「マスカット (ブドウ)」の版間の差分

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{{Otheruses|ブドウの品種|オマーンの都市|マスカット|ゆずの曲|マスカット (曲)|その他の用法|マスカット (曖昧さ回避)}}
[[ファイル:Muscat grapes.jpg|thumb|マスカットの果実]]
[[ヨーロッパブドウ]]([[学名]]: ''Vitis vinifera'')種の[[ブドウ]]の'''マスカット'''({{lang-en-short|Muscat}} {{IPA-en|ˈmʌskət|}})[[品種]]は、[[ワイン]]、[[レーズン]]、生食用のために広く栽培されている。果実の色は白色から黒色に近いものまで幅がある。マスカットはほとんどの場合、顕著な甘い花の芳香を有する。マスカット品種は世界中で栽培されている。マスカット品種の幅広さや数から、最も古く[[栽培化]]されたブドウ品種である可能性が示唆されており、ヨーロッパブドウ(''Vurus vinifera'')の品種のほとんどが、このマスカット品種の子孫であるという説がある<ref name="Robinson pg 183">J. Robinson ''Vines Grapes & Wines'' pg 183 Mitchell Beazley 1986 ISBN 1-85732-999-6</ref>
 
[[日本]]では単に「マスカット」という場合は、「[[マスカット・オブ・アレキサンドリア]]」を指す場合が多い。中国で'''麝香葡萄'''と呼ばれている。
 
== 概要 ==
食用に改良され、様々な[[品種]]がある。「[[麝香]](マスク、ムスク)」に喩えられる強い香りが特徴である。数多くある[[ブドウ]]の品種の中でも最も古くに確立したものの一つで、[[地中海盆地|地中海地方]]原産とされる。
 
== マスカットの品種 ==
今日では、マスカットには主に以下の品種が知られている。
; [[マスカット・オブ・アレキサンドリア]] ({{Lang|en|Muscat of Alexandria}})
: マスカット系の原種にあたり、日本国内で一般的にいう「マスカット」。日本では主に[[岡山県]]で栽培され、生食用の高級ブドウとされているが、[[南アフリカ共和国|南アフリカ]]などでは[[ワイン]]用に作られている。
; ローデ・ハネポート (Roode Hanepoot)
:マスカット・オブ・アレキサンドリアの[[枝変わり]]。紫紅色種であることから日本では「紅アレキ」と呼ばれる。
; [[ネオマスカット]] (Neo Muscat)
: [[1925年]]に岡山県の広田盛正がマスカット・オブ・アレキサンドリアと日本の固有種である甲州三尺の交配により生み出した品種。
; マスカット・ハンブル ({{Lang|en|Muscat Hamburg}}) / ブラック・マスカット ({{Lang|en|[[w:Black Muscat|Black Muscat]]}})
: [[イギリス]]にてマスカット・オブ・アレキサンドリアと{{仮リンク|トロリンガー|label=ブラック・ハンブル(トロリンガー)|de|Trollinger}}を交配して生まれた品種。食用・ワイン用として栽培されている他、交配親としても有名。
; [[甲斐路 (ブドウ品種)|甲斐路]] (Kaiji)
: [[1955年]]に[[山梨県]]の植原葡萄研究所にてフレームトーケーとネオマスカットを交配して生まれた「赤いマスカット」。
; マスカット甲府 (Muscat Kofu)
: 甲斐路と同じく、1955年に山梨県の植原葡萄研究所にてネオマスカットと[[ハンガリー]]の品種{{仮リンク|ケニギン・デル・ワインガルテン|de|Königin der Weingärten}}を交配して作られた。外観はネオマスカットに似る。非常に強い香りを持つ。
; ヒロハンブル (Hiro Hamburg)
: [[1970年]]に岡山県の広田盛正が生み出した黒色の大粒品種。マスカット・ハンブルと甲州三尺交配して生み出した黒色の大粒品種と言われていが、実際はマスカット・ハンブルグの自家受粉実生であ[[九州大学]]によ可能性が高研究の結果、否定されて<ref name="isozyme">[http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/12700/p011.pdf{{Cite journal|和書|author=白石眞一, 若菜章, 嬉野健次, 大見千枝 |title=ブドウにおけるアイソザイム多型と系統発生並びに品種分化に関する研究] |url=https://hdl.handle.net/2324/12700 |journal=九州大学農学部農場研究資料 |publisher=九州大学農学部附属農場 |year=1994 |month=mar |issue=16 |pages=11-49 |naid=110001795823 |doi=10.15017/12700 |NCID=AN10259811 |issn=0386-3522}}</ref>。
; イタリア (Italia)
: マスカット・オブ・イタリアとも呼ばれる。[[イタリア]]でビカンヌとマスカット・ハンブルから生まれた緑色大粒品種。優れた品質から、政府が栽培を奨励するため国名を付けたと言われる。
; ルビーオクヤマ (Ruby Okuyama)
: 1973年に[[ブラジル]]にて日系人の奥山孝太郎が自身のブドウ園で発見したイタリアの枝変わり<ref>[http://www.nikkeyshimbun.jp/2015/150911-61colonia.html  『百年の水流』開発前線編  第一部=北パラナの白い雲=外山脩=(33)=(33)]ニッケイ新聞、2015年9月11日</ref>。赤色種で強い香りを持つ。
; カノンホールマスカット (Cannon Hall Muscat)
: イギリスで発見されたマスカット・オブ・アレキサンドリアの4倍体枝変わりの実生。[[ピオーネ]]の親とされていが、九州大学による研究の結果、否定されている<ref name="isozyme"/>。
; マスカット・オットネル ({{Lang|en|[[w:Muscat Ottonel|Muscat Ottonel]]}})
:[[ハンガリー]]などで栽培されるワイン用ぶどう。
; [[ミュスカ・ブラン]]・ア・プティ・グラン]] ({{Lang|fr|[[w:Muscat Blanc à Petits Grains|Muscat Blanc à Petits Grains]]}})
: [[ギリシャ]]由来と考えられている。実が小さいのが特徴で、ギリシャのほか、イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、南アフリカなどで栽培される。フランス産の「ミュスカ・ド・[[フロンティニャン]]」が知られる。
; [[モリオ・ムスカート]]
:[[ドイツ]]の[[プファルツ地方|ファルツ地区]]に多く見られる甘口のワイン用品種。ワインは'''モリオ・マスカット'''の名前で売られることが多い。
; [[モスカート]]
:[[イタリア]]産マスカット。[[ピエモンテ]]産の[[アスティ・スプマンテ]]とモスカート・デル・ピエモンテはDOVGTワインに指定されている。
 
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日本で広く親しまれているブドウ品種には、マスカット種にアメリカブドウ (''{{Lang|la|[[w:Vitis labrusca|Vitis labrusca]]}}'') 系の品種を掛け合わせて生まれた交雑種が幾つか知られている。
 
; マスカット・ベーリーA ({{Lang|en|Muscat Bailey A}})
: [[1927年]]に[[新潟県]]の川上善兵衛によって生み出されたアメリカ種・ベーリーとマスカット・ハンブルの交雑種。食用・ワイン用共に向く。
;ニューヨーク・マスカット (New York Muscat)
:[[アメリカ]]ニューヨーク農業試験場にてアメリカ種のオンタリオとマスカット・ハンブルを交雑して作られた、栽培容易な中粒黒色早生種。
;[[シャインマスカット]] (Shine Muscat)
: [[1988年]]に[[農業・食品産業技術総合研究機構]]が育種し、[[2006年]]に品種登録された。[[ジベレリン]]処理により種無しになり、皮ごと食べられる大粒緑色の品種。アメリカ系雑種であるスチューベンの血を4分の1引く。
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
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* [[ワイン用ブドウ品種の一覧]]
 
== 脚注 ==
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{{ブドウ}}
{{Normdaten}}
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[[Category:ぶどう品種]]
[[Category:果物]]
[[Category:岡山県の食文化]]
[[Category:岡山県の農業]]