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[[File:Numbers_grid_in_NY.jpg|thumb|right|自然数の例]]
'''自然数'''(しぜんすう、{{lang-en-short|''natural number''}})とは、個数
[[File:Three_apples(1).svg|thumb|right|自然数は数えることに使用できる (リンゴ1個、リンゴ2個、リンゴ3個など)。]]
自然数を [[1]], [[2]], [[3]], … とする流儀と、[[0]], [[1]], [[2]], [[3]], … とする流儀があり、前者は[[数論]]などでよく使われ、後者は[[集合論]]、[[論理学]]などでよく使われる(詳しくは[[#自然数の歴史と零の地位]]の節を参照)。日本では高校教育課程においては0を入れないが、大学以降では0を含めることも多い(より正確には、[[代数学]]では0を含め、[[解析学]]では除外することが多い)。いずれにしても、0 を自然数に含めるかどうかが問題になるときは、その旨を明記する必要がある。自然数の代わりに前者を'''正整数'''、後者を'''非負整数'''と言い換えることによりこの問題を避けることもある。
[[数学基礎論|数学の基礎付け]]においては、自然数の間の[[加法]]についての形式的な[[逆元]]を考えることによって整数を定義する。正の[[整数]]ないしは負でない整数を自然数と同一視し、自然数を整数の一部として取扱うことができる。自然数と同様に整数の全体も[[可算無限集合]]である。
なお、文脈によっては、その一群に属する個々の数(例えば 3 や 18)を指して自然数ということもある。
[[File:Number-systems.svg|thumb|right|<math>\N</math>は
== 記法 ==
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== 自然数の歴史と零の地位 ==
自然数は「ものを数える言葉」を起源とし、1 から始まる正の数であったと推定されている。文明が起こり、数字が考え出されたとき、[[ローマ数字]]、[[ギリシア数字]]、[[エジプト数字]]、
最初の大きな進歩は、数を表すための[[記数法]]の発明であり、これで大きな数を記録することが出来るようになった。[[古代エジプト]]人は 1 から百万までの 10 の累乗それぞれに異なる[[ヒエログリフ]]を割り当てる記数法を用いていた。[[バビロニア]]では、数字を離して表記することでその桁が 0 であることを示す[[六十進法]]の[[位取り記数法]]に似た方法が開発された。しかし、0 を表す文字がなかったため、例えば 10203 は 0 を空白にして "1 2 3" と正しく表記できるが、10200 は "1 2" となって 102 と区別できない欠点があった。[[オルメカ]]と[[マヤ]]の文明では[[紀元前1世紀]]までには、数字を離して 0 の桁を表す方法が独立に用いられていた。
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これは定規とコンパスによる作図で数を定義したものと解釈できる。すなわち、任意に与えた線分の長さを単位として 1 を定義する。そして、その線分を延長した直線上で単位を半径とする長さをコンパスで測り、その直線上でその単位を半径とする円との交点を作図し、その円の直径を 2 と定義する。同様にその直線上で円の直径に半径を繋いだ線分を作図し、その線分の長さを 3 と定義する。したがって、1 は数ではなく単位であり、2, 3, 4, …が数になるため、古代ギリシア人は 1 を数として認識しなかったと言える。
1世紀頃、無名の[[インド]]人によって、初めて 0 を使った完全な位取り記数法が発明された。彼は[[ソロバン]]とよく似た
数としての 0 の概念は[[628年]]のインド人数学者[[ブラーマグプタ]]によって見出され、現代の 0 の概念と近い計算法が考え出された。
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[[19世紀]]、自然数の[[集合論]]的な[[定義]]がなされた。この定義によれば零を自然数に含める方がより便利である。集合論、[[論理学]]などの分野ではこの流儀に従うことが多い一方、[[数論]]などの分野では 0 を自然数には含めない流儀が好まれることが多い。どちらの流儀をとるにしろ、通常は著作あるいは論文毎に定義や注釈で明示される。とくに混乱を避けたい場合には、0 から始まる自然数を指すために'''非負整数'''、1 から始まる自然数を指すために'''正整数'''という用語を用いることもよくある。
[[計算機科学]]、特に[[
19世紀のドイツの数学者[[レオポルト・クロネッカー]]が「整数は神の作ったものだが、他は人間の作ったものである」という言葉を残し、正の整数が自然な数と考えた頃から、'''自然数'''という用語が定着したとされる<ref>{{Harv|ベル|田中|銀林|1997}}</ref>。
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自然数がどんなものかは子供でも簡単に理解できるが、その定義は簡単ではない。自然数を初めに厳密に定義可能な公理として提示されたものに[[ペアノの公理]]があり([[1891年]]、[[ジュゼッペ・ペアノ]])、以下のように自然数を定義することができる。
* 自然数
* 任意の自然数
* 異なる自然数は異なる後者を持つ。つまり ''a'' ≠ ''b'' のとき suc(''a'') ≠ suc(''b'') となる。(ある種の[[単射]]性)
* ''1'' はいかなる自然数の後者でもない(''1'' より前の自然数は存在しない)。
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== 特殊な自然数 ==
{{See also|Category:整数の類}}
=== 素数 ===
{{Main|素数}}
自分自身と 1 以外の[[約数]]を持たない 1 より大きな (= 1 以外の)自然数を[[素数]]という。[[素数が無数に存在することの証明|素数が無限に存在することの証明]]は[[エウクレイデス]]の『[[ユークリッド原論|原論]]』に載っている。小さい方から列挙すると次の通りである。
: [[2]], [[3]], [[5]], [[7]], [[11]], [[13]], …
[[メルセンヌ数]]、[[フェルマー数]]も参照。
=== 双子素数 ===
{{Main|双子素数}}
差が 2 であるような素数の組のこと。例えば 3 と 5、41 と 43 などは[[双子素数]]である。双子素数は無限にあるか、という「双子素数の予想」は未解決である。類似の概念に、[[三つ子素数]]、[[いとこ素数]]、[[セクシー素数]]などがある。
=== 完全数 ===
{{Main|完全数}}
[[完全数]]は自分自身を除く[[約数]]の和が自分自身と等しい自然数である。小さい方から列挙すると次の通りである。
: [[6]], [[28]], [[496]], [[8128]], [[33550336]], [[8589869056]], [[137438691328]], [[2305843008139952128]], …
[[偶数]]の完全数は[[メルセンヌ数]]と深い関係がある。知られている完全数は全て偶数であり、[[奇数]]の完全数はないと予想されている。また、無限に存在するとも予想しているが、両者とも未解決である。類似の概念に、[[友愛数]]、[[社交数]]などがある。
=== 友愛数 ===
{{Main|友愛数}}
[[友愛数]](親和数とも言う)とは、異なる2つの自然数の組で、自分自身を除いた[[約数]]の和が互いに他方と等しくなるような数のことである。[[220]]と[[284]]、[[1184]]と[[1210]]などが例として挙げられる。
== いくつかの自然数へのリンク ==
{{自然数}}
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* [[100]] [[200]] [[300]] [[400]] [[500]] [[600]] [[700]] [[800]] [[900]]
* [[10]] [[100]] [[1000]] [[10000]] [[100000]] [[1000000]] [[10000000]] [[100000000]]
==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
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**{{Cite book|和書|author=E・T・ベル|others=田中勇・[[銀林浩]] 訳、[[吉田武 (サイエンスライター)|吉田武]] 解説|date=2003-10-17|title=数学をつくった人びと|volume=2|series=ハヤカワ文庫 NF 284 〈数理を愉しむ〉シリーズ|publisher=[[早川書房]]|isbn=978-4-15-050284-3|ref={{Harvid|ベル|田中|銀林|2003b}}}}
**{{Cite book|和書|author=E・T・ベル|others=田中勇・[[銀林浩]] 訳、[[秋山仁]] 解説|date=2003-11-19|title=数学をつくった人びと|volume=3|series=ハヤカワ文庫 NF 285 〈数理を愉しむ〉シリーズ|publisher=[[早川書房]]|isbn=978-4-15-050285-0|ref={{Harvid|ベル|田中|銀林|2003c}}}}
*{{Cite book|和書|editor=ハイベア・メンゲ
** (ハードカバー)1971年7月。ISBN 4-320-01072-8
** (縮刷版)1996年6月。ISBN 4-320-01513-4
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== 関連文献 ==
*{{Cite book|和書|author=
*{{Cite book|和書|author=足立恒雄|date=2011-6|title=数とは何か そしてまた何であったか|publisher=[[共立出版]]|isbn=978-4-320-01971-3|ref={{Harvid|足立|2011}}}}
*{{Cite book|和書|author=足立恒雄|year=2013-04-08|title=フレーゲ・デデキント・ペアノを読む 現代における自然数論の成立|publisher=[[日本評論社]]|isbn=978-4-535-78697-4|ref={{Harvid|足立|2013}}}}
*{{Cite book|和書|author=足立恒雄|title=数の発明|date=2013-12-20|series=岩波科学ライブラリー 219|publisher=[[岩波書店]]|isbn=978-4-00-029619-9|ref={{Harvid|足立|2013b}}}}
*{{Cite book|和書|author=
*{{Cite book|和書|author=彌永昌吉|date=1978-04-20|title=数の体系|series=岩波新書(黄版)43|volume=(下)|publisher=岩波書店|isbn=978-4-00-420043-7|ref={{Harvid|彌永|1978}}}}
*{{Cite book|和書|author=チャールズ・サイフェ|others=[[林大]] 訳|date=2003-10|title=異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念|publisher=早川書房|isbn=978-4-15-208524-5|ref={{Harvid|サイフェ|林|2003}}}}
**{{Cite book|和書|author=チャールズ・サイフェ|others=[[林大]] 訳|date=2009-05-08|title=異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念|series=ハヤカワ文庫 NF 349 〈数理を愉しむ〉シリーズ|publisher=早川書房|isbn=978-4-15-050349-9|ref={{Harvid|サイフェ|林|2009}}}}
*{{Cite book|和書|author=
*{{Cite book|和書|author=
*{{Cite book|和書|author=高木貞治|origdate=1949-08-20|date=1970-09-19|title=数の概念|edition=改版|publisher=[[岩波書店]]|isbn=4-00-005153-9|ref={{Harvid|高木|1970}}}}
**{{Cite book|和書
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|isbn=978-0-486-21010-0
}}
**{{
**{{Cite book|和書|author=リヒャルト・デデキント|others=渕野昌 訳・解説|date=2013-07-10|title=数とは何かそして何であるべきか|series=ちくま学芸文庫 テ9-1 Math & Science|publisher=[[筑摩書房]]|isbn=978-4-480-09547-3|ref={{Harvid|デデキント|2013}}}} - 「数とは何かそして何であるべきか?」・「連続性と無理数」を収録。
*{{Cite book|和書|author=
*{{Cite book|和書|author=ジュゼッペ・ペアノ|authorlink=ジュゼッペ・ペアノ|others=小野勝次・梅沢敏郎 訳・解説|date=1969-08-30|title=数の概念について|series=現代数学の系譜 2|publisher=共立出版|isbn=978-4-320-01155-7|ref={{Harvid|ペアノ|1969}}}}
*{{Cite book|和書|author=
*{{Citation|last=Landau|first=Edmund|authorlink=エトムント・ランダウ|year=2001|title=Foundations of Analysis|edition=Reprint|publisher=Chelsea Pub Co.|isbn=0-8218-2693-X}}
**{{Cite book|和書
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