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{{出典の明記|date=2012年3月11日 (日) 09:03 (UTC)}}
'''熱容量'''(ねつようりょう)とは[[系]]に対して[[エネルギー]]の出入りがあったとき、そのエネルギーの出入りが系の[[温度]]をどのように変化させるかを示す比例定数。熱容量はエネルギーの出入りがあったさい、系の(温度以外の)状態がどのように変化したかに依存して変化する値であって、エネルギーを出入りさせる前後で系の体積が一定である場合を'''定積熱容量'''、系の圧力が一定である場合を'''定圧熱容量'''とよぶ。[[単位]]は[[ジュール毎ケルビン]](J/K)、[[カロリー毎ケルビン]](cal/K)。
{{Thermodynamics sidebar}}
{{統計力学}}
'''熱容量'''(ねつようりょう、{{lang-en|heat capacity}})とは、[[系 (自然科学)|系]]に対して[[熱]]の出入りがあったとき、系の[[温度]]がどの程度変化するかを表す[[状態量]]である。
[[単位]]は[[ジュール]]毎[[ケルビン]](J/K)が用いられる。
 
== 定義 ==
出入りしたエネルギーをQ、系の温度変化をT、熱容量をCとしたとき
系がある[[準静的過程|準静的]]な過程で {{mvar|d'Q}} の熱を得たときの温度の変化を {{mvar|dT}} とすると、熱容量は
:<math>Q=CT</math>
{{Indent|
とかける。
<math>C = \frac{d'Q}{dT}</math>
}}
で定義される<ref>{{Cite journal|last=八田|first=一郎|last2=阿竹|first2=徹|year=1989|title=熱容量スペクトロスコピー|journal=熱測定|volume=16|issue=1|page=12|doi=10.11311/jscta1974.16.10}}</ref>。
[[エントロピー]] {{math|''S''(''T'')}} を用いれば
{{Indent|
<math>C(T) = T\frac{dS}{dT}</math>
}}
と表される<ref>{{Cite journal|title=エントロピーと自由エネルギー|last=古畑|first=威|date=1963|url=https://doi.org/10.20665/kagakukyouiku.11.4_483|publisher=公益社団法人 日本化学会|language=ja|doi=10.20665/kagakukyouiku.11.4_483|accessdate=2022-01-18|journal=化学教育|volume=11|issue=4|page=484}}</ref><!-- 自明な式変形によりこの定義が得られる。化学教育ということであまり適切な出典とは言えないが、ないよりましなのでつけておきます -->。
 
=== 定積熱容量に関する初等的理解 ===
[[体積]]が一定の条件下での熱容量を'''定積熱容量'''といい、[[内部エネルギー]] {{mvar|U}} により
ある物体の熱容量というものを考えるとしよう。熱容量とはその物体の温度を一度上昇させるのに必要な熱量のことである。
{{Indent|
<math>C_V(T,V) = \left( \frac{d'Q}{dT} \right)_V
= T \left( \frac{\partial S}{\partial T} \right)_V
= \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_V</math>
}}
で表される。括弧に付く添え字は微分を行う温度 {{mvar|T}} の他に体積 {{mvar|V}} を変数に持つことを表している。
 
=== 定圧熱容量 ===
たとえばコップ一杯の水(100g)があったとする。ここに何らかの方法で100calのエネルギーを与えることができたとしよう。この系からエネルギーが外に漏れないように注意して実験を行った結果、コップ一杯の水の温度は約1度上昇する。このとき、コップ一杯の水の熱容量は約100cal/Kである。
[[圧力]]が一定の条件下での熱容量を'''定圧熱容量'''といい、[[エンタルピー]] {{mvar|H}} により
{{Indent|
<math>C_p(T,p) = \left( \frac{d'Q}{dT} \right)_p
= T \left( \frac{\partial S}{\partial T} \right)_p
= \left( \frac{\partial H}{\partial T} \right)_p</math>
}}
で表される。
 
== 性質 ==
今度は水を2倍の量にしたとしよう。同じように100calのエネルギーを与えたとすると、今度は約0.5Kの温度上昇を観測することになる。水のようにエネルギーの出し入れの際、他の熱力学的状態の変化が無視しうるような系であれば熱容量は物質の量に比例すると考えてよい。
平衡状態の安定性から、等積熱容量は {{math|''C{{sub|V}}'' > 0}} である。
 
定圧熱容量と定積熱容量の差は、[[熱膨張係数]] {{mvar|&alpha;}}、[[圧縮率|等温圧縮率]] {{mvar|&kappa;{{sub|T}}}} と
一般に単位量あたりの物質を1K変化させるのに必要な熱量を[[比熱容量|比熱]]と呼んでいる。
{{Indent|
<math>\begin{align}
C_p -C_V &= T \left( \frac{\partial p}{\partial T} \right)_V
\left( \frac{\partial V}{\partial T} \right)_p \\
&=-T\left[ \left( \frac{\partial V}{\partial T} \right)_p \right]^2
\bigg/ \left( \frac{\partial V}{\partial p} \right)_T \\
&=\frac{TV}{\kappa_T} \alpha^2
\end{align}</math>
}}
で関係付けられる。特に、[[理想気体]]の場合には
{{Indent|
<math>C_p -C_V = NR</math>
}}
となる。{{mvar|N}} は[[物質量]]、{{mvar|R}} は[[気体定数|モル気体定数]]である。{{math|1=''TV''/''&kappa;{{sub|T}}'' > 0}} なので {{math|1=''C{{sub|p}}'' > ''C{{sub|V}}''}} の関係がある。
これは体積の変化により系が外部にした仕事の分だけ余計に外部から熱を得ていることを表している。
 
定圧熱容量と定積熱容量の比は[[比熱比]]と呼ばれ、断熱圧縮率 {{mvar|&kappa;{{sub|S}}}}、等温圧縮率 {{mvar|&kappa;{{sub|T}}}} と
{{Indent|
<math>\gamma = \frac{C_p}{C_V} = \frac{\kappa_T}{\kappa_S}</math>
}}
で関係付けられる。{{math|1=''C{{sub|p}}'' > ''C{{sub|V}}'' > 0}} なので {{math|1=''&gamma;'' > 1}} である。
 
<!-- 簡単にいうと、熱容量が大きい物質とは、温まりにくく、冷めにくいことを意味する。
逆に、熱しやすく、冷めやすい物質は、熱容量が小さいといえる。 (冒頭部に出典なしで記載するのは独自研究になりかねない)-->
 
== 統計力学における位置付け ==
統計力学においては[[分配関数]]によって熱容量は
{{Indent|
<math>C(\beta) = k\beta^2 \frac{\partial^2}{\partial\beta^2}\ln Z(\beta)</math>
}}
で表されており、エネルギーの[[ゆらぎ]]と関係付けられている。
{{Indent|
<math>C(\beta) = k\beta^2 \left\langle E(\omega)^2
-\left\langle E(\omega) \right\rangle^2 \right\rangle</math>
}}
 
== 出典 ==
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=田崎晴明|authorlink=田崎晴明|title=統計力学Ⅰ|publisher=[[培風館]]|series=新物理学シリーズ|year=2008|isbn=978-4-563-02437-6}}
 
== 関連項目 ==
{{Commonscat}}
*[[比熱容量]] 比熱、定積熱容量、定圧熱容量、モル熱容量などの詳細はこちら。
{{wikidata property|P2056}}
*[[熱]]
* [[比熱容量の比較]] - 比熱、モル熱容量などの詳細はこちら。
* [[エンタルピー]]
* [[伝導容量の比較]]
* [[エンタルピー]]
* [[熱伝導]]
 
== 外部リンク ==
* {{Kotobank}}
{{Physics-stub}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ねつようりよう}}
 
[[Category:熱力学]]
[[Category:統計力学]]
{{sci-stub}}
[[Category:物理量]]
 
[[Category:伝熱]]
[[af:Warmtekapasiteit]]
[[Category:比熱|*]]
[[ar:سعة حرارية]]
[[bn:তাপ ধারকত্ব]]
[[bs:Toplotni kapacitet]]
[[ca:Capacitat calorífica]]
[[cs:Tepelná kapacita]]
[[da:Varmekapacitet]]
[[de:Wärmekapazität]]
[[en:Heat capacity]]
[[eo:Varmokapacito]]
[[es:Capacidad calorífica]]
[[fa:ظرفیت گرمایی]]
[[fi:Lämpökapasiteetti]]
[[fr:Capacité thermique]]
[[he:קיבול חום]]
[[hr:Toplinski kapacitet]]
[[hu:Hőkapacitás]]
[[it:Capacità termica]]
[[ko:열용량]]
[[nl:Warmtecapaciteit]]
[[nn:Varmekapasitet]]
[[no:Varmekapasitet]]
[[pl:Pojemność cieplna]]
[[pt:Capacidade térmica]]
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