kitada" />。
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=== 留め具 ===
何かに突き刺してそれを基盤上に突き刺すことでその位置を固定する。突き出した先を平らにしたりして扱いやすくしたのが[[安全ピン]]（[[:en:safety pin|safety pin]]）である。
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[[絵画]]や掲示物を角で留める[[画鋲]]も該当する。
=== 裁縫 ===
[[ファイル:Needles_(for_sewing).jpg|thumb|裁縫に使う針]]
[[裁縫]]に使う針、'''縫い針'''（[[:en:sewing needle|sewing needle]]）。細長い金属で出来ていて、先端が尖っている。反対側の端には針穴と呼ばれる小さな穴があいており、穴に[[糸]]を通して結びつけ、針で布などを突き通すことであいた穴に糸を通すことができる。[[ミシン]]針の場合は先端に穴がある。古代の針は木や骨などで作られていた。
裁縫用の針は今から3～4万年前に[[東シベリア]]で発明されたとされる。
糸を通す孔のない針もあり、いわゆる[[待ち針]]であるが、これは縫い合わせる布同士を一時的に止める場合などに使われる。また、布を通り抜けさせる必要がないから、安全のために後端に飾りが付けてある。
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針は細くて落とすと見失いやすく、また尖った先端が体を傷つけることが多い。使う際には[[針山]]に突き刺してその位置を確保する。細くて曲がりにくいことから折れることもあり、これはなお危険なのでその保存に注意する。折れた針を供養するのが[[針供養]]である。縫い物を専門に行うものを針子という。
=== 医療 ===
# 何かに物（多くは人間などの動物に[[医薬品]]）を[[注射]]、注入するために使われる細長い筒状の針。[[注射針]]（[[:en:Hypodermic needle]]）。
# [[血液]]の検査の目的で[[採血法|採血]]を行うためや、[[輸血]]・[[献血]]などに使用される針。
# 傷口の[[縫合]]に使う針。[[縫合糸]]を参照。
# 針を体の[[経穴]]に刺して身体治療に使われる物。[[鍼]]（[[:en:Acupuncture|Acupuncture]]）。
[[ファイル:定規と注射針.jpg|thumb|治療に使う注射針]]
[[ファイル:Acupuncture ja.jpg|thumb|治療に使う
=== 生物学 ===
生物関連に実験道具の一つに[[柄付き針]]がある。[[解剖]]などの際に細かい部分を操作したり、広げて固定したりといった使い方がある。
[[昆虫標本]]は針で止めるのを標準とし、専用の針も販売されている。
=== 装身具 ===
[[ピアス#ボディピアス|ボディピアス]]に使われ、針を人体の一部に通すことで[[装身具]]を固定する。同様に衣服に固定する装身具も存在する。
=== 入れ墨 ===
[[入れ墨]]を彫る際に使われる（[[:en:Tattoo machine|Tattoo machine]]）。
=== 記録 ===
* [[スタイラス]]、文字を刻みつけるための道具。
* [[鉄筆]]、鉄でできた針状の芯がついた筆、スタイラスを和訳するときの語としても用いられる。
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* [[レコード]]などで使われる針、レコード針。
=== 探針 ===
[[プローブカード]]のプロービングのための[[探針]]。[[プローブ顕微鏡]]などで用いる。
=== 指針 ===
[[アナログ時計]]、[[方位磁石]]やメーター、はかりなどの測定器において方位や数値を指し示すために使われる。転じて事務処理などを行ううえでよりどころとなる基本的な事項や方針のことを'''指針'''という。英語では[[ハンド]] (hand)。
=== 文房具 ===
[[コンパス]]や[[ディバイダ]]が[[製図]]などに使われる。
=== 釣り ===
[[釣り]]に使う針、[[釣り針]]（[[:en:fish hook|fish hook]]）。
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=== 針が登場する有名な童話・神話・伝承 ===▼
▲*持ち運びしやすく安価に販売できることから、日本の中世において「針売り」は身体障害者や下層民が手軽にできる職業とされ、被差別対象だった<ref>石井進『中世のかたち』（中央公論新社、2002）</ref>。[[豊臣秀吉]]も武士になる以前は針売りをしていた<ref>『河原ノ者・非人・秀吉』[[服部英雄]]、[[山川出版社]]、 2012/5</ref>。
▲== 針が登場する有名な童話・神話・伝承 ==
* [[一寸法師]]
* [[眠れる森の美女|眠り姫]]
* [[西遊記]] - [[孫悟空]]が海底で針を拾い、後の[[如意棒]]に変化した『海底針』の逸話があり、[[太極拳]]の技法にも現れている。
===
鋭く尖ったものの意味で
*嘘をついたら、針千本飲ます
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[[チェス]]では敵のキングと自陣のコマの効き筋の間に敵のコマが置かれた状態にすることを[[ピン (チェス)|ピン]]という。こうするとそのコマは、動かせば自陣のキングに王手がかかるために動かせない。これを針で刺して止めたのに見立てたものである。
== 脚注 ==▼
{{Reflist}}▼
== 関連項目 ==
{{commons|Category:Needles}}
{{Wiktionary}}
* [[ニードル]] (needle)
* [[ピン]] (pin)
* [[スティング]] (sting)
* [[小針]]
* [[大針]]
* [[糸]]
* [[梁]]、[[鍼]] - 同音異義語
* [[端子]]
* [[針供養]]
* [[爪楊枝]]
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* [[ダーツ]]
* [[生け花]] - [[剣山]]が道具として使われる。
* {{prefix}}
* {{intitle}}
{{Normdaten}}
▲==脚注==
▲{{Reflist}}
{{DEFAULTSORT:はり}}
[[Category:日用品]]
[[Category:裁縫道具]]
[[カテゴリ:金属製品]]
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