「トラック野郎・爆走一番星」の版間の差分

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『'''トラック野郎・爆走一番星'''』(トラックやろう・ばくそういちばんぼし)は、[[1975年]](昭和50年)[[12月27日]]公開の[[日本映画]]。[[富士フルム]]カラー、[[シネマスコープ]]サイズ、[[映倫]]番号:18548。
 
[[満艦飾#俗語としての「満艦飾」|満艦飾]]のトラックが日本全国津々浦々駆け巡り、主人公・一番星こと星桃次郎に[[菅原文太]]、相棒・やもめのジョナサンこと松下金造に[[愛川欽也]]、マドンナ・高見沢瑛子に[[あべ静江]]、ライバル・ボルサリーノ2に[[田中邦衛]]が扮して巻き起こす「[[トラック野郎]]シリーズ」第2作。[[1976年]](昭和51年)の正月作品として公開された。『爆走一番星』は当時の東映社長・[[岡田茂 (東映)|岡田茂]]による命名<ref>鈴木則文・宮崎靖男・小川晋(編著)『映画「トラック野郎」大全集:日本最後のアナーキー・プログラム・ピクチャーの伝説』〈洋泉社MOOK 別冊[[映画秘宝]]〉[[洋泉社]]より</ref>。
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== ストーリー ==
[[新潟県|新潟]]の山中を進む1台のバス。車内では女子学生の一団が「[[里の秋]]」を合唱していた。そこに割り込む男性の声。11トン車・一番星号の運転手・星桃次郎([[菅原文太]])と、4トン車・やもめのジョナサン号の運転手・松下金造([[愛川欽也]])の2人である。彼らは引率の女教師([[研ナオコ]])をからかい、「[[心のこり]]」を女生徒たちと合唱した。
 
須間田三四郎([[山城新伍]])と邂逅後、東京に戻った2人は荷下ろしで汗を流す。その後、桃次郎は写真屋([[由利徹]])で見合い写真を撮る。その写真をソープ嬢たちに見せ、「見合いする」「結婚は神聖」「一度は処女とセックスしたい」と、まだ見ぬ出会いに期待を寄せていた。
 
後日。[[姫路市|姫路]]の台貫場では、警官の赤塚周平([[なべおさみ]])<!--隣の警官が[[山浦栄]]-->に運転手の宮崎(宮崎靖男)が苦しめられていた。その横を、一番星号を牽引したジョナサン号が通過する。一番星号には「故障車」の張り紙があったが、赤塚は偽装と見抜き原付で追跡。一番星号は嫌がらせに排ガスを浴びせるも、偶然通りかかった[[バキュームカー]]「雲龍丸」にも浴びせてしまう。怒った運転手の杉本千秋([[加茂さくら]])は一番星号を追い越し、車線を塞いで停車。助手の堀釜太郎([[関根勤|ラビット関根]])共々降りてくる。千秋と桃次郎言い合いになり、バキュームカーのホースを向ける展開に。そこに赤塚が追いついてくるが、開き直った桃次郎の剣幕に負け、通行を許してしまう。
 
桃次郎とジョナサンはドライブイン「おふくろ」で停車。大便をするためトイレに駆け込むも、紙がなかったため桃次郎が店内にもらいにく羽目になる。店主の蝶子([[園佳也子]])が取りに行く間、女子大生の高見沢瑛子([[あべ静江]])が紙を差し出す。その瞬間、一目惚れする桃次郎。紙を持ってきてくれた蝶子に「僕はウンチなんかしない」「下品な!」とカッコつけてしまう。瑛子はこの店でアルバイトしており、[[太宰治]]のファンだった。津軽出身のジョナサンと意気投合する瑛子。だがしかし、桃次郎は太宰治を「ダザイ」という名の果物と勘違いし、失笑を買ってしまう。
 
店を出て野外で排便する桃次郎だったが、紙がない問題は解消されていなかった。ジョナサンは通りがかった雲龍丸を止める。「商売の邪魔」と機嫌の悪い釜太郎だったが、千秋は素直に紙を差し出した。ジョナサンは彼女を見直す。
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桃次郎とジョナサンは博多へ向かい、そこでやっと太宰治が小説家だと理解する。桃次郎は「紙をくれた女(=瑛子)」に見合い写真を渡すようジョナサンに頼むが、ジョナサンは千秋のことと勘違いしてしまう。
 
太宰治全集を揃えた桃次郎は、詰襟の学生服に身を包み「おふくろ」へ。外で待っている間に、ジョナサンが見合い写真を渡す手筈だった。ジョナサンから「うまくいきそう」と聞かされ、店内の様子から誤解した桃次郎は、瑛子との仲を取り持ってもらおうと雲龍丸を追いかける。だがしかし、見合い写真は千秋に渡っており、彼女は桃次郎を意識し始めていた。瑛子のこと中々なかなか口に出せない桃次郎は、うっかりバキュームカーの取っ手をひねってしまい、千秋ともども逆流する糞尿を浴びてしまう。
 
千秋のアパートで風呂に入った桃次郎。服も洗濯され軒先にかっている。そこへ、隣の部屋に住む赤塚が帰宅してきた。今日は千秋の誕生日であり、バースデーケーキを持っていた彼だったが、釜太郎から桃次郎を「フィアンセ」と言われ、さらには室内の会話を誤解し、千秋が桃次郎に処女を捧げたものと思い込む。意気消沈する赤塚だったが、一緒に聞いていた釜太郎は喜んでいた。そして、迎えにたジョナサンにも誤解が伝わってしまう。
 
そのジョナサンには、公道で大型ダンプ「ボルサリーノ2」と、その配下のダンプ「ボルサリーノ3」「ボルサリーノ4」が襲い掛かっていた。相手の正体が分からないジョナサンだったが、ボルサリーノ2([[田中邦衛]])は「思い出すまでつきまとう」と言い残し、去っていく。
 
川崎に戻ったジョナサンは、結婚14年目にしてようっと新婚旅行に出かけることにした。目的地は[[長崎市|長崎]]である。その会話の中で、ジョナサンが千秋に見合い写真を渡したことを知る。一刻も早く誤解を解きたい桃次郎だったが、「子供を乗せてもらわないと困る」、「見合い写真の始末は任せて」と君江([[春川ますみ]])に言われ、その場は思い留まる。
 
途中の[[厳島神社]]で記念撮影の際、掃除人夫([[織本順吉]])と知り合いになる。彼は出稼ぎだったが、不景気のため仕送りも滞っているという。
 
長崎で出会った少年・小野雄一に案内され、ジョナサン一家は観光を楽しむ。姉の小野薫(千葉由美)の元へ、ジョナサン一家を引き連れて帰宅する雄一。案内料として得た500円札を得意げにに見せる雄一だったが、薫は返すように諭す。小野姉弟は父子家庭であり、父親は1年前から出稼ぎに出ていたが、2人は他人に頼らず生きてきたのだった。不憫な幼い姉弟に同情するジョナサン一家と桃次郎。
 
帰路、「おふくろ」に立ち寄るジョナサン一家と桃次郎。そこで桃次郎は土産を瑛子に渡そうとするが、彼女は男([[夏八木勲]])と部屋にいるという。心中穏やかでない桃次郎は焦って彼女の部屋に向かうが、男(片岡光二)を兄だと紹介され、安堵する。傷心の瑛子は、桃次郎に九州行きを頼むのだった。
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店内には千秋が訪れていた。ジョンサンと君江は桃次郎のことを扱き下ろし、千秋に愛想尽かしをさせようとするが、彼女の決意は揺るがなかった。困り果てたジョナサンは店の裏で桃次郎に土下座するが、桃次郎は怒り狂う始末。そして、その様を物陰から見ていた千秋は嘆いていた。
 
後日の夜、「おふくろ」にボルサリーノ2が部下とともに現れる。ジョナサンが「花巻の鬼台貫」だったことに触れ、部下にジョナサンを責めさせる。止めに入る蝶子だったが、あっさりと追い払われる。110番をかけようとする蝶子だったが、割って間に入った桃次郎に止められ、桃次郎とボルサリーノ2の一騎討ちに発展する。店内での大暴れは互角で、家具や備品を壊しながら続いたが、今度はジョナサンが間に入った。
 
ボルサリーノ2は、ジョナサンに対して甘い態度を取る連中に苛立ち、身の上を話し始める。18歳の時に父親が死にを亡くし、山奥の土地を売って小さなトラックを買ったものの、代金が足らず借金をしていた。病気の母親を抱え、違反しなければ生活ができない。しかし、「花巻の鬼台貫」が摘発を繰り返していた。結果、彼は逃走中に事故を起こしトラックは壊れ破損、母親は病院を追われ死亡していたのだった。
 
ジョナサンとの決着にワッパ勝負を申し出るボルサリーノ2。受けるジョナサンだったが、桃次郎が不意打ちでジョナサンを気絶させ、代わりに勝負を買って出る。
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後日、一番星号は瑛子を乗せて長崎へ。現地で小野姉弟と合流し、観光を楽しむ。兄との難しい仲を仄めかした瑛子に、「勇気とは自分で踏み切るもの」と言ってしまう桃次郎。夜はジョナサンも交え、小野家で鍋をつついていた。そこに、小野姉弟の父親から「大晦日には帰ってくる」との手紙が届く。そこで父親の写真を見せられた2人。それは厳島神社で出会った掃除夫だった。
 
姫路に帰った瑛子の元に兄が訪ねてくる。彼は実兄ではなく、義理の兄だった。姉の元夫であったが、瑛子とは惹かれう関係になっていた。だがしかし、瑛子は義兄を突き放す。
 
姫路を通りがかった一番星号を赤塚が発見し、原付で追跡する。彼は「千秋の仇」と桃次郎を逮捕しようとするが一蹴される。千秋への愛を声に出す赤塚だったが、彼は飲酒していた。追いかけてきたパトカーに収容される赤塚。その一部始終を、千秋は見ていた。
 
夜になり、懲戒免職になった赤塚が署から出てきた。そして待っていた一番星号に乗せられ、一路「おふくろ」へ。中には文金高島田と着物で正装した千秋が待っていた。ジョナサンとおふくろが仲人となり、赤塚と千秋、2人の挙式が始まる。
 
12月30日。ジョナサンは大晦日に間に合うよう、長崎の小野姉弟の元へ向かう。自宅での準備中に、ハネムーンベビーの受胎を知らされるジョナサン。
 
12月31日の大晦日、意を決して「おふくろ」を訪れた桃次郎だったが振られてしまう。瑛子は、桃次郎に「勇気とは自分で踏み切るもの」と言われたことがきっかけで、義兄の元へ行くことを決心したのであった。
 
あてもなく一番星号を流していたところ、岡山で小野姉弟の父親・小野松吉([[織本順吉]])と遭遇。「金がないので帰れない」と当たり屋をしていた松吉を乗せ、0時までに間に合わせようと一番星号は長崎に向かう。
 
ジョナサンは長崎に着いていたが、薫は熱を出して寝込んでいた。だがしかし、手紙で約束した父親はまだ帰ってこない。
 
一番星号は白バイを皮切りに、次々とパトカーに追われる。ボルサリーノ2の援護で警察の追跡を振り切り、爆走する一番星。さらには他のトラックも駆けつける。