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{{Otheruses|昆虫のノミ|工具のノミ|鑿|公営競技等における不正行為|ノミ屋|その他のノミ|のみ}}
{{出典の明記|date=2019年5月}}
{{生物分類表
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== 概要 ==
体長は1mm以下~9mm程度の小さな虫で、日本全土はもとより世界各地に分布する。世界で16科約200属約1,800種が記載されており、その全ての成虫が[[哺乳類]]など[[恒温動物]]の体表に棲み、吸血して生活する(蚊と異なりオスもメスも吸血する)。[[ヒト]]にも寄生するノミとして[[ヒトノミ]]がいるが、日本では衛生状態の向上によって滅多に見られなくなった<ref>{{Cite journal|和書|author=深瀬 (|year=2006) |url=https://doi.org/10.11252/dobutsurinshoigaku.15.119 |title=ネコノミ分離株に対する数種の殺虫薬のノックダウン効果. |journal=動物臨床医学, |volume=15, |issue=4 |pages=119-123 |doi=10.11252/dobutsurinshoigaku.15.119 |ISSN=1344-6991 |publisher=動物臨床医学会}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=洗幸夫 (|date=2000)-06 |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/10507571 |title=ネコノミの微細構造. |journal=家屋害虫 |volume=22( |issue=1), |pages=36-42 |id={{NDLJP|10507571}} |ISSN=0912974X |publisher=日本家屋害虫学会}}</ref>。[[犬]]や[[ネコ|猫]]などヒト以外の[[哺乳類]]や[[鳥類]]などには、[[ネコノミ]]や[[イヌノミ]]など多くのノミが寄生しており、これらの主にヒト以外に寄生する種もヒトに寄生して吸血することがある。ヒト以外の[[哺乳類]]や[[鳥類]]には様々な種のノミが寄生する<ref>{{Cite journal|和書|author=山内健生, 江草真治 |date=2005-06 |url=https://doi.org/10.20848/kontyu.8.2_37 |title=広島県の中型哺乳類および鳥類に寄生するノミ類 |journal=昆蟲.ニューシリーズ |volume=8 |issue=2 |pages=37-42 |doi=10.20848/kontyu.8.2_37 |ISSN=13438794 |publisher=日本昆虫学会}}</ref>。建造物に作られた[[ツバメ]]類の巣には多くのノミが生息する<ref>{{Cite journal|和書|author=小松謙之, 山内健生 |date=2022-03 |url=https://doi.org/10.7601/mez.73.25 |title=本州のツバメ類の巣内より採集された吸血動物,および巣の新古による吸血動物相の違い |journal=衛生動物 |volume=73 |issue=1 |pages=25-31 |doi=10.7601/mez.73.25 |ISSN=0424-7086 |publisher=日本衛生動物学会}}</ref>。日本ではツバメ、ネズミ、[[エゾモモンガ]]のノミがヒトを刺した事例が報告されている<ref>{{Cite journal |author=山内健生 |year=2005 |url=https://doi.org/10.7601/mez.56.49_1 |trans-title=''Ceratophyllus farreni chaoi''による人体刺咬例 |title=Human dermatitis caused by the house-martin flea, ''Ceratophyllus farreni chaoi'' (Siphonaptera : Ceratophyllidae) in Shimane Prefecture, Japan |journal=衛生動物 |volume=56 |issue=1 |pages=49-52 |doi=10.7601/mez.56.49_1 |publisher=日本衛生動物学会 |language=en}}</ref><ref>{{Cite journal|和書 |author=山内健生, 渡辺護 |year=2008 |url=https://doi.org/10.20848/kontyu.11.2_95 |title=富山県衛生研究所における同定依頼検査で記録した富山県内のノミ被害 |journal=昆蟲.ニューシリーズ |volume=11 |issue=2 |pages=95-98 |doi=10.20848/kontyu.11.2_95 |publisher=日本昆虫学会}}</ref><ref>{{Cite journal |author=Yamauchi, Takeo; Kikuchi, Hayato; Oshida, Tatsuo |year=2021 |month=03 |url=https://doi.org/10.7601/mez.72.33 |title=Human dermatitis caused by the flying squirrel’s flea,''Ceratophyllus'' ''indages indages'' (Siphonaptera: Ceratophyllidae) in Hokkaido, Japan |journal=衛生動物 |volume=72 |issue=1 |pages=33-34 |doi=10.7601/mez.72.33 |ISSN=0424-7086 |publisher=日本衛生動物学会 |language=en}}</ref>
 
系統的には[[シリアゲムシ目]]に近縁とされ、DNAを用いた系統解析からは[[ユキシリアゲムシ科]]と最も近縁で、ノミ目とユキシリアゲムシ科を合わせた群に南半球固有のシリアゲムシ類であるNannochoristidae科を加えた系統が、他のシリアゲムシ目諸科の姉妹群になるとの研究がある<ref>[http://lifesciences.byu.edu/home/FacStaff/default.aspx?ID=84 Whiting, Michael F.](2002). Mecoptera is paraphyletic: multiple genes and phylogeny of Mecoptera and Siphonaptera. ''Zoologica Scripta'' '''31''' (1), pp.93-104. [http://www.ingentaconnect.com/content/bsc/zsc/2002/00000031/00000001/art00010]</ref>。これによると、ノミ目は従来のシリアゲムシ目のうち、寄生生活に特化した一群であり、ノミ類のみを独立の目として扱うのは不都合ということになる。また、ノミ目自体は単系統の一群と見なされるが、旧来の諸科は人為分類的な多系統群や側系統群であり、見直しが必要とされる。
 
=== 由来 ===
日本語名の「'''ノミ'''」は、人間の血を飲むことから「飲む」の訛り、または、よく跳ぶことから「跳び」の訛りといわれる。漢字の「'''蚤'''」は、「掻きたくなる痒い虫」という意味。学名の"'''Siphonaptera'''"は、「[[サイフォン]](siphon)」と「翅がない(aptera)」からで、口がサイフォンに似ていることと成虫になっても翅がないことによる。
 
=== 系統分類 ===
系統的には[[シリアゲムシ目]]に近縁とされ、DNAを用いた系統解析からは[[ユキシリアゲムシ科]]と最も近縁で、ノミ目とユキシリアゲムシ科を合わせた群に南半球固有のシリアゲムシ類であるNannochoristidae科を加えた系統が、他のシリアゲムシ目諸科の姉妹群になるとの研究がある<ref>[http://lifesciences.byu.edu/home/FacStaff/default.aspx?ID=84{{Cite journal |author=Whiting, Michael F.]( |year=2002) |url=https://doi.org/10.1046/j.0300-3256.2001.00095.x |title=Mecoptera is paraphyletic: multiple genes and phylogeny of Mecoptera and Siphonaptera. ''|journal=Zoologica Scripta''scripta '''|volume=31''' (|issue=1), pp.|pages=93-104. [http:/|publisher=Wiley Online Library |doi=10.1046/wwwj.ingentaconnect0300-3256.com/content/bsc/zsc/2002/00000031/00000001/art00010]2001.00095.x}}</ref>。これによると、ノミ目は従来のシリアゲムシ目のうち、寄生生活に特化した一群であり、ノミ類のみを独立の目として扱うのは不都合ということになる。また、ノミ目自体は単系統の一群と見なされるが、旧来の諸科は人為分類的な多系統群や側系統群であり、見直しが必要とされる。
 
=== 形態 ===
成虫は、左右に扁平な体型で、宿主の体毛の中を動きやすいように流線型の体をしている。これは同じ外部寄生性の[[シラミ]]や[[ハジラミ]]が背腹に扁平なのと好対照をなす。体長は1mm~9mmで、体色は褐色または黒褐色で、かたい体表に感覚毛をもつ。[[単眼]]はなく、複眼のみ。体長はメスの方が大きく、このことから日本では妻の方が夫より身長が高夫婦のことを指して「'''ノミの夫婦'''」と表現する。なお、雌の方が雄より大きい昆虫は、ノミ以外にも多く存在する。
 
口器は細長い口吻を有し、吸血に適した針のような形をしている。体毛の中では移動の妨げになる[[昆虫の翅|翅]]が退化したため、飛行能力はない。それに代わって、発達した後脚とそれに裏打ちされた非常に高い脚力を持ち、体長の60倍の高さ、100倍の距離の跳躍をすることが出来る。だが、寄生対象へ飛び付くことのみを前提とした跳躍を行い、少しでもしがみつきやすいよう、各脚をバラバラに向けての前転跳びとなるため、着地は非常に不安定である(なお、ノミは[[外骨格]]かつ非常に体重が少ないため着地の衝撃は少なく、たとえ頭から落ちてもほとんど損傷を受けない)。これはまた、しばしば、人間換算では数百メートル跳べるという表現があるが、体重を無視していることに留意する必要がある。その脚力のため体重の数百倍の重量物を引っ張ることができ、下記の「蚤のサーカス」はそれを利用したものである。
 
=== 習性 ===
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== 病気の媒介としてのノミ ==
しばしば、ノミは系統の離れた寄主に容易に移行することが多いため、宿主範囲は広範である。通常、1種の寄主に数種のノミが寄生するため、[[ペスト]]をはじめとする人畜共通の[[伝染病]]の媒介者としても悪名高い。また、旧日本軍の[[731部隊]]はこの性質を兵器に利用した
 
== ノミとシラミの相違点 ==
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ノミは、無脊椎動物で唯一の芸をする動物でもある。20世紀初頭までは実際にノミのサーカスというものが存在した。芸としては紙で作った円錐形の[[スカート]]をノミに履かせ(実際には被せる)、号令をかけるとぴょんぴょん翔びはねるのを踊っているといって喜んだり、ノミに比べるととても大きなローラーを引っ張らせる、などがあった。
 
実際にはノミを使わない、[[パントマイム]]的な舞台芸としてのノミのサーカスもある。[[チャーリー・チャップリン|チャールズ・チャップリン]]は映画『[[ライムライト (映画)|ライムライト]]』の中で、ノミに命令して片手から片手へとジャンプさせる(実際にはその軌跡を目で追ってみせる)という芸を演じた。
 
==== 蚤の市 ====
{{Main|蚤の市}}
[[ヨーロッパ]]の大都市の各地で春から夏にかけて、教会や市庁舎前の広場などで開かれる古物市。もともと、ノミのわいたような[[古着]]が主な商品として扱われていたことに由来するとか、ノミのようにどこからともなく人や物がわき出てくる様子を表現したなど言われているが、語源は定かではない。一般的には英訳して「'''フリーマーケット'''」と呼ばれている
 
==== 蚤取菊 ====
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* 蚤取りまなこ
* 蚤の皮をはぐ
* 蚤の夫婦
* 蚤にも食わさぬ
* 蚤の小便、蚊の涙
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ドイツで人気を博した3人組バンド、[[フリッパーズ]]の代表曲に「僕の心の小さなノミ(Der kleine Floh in meinem Herzen)」という曲がある。また、この曲ではイントロ、間奏、アウトロに「ノミのワルツ」のメロディーが引用されている。
 
ジャズのビッグバンド
カウントベイシー楽団が
「マジックフリー」Magic flea
というアップテンポな曲を出している。
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2024年8月|section=1}}
{{Refbegin}}
* {{Cite book|和書|author=[[石川良輔]]|authorlink=石川良輔 |title=昆虫の誕生 - 一千万種への進化と分化 |publisher=[[中央公論社]] |series=中公新書 |year=1996 |isbn=4-12-101327-1 |ref=harv }}
* {{cite encyclopedia |editor=[[日高敏隆]]監修、石井実・大谷剛・常喜豊編 |encyclopedia=日本動物大百科 |volume=第9巻 昆虫2 |publisher=[[平凡社]] |year=1997 |isbn=4-582-54559-9 |ref={{sfnref|日本動物大百科}} }}
{{Refend}}
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* [[ダニ]]
* [[シラミ]]
* [[トコジラミ]]
* [[レシリン]](ノミの体を構成する高分子)
* [[チュパカブラ]] ノミのようにジャンプして家畜などの血を吸うUMA。
 
== 外部リンク ==
126 ⟶ 134行目:
*{{Kotobank|ノミ(蚤)|世界大百科事典 第2版}}
 
 
{{昆虫}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:のみ}}
{{Animal-stub}}
{{DEFAULTSORT:のみ}}
 
[[Category:ノミ目|*]]
[[Category:寄生虫]]