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== 概説 ==
植物の正常な生育のためには、[[炭素]]、[[水素]]、[[酸素]]、窒素、リン、カリウム、[[カルシウム]]、[[マグネシウム]]、[[硫黄]]、[[ホウ素]]、[[塩素]]、[[銅]]、[[鉄]]、[[マンガン]]、[[モリブデン]]、[[亜鉛]]の16元素が必要である<ref name="nirs14">{{Cite web |和書|url=https://www.nirs.qst.go.jp/db/anzendb/NORMDB/PDF/14.pdf |title=肥料 |publisher=国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 |accessdate=2020-06-20}}</ref>。これに[[ニッケル]]を加えた17元素を必須元素とする場合もあるが<ref>{{Cite web |和書|url=https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_18.pdf |title=7 微量要素欠乏対策 |publisher= [[農林水産省]] |accessdate=2020-06-20}}</ref>、これは後述の有用元素に分類される場合もある{{Sfn|FAO|2006|p=25}}。
 
このうち炭素・水素・酸素は、自然界の大気や水から吸収できるので、人為的に外部から供給する必要はない<ref name="nirs14" />。それ以外の元素も、自然界では土壌から根を通して吸収されるが、特に野菜などの作物を栽培する場合では窒素・リン・カリウムは不足しやすいため、肥料として供給する必要がある<ref name="nirs14" />{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}。窒素は「葉肥」、リンは「実肥」、カリウムは「根肥」ともいわれ、これを「肥料の三要素」とよんでいる。そのほか、わりあい多く必要とするカルシウム、マグネシウム、硫黄を「二次要素」または「中量要素」といい、少しあればよいものを「微量要素」とよんでいる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}。中量要素や微量要素は、[[堆肥]]などの有機物を土壌に十分入れておけば不足することはないが、化学肥料に頼りすぎると不足してきて、植物にさまざまな障害が現れてくる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}
 
このほかまた、植物の生存に必須ではないが、[[ナトリウム]]、[[ケイ素]]、[[セレン]]、[[コバルト]]、[[アルミニウム]]、[[バナジウム]]は、しばしば特定の植物種にとって成長を助ける有用元素となる。
 
日本の[[肥料取締法|肥料の品質の確保等に関する法律]]第2条第1項にて「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため、土壌に化学的変化をもたらすことを目的として、土地に施される物、及び植物の栄養に供することを目的として、植物に施される物をいう」と定義されている。したがって、土壌に施されるものだけではなく、葉面散布の形で施されるものも肥料と呼ぶ。
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[[養液栽培]]の場合は、土壌からの供給がないため、栄養素を全て与えてやる必要がある。
 
=== 肥料の三要素(一次要素) ===
{{main|肥料の三要素}}
[[窒素]] (N) 、[[リン酸]] (P) 、[[カリウム]] (K) を、肥料の三要素という{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}。特に植物が空気、水から摂取できる酸素・炭素・水素除いて、最も多く必要とする多量要素で、肥料として与えるべきものである{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}。一次要素ともいう{{Sfn|FAO|1984|loc=&sect;2}}。
 
==== 窒素 ====
主に植物を大きく生長させる作用があり、タンパク質や葉緑素の合成に関わる{{Sfn|FAO|1984|loc=&sect;2}}。特に葉や茎を大きくさせることから'''葉肥'''(はごえ)と言われる<ref name="akita">{{Cite web |和書|url=https://www.city.akita.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/305/img01.pdf |title=花と緑のてびき 第1集 |publisher=秋田市 |accessdate=2020-06-20}}</ref>。過剰に与えると、植物体が徒長し、軟弱になるため病虫害に侵されやすくなる。逆に、軟らかい植物体を作りたいときは窒素を多用するとよい。窒素が不足すると、生育や樹勢が衰えて葉は淡黄色になり、面積が狭くなって早くに落葉する{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}
 
また、窒素はどのような性状の窒素であるかにより肥効が左右される。[[アンモニア]]態窒素(硫安、塩安など)は、土壌に吸収・保持されやすいので肥効は高い。しかし、土壌でバクテリアにより[[硝酸]]態窒素に変化すると、土壌に吸収・保持されにくいので流亡してしまいやすい。有機質の肥料や[[尿素]]は、土壌でアンモニア態窒素に変化し、さらに硝酸態窒素に変化する。アンモニア態窒素は、多用するとアンモニアガスを生じ、植物体に障害を与える。この現象は施設園芸でよりおこりやすい。
 
==== リン酸 ====
主に開花結実(実付きや花付きなど)に関係する肥料であり'''実肥'''(みごえ)と言われる<ref name="akita" />。水溶性リン酸と可溶性リン酸、[[クエン酸|く溶性]]リン酸が植物に吸収される。このうち可溶性リン酸は、アルカリ性クエン酸アンモニウム溶液(ペーテルマン液)に溶けるリン酸であり、水溶性の値を含み、根酸に溶けて肥効をあらわす<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.zennoh.or.jp/activity/hiryo_sehi/yougosyu.html|title=土壌肥料用語集|publisher=全国農業協同組合連合会|accessdate=2019-12-4}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jacom.or.jp/noukyo/rensai/2019/07/190719-38653.php|title=【今さら聞けない営農情報】第11回 肥料の成分Ⅱ|work=JAcom 農業協同組合新聞 電子版|publisher=農協協会|date=2019-7-19|accessdate=2019-12-4}}</ref>。く溶性リン酸は2%クエン酸溶液に溶けるリン酸であり、より緩やかな肥効をあらわす。なお、化学分野で「P」は、元素の[[リン]]を表すが、農業・園芸分野では[[リン酸塩]]類を表し、[[リン酸]]と省略される。リン酸が不足すると、生長不良になって出葉や開花が遅れ、実入りが極めて悪くなり品質や収量が著しく低下する{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}
 
人類が紀元前3000年の頃から始めた農業の歴史上、不足し続けているのがリン酸である。その原料の[[リン鉱石]]の枯渇がいま心配されている。リン鉱石の80%が肥料用に使用されており、イギリス硫黄誌 (British Sulphur Publishing) によると、最悪のシナリオとして、過去の消費から年3%の伸びを見込むと、消費量は2060年代には現在の約5倍になり、経済的に採掘可能なリン鉱石は枯渇してしまう。
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現実的なシナリオでは、2060年代に残存鉱量は50%になるとされている。日本はリン鉱石の全量を輸入に頼っており、その多くを[[中華人民共和国]]に依存している。国際肥料工業会 (International Fertilizer Industry Association) によると、リン酸肥料が使用される主な作物とその割合は、小麦が18%、野菜・果物が16%、米、トウモロコシがそれぞれ13%、大豆が8%、サトウキビが3%、綿花4%となっている<ref name="リン酸枯渇">[http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080606/160875/?P=3 リン鉱石と食糧危機]日経ビジネスオンライン、2008年。</ref>。
 
アジア、オセアニア地域では利用効率が悪い。土壌にリンが固定されてしまうからだと考えられる。<ref>{{Cite web |和書|title=No.162 アジアではリン肥料の利用効率が低い {{!}} 西尾道徳の環境保全型農業レポート |url=https://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=1444 |access-date=2022-07-01 |language=ja}}</ref>
 
==== カリウム ====
農業ではカリ(加里)と省略している。主に根の発育と細胞内の浸透圧調整に関係するため、'''根肥'''(ねごえ)といわれる<ref name="akita" />。水溶性のため流亡しやすいので、追肥で小出しに与えるのがよい。細胞内では[[イオン]]の形で存在するため、細胞が死ぬと細胞外へ流出しやすい。また、植物体内での転流も容易。カリウムが不足すると、根の伸長が不良となり、葉や茎は軟弱になって倒伏しやすくなり、周辺から黄化したり、水分不足のようになって枯れてしまう{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}。果実類は収量や品質が低下して、特に[[デンプン]]や甘味が減ってしまう{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}
 
=== 二次要素(中量要素) ===
[[カルシウム]] (Ca)、[[マグネシウム]] (Mg) 、[[硫黄]] (S) を、二次要素という<ref name="nirs14" />{{Sfn|FAO|1984|loc=&sect;2}}あるいは「中量要素」{{sfn|主婦の友社編|2011|p=277}}という。これは一次要素と同じく植物学上の多量要素に分類されるが、肥料としての必要量はより少ない。中量要素とも呼ばれる。日本では施用の必要がほとんどない硫黄を除く、多量一次要素および二次要素の五つ(窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム)を、肥料の五要素とも呼ぶ。
 
なお、カルシウムとマグネシウムについては、そのうち可溶性石灰、また 可溶性石灰および可溶性苦土 が、'''アルカリ分'''の記述で各種肥料に表示されている事がある<ref>肥料取締法施行令1条の2の表中の「アルカリ分」の定義及び「[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kokuji/59k0695.htm 肥料取締法施行令第一条の二の規定に基づき農林水産大臣の指定する有効石灰等を指定する件]」参照</ref>。
 
==== カルシウム(石灰) ====
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[[アミノ酸]]・タンパク質や[[ビタミン]]の合成に関わる{{Sfn|FAO|1984|loc=&sect;2}}。一方で、強還元状態では植物に有害な[[硫化水素]]の発生原因となる{{Sfn|FAO|2006|p=31}}。
 
含硫黄肥料の多くは[[硫酸塩]]であり{{Sfn|FAO|2006|p=103}}、これらは'''硫酸根肥料'''<ref>{{Cite web|和書|url=http://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=15515|title=硫酸根肥料|work=農業技術事典 NAROPEDIA|publisher=農研機構|accessdate=2021-4-1}}</ref>と呼ばれ、水溶性{{Sfn|FAO|2006|p=47}}や酸性のものが多い。一般的な三要素の肥料である[[硫酸アンモニウム]]や[[過リン酸石灰]]、[[硫酸カリウム]]も硫酸根肥料であり、副成分として硫黄を含む。これらの特質を利用して、生理的酸性肥料である硫酸アンモニウムがアルカリ性土壌のpH矯正のため利用されたり<ref>{{Cite book|和書|title=ひょうごの土づくり指針|chapter=エ 土壌の望ましくない状況とその対策|pages=98-104|publisher=兵庫県農政環境部|date=2018-3|chapterurl=https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/index-10.pdf#page=4}}</ref>、生理的中性肥料である[[硫酸カルシウム]](石膏)がアルカリ性土壌を嫌う植物へのカルシウム供給に利用されたりもする<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.hiryou.hokuren.or.jp/qa/q02_13_01.html|title=土づくりQ&A Q-13 pHを上げないで石灰を補給する方法は?|publisher=ホクレン農業協同組合連合会|accessdate=2021-4-1}}</ref>。
 
日本においては土壌や水からの天然供給が豊富であり、硫黄欠乏は稀と考えられているが、硫酸根肥料の施用が長年に渡って避けられている水田では欠乏がみられることがある<ref>{{Cite journal|和書|title=土壌診断項目に「可給態硫黄」導入準備進める|journal=JA全農ウィークリー|volume=862|publisher=全国農業協同組合連合会|date=2018-11-5|url=https://www.zennoh-weekly.jp/wp/article/3488}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=菅野均志|title=水田土壌の硫黄(S)肥沃度評価に関する一考察|journal=肥料科学|issue=41|pages=29-49|publisher=肥料科学研究所|date=2019|url=https://www.hiryokagaku.or.jp/data_files/view/502/mode:inline}}</ref>。
 
=== 微量要素 ===
鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、亜鉛、銅、塩素、ニッケルは、微量要素という。これらは必要な元素であるが必要な量は微量であり、大抵土壌や肥料に含まれている量で充分で、過剰障害も生じやすいことから、微量要素肥料の施用には十分な配慮が必要である。葉面散布で施用すると効果的な場合がある。
 
== 分類 ==
=== 形態的分類 ===
形態的分類では、粒状肥料、固形肥料、粉状肥料、液状肥料、ペレット状肥料に分類される<ref name="maff10">{{Cite web |和書|url=https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/gum10.pdf |title=2.肥料の種類と特色 |publisher=農林水産省|accessdate=2020-06-20}}</ref>。粉末で流通し使用者が液状肥料にして用いるものもある(粉末液肥)。
 
液体の肥料は'''液肥'''(えきひ)とよばれ、追肥として使用すると即効性がある一方で、効果が切れるのも早いという特性がある{{sfn|金子美登|2012|p=230}}。特に夏場の実もの野菜には、追肥として2、3日おきに与えてもよい{{sfn|金子美登|2012|p=230}}。
なお、粒状肥料の中でも脱窒などを抑え、遅効性にするため泥団子に混ぜて作られた大粒の物を、特に「団子肥料」と言い。泥炭に化学肥料各種を混ぜた市販品のものから、硫安や尿素を土と混ぜて作った農家が自作したものまで様々なものがある<ref>小学館編『世界原色百科事典 3 しんす-た』小学館、昭和41年、p.600「団子肥料」</ref>。
 
なお、粒状肥料の中でも脱窒などを抑え、遅効性にするため泥団子に混ぜて作られた大粒の物を、特に「団子肥料」とい、泥炭に化学肥料各種を混ぜた市販品のものから、硫安や尿素を土と混ぜて作った農家が自作したものまで様々なものがある<ref>小学館編『世界原色百科事典 3 しんす-た』小学館、昭和41年、p.600「団子肥料」</ref>。
 
=== 生産手段(入手経路)による分類 ===
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: 肥料の3要素のうち2種類以上を含むようにしたものを複合肥料という。
:; 化成肥料
:: 複数の単肥に化学的操作を加え、肥料の3要素のうち2種類以上、15%以上の量を含むようにしたものを'''化成肥料'''という。化成肥料で肥料の3要素の合計が30%以上のものを'''高度化成'''といい、それ以外を'''普通化成'''という<ref>{{Cite Kotobank|word=化成肥料|authorencyclopedia=世界大百科事典 第2版|access-date=2020年7月9日}}</ref>。化成肥料の成分は「窒素-リン酸-カリ」と表記される。例えば「8-8-8」という表記であれば、窒素・リン酸・カリが各8%の普通化成とわかる。
:; 配合肥料
:: 2~3種類の肥料を、一定の割合で機械的に配合したものを配合肥料という<ref name="akita" />。
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[[有機化合物|有機物]]([[有機資材]])を原料とした肥料。植物質または動物質を原料とした肥料である<ref name="akita" />。有機物は時間をかけて分解され、その後植物に吸収されるため即効性は低いが、そのかわり土壌に長期間蓄積され、ゆっくりと効果が持続する<ref name="akita" />。また、有機質の肥料には土壌を柔らかくする性質がある<ref name="akita" />。
 
有機物により土壌内の微生物に栄養分が与えられるため、無機肥料よりも土壌に良いと考える人もいる。ただし農業は肥料だけでおこなうものでないため、一概に有機肥料が無機肥料より優れているとはいえない。例えば、発酵が十分でないと根に悪影響を与える<ref name="akita" />。また、完熟していない有機肥料では、[[悪臭]]・[[気体|ガス]]発生・[[害虫]]発生の問題が発生する。肥料を完全発酵させることによって、養分が分解され利用しやすくなり、有害菌が増殖して、病害が起こることを防ぐことができる。
 
有機質の肥料でも、従来、植物は無機物の形で吸収し栄養としていると考えられてきた。ほとんどの栄養分は無機物として吸収されるが、一部の有機物は[[エンドサイトーシス]]により、養分として取り込まれることもある。タンパク質の場合、細胞内にタンパク質を取り込んでからタンパク質分解酵素で消化して利用する。アミノ酸では直接利用されるものがある。
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このため、有機物の肥料としての有効性も研究されてきた。2002年には、[[独立行政法人]]の[[農業環境技術研究所]]が、植物が根から無機質ではない有機質のタンパク質様窒素を吸収することを証明している<ref name="覆す">「作物の根、有機物を吸収-無機栄養説覆す?」(『日本農業新聞』、2002年7月31日)</ref>。
* 植物性肥料
** [[油粕]] - ナタネから油を搾り取ったあとの粕からつくられていて、「ナタネ粕」ともいう。窒素分が多く、主に葉や草丈を大きくしたいときの追肥に使う{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** [[油粕]]
** [[糠]]
** [[刈敷]]
** [[草木灰]]
*** ただし、草木灰は、植物由来のため有機肥料とする人が多いが、灰であるため無機物が中心である。
** [[緑肥]]
*** 特に [[マメ科]]の植物には窒素を体内に固定する性質があり、これらをすき込んで有機肥料と同様の効果を得られる<ref name="akita" />。
** {{ill2|海藻肥料|en|Seaweed fertiliser}}
** [[腐葉土]] - 広葉樹の落ち葉が堆積して発酵させた用土。苗づくりや堆肥づくりに使われる{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** [[籾殻燻炭]](もみがらくんたん) - もみ殻を炭化させたもの。微細な小さな穴が無数にあり、そこに微生物が棲んで、土中のミネラルやリン酸を作物に与える橋渡し役になる{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** 草木炭 - アルカリ分が強いため、酸性が強い土壌を中和するのに使われる{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
* 動物性肥料
** [[魚粕]]
** [[干鰯]]
** [[堆肥]] - 藁や家畜糞などを混ぜて完熟発酵させたもの。土壌にすき込んで団粒構造の土を作り、水はけや通気性をよくする{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** [[堆肥]]
** 馬糞 - 藁や[[馬]]の家畜糞尿などを混ぜた[[厩肥]]を発酵させたもの。
** 馬糞
** [[牛糞]] - 藁や[[牛]]の家畜糞尿などを混ぜた[[厩肥]]を発酵させたもの。
** [[牛糞]]
** [[厩肥]] - 藁や[[牛]][[馬]]の家畜糞尿などを混ぜたもの。
** [[鶏糞]]
** [[鶏糞]] - [[鶏]]の糞を乾燥させたもの。主に実を大きくさせたいときの追肥に使う{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** [[屎尿|人糞尿]](下肥)
** [[下肥]] - 人間が排泄する糞尿で昔は売買されて発酵させ使われたが、現在は[[環境省令]]で定める方法でなければ肥料として使用してはならないため使用されない。
** 骨粉
** 魚粉・魚骨粉 - [[イワシ]]、[[ニシン]]、[[雑魚]]などから圧搾機で油と水分を抜き、乾燥させて粉砕したもの。ぼかし肥の材料などにも使用する{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** [[肉骨粉]]
** カキ殻 - [[カキ (貝)|カキ]]の殻を高温焼成して粉末状にしたもの。炭酸カルシウム、ミネラル、アミノ酸が含まれ、酸性土を中和する働きがある{{sfn|金子美登|2012|p=232}}。
** [[厩肥]]
* '''ぼかし肥'''('''ボカシ肥''' - ボカシぼかし肥とは、有機肥料を発酵させて肥効をボカシた(穏やかにした)ものをいう。'''ボカシ'''、'''ぼかし肥料'''(ボカシ肥料)ともいう。速効性があり、堆肥の代わりに元肥にしたり追肥として使われる{{sfn|金子美登|2012|p=231}}。原料となる有機肥料は、油カス、[[米糠]]、[[おから]]、もみ殻燻炭、鶏糞、魚カス、骨粉、油カス(ナタネ粕)、山土、炭など多様である{{sfn|金子美登|2012|p=231}}。無機肥料を加えることもある。'''ボカシ'''、'''ボカシ肥料'''ともいう。ボカシ肥には大別して、土を混ぜるもの、混ぜないものの2種類ある。前者は、有機肥料に土(粘土質なものがよい)を混ぜ、50 - 55℃以上に温度が上がらないようにして発酵させる{{efn|通常、堆肥などを発酵させる場合は、もっと高温で70℃以上になることがある{{sfn|金子美登|2012|p=227}}。}}。一方、後者は、有機肥料に水を加えて発酵させたもので市販のボカシ肥はこちらである。
 
==== 無機質肥料(無機肥料) ====
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== 肥料の品質の確保等に関する法律 ==
肥料は、許可された者・登録された物(肥料)しか販売してはならない。過去には[[肥料取締法|肥料の品質の確保等に関する法律]](旧肥料取締法)に違反し、逮捕者・[[書類送検]]者まで出ている。記事によれば、薪灰などの販売でも違反であると示唆されている<ref>[https://web.archive.org/web/20200617124925/https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061700723&g=soc 肥料をネットで無届け販売 容疑で男女7人書類送検―警視庁] 時事ドットコム(2020年7月13日閲覧)</ref><ref>[https://www.sankei.com/affairs/news/171116/afr1711160025-n1.html 原料虚偽表示で2人逮捕 肥料会社社員、新潟]産経ニュース(2020年7月13日閲覧) </ref>。
 
=== 肥料外の活力剤など ===
活力剤、活性剤、栄養剤などと呼ばれる製品は、微量の肥料成分を含むことがあるが、法律上の基準を満たさず肥料としては扱われない<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sc-engei.co.jp/qa/h_qa/12.html|title=肥料に関するQ&A Q12: 「活力剤」と「肥料」は違うのですか?|publisher=住友化学園芸|accessdate=2020-7-27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.rainbow-f.co.jp/usage/hiryou/katsuryoku/|title=活力剤とは|publisher=レインボー薬品|accessdate=2020-7-27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110317_2.pdf|format=PDF|title=園芸用品の使い方に注意! -除草剤や殺虫剤、肥料や用土などの事故事例に着目して-|publisher=国民生活センター|date=2011-303-17|accessdate=2020-707-27|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130222032733/http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20110317_2.pdf|archivedate=2013-02-22}}</ref>。これは栽培の補助に用いられる製品であり、肥料の代替とはならない。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
 
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* {{Cite book|title=Plant nutrition for food security|series=FAO Fertilizer and Plant Nutrition Bulletin 16|publisher=FAO|date=2006|ISBN=92-5-105490-8|url=http://www.fao.org/3/a-a0443e.pdf|ref={{SfnRef|FAO|2006}}}}
* {{Cite book|和書|author =主婦の友社編|title = 野菜まるごと大図鑑|date=2011-02-20|publisher = [[主婦の友社]]|isbn=978-4-07-273608-1|pages =276 - 277|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =[[金子美登]]|title=有機・無農薬でできる野菜づくり大事典|date=2012-04-01|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30998-9|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
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*[[C/N比]]
*[[焼畑農業]]、[[バイオ炭]]
*[[土壌肥沃度]]、[[土壌改良]](水はけ、保水性)
* {{ill2|生理障害|en|Physiological plant disorder}} ‐ 植物の栄養欠乏症・過剰症
** {{ill2|肥料焼け|en|Fertilizer burn}} ‐ 肥料の与えすぎによる生理障害。
** [[根腐れ]] - 水の与えすぎによる生理障害。
* {{ill2|肥料散布機|en|Manure spreader}}、{{ill2|散粒機|en|Broadcast spreader}} - 肥料を撒く機械
* {{ill2|葉面散布肥料|en|Foliar feeding}}(葉面施肥)
 
== 外部リンク ==
237 ⟶ 254行目:
* {{Kotobank}}
 
{{植物栄養学}}
{{Normdaten}}