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{{複数の問題
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| 出典の明記 = 2024年6月
| 更新 = 2024年6月
}}{{Infobox_Disease |
Name = 心房細動 |
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'''心房細動'''('''しんぼうさいどう'''、[[英語|英]]: atrial fibrillation, af)は[[心房]]が細かく動くこと。[[不整脈]]の一種。
 
== 病態 ==
本症は[[心房]]が[[洞房結節]]の刺激によらずに速く部分的に興奮収縮し、規則的な洞房結節の活動が伝わらず、[[心室]]の収縮が不規則な間隔で起こる状態である。
 
Framingham study(フレイミングハム研究。アメリカ、[[マサチューセッツ州]][[レイミングハ (マサチューセッツ州)|フレイミングハム]]での[[心血管疾患]]に関する[[疫学]]研究)によると、心房細動は発症直後は数ヶ月間の死亡率は高いが、その後、死亡率の傾きは洞調律の患者と変わらないとされている。このデータは診断時に心不全や脳梗塞の既往がある患者を含んでいるため、このデータはすべての心房細動の患者で急性期で予後が悪いという意味を示さない。[[心筋梗塞]]、[[脳梗塞]]の既往がなければまずは落ち着いて対処できる疾患であることを物語っている。心房細動の患者の長期予後は心房細動の病型などよりも心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症といったものに規定されている。生活習慣病のコントロールが不十分ならば、抗凝固療法などをおこなってもあまり生命予後は変わらないとされている。
 
脳梗塞の予防という観点ではCHADS<sub>2</sub>スコアというものがよく知られている。CはCongestive Heart Failure([[心不全]])、HはHypertension([[高血圧|高血圧症]])、AはAdvanced Age>75(75歳以上の高齢者)、DはDiabetes Mellitus([[糖尿病]])、SはHistory of Stroke([[脳梗塞]]、[[一過性脳虚血発作]]の既往)とされている。C,H,A,Dは該当すれば1点、Sは該当すれば2点でスコアリングする。2点以上ならば脳梗塞の予防となる治療が必要と考えられている(逆を言えば、若年者でリスクがない孤発性の心房細動ならば抗凝固療法は不要である)。ただし前述の通り、収縮期血圧が140mmHgを超える、場合は抗凝固療法を行っても予後の改善効果は乏しいこと、また日本循環器学会のガイドラインと照合するとCHADS2で1点でも抗凝固療法の適応となることもあり異論も多い。初発の心房細動の場合は50%位の確率で生活習慣病の治療の過程で自然消失し、原因がアルコールによる脱水や睡眠不足、ストレスとなることも多い。あくまでも、治療の順序としては、まずは背景因子の治療、抗凝固療法、最後に心房細動自体の治療と考えるとわかりやすい。
 
== 原因 ==
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== 症状 ==
心室から送り出される血液の体積が減って心臓の効率が低下するだけでなく、心房の中の血液がよどみ、[[血栓]]ができやすくなる。心房細動は、めまいや動悸、疲れやすさだけでなく、心不全への移行や心原性の[[脳梗塞]](特に[[脳塞栓症]])と[[心筋梗塞]]の原因となりがちである。特に脳梗塞は比較的大きな血管を詰まらせることで重症化しやすい。老人に多い。
 
== 検査 ==
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[[画像:Afib ecg.jpg|thumb|300px|上が心房細動(AF)で、下が洞調律の心電図。心房細動では洞調律で見られるようなP波(下図の紫色の矢印)は消失している。]]
[[心電図]]検査では以下の所見が認められる。
; [[RR間隔]]の不整
: 心拍が周期性を失うのでRR間隔(あるR波から次のR波までの間隔、すなわち一拍ごとの時間)が不規則になる。絶対性不整脈と呼ばれるのはこのためである。
; [[P波消失]]
: 心房の活動が分散するため、心房の電位変化を示す[[P波]]が消失する。
; [[f波]]出現
: f波は基線の動揺の事。分散した心房の活動がf波として記録される。V1誘導で見つけやすい。
 
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心臓超音波検査でわかることは心臓の動き(心機能)、心臓の大きさ(心拡大)、基礎疾患の有無、血栓の有無である。そのため心不全の可能性が考えられる場合、起始心疾患が疑われる場合、[[血栓症]]の既往がある場合は心臓超音波検査が必要となる。
 
血流が停滞し[[せん断応力|ずり応力]]が低下すると赤血球が凝集しもやもやエコーが認められる。これは左房内血栓や血栓塞栓症の危険因子となる。左房は心房のリモデリングを反映し5mm増加するごとに心房細動の危険率が48%48%増加するといわれている。また左房径が5cm以上ある場合は除細動に成功したとしても再発のリスクが高い。
 
=== 血液検査 ===
心房細動があるだけでBNPは30~120pg30〜120pg/mlの増加が認められる。
 
== 分類 ==
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|慢性心房細動||除細動されず半年以上に持続
|}
発作性心房細動の場合は初回であるか再発性心房細動の区別が重要となる。初回発作のみであれば2回目以降の発作が生じない患者が約半数おり、このような場合は抗凝固療法は不要となる。J-RHYTHM試験では慢性心房細動はリズムコントロールを行っても3年後の洞調律維持は10%10%程度であることから、胸部症状のある発作性心房細動ではリズムコントロール、持続性心房細動はレートコントロールが推奨されている。
 
また交感神経依存型心房細動と迷走神経依存型心房細動という分類もある。これは治療薬の選択に重要である。
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!nowrap| !!nowrap|交感神経依存型!!nowrap|迷走神経依存型
|-
|好発年齢||なし||40~5040〜50歳に初発
|-
|性差||なし||男性>女性
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|発作の好発時間と誘因||日中、特に午前中に多く、運動や精神的ストレスが誘因となる||夜間に多く、安静、食後、飲酒後が誘因となる
|-
|抗不整脈薬の効果||Βブロッカーが有効である。その他Β遮断作用があるプロパフェノン、アプリンジンが有効である||抗コリン作用(ムスカリン受容体遮断作用)があるジソピラミド(リスモダン&reg;®)、シベンゾリン(シベノール&reg;®)、ピルメノール(ピメノール&reg;®)が有効である。ジギタリスやΒブロッカーは無効である
|}
 
=== 孤立性心房細動 ===
1954年にEvansやSwannらによって提唱された概念である。明らかな基礎疾患なく発症した心房細動を意味していた。しかしその概念は検査法の進歩よって変わってきた。臨床所見、[[心臓超音波検査]]、心肺疾患(たとえば肥大心、心不全、虚血心など)ならびに甲状腺疾患、高血圧などがないものとされている。予後良好とされているが60歳を超えると脳血管障害の頻度が増加する。そのため60歳以降は孤立性心房細動に含めないという意見もある。研究者によって定義が異なる。日本の心房細動治療(薬物)ガイドライン2013年改訂版では孤立性心房細動という用語は用いられなくなった。
 
=== 弁膜症性心房細動と非弁膜症性心房細動 ===
弁膜症性心房細動ではリウマチ性僧帽弁疾患(おもに狭窄症)、人工弁(機械弁、生体弁)置換術後をしめす。生体弁は血栓形成の観点からは機械弁に比べて有利であるが、生体弁置換例が心房細動を合併した場合には塞栓症のリスクが高まるため抗凝固療法の適応となる。な僧帽弁修復術(僧帽弁輪縫縮術や僧帽弁形成術)術後は塞栓症の高リスクとはいえず、非弁膜症性として扱うのが適切と考えらている。またリウマチ性ではない僧帽弁閉鎖不全症は非弁膜症性として扱う。
 
== 治療 ==
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:洞調律に戻して維持する事。
*[[血栓症]]・塞栓症の予防
:[[ワファリン]]、[[アスピリン]]、[[ダビガトラン]](商品名プラザキサ)、[[リバーロキサバン]](商品名イグザレルト)などを用いて[[脳梗塞]]などの合併症を予防する事。
 
Affirm studyの結果、レートコントロールと抗凝固療法を行った場合とリズムコントロールを行った場合ではレートコントロールと抗凝固療法を行った場合の方が予後がよいことが明らかになった。症状がない心房細動の場合は、来院時の心電図検査とホルター心電図以外に心房細動があるのかを診断する方法がなく、治療が不完全になる可能性が高いということが示唆された。抗凝固療法ではなく抗血小板療法でもアスピリンを300mg程度の高用量で用いれば[[脳梗塞]]のリスクを20%ほど軽減できるという報告もあるが、日本循環器学会のガイドラインでは高齢者でも抗凝固療法の施行を推奨している。ワファリンを適切にコントロールすれば最終的な予後が改善するが、ワファリンの開始、維持は患者の治療に対する意欲がないと難しい。頻回の採血によるモニタリング、投与量の調節、納豆・クロレラなど食由来ビタミンKの禁止、他の薬剤との相互作用、外科的処置を行う場合の休薬、不十分な管理での出血でのリスクを考慮すると治療の意欲が乏しい段階では実行は難しい。抗凝固療法は成功すれば約90%の脳梗塞防止効果があるがワファリンの導入を急ぐあまり、他の生活習慣病の治療が不十分になると最終的予後は悪化するため難しいところである。
 
ファリンの導入は一日2mg(高齢者であれば1.5mg)位から行うのが無難とされている。2週間後のPT-INRで1.5mg未満であれば1mg増量、1.5~15〜1.6の間であれば0.5mg増量し2週間後再検という操作を繰り返すことが多い。5mg以内で1.6~26〜2.6のPT-INRで安定することが多い。その後はPT-INRが2.6以上ならば0.5mg減量、2回連続で1.6を下回れば0.5mg増量するといった微調整を行う。高齢者の場合、食欲不振などでコントロールが乱れることも多い。
 
経口選択的凝固因子拮抗薬であるダビガトランやリバーロキサバンは食の影響を受けず、[[APTT]]測定もほとんど必要ない。日本では、2011年3月にダビガトラン(プラザキサ)が薬価基準に収載された<ref>[http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000002981.html{{Cite press release|和書|title= 心房細動患者の脳卒中予防を大きく前進させる、プラザキサ®を新発売] |publisher= 日本ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社|date= 2011-03-28 |url= https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000002981.html |accessdate= 2021-06-10 }}</ref> ことなどを受け、日本不整脈学会から心房細動の薬物療法についての声明が出された<ref>[http{{Cite web|和書|url= https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/statement.pdf |title= 心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント(2011年8月)] |publisher= 一般社団法人 日本循環器学会 |date= 2011-08 |accessdate= 2021-06-10 }}</ref>。これにより、ダビガトランによる抗凝固療法を行うことも増えている。
 
=== 薬物療法 ===
{{main|抗不整脈薬}}
発作時のレスキューや平常時のコントロールには[[対症療法]]として化学物質を用いた薬物療法を行う。まずはレートコントロール(心拍数制御)を行う目的で[[ベラパミル]]や[[ジルチアゼム]]、[[メトプロロール]]、[[カルベジロール]]、[[ジギタリス]]を用いる。ジルチアゼムの有用性を指摘する報告もある<ref>Ulimoen SR et al. Comparison of four single-drug regimens on ventricular rate and arrhythmia-related symptoms in patients with permanent atrial fibrillation. Am J Cardiol 2013 Jan 15; 111:225.</ref>。また[[ジゴキシン]]による心房細動治療において、全死因死亡・心血管死亡・突然死の危険性増加を示唆する報告もある<ref>Washam JB, et al. Digoxin use in patients with atrial fibrillation and adverse cardiovascular outcomes: a retrospective analysis of the Rivaroxaban Once Daily Oral Direct Factor Xa Inhibition Compared with Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF). Lancet. 2015 Mar 5. pii: S0140-6736(14)61836-5. doi: 10.1016/S0140-6736(14)61836-5. [Epub ahead of print]</ref>。<br>
それで上手くいかなければリズムコントロールを行う目的でIa群の[[抗不整脈薬]]である[[ジソピラミド]]や[[プロカインアミド]]や[[キニジン]]を用いる。副作用が問題になることが多い。ただし[[WPW症候群]]を合併している場合はベラパミルやジギタリスの使用は禁忌である。
 
<!--加筆後、統合しましょう。下記文章に書き加えるのは難しいです。もともと転載の文章です。
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==== 発作性心房細動(Paf) ====
定義上は治療しなくとも自然停止する心房細動である。疲労、ストレス、飲酒、脱水によって誘発されやすい。弁膜症や[[甲状腺機能亢進症]]といった基礎疾患に伴うものも多い。発作性心房細動の場合は患者が症状になれることが少なく、動悸を主訴に救急部に受診することも多い。発作性心房細動では頻脈となっていることが多いのでまずは心室レートのコントロールを行い、可能ならば洞調律化を目指す。血栓症の予防なども必要となるが、それらは循環器内科専門医のもとで行うべきである。f波がP波様にはっきりと確認できる場合は異所性興奮による期外収縮によるものであるため肺静脈離断のカテーテルアブレーションが効果的とされているが、ランダムリエントリーによるものも多い。行うべきことは器質性心疾患の確認、内分泌疾患の確認、心機能の評価とその他の不整脈の合併などである。これらの確認を行えば初期治療はある程度は行うことができる。
;急性期治療
動悸などを主訴にERや一般内科に来院した場合である。真っ先に行うべきことは診断および、背景因子の確認である。心不全が認められればその治療を優先する。心電図で背景となる器質性心疾患が認められない場合はアミサリン&reg;(100mg/1ml)400mgを生理食塩水で10mlとし1ml/minの速さで静注していく。頻回に血圧をモニタリングし400mg投与で血圧の低下が20mmHg以下で収縮期血圧が110mmHg以上であればさらに400mg同様の方法で静注する。これで効果が表れるのは30%1程度であるが、時間経過で発作が停止することも多い。そのご専門医の下で精査の後治療を行う。心エコーで問題がないとわかっている段階のlone afであればもちいることができる薬は増える。サンリズム&reg;(50mg/A)100mg,タンボコール&reg; (50mg/A) 100mg,リスモダンP&reg;(50mg/A)100mg,シベノール&reg;140mg (70mg/A) あたりまで投与できる。いずれも生理食塩水か5%ブドウ糖液で10mlにて希釈し5分以上かけて投与する。また経口摂取可能であればサンリズム&reg;100~150mg100〜150mgの単回投与を行うという方法もある。症状が落ち着けば、専門外来にて治療計画を立てることができる。
;慢性期治療
発作性心房細動の慢性期治療の目的は多数ある。基礎疾患の確認、洞調律の維持、血栓症の予防などがあげられる。以下に発作の減少をさせる薬を纏める。
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!nowrap|抗不整脈薬!!nowrap|説明
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|ⅠaI a群||心機能に問題がないことが確認できていればリスモダン&reg;、確認が不十分であればアミサリン&reg;がよく用いられる。
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|ⅠbI b群||アスペノン&reg;が心房細動に効果がある。ⅠcI c群に比較して効果が劣るとされているが多剤無効例では効果があることがある。
|-
|ⅠcI c群||心臓超音波検査による器質性心疾患の除外と心機能低下の除外が投与に必須となる。タンボコール&reg;、サンリズム&reg;、プロノン&reg;は心房細動の発作と停止と予防に優れた効果がある。
|-
|II群||βブロッカーは発作の停止効果はないがレートコントロールに用いることがある。その他ワソラン&reg;、ジゴキシン&reg;もレートコントロールに用いる。
|-
|III群||血行動態の破綻を招く閉塞型肥大型心筋症にのみアンカロン&reg;が適応がある。
|-
|IV群||慢性心房細動にはワソラン&reg;なども用いられるが発作性心房細動では用いない、プリコール&reg;は難治性発作性心房細動にも用いることがある。
|}
発作性心房細動の治療に[[交感神経β受容体遮断薬|βブロッカー]]やワソランは単独では用いられないが併用はよくされる方法である。これは心室レートを抑制し自覚症状を改善させることが目的である。βブロッカーの場合は[[心房粗動]]が生じたときに1:1伝導を防止する効果もあり、交感神経賦活化による不整脈発生を抑制する効果がある。心房細動の治療でI群抗不整脈薬を使用中に心房粗動が発生することはよくある。これはもともと心房粗動を合併していたのか催不整脈による心房粗動か区別が難しい。1:1心房粗動となると血行動態的にリスクが高いためβブロッカーやベラパミルを併用する。発作性心房細動では慢性心房細動に比べれば脳血管障害のリスクは低いと考えられているが、CHADsスコアで1点以上のリスクがある患者ではワーファリンによる抗凝固療法が必要と考えられている。かつては抗血小板療法も行われたが、それは欧米における高用量アスピリン投与によるエビデンスであるため2009年現在、心房細動の脳血管障害防止の目的ではワーファリンを用いる。
 
==== 慢性心房細動(Caf) ====
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==== その他特殊な心房細動 ====
;徐脈頻脈症候群
:[[洞不全症候群]]に発作性心房細動、[[心房粗動]]、心房頻拍、[[発作性上室性頻拍]]が合併したものである。頻脈性不整脈に対して抗不整脈薬を投与すると徐脈が重篤化する恐れがある。そのため治療を円滑に行うために心臓ペースメーカーの導入を行うこともある。
;偽性心室頻拍
:[[WPW症候群]]に合併する心房細動であり若年者にも認められる。RR不整を伴う心室頻拍のような心電図所見が特徴的である。非常に有名だがジギタリスやワソラン&reg;は副伝導路の伝導性が高まり血行動態の破綻や[[心室細動]]に移行することがある。治療は副伝導路を抑制する抗不整脈薬でありI群の薬物である。サンリズム&reg;50mgやタンボコール&reg;50mgを5分以上かけて静注する、心房細動は停止しないことが多いが、δ波が消失し心拍数も110bpm以下になり自覚症状が改善することが多い。根治的にはカテーテルアブレーションが必要であるため、後日専門医の受診を勧める。
 
=== 治療に用いる薬物 ===
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* [[カリウム]]チャンネル阻害剤
* [[カルシウム]]チャンネル阻害剤
* [[ジギタリス]]系[[強心配糖体]]
: 心房細動者での[[ジゴキシン]]投与は、全死因死亡・心血管関連死亡・突然死を有意に増加させると報告されている<ref>Washam JB, et al. Digoxin use in patients with atrial fibrillation and adverse cardiovascular outcomes: a retrospective analysis of the Rivaroxaban Once Daily Oral Direct Factor Xa Inhibition Compared with Vitamin K Antagonism for Prevention of Stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation (ROCKET AF). Lancet 2015; 385(9985): 2363-70.</ref>。
 
=== カテーテル治療 ===
原発性心房細動の根本治療としてカテーテルアブレーション治療が広く行われてきている。
 
[[1998年]]に[[フランス]]のボルドー第3大学のMichel HaïssaguerreとPierre Jaïsらによってはじめられた方法で<ref>Haïssaguerre M, Jaïs P, Shah DC, Takahashi A, Hocini M, Quiniou G, Garrigue S, Le Mouroux A, Le Métayer P, Clémenty J., Spontaneous initiation of atrial fibrillation by ectopic beats originating in the pulmonary veins., [[ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン|NEJM]]. 1998 Sep 3;339(10):659-66.</ref>、[[心臓カテーテル検査]]を施行し、[[心房]]と[[肺静脈]]の電気的な回路を焼灼することで隔離する治療法。低侵襲な根治術として現在世界中で広く行われている。
 
2次性心房細動に対しては要因となる基礎疾患の治療が優先される。
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一般にMaze手術として知られている。カテーテル治療が行われるまでは唯一の根本治療法であった。心臓の手術は侵襲が大きく、現在ではMaze手術単体のみで施行されることは少なくなり、他の疾患での開胸心臓手術の際に同時に行われることが多い。
 
Maze手術は、[[1991年]]に[[アメリカ]]の[[セントルイス・ワシントン大学|ワシントン大学]]の心臓血管外科医ジム・コックスによって開発されており、その後この手術を元として様々な術式が開発されたが、一般的にMaze手術と総称される。
 
現在、[[胸腔鏡]]補助小開胸下[[肺静脈]]隔離術(WOLF法)や完全胸腔鏡下肺静脈隔離術(WOLF-OTSUKA法)など[[低侵襲手術]]も実用化されている。
* 心房細動の治療ではないが、非弁膜性心房細動による脳塞栓予防のため[[左心耳]]切除術も近年施行されている<ref>Ohtsuka T, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;62(2):103-7.</ref><ref>Wolf RK. Ann Cardiothorac Surg. 2014;3(1):98-104.</ref>。
 
== 引用文献 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
*心房細動に出会ったら ISBN 9784903843032
*あなたが診る心房細動 ISBN 9784784964017
== 外部リンク ==
* [http://www.amazon.co.jp/わかりやすい血栓と止血の臨床-日本血栓止血学会編集委員会/dp/4524264493/ref=pd_cp_b_0 わかりやすい血栓と止血の臨床(日本血栓止血学会編集)]
*[https://www.asahi.com/ads/tu/14819715 心房細動という不整脈に注意しましょう~心臓を大切に~ (朝日新聞2023年1月31日、日本心臓財団PR記事)]
* [http://www.amazon.co.jp/血液専門医テキスト-日本血液学会/dp/4524263373/ref=pd_bxgy_b_img_y 血液専門医テキスト(日本血液学会編集)]
*[https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/2 心房細動(兵庫医科大学病院)]
* [http://www.amazon.co.jp/臨床に直結する血栓止血学-朝倉-英策/dp/4498125789/ref=pd_sim_b_1 臨床に直結する血栓止血学]
 
== 関連項目 ==
*[[心室細動]]
 
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{{DEFAULTSORT:しんほうさいとう}}
[[categoryCategory:循環器病]]
[[Category:不整脈]]
[[Category:救急疾患]]
{{Link GA|de}}
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