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{{出典の明記|date=2013年6月3日 (月) 18:10 (UTC)}}
[[画像:Ikebana_enshu-way.jpg|thumb|280px|華道古典生花 上旬の月 月光筒]]
[[ファイル:Paesaggio acquatico.JPG|thumb|right|280px|'''華道の伝統的様式''']]
'''華道'''（かどう）は、[[植物]]のみ
華道は[[日本]]発祥の芸術ではあるが、現代では国際的に拡がってきている。欧米の[[:en:Floral Design|フラワーデザイン]]は、[[3次元]]のどこから見ても統一したフォルムが感じられるように生けるとされる。華道の場合、鑑賞する見る方向を正面と定めている流派も多くあるが、3次元の空間を2次元で最大限に表す流派もある。また華道は色鮮やかな[[花]]だけでなく、[[枝]]ぶりや木の[[幹]]の形状、[[葉]]や[[苔]]となど全てを花材とし鑑賞する点でも、海外のアレンジの概念とは一線を画している。現代日本では、[[野菜]]や[[果実]]が用いられることもある<ref>【楽しんでいます 農の生け花】花・野菜の紫差し色に『[[日本農業新聞]]』2019年6月7日（5面）。</ref>。
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華道の起源は古代からの[[アニミズム]]の流れとして、植物を立てて神を招くという行為が考えられる（[[依代]]）。また、採取した植物を住居などである空間にて再構成する行為に基づくという研究もある。植物は[[動物]]と異なり、切り落としても適切な処置すればある程度生命を維持することができる。こうした植物の特性に[[神秘]]を見たとも考えられる。それは[[常緑樹信仰]]にも通じ、人間の手の及ばない神秘の力を花器の上で包括的に管理してしまおうとする試みであるとも考えられる。
華道の発祥は[[仏教]]伝来に際し花を献じる'''供花'''に由来するという説
華道の確立は[[室町時代]]中期、京都[[頂法寺|六角堂]]の[[僧|僧侶]]によるものとされる。僧侶は代々池のほとりに居住していたことから「池坊（いけのぼう）」と呼ばれていた。そうした呼び名が後世に流派の名前となる。[[家元]]、[[宗家]]らによって[[江戸時代]]中期にかけて'''{{ill2|立花(華道)|en|Rikka|label =立花}}'''（たてばな、りっか; 「立華」とも書く）と呼ばれる型が大成されていった。
その後、江戸中期から後期になると、華道はそれまでの上流階級・武家階級のものから広く庶民のたしなみへと変化。{{ill2|生花(華道)|en|Seika|label =生花}}（しょうか、せいか）を中心に広く愛されるようになった。
今日の華道と言えば、江戸時代後期[[文化 (元号)|文化]]・[[文政]]の時代（[[化政文化]]）に流行した生花、挿花のことを指すことが多い。特に江戸後期に大流行した「曲生け」と呼ばれた[[華道遠州]]流系では技巧の達人・名手が多く登場。意匠を凝らした銅の花器や厳選された木材と職人技の塗り花台などとともに[[数寄者]]がこぞって花を生け、今もその意匠・デザインは引き継がれていることも多い。また[[関西]]では遠州流から独立した未生斎一甫の興した[[未生流]]系、東日本では古流系などの流派から多くの流派に分かれていくきっかけとなる。
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江戸末期から[[明治時代|明治]]初期の頃、世界的な[[ジャポニスム]]により華道・生け花が[[ジョサイア・コンドル]]らによって、哲学性と日本の美意識が体系化していた遠州流を中心に欧州に紹介され、ヨーロッパのフラワーデザインにラインアレンジメントの手法として影響を与えた。1887年に宮中顧問として来日した[[オットマール・フォン・モール]]は、当時の日本の洋館の家具調度の趣味の悪さを指摘しながら、その至る所に飾られた生け花の芸術性に注目し、「これこそいかなる階級に属そうとも日本人がいかに優れた繊細な伝統的芸術感覚と趣味豊かな感性を持ち合わせているかを証明する技芸であろう」と評価した<ref>『ドイツ貴族の明治宮廷記』新人物往来社、1988年、p34</ref>。
国内ではやがて花姿は時代の流れに即し、{{ill2|抛入花|en|Nageirebana|label ={{Ruby|抛入花|なげいればな}}}}(または{{Ruby|瓶花|へいか}})、[[盛花]]（もりばな）など様々な型が編み出された。また異種花材として植物以外の幅広い材料も、特に戦後のアバンギャルド主義に影響され草月を興した勅使河原蒼風らにより「花材」として盛んに取り入れられて現在にいたる。
[[画像:Kyoto SubwayStation.jpg|thumb|280px|[[京都市営地下鉄]]（[[京都市交通局]]）・[[京都駅#京都市営地下鉄|京都駅]]構内での展示]]
[[ファイル:Ikebana in Kyoto State Guest House.jpg|thumb|280px|right|[[京都迎賓館]]の正面玄関の生け花]]
== 花材取り合わせの考え方 ==
花の色や質感、季節を考慮して組み合わせることを「花材の取り合わせ」という。流派によって細やかに定めを規定しているが、基本的には主材、配材に区分し、主材には[[ハゼノキ|夏ハゼ]]など「木もの」、配材には[[キク|菊]]や[[ハラン (植物)|ハラン]]など「花もの」に加えて「葉もの」を充てる。しかし、いけばなでは季節感が重要で、夏ハゼは春から秋の三期に使うため季節を特定するのは難しい。また、菊やハランも現在では四季に出回る。そのため、この組み合わせでは春の作品なのか秋なのか、季節を感じさせない懸念が残る。ところが、夏ハゼに新芽の初々しい姿があれば春らしさが強調されるであろう。また、葉が紅葉していればおのずと秋らしく感じる。また、菊も春菊、夏菊、秋菊、寒菊というように四季感のある種類を使えば問題なく季節を思い起こさせる。このように季節を意識した視野で素材を捉えると、同じ花材でも訴える力は随分変わる。ただ、いけばなでは季節重視だけではなく、造型重視や色彩本位の構成があり、素材の組み合わせは作品の狙いや[[話題|モチーフ]]で異なる。このことから、自然調（和風趣向）と造型（現代花、洋風趣向）とに大分され、構成の仕方で取り合わせを考える。一方、流派の定める古典花（伝統花）は完成された伝承いけばなである。したがって素材の組み合わせだけでなく、いけ方、考え方には厳しく定めがあり、自由な解釈による創作は一般にはされない。
*取り合わせパターン（一般には「一種」「二種」「三種」「四種」「五種」）
**「一種いけ」 一種の素材でいけることをいい、その植物事態の魅力を余すことなく引き出す。[[柾]]、[[槙]]、[[杉]]などは枝葉の疎密に強弱を見出し、緑の濃淡に深い味わいを求める。花のある[[椿]]、[[さざんか]]などの花はアクセント的に用いられる。[[桃]]、[[梅]]、[[桜]]などは「花木」と呼び、花と幹の表情を引き出す。「生花」様式では一種いけが多く見られる。
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== 諸道具 ==
いけばなに使う諸道具、用具類。
[[ファイル:Ikebana (17307122235).jpg|thumb|200px|right|道具の一例 上段 三種類の花器、中央左 剣山、下段右 花鋏]]
*花器
**材質は陶、竹、金属、木、藤、石、漆、ガラス、プラスチック、など。形は浅い水盤、横長、小判型、コンポート、壷、寸胴、創作器、雑器、釣り花器、掛け器など。
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== 華道の代表的流派 ==
{{See also|:Category:華道流派}}
（五十音順）
* [[池坊]]（いけのぼう）開祖・[[池坊専慶]]が京都の[[六角堂]]池坊の僧侶だったことに因む。池坊いけばなの始祖。室町時代より発生。
* [[池坊宝生流]]（いけのぼうほうしょうりゅう）
*[[ いけばな京花傳]]（いけばなきょうかでん）
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* [[伊勢草木藤野流]]（いせそうもくふじのりゅう）
* [[一葉式いけ花]]（いちようしきいけばな）
* [[小原流]]（おはらりゅう）[[盛花]]（もりばな）を考案した[[小原雲心]]（おはらうんしん）を祖とする。1891年に島根県より発生。
* [[御室流]]（おむろりゅう）御室御所「[[仁和寺]]」を家元とする流派
*[[梶井宮御流]]
* [[華頂流]]（かちょうりゅう）
* [[桂古流]]（かつらこりゅう）[[桂宮]]家華務職を流祖とする流派
* [[華道瑩心流]]（かどうえいしんりゅう）
* [[華道遠州]]（かどうえんしゅう）安土桃山時代から江戸時代初期の大名で茶人として高名な[[小堀政一|小堀遠州]]を祖とする。
* [[華道表現派]]（かどうひょうげんは）
* [[華道高野山]]（かどうこうやさん）
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* [[古流松應会]]（こりゅうしょうおうかい）
* [[古流松藤会]]（こりゅうしょうとうかい）一志軒宗普～安藤涼宇（1807没）と引き継がれた。古流系は池坊・遠州流につぐ歴史をもつ。
* [[嵯峨御流]]（さがごりゅう）嵯峨御所「[[大覚寺]]」を家元とする流派。
* [[翠月古流]]（すいげつこりゅう）
* [[青山御流]]（せいざんごりゅう）公家の末裔、[[園家]]（伯爵）により相伝されている流派。
* 正風華道 （せいふうかどう）[[盛花]]、[[千変万化]]を特徴とする流派。
* [[石州流華道]]（せきしゅうりゅうかどう）
* [[専慶流]]（せんけいりゅう）
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* [[相阿弥流]]（そうあみりゅう）
* 佐々木流（ささきりゅう）
* [[草月流]]（そうげつりゅう）勅使河原蒼風（1979没）流祖。[[File:Sogetsu Kaikan 2011 Tokyo.jpg|thumb|right|140px|[[草月会館]] （東京・赤坂）]]
* [[月輪未生流]]（つきのわみしょうりゅう）[[皇室]]の菩提寺「[[泉涌寺]]」を家元とする流派。
* 勅使河原和風会（てしがはらわふうかい）1896年10月に日本生花学会を立ち上げた初代勅使河原和風を家元とする流派。
* [[日新流]]（にっしんりゅう）
*日本古流（にほんこりゅう）
* [[日本心華道]]（にほんしんかどう）
* [[植松家|日本生花司 松月堂古流]]（にほんせいかし しょうげつどうこりゅう）
* [[八代流]]（はちだいりゅう）[[室町幕府]]第8代将軍[[足利義政]]を高祖とする流派。
* [[花古流]]（はなこりゅう） １
* [[未生流]]（みしょうりゅう）未生斎一甫（1824没）流祖。
* [[未生流笹岡]]（みしょうりゅうささおか）
* [[都古流]]（みやここりゅう）
* [[都未生流]]（みやこみしょうりゅう）
* [[雅(みやび)流]]（みやびりゅう）
* 無双真古流（むそうしんこりゅう）
* [[圓照寺|山村御流]]（やまむらごりゅう）山村御殿・[[圓照寺]]を家元とする流派。
* [[容眞御流]]（ようしんごりゅう）
* [[龍生派]]（りゅうせいは）
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== いけばなの代表的個人作家 ==
{{注意|ノートにおける議論により、'''赤リンクの人物は掲載禁止'''となっています。<br />追加したい場合は、'''記事を執筆してから'''追加してください。}}
{{Main|華道家|:Category:華道家}}
（五十音順）
* [[芦田一寿]]
126 ⟶ 129行目:
* [[吉村華泉]]
* [[吉村華洲]]
== 脚注・出典 ==▼
{{reflist}}▼
== 参考文献 ==
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* [{{NDLDC|922616}} 『投入れ・盛り花の活け方』]須山法香斎 著 (東洋図書, 1926)
*『花道の思想』[[井上治 (哲学者)|井上治]] 著（[[思文閣出版]], 2016）
▲== 脚注・出典 ==
▲{{reflist}}
== 関連項目 ==
{{Commons|Ikebana|いけばな}}
{{commonscat|Ikebana}}
* [[幽玄]]
* [[華道家]]
* [[日本いけばな芸術協会]] - [[京田辺市いけばな協会]]
* [[切り花]] - [[フラワーデザイン]]
* [[花飾学]]
* [[盆栽]]
; メディア関連
* TVドラマ「[[高嶺の花 (テレビドラマ)|高嶺の花]]」 - TVドラマ「[[整形美人。]]」
== 外部リンク ==
* [http://www.nihonikebana.or.jp/ 公益財団法人 日本いけばな芸術協会]
* [http://www.ikenobo.jp/ 池坊
* [http://www.ohararyu.or.jp/ 小原流
* [http://kadouenshu.com/ 華道遠州
<!--* [http://www.k-ikebana.com/kyoutanabe.html 京田辺市いけばな協会]--><!--関連項目に記載。-->
* [http://kofu.gr.jp/ 光風流]
* [http://www.sagagoryu.gr.jp/ いけばな嵯峨御流]
159 ⟶ 164行目:
* [http://hana1you.com/ 日本心華道]
* [http://www.nihonkoryu.org/ 日本古流]
* [http://hachidai-ryu.com/ 八代流]
* [http://www.kadou.net/ 未生流笹岡]
* [http://www.yatadera.or.jp/ 矢田寺大門坊（容真御流家元）]
166 ⟶ 172行目:
* [http://www.ryuseiha.net/ 龍生派]
* [http://www.kadou-tukinowa.com/ 月輪未生流]
* <!--https://www.wafu.or.jp/--><!--リンク切れ-->[https://ikebana-nishinoomote.jimdofree.com/%E9%B9%BF%E5%85%90%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E9%80%A3%E5%90%88%E8%8F%AF%E9%81%93%E4%BC%9A/%E5%8B%85%E4%BD%BF%E6%B2%B3%E5%8E%9F%E5%92%8C%E9%A2%A8%E4%BC%9A-%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%8C%E3%81%AF%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%B5%E3%81%86%E3%81%8B%E3%81%84/ 公益財団法人 勅使河原和風会]
* [http://www.kagakueizo.org/create/tokyo-sinemashinsya/439/ 華道高野山]
{{Normdaten}}
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