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{{Infobox navyshipclass
|画像=USS Racine (LST-1191) portside bow view cropped.jpg
|艦種=[[戦車揚陸艦]](LST)
|艦名=[[郡 (アメリカ合衆国)|アメリカ合衆国の
|
|計画数=27隻
|建造数=20隻
|前級=
|次級=なし
|排水量=
|軽荷排水量=4,790 [[トン数|t]]
|基準排水量=
|常備排水量=
|公試排水量=
|満載排水量=8,500 t
|全長={{Convert|159|m|ft|lk=on}}
|全幅={{Convert|21.3|m|ft}}
|吃水=
|機関=[[CODAD|マルチプル・ディーゼル]]方式
|主機 =[[ディーゼルエンジン]]×6基
|推進 =*[[スクリュープロペラ]]×2軸
*[[サイドスラスター|バウスラスター]](800hp)
|機関出力=16,000 bhp
|速力=最大22ノット / 持続20ノット
|航続距離=14,250[[海里]] (14kt巡航時)
|乗員=*個艦乗員: 士官12名+曹士174名
*揚陸部隊: 将校20名+曹士411名
|搭載量=最大で貨物2,000トン
|兵装=*[[Mk 33 3インチ砲|50口径3インチ連装速射砲]]×2基
*[[Mk 38 25 mm 機関砲|Mk.38 25mm単装機銃]]<br/>※一部艦で後日装備
*[[ファランクス (火器)|Mk.15 20mm]][[CIWS]]<br/>※一部艦で後日装備
*[[ブローニングM2重機関銃|12.7mm機銃]]×2~4挺
|レーダー=*[[AN/SPS-10]] 対水上捜索用
*LN-66 航法用
|その他=
}}
'''ニューポート級戦車揚陸艦'''(ニューポートきゅうせんしゃようりくかん、
== 設計 ==
本級の最大の特徴が、従来の米LSTが踏襲してきた艦首門扉の廃止である。これによって艦首形状は通常の艦船と同様の波切りのよいものとなり、長さ/幅比7.5という細長い船型とあわせて、抵抗は大幅に軽減された。さらに揚陸時の操艦のために[[サイドスラスター|バウスラスター]]も設置された。船体内の車両甲板と上甲板に車両や資材を搭載する点では[[LST-1級戦車揚陸艦|LST-1級]]以来の構成が踏襲されているが、本級では船体全幅いっぱいの上部構造物を船体中央に設けており、上甲板が前後に二分されているため、上部構造物の左舷側に車両連絡通路が設けられている<ref name="His"/>。
主機方式は、前任の[[デ・ソト・カウンティ級戦車揚陸艦|デ・ソト・カウンティ級]]と同様に[[ディーゼルエンジン]]6基を[[減速機]]で2軸の推進器にまとめる[[CODAD|マルチプル・ディーゼル方式]]とされた。ディーゼルエンジンとしては[[:en:ALCO 251|アルコ16-251]](LST-1179〜1181では[[EMD 645系エンジン|GM 16-645-E5]])が採用され、合計出力16,500[[馬力]]を確保した<ref name="Prezelin1990">{{Cite book|author=Bernard Prezelin|title=[[:en:Combat Fleets of the World|The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991]]|year= 1990|publisher=[[:en:United States Naval Institute|Naval Institute Press]]|isbn=978-0870212505|page=824}}</ref>。これによって、アメリカ海軍揚陸艦部隊が悲願としてきた20ノットでの艦隊行動がついに実現された<ref name="Dev">{{Cite journal|和書|author=阿部安雄|year=2007|month=1|title=アメリカ揚陸艦の歩み|journal=[[世界の艦船]]|issue=669|pages=137-143|publisher=海人社|naid=40015212119}}</ref><ref name="Mechanisms">{{Cite journal|和書|year=2007|month=1|title=アメリカ揚陸艦のメカニズム|journal=世界の艦船|issue=669|pages=144-151|publisher=海人社|naid=40015212119}}</ref>。なお、6基のディーゼルエンジンは2基ずつ第1~3機械室に設置されており、左舷煙突に2室分の、右舷煙突に1室分の排気を導いているため、前者のほうが太くなっている<ref name="His"/>。
== 装備 ==
上記の経緯より、本級の揚搭装置は従来のLSTとは全く異なり、艦首に突き出した固定デリック・アームと、普段は上甲板上に格納されている道板を用いたものとなっている。この道板はアルミ合金製で重量75トン、長さ34メートル、非使用時は艦首甲板両舷の溝に入れ込むかたちで格納されている。ビーチングすると、まず艦首突端の扉を左右に開いたのち、艦首前端のピボットによって道板を浮き上がらせる。グリースによって道板を滑らせつつ、上甲板下のウインチを用いて繰り出していき、デリック・アームによって支持することで、岸と連絡するのである。車両甲板前端には上甲板と連絡するランプが設けられており、車両甲板に搭載された車両はここを通じていったん上甲板に上がったのち、道板を通じて岸に降りていく。なお、道板だけでは長さが不足する場合も多く、この場合には後部舷側に搭載されていた4基の[[ポンツーン]]を道板の先に接続することで延長していた<ref name="Mechanisms"/>。
車両甲板には1,765 [[平方メートル|m<sup>2</sup>]]の搭載余面を確保しており、前後端に[[転車台]]を設けている。また艦尾側にも下端ヒンジ式のランプを設けており、必要であれば[[水陸両用車]]を発進させることも出来る。[[AAV7]][[装甲兵員輸送車]]であれば23両、[[M48パットン|M48戦車]]であれば29両、2トン半トラックであれば41両を搭載できた。また、さらに主甲板にも2トン半トラック29両を搭載できる。物資搭載量は、輸送任務時には2,000トン、ビーチング時でも500トンであった<ref name="Prezelin1990"/>。物資の揚降のため、艦尾甲板両舷に力量10トンのデリック・クレーンを備えていた<ref name="His"/>。
上部構造物直後の両舷には、[[タルボット・カウンティ級戦車揚陸艦|タルボット・カウンティ級]]以降踏襲されてきた[[上陸用舟艇]]2隻搭載のウェリン式ダビットが1基ずつ設置されており、標準的には[[LCPL|人員揚陸艇(LCPL)]]1隻と[[LCVP|車両人員揚陸艇(LCVP)]]3隻が搭載されていた。また米LSTとしては初めて艦尾甲板に[[ヘリコプター甲板]]を設定しており、242 m<sup>2</sup>の面積を確保した<ref name="Prezelin1990"/>。
<gallery widths="180px" heights="150px">
ファイル:USS Fresno (LST-1182) stbd beam view.jpg|右舷側からの艦影。
ファイル:US Navy 960329-N-8167A-050 LST taking on U.S. Marines and hardware.jpg|艦首から道板を繰りだした状態。
ファイル:USS Saginaw, Beirut 1982.jpg|艦首道板から発進するトラック。
ファイル:Spanish LST-Pizarro-(L-42).jpg|艦尾側ランプを開いた状態。
</gallery>
個艦防空用として、上部構造物後部両舷に[[Mk 33 3インチ砲|50口径3インチ連装速射砲]]を1基ずつ装備していた。これらは[[Mk.63 砲射撃指揮装置]]による管制を受けていたが、これは1977年から1978年にかけて撤去され、[[大西洋艦隊 (アメリカ海軍)|大西洋艦隊]]所属艦では[[ファランクス (火器)|ファランクス]][[CIWS]] 1基を搭載した<ref name="Prezelin1990"/>。また[[AN/SLQ-32]](V)1電波探知装置の後日装備も検討されたが、これは実現せず、一部艦で[[Mk 36 SRBOC]]のみが搭載された<ref name="Conway1947">{{Cite book|editor=Robert Gardiner|title=Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995|year= 1996|publisher=Naval Institute Press|isbn=978-1557501325|page=621}}</ref>。
== 配備 ==
[[1965年]]・[[1966年]]・[[1967年]]度計画で計20隻が建造された。[[1971年]]度計画で更に7隻の建造が検討されたが、これは実現しなかった。その後、[[1994年]]より退役を開始し、[[2002年]]までにアメリカ海軍での運用を終了した。退役艦の多くは海外に売却されて再就役している<ref name="His"/>。
特に[[オーストラリア]]に供与された艦は、[[カニンブラ級揚陸輸送艦|カニンブラ級]]として大改修が行なわれた。前甲板ではアーム及び道板が撤去され、ここにLCM-8型揚陸艇2隻を搭載するとともに、その揚降用として艦橋直前に70トン級クレーンが1基設置された。また後甲板は[[ヘリコプター甲板]]とされ、上部構造物内にヘリコプター4機分の[[格納庫|ハンガー]]を設置することで、簡易の[[ヘリコプター揚陸艦]]となった。
{|class="sortable wikitable" style="font-size:smaller"
|+ 同型艦一覧
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|-
|LST-1179
|[[ニューポート (戦車揚陸艦)|ニューポート]]<br
|1969年||1992年
|{{navy|MEX}}||A-411||パパロアパン<br
|-
|LST-1180
|[[マニトワック (戦車揚陸艦)|マニトワック]]<br
|rowspan="2"|1970年||rowspan="3"|1993年
|rowspan="2"|{{navy|
|LST232||中和<br
|-
|LST-1181
|[[サムター (戦車揚陸艦)|サムター]]<br
|LST233||中平<br
|-
|LST-1182
|[[フレズノ (戦車揚陸艦)|フレズノ]]<br
|1969年
|colspan="3"|
|-
|LST-1183
|[[ピオリア (戦車揚陸艦)|ピオリア]]<br
|rowspan="5"|1970年||1994年
|colspan="3"|実艦標的として海没処分(2004年)
|-
|LST-1184
|[[フレデリック (戦車揚陸艦)|フレデリック]]<br
|2002年||{{navy|MEX}}||A-412||ウスマシンタ<br
|-
|LST-1185
|[[スケネクタディ (戦車揚陸艦)|スケネクタディ]]<br
|1993年
|colspan="3"|実艦標的として海没処分(2004年)
|-
|LST-1186
|[[カユーガ (戦車揚陸艦)|カユーガ]]<br
|1994年||{{navy|BRA}}||G-28||マットソ・マイア<br
|-
|LST-1187
|[[タスカルーサ (戦車揚陸艦)|タスカルーサ]]<br
|1993年
|colspan="3"|
|-
|LST-1188
|[[サギノー (戦車揚陸艦)|サギノー]]<br
|rowspan="7"|1971年||1994年
|{{navy|AUS}}||L-51||[[カニンブラ級揚陸輸送艦|カニンブラ]]<br
|-
|LST-1189
|[[サンバーナディーノ (戦車揚陸艦)|サンバーナディーノ]]<br
|1995年
|{{navy|CHI}}||LST 93||ヴァルディヴィア<br
|-
|LST-1190
|[[ボールダー (戦車揚陸艦)|ボールダー]]<br
|1994年
|colspan="3"|
|-
|LST-1191
|[[ラシーン (戦車揚陸艦)|ラシーン]]<br
|1993年||colspan="3"|
|-
|LST-1192
|[[スパータンバーグ・カウンティ (戦車揚陸艦)|スパータンバーグ・カウンティ]]<br
|rowspan="2"|1994年
|{{navy|MYS}}||A1505||スリ・インデラ・プラ<br
|-
|LST-1193
|[[
|{{navy|AUS}}||L-52||[[カニンブラ級揚陸輸送艦|マノーラ]]<br
|-
|LST-1194
|[[ラ・ムーア・カウンティ (戦車揚陸艦)|ラ・ムーア・カウンティ]]<br
|2000年||colspan="3"|実艦標的として海没処分(2001年)
|-
|LST-1195
|[[バーバー・カウンティ (戦車揚陸艦)|バーバー・カウンティ]]<br
|rowspan="4"|1972年||1991年||colspan="3"|実艦標的として海没処分(2004年)
|-
|LST-1196
|[[ハーラン・カウンティ (戦車揚陸艦)|ハーラン・カウンティ]]<br
|1995年
|rowspan="2"|{{navy|ESP}}||L-42||ピサーロ<br
|-
|LST-1197
|[[バーンステーブル・カウンティ (戦車揚陸艦)|バーンステーブル・カウンティ]]<br
|rowspan="2"|1994年||L-41||エルナン・コルテス<br
|-
|LST-1198
|[[ブリストル・カウンティ (戦車揚陸艦)|ブリストル・カウンティ]]<br
|{{navy|MAR}}||407||シディ・モハメド・ベン・アブダラ<br
|}
==
=== 映画 ===
; 『[[エアポート'77/バミューダからの脱出]]』
: 「カユーガ」が登場。[[ボーイング747]]が沈没した[[バミューダトライアングル|バミューダ海域]]の近くを航行していたことから現場海域に急行し、到着後は救出作戦の[[旗艦]]を務める。
: 撮影には、アメリカ海軍の全面協力で実物が使用されている。
; 『[[原子力潜水艦浮上せず]]』
: 架空艦「ナッソー」役で「カユーガ」が登場。架空の[[原子力潜水艦]]「ネプチューン」が沈没した際、近くを航行していたことから現場海域に急行し、到着後は救出作戦の旗艦を務める。
: 撮影には、アメリカ海軍の全面協力で実物が使用されている。
; 『[[ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場]]』
: 「サムナー」が登場。終盤の「[[グレナダ侵攻]]」にて、上陸作戦に参加し多数の[[AAV7]]を艦尾側ランプから発進させる。
: 撮影には、アメリカ海軍の全面協力で実物が使用されている。
; 『[[レイズ・ザ・タイタニック]]』
: 「スケネクタディ」が登場。極秘で行われる「[[タイタニック (客船)|タイタニック号]]」[[海洋サルベージ|引き揚げ]]作戦に参加しており、旗艦である[[クリーブランド級ドック型輸送揚陸艦]]「[[デンバー (ドック型輸送揚陸艦)|デンバー]]」の支援を行う。
: 撮影には、アメリカ海軍の全面協力で実物が使用されているほか、一部のシーンでは[[ミニチュア撮影|ミニチュア]]も使われている。
== 参考文献 ==
{{Reflist}}
== 外部リンク ==
* {{Commonscat-inline|Newport_class tank_landing_ships}}
* [http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/%c3%e6%cf%c2%b5%e9%c0%ef%bc%d6%cd%c8%ce%a6%b4%cf%a1%ca%a5%cb%a5%e5%a1%bc%a5%dd%a1%bc%a5%c8%b5%e9%a1%cb 日本周辺国の軍事兵器 中和級戦車揚陸艦(ニューポート級)]
* [
{{ニューポート級戦車揚陸艦}}
{{アメリカ海軍の揚陸艦}}
{{中華民国海軍の艦艇}}
{{デフォルトソート:にゆぽときゆうせんしやようりくかん}}
[[Category:アメリカ合衆国の揚陸艦|+]]
[[Category:ニューポート級戦車揚陸艦|*]]
[[Category:戦車揚陸艦]]
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